作品一覧
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-人気の大寺さんもの2篇を含む秀作短篇集。 〈――へえ、空襲だと云ふのに、暢気な奴もゐるものだ……。 一平叔父の指す方を見ると、土堤の下の石の上に立つて釣をしてゐる男がゐる。大寺さんは苦笑した。大寺さんもだが、一平叔父も着流しの儘で土堤の上に立つてゐる。 ――われわれも、暢気ぢやないとは云へませんね。〉 戦時中、疎開先でののんきな代用教員生活を描いた「古い編上靴」と、戦後、妻が亡くなってから、再婚と娘の結婚までを淡々とつづった「銀色の鈴」という、ファンのあいだで評価の高い「大寺さんもの」2篇に加え、子どものころによく訪ねた伯母の家のあれこれを記した「小径」、戦争で亡くなってしまった友人をしのぶ「昔の仲間」など、7篇の秀作を収録。
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3.0小説と随筆をシームレスにつなぐ小沼の世界。 「グリイン・コオチと云ふ緑色の長距離バスがあつて、それを利用して娘と小旅行した。このバスは倫敦を出ると田園風景のなかを走る。巨きな樹立の続く竝木路とか、緩かな起伏を持つ牧場、森蔭に覗く町の教会の尖塔……そんなものを見てゐるだけで愉しかつた。」 早稲田大学の在外研究員として半年間ロンドンに滞在した経験から書かれた表題作のほか、江戸時代にロシアに漂着したある日本人が、現地で日本語教師として活動し、ついには世界初の露日辞典まで編纂したという史実に基づいた「ペテルブルグの漂民」、師と仰ぐ井伏鱒二ら文学仲間との東北旅行を描いた「片栗の花」など、小説と随筆を取り混ぜて11篇収録。 旧仮名遣いながら、ユーモアを交えた流れるような文章で、読者を小沼ワールドに誘い込む。
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4.0
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3.5住宅地の高台に建つA女学院――クリイム色の壁に赤い屋根の建物があって、その下に小さな部屋が出来ていた。屋根裏と云った方がいいそこがニシ・アズマ女史のお気に入りの場所だった。ちっぽけな窓から遠くの海を眺め、時には絵を描いたりもしたが、じつは誰にも妨げられずに午睡ができるからだった。だが、好事魔多し。そんな彼女の愉しみを破るような事件が相次ぐ。そしてニシ先生が太い赤縁のロイド眼鏡を掛けると、名探偵に変身するのだ。飄飄とした筆致が光る短編の名手の連作推理。/【収録作】「指輪」/「眼鏡」/「黒いハンカチ」/「蛇」/「十二号」/「靴」/「スクェア・ダンス」/「赤い自転車」/「手袋」/「シルク・ハット」/「時計」/「犬」/あとがき/解説=新保博久
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3.3