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Posted by ブクログ
ホナミといふむすめ
作家の藤枝静夫の芥川賞候補作「痩我慢の説」の漫画化(そのときに受賞したのは石原慎太郎の「太陽の季節」)。
原作付きだけど、多分にこの漫画家の作家性が出てをり、作者の脚色は効果を挙げて、藤枝静夫の幻想性がまざった独特の味となってゐる。
第一にホナミといふ姪が天真爛漫、魅力的で、印象が際立つ。なんだか憎めないあかるさだ。加へて藤枝静夫とおぼしい人物とその妻の偏屈さが、これからの時代性を示唆して悪くない。
あとがきで作者が藤枝静夫の作品を紹介してゐて、そのなかに大江健三郎の『取り替え子』のはなしが出てくる。私は好感をいだいた。次作が気になる漫画家だと感じた。