津島美知子の作品一覧

「津島美知子」の「回想の太宰治」ほか、ユーザーレビューをお届けします!

作品一覧

  • 回想の太宰治
    4.0
    1巻1,540円 (税込)
    濃やかな愛情と明晰な目がとらえた人間・太宰治――太宰治は、文字通り文学のために生まれ、文学のために育ち、文学のために生きた「文学の寵児」だった。彼から文学を取り除くと、そこには嬰児のようなおとなが途方に暮れて立ちつくす姿があった。戦中戦後の10年間、妻であった著者が、共に暮らした日々のさま、友人知人との交流、疎開した青森の思い出など、豊富なエピソードで綴る回想記。淡々とした文にも人間太宰の赤裸な姿が躍如とする好著。 ◎「これは、凄い本に出会ったものであります。質も量も。明晰さも、たしかさも、怖ろしさも。科学者の随筆みたいな、美しい揺るぎのない日本語で、太宰治は凝視され、記憶され、保存される。この著者が、昭和の初期に、太宰の妻であり、ともに暮らし、子をなして、日々会話し、身の回りの世話をし、親戚や食卓や経済を共有していたかと思うと、トカトントン。そこらの男の何十倍も聡明だった女の記録であり、記録をよそおった文学であります。」<伊藤比呂美「解説」より> ※本書は、『回想の太宰治』(昭和58年6月 講談社文庫刊)を底本としましたが、「アヤの懐旧談」を削除し、『増補改訂版 回想の太宰治』(平成9年8月 人文書院刊)より、「蔵の前の渡り廊下」「南台寺」「父のこと、兄のこと」「『水中の友』」の4篇を収録しました。

ユーザーレビュー

  • 回想の太宰治

    Posted by ブクログ

    聡明な方による冷静な太宰分析。妻だからこそ語れる生活の風景などが詳細に語られていて、非常に面白かったです!文豪仲間からみる太宰治の姿と、妻からみた太宰治の姿はまた随分と違って見えるなと思いました。

    ─怖ろしいから与えるので、欲しがっているのがわかっているのに、与えないと仕返しが怖ろしい。これは他への愛情ではない。エゴイズムである。彼の後の人間関係をみると、やはり「仔犬に卵」式のように思われる。がさて「愛」とはと、突き詰めて考えると太宰が極端なだけで、本質的にはみなそんなもののようにも思われてくる(本文より引用)

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    2023年05月28日
  • 回想の太宰治

    Posted by ブクログ

    妻・美知子さんが書く太宰のこと、生活のこと、故郷のこと。ポツリポツリと思い出し書きしている感じが目の前で話を聞いてるようで良かった。
    美知子さんは太宰の才能に心底惚れていたんだなぁ。
    夫を手伝うことに誇りを持っていたように思う。
    逡巡した題が"惜別"と決まるところ、美知子さんが"人間失格"の四文字を初めて目にするところは痺れた。

    女っぽさを持ち合わせた太宰に対して彼女はとても男性的かと思う。文の端々にバッサリと太宰を斬るような表現があって面白かった。雪の中7キロも歩いたり(当時はそんなの大したことなかったのかもしれないけれど…でも太宰は呆れてたね笑)、

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    2020年06月11日
  • 回想の太宰治

    Posted by ブクログ

    端正かつ冷静な筆致で綴られる太宰の妻、美知子夫人のエッセイ。美知子夫人はお茶大を出て地理の教師をしていたくらいだし、非常に聡明な女性だと思う。太宰の盟友たちが書いた回想録はどこか太宰を甘やかしてるような印象があったのだが、さすが寝食を共にした妻。容赦がない。税金の話も細かく書いていてすごい。それでいて不思議と所帯染みていないのだ。甘えん坊で生活力がなく泣き虫の太宰の姿がここにはある。そんな夫でも美知子夫人はお姉さんのように世話を焼いて情を感じていたのだなあ。どの太宰エッセイよりもリアリティを感じた。

    0
    2016年05月21日
  • 回想の太宰治

    Posted by ブクログ

    久々にめちゃくちゃ面白い本に出会いました。
    生活人としての太宰治がここに。
    本当にダメなどうしようもないへっぽこ!
    でも奥さんが本当に愛してたんだなということがよく伝わってくる。
    太宰に夢も見ず、彼よりも冷静で。
    でも、太宰を尊敬して、大切にしていた、美知子さん。

    あっぱれ素敵な女だ。

    伊藤緋沙子さんの解説がまた面白い。

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    2012年11月25日
  • 回想の太宰治

    Posted by ブクログ

    半分くらい、妻の愚痴。
    残り半分は、考証に値する分析。

    かなり主観的に書いてると思います。
    他の太宰本色々と照らし合わせると、そう思ってしまいます。

    でも、一番身近にいた妻の話ですし、こっちを信じるべきかなぁ・・・
    よくわからない。

    とかまぁでも太宰の理解のためには必須の本です。

    0
    2009年10月04日

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