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Posted by ブクログ
初の小説で太宰治賞次席となった「愛の生活」、泉鏡花賞の「プラトン的恋愛」など、金井美恵子の傑作10編の短編集。
収録されているのは60〜80年代の初期作品。あとがきにある「処女作にすべてが含まれている」ではないが、ほぼ彼女の世界観は完成されていると思う。
表題作や受賞作、また「夢の時間」「アカシア騎士団」などは幾重もの観念、言葉世界が折り重なり、難解な印象。
個人的に好きなのは、作品群の中でも短い「兎」「母子像」「空気男のはなし」。迷いのない筆致と幻覚的な世界がいい。
彼女の観念的な世界と虚無感は心地良い。物語と現実の境目が曖昧で、ふわふわとした感じ。言葉によって世界が認識され、その危うさに弄ばれている快感に浸れる。
Posted by ブクログ
森のメリュジーヌやばい
ていうか美恵子やばい!
「彼女の微笑の意味の最大の意味は愛であり、その中にしのび寄って来る死、悪意とからかいの針、優しさ、苦痛、空虚、悲しみ、それから燃えあがる意志――。」
「きっと、何かいいことがあるかもしれない。疑わしいことだけれど、何かいいことがあるかもしれない。信じはしないけれど、何か、いいことがあったって、かまわないじゃない?!」
「十全な愛。わたしには愛することが出来るのでしょうか?本当にわたしは愛してしまったのか?わたしが愛しているとしたら何故なのか?わたしは何故愛するのか?わたしが愛しているのはFなのですか?」
いちいち響くことをかく。「愛の生活」をいまのわたしとおなじ19でかいたとは。脱帽。
痛いくらいに愛してみたいとおもった。
窮極の愛をわたしは今生で獲得できるのだろうか(無理だろうなぁでも希望は捨てたくない!)
自分の身体を、心を、完全に犠牲にしてまで誰かを愛してみたい。
「恐ろしいくらい。恐ろしいくらいあたしは墜落して行く。」
Posted by ブクログ
「愛の生活」「夢の時間」「森のメリュジーヌ」「永遠の恋人」「兎」「母子像」「黄金の街」「空気男のはなし」「アカシア騎士団」「プラトン的恋愛」を収録。
どの話も、緻密に組まれていながらどこかに獣臭さや血なまぐささの漂うような、まるで丁寧に掃除され壁際にはドライフラワーの吊るされた部屋の真ん中に、生血の滴る獣の肉が手つかずで置いてあるような、あるいは誰かが食べたのであろう獣肉の匂いが残っているような、そんな雰囲気を持つ話たちであった。どれもおもしろかったが、黒猫が出てくる「永遠の恋人」と、柔らかで冷たい、微かに獣くさい匂いのする「森のメリュジーヌ」が特に気に入った。逆に「母子像」「黄金街」は近親相姦的要素を持っており抵抗感があった。
星5としてもよいくらいの完成された世界観であったのだが、読後の満足感がそこまで強くなかったため星4とする。実際には星4.5程度というところであろうか。
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小説・文芸
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