吉田知子の作品一覧
「吉田知子」の「無明長夜」「お供え」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
- 作者をフォローする
- フォローすると、この作者の新刊が配信された際に、お知らせします。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
「吉田知子」の「無明長夜」「お供え」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
Posted by ブクログ
本書に収録されている『お供え』は、一見すると穏やかな中年女性の日常の中に、不可解で幻想的な事象が入り込む作品である。毎朝、主人公の家の前に花や菓子が供えられるという奇妙な出来事から物語は始まり、やがて彼女自身が「神様」なる存在に輿入れさせられる──つまり自らが“供え物”であったという構図が暗示される。これは単なるホラー的仕掛けでなく、日常と非日常の連続性を保ったまま読者を不可視の恐怖へと導いていく、極めて純文学的な手法だといえるだろう。
では、作中で「神様」と呼ばれる存在は何を指しているのだろうか。具体的な姿も語りも持たないがゆえに多様な解釈が許されるが、もっとも明快な読みの一つは「神=家
Posted by ブクログ
岸本佐知子さんの編んだ書き下ろしアンソロジー、タイトルに惹かれてまず読んだ津島佑子の短編「ニューヨーク、ニューヨーク」が素晴らしかった。読みながら、読み終わってから、幾つものことを思った。
「ニューヨークのことなら、なんでもわたしに聞いて。それがトヨ子の口癖だった、という」冒頭のセンテンスを読んで、わたしも数年前の夏に数冊の本を読むことで行ったことのない「ニューヨークのことはもう分かった」と嘯いたことを思い出す。そこには彼女がニューヨークを思うのと同じように個人的で特別な理由があったのだけど。
その後に元夫と息子がこの世にいない彼女について語り合うことで明らかになり“発見”される、今まで知り得
Posted by ブクログ
12編のアンソロジー。
どの作品も変愛の名に相応しかった。この一冊に密度濃く詰め込まれたそれぞれの変愛。愛と一口に言っても当たり前ながら1つも同じものはない。
その中でも特に好みだった2つについて書きたい。
『藁の夫』
2人の間に嫌な空気が流れる、その始まりはいつも些細なことなのだと思い出させる自然な流れだった。あんなに幸福そうだったのに、藁に火をつけることを想像させる経緯、鮮やかな紅葉にその火を連想させるところがたまらなく良かった。
『逆毛のトメ』
シニカルでリズムのいい言葉選びが癖になる。小説ってこんなに自由でいいんだと解放して楽しませてくれた。躊躇なく脳天にぶっ刺す様が爽快だし、愚か