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父が女性と暮らす家へ続く川べりの道を、ひとり歩く少年。かつての仄暗い賑わいの記憶を底深く秘めて佇む町――帰るべき場所を持たない喪失感と哀しみを抱きながら、それでも前を向いて行きようとする人びとに、年齢に似合わぬ静謐なまなざしを著者は注ぎ続けた。大人になる直前の老成。どうしようもない人生への諦観。あまりにも早熟な十八歳の才能を示す、最初期作品集。
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Posted by ブクログ
鷺沢萠の初期作品4作。「川べりの道」、「かもめ家ものがたり」、「朽ちる町」、そして「帰れぬ人びと」。 五つ星という評価は、贔屓目に見たものかもしれないが、それでもこの最初期の作品群が好きだ。受賞作だからという点を措いても、川べりの道、そしてここには収録されていないが、「駆ける少年」は特に良い。 ...続きを読む川村湊による本書の解説では、静謐感、清潔感、諦観といった言葉が並んでおり、それに異論はないのであるが、自分は、本書の作品からは、HBかBくらいで描いた硬質な鉛筆画の風景や静物画のようなイメージを抱く。或いは、丁寧に書いた楷書の文章。 著者自身の体験、読書歴、想像力の賜物だと思うが、これらの作品を18,19程度で著していたことに、改めて驚かされる。 講談社文芸文庫であることから、年譜や作品集がついているのも嬉しいが、何より嬉しいのは、著者の長姉も一文を寄せていること。鷺沢さんには、「私の話」という文字通り自身の話を語ったものがあるが、ご家族自身によるものは入っていないはずである(当然だが)。存命であれば、今年で53歳。やはり惜しまれる。
鷺沢さんの御本がついに講談社文芸文庫さんに…と思うとなんとも言えない気持ちになります。 Webサイトも大好きで、ずっと読んでいました。 あのニュースの流れた日のことは、たぶんこれからも忘れないと思います。 本当はもっとずっとこれからも新作が読みたかった。 でも、素敵な作品を届けてくださって本当にあり...続きを読むがとうございました。いつまでも大好きです。
もっと早く著者の作品に触れたかった。でも、若い頃だったら斜に構えてしまったかもしれない。 どの短編も素晴らしい。繊細で瑞々しい描写の一方、冷静に見守るような視点がある。物語たち自体が誰かに書かれるのを待っていたかのような必然性を感じたが、それは著者の半生の投影によるものだったからかもしれない。☆4....続きを読む5
3.0 鷺沢萠が文學界の新人賞を若干二十歳で受賞して数年後に亡くなったと聞いたからどんなに繊細で刹那的な文章を書くんだろうと楽しみにして読んだのにも関わらず、テーマも面白くなければ文体も確立されていないし堅実さが伝わってこない 別に家族のことって言うほど辛いことでもねーぞって思ってしまう
ついに鷺沢萠が講談社文芸文庫になりましたよ。 ウェルカム・ホームを読んだ後にこれを読んだのだけど、これはいまいちな感じだった。新人でこのような空虚感を出せるのは凄いのかもしれないけれど、芯が掴めない。 絶望と寄る辺なさだけど帰るところはここしかない。朽ちてゆく町、女と住んでいる父を訪れる話。
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