【感想・ネタバレ】アスベストスのレビュー

あらすじ

何で自分が? 長い時間をかけて迫りくる「静かな時限爆弾」・石綿(アスベスト)によって奪われた平穏な人生。
仙台、ロンドン、東京、尼崎――自身も患者である作家が現場を歩いて綴った連作小説。

かつて建築資材などに広く使われていたアスベスト(石綿)。
その細かい繊維を肺に吸い込むことで、長い潜伏期間を経て肺がんや中皮腫を発症することから、「静かな時限爆弾」とも呼ばれる。
著者は若い頃、電気工事工として働く中、現場でアスベストを吸い込み、今なお後遺症を抱えている。
その経験をノンフィクションとして、『石の肺―僕のアスベスト履歴書』に書いたが、本書はその小説版と言える。
仙台、ロンドン、東京、尼崎とアスベストの被害に苦しむ人びとの運命を綴った連作小説集。
行政の対応が後手に廻り、結果として弱い個人が犠牲となっていく構図は、コロナ禍にも通じるものがある。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

アスベストの被害に苦しむ人、不安を抱える人の生活の一コマを描くことで、アスベストの問題が普段の生活の中にあったことが浮かび上がってくる。誰もが建築の現場や電気工事などその利点を享受してきて、苦しみは現場の人たちだけに負わせてしまっていることは原発の問題にも通じている。
「うなぎ」は数十ページの話ながら、鰻屋の大将になれずに逝ってしまった男性、クボタの隣の団地を選んでしまったその母親、彼らを取材した語り手それぞれの人生が立ち上がってきて圧倒的。

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2022年02月01日

Posted by ブクログ

静かな時限爆弾のアスベスト。身近な建材に健康被害が認知されたにも関わらず30年以上使用された。今後それが使用された家やマンションが解体された時の管理が不安。また、震災や水害で被害を受けた家やマンションからもアスベスト飛散が考えられる。過去の問題がまだまだ未来へも。

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2022年02月06日

Posted by ブクログ

アスベストを題材にした四つの物語からなる短編集。『せき』、『らしゃかきぐさ』、『あまもり』、『うなぎや』の四篇のうち最後の『うなぎや』が読んでいて分かりやすかった。アスベストによる健康被害は、発病するまでの期間が長いため、本当に大変なことだと感じた。

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2022年05月17日

Posted by ブクログ

自身が被害者であることで、症状や痛みの表現など、大変痛々しく読みました。
奇跡の鉱物に対する評価をやり過ごし、人間の都合を優先した結果のしっぺ返し。誰が命を守るのか。水俣や福島となんにも構図は変わらない。

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2022年03月13日

Posted by ブクログ

アスベストによる健康被害を主題にした4篇からなる連作短篇集。佐伯さんの作品を読むのは初めてだが、ご自身も過去にアスベストを吸い込み後遺症を抱えているらしい。その経験を踏まえてなのか、私小説なのかはわからないが、どのような状況でアスベスト被害に遭ったのかがとてもリアルに描かれている。
問題を先送りし後手に回った挙げ句、なんの救済もないまま放置された方々を思うと胸が痛む。コロナの後遺症に苦しんでいる方々には支援の手が届くのだろうか?

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2022年02月19日

Posted by ブクログ

小説なのかノンフィクションなのかちょっとわかりにくいが、中古マンションのリフォームの話は、築40年近くの軽量鉄骨に住む身としては他人事でなく読んだ。

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2022年02月11日

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