作品一覧 2024/02/06更新 アメリカと私 試し読み フォロー 石原慎太郎・大江健三郎 試し読み フォロー 一族再会 試し読み フォロー オールド・ファッション 普通の会話 試し読み フォロー 海舟余波 わが読史余滴 試し読み フォロー 考えるよろこび 試し読み フォロー 小林秀雄 試し読み フォロー 小林秀雄の眼 試し読み フォロー 作家は行動する 試し読み フォロー 新編こもんせんす抄 試し読み フォロー 新編 天皇とその時代 試し読み フォロー 成熟と喪失 ―“母”の崩壊― 試し読み フォロー 戦後と私・神話の克服 試し読み フォロー 旅の話・犬の夢 試し読み フォロー 大空白の時代 試し読み フォロー 妻と私・幼年時代 試し読み フォロー 同時代への視線 試し読み フォロー 夏目漱石 試し読み フォロー 南洲残影 試し読み フォロー 日本の最終講義 試し読み フォロー 1~20件目 / 20件<<<1・・・・・・・・・>>> 江藤淳の作品をすべて見る
ユーザーレビュー 成熟と喪失 ―“母”の崩壊― 江藤淳 「海辺の光景」と「抱擁家族」について自分がよみきれなかったところをこの本が肉付けしてくれた。 「星と月は天の穴」についてをいちばん興味深く読んだとおもう。この小説が小説家界隈のための小説だというのは興味深かった。「濹東綺譚」を対比として出しているのが自分にとってわかりやすかった。 なにより「夕べの雲...続きを読む」については、今まで先生の読み方で読んでいたため、「静物」と同様に家庭内の不安を描くという観点で読み解かれている文章に触れることができてとても学んだ。 Posted by ブクログ 戦後と私・神話の克服 江藤淳 戦後の価値観のなかでなぜ己が保守的な言説を繰り返してきたのかを、あたかも吐露するような随想でした。相当のルサンチマンが蓄積されています。江藤淳の過酷な戦後の暮らしと喪失感について当時どれほどの共感があったのかはわかりませんが、戦後民主主義が掲げる理想に対して保守が私情をもって対抗する様はインティフア...続きを読むーダ的にも見え、左右から嘲笑と感動と両極端な反応があったのではないかと想像しています。 Posted by ブクログ 成熟と喪失 ―“母”の崩壊― 江藤淳 再読。人生で読んだことのある本の中で10本の指に入る私にとってとても切実な本だった。指摘のあまりの鋭さに涙が止まらなかった。 Posted by ブクログ 成熟と喪失 ―“母”の崩壊― 江藤淳 1967年に発表された、戦後評論における屈指の名著と言っても差し支えのない一冊。エリクソン『幼年期と社会』で語られている米国の母子関係というものを日本のそれと対峙させ、日本の戦後文学で家族というものがどの様に描かれているかを分析することで、その社会構造が持つ問題点を炙り出す。 本書では、日本の家...続きを読む族というものが農耕的・定住的な土壌による母子関係にあるものだと捉え、キリスト教のような絶対神というものが不在な故に父というものの象徴は欠けてきたのだと説く。そして、敗戦という経験が完全なる西欧化=母性の世界の崩壊をもたらしたにも関わらず、父というものは「恥ずかしいもの」として象徴されたままであり、人工的な環境だけが日に日に拡大していった結果、家族というものから様々な問題が生じてきていると喝破する。 僕らは戦後日本の歴史というものについてほとんど知らない。それは幾つもの断絶を抱えたまま、放棄されている。そんな中で、戦後という枠組で一つ言える事があるとすれば、それは絶えず「家族」というものが問題を抱え続けたままでいるという事だろう。そう、一人の人が同時に父であること、夫であること、男である事というのは等号が成り立つけれども、母である事、妻であること、女であることというものには決して等号は成り立たない。そして、この不均衡な構造こそが、今も多くの問題を生み出している。そう、決して等号が成り立たないものを相手に求めようとするのは、やっぱり無理なんだよ。 著者は本書で述べる。成熟するというのはなにかを獲得するのではなく、喪失を確認することであり、その空洞のなかに沸いてくる「悪」を引き受ける事であると。僕らはこのような問題を乗り越えて、成熟に辿り着くべきだろうか。それとも、その成熟が西欧的価値観である事を考え、成熟するのではなく別の道を考えるべきだろうか。いずれにせよ、戦後論から現代の家族論、果てはオタク論にまで射程を捉えた、読まれるべき一冊。 Posted by ブクログ 成熟と喪失 ―“母”の崩壊― 江藤淳 自分が感じている不安を説明されたようだった。 日本とアメリカの「母性」の違いの考察も途中でなされていて、欧米のジェンダー学と日本のジェンダー学が食い違ってしまうことに通じる気がします。 上野千鶴子氏の解説つきで、文芸の知と社会学の知のうれしいコラボレーション。 またあとでつづきかきます。 Posted by ブクログ 江藤淳のレビューをもっと見る