感情タグBEST3
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前々から辺りの友人達が「面白い面白い」言うていたので気になっていたのだが「貸してくれ」の一言が言えず、若しくは言ったけれども機会に恵まれずだったか、読めていなかった。漸く。
素晴らしい。
もっとしっかり感想書きたいのに言葉が出てこない。ただ何度も心がキュッとなった。盛者必衰と言うのかな、皆んな死んじゃうことの寂しさが。
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地面にどっかりと腰をおろしている小説である。それは怠惰ということでなくて、地面に接する面積が多いという事、即ち生きている者の生活が誠実に描かれている。
言うなれば四角錐なんだけれども、そこに何らかの死が通過していく。
四角錐に落とされた雫のように、重力に逆らわず通過するのだ。
どれも良いのだけれど「黒と白の猫」「蝉の脱殻」「砂丘」「影絵」「ギリシャの皿」がとりわけ好きです。
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サスペンスぎりぎりのところで平凡な日常に踏みとどまっているようなバランス感覚。昔の新聞の四コマに出てくる暢気な父さんのような人物造形。何だか好みだ。
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2008年12月16日購入
淡々として味わいのある作品である。
何ということはない事を書いて面白い。
事件は起きるがその事件とのかかわり具合が
あっけらかんとしてなんだか清々しい。
日記を書くなら
このように書いてみたいものだと思う。
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大好きな小沼丹。
途中まで読んで数年放置、最後までやっと読めた。
毎日寝る前に少しずつ読んで、不思議な気分になった。
突然奥さんが亡くなる大寺さんシリーズが含まれており、全体にほのかに死の匂いが漂う。
でも淡々と時間と生活を描いていて、ここにしかない境地なんだなと思う。
明るくはない、湿っぽくもない。
本人の後書きによれば、このころ、なにを書くかではなく、何を書かないか、を考えて書いていたらしい。
エヂプトの涙壺、影絵あたりが好み。
小沼ワールドに浸ると接続詞まで漢字で書きたくなる。
真逆はマサカ、フトは不図。
これが母語で読める幸せ。
もっと読みたいけど、講談社文藝文庫は高いんだよね。
その分の価値はあるんだけど、一冊1200円はやや躊躇する値段です。
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うぅん、洒脱。それとどこかアートの香り。
庄野潤三の様な“静”の小説家には間違いないが、作中で登場する謎と、解明も無くプツンと終わる話の様式が心地良い。特に表題作、『黒と白の猫』辺りは格調高い名作。
他作も確実に巧いんだろうなと、読者の信頼を引き出させる一冊だった。
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「黒と白の猫」からの四編は、いわゆる大寺さんもの。
妻の突然の死。しかし声高に悲しみが描かれることはない。
ー兎も角、死ぬにしてもちゃんと順序を踏んで死んで呉れりゃいいんだけれど、突然で、事務引継も何もありやしない。うちのなかのことが、さっぱり判らない。
ここだけ読むと、奥さんの死を悼んでいないように取られかねないが、一見淡々とした言葉の連なりの中に作者の悲哀や喪失感が感じ取れる。
「エヂプトの涙壺」「断崖」「砂丘」の三編は、男女関係にまつわるサスペンス味豊かな作品。本書の中ではかなり異色な感じ。
表題作の「懐中時計」。時計をなくしてしまったところ、友人が懐中時計を売ってあげるとなったが、値段の折り合いがつかず、その後もちょっとした交渉はあったものの本気にならずに時は過ぎる。そうして10年が経つうちに友人は突然亡くなってしまう。何が起きる訳ではないが、人生とはこんなものかと考えさせられる。
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昭和30~40年頃に書かれたものからか、文体が変わっていて、読み進むのが面白かった。
主人公・大寺しんが妻を亡くしたころや、友人との語らいの様子を描いたものを含めた短編集。
解説を読むと文体の不思議さは時代によるものでなく、小沼丹さんの個性によるものである様子。
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文体と文章を味わい その先に何も求めない。
小沼丹氏の創作態度そのものを
とても心地よく感じた。
「黒いハンカチ」以来2冊目だが
氏の文体を味わうことの快適さは
漱石を読むときに似ているような気がする。
作者の世界が目前に広がる…その先に主張はない。
このような文学 空気感 時代感 私は大好きだ。
久しぶりに氏の作品に触れたが
これからも できるだけ多く読みたい。
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小沼さんの分身的な大寺さんシリーズ。友人や動物や妻といった日常の話。ユーモラスだけど、切なくて、でも悲しいだけじゃないし、人生の楽しみも感じるけど、やっぱりどこか切なくなるような話。