小沼丹のレビュー一覧

  • 小沼丹推理短篇集 古い画の家

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    推理小説はあまり得意じゃないけど、これは面白く読めた。解説でも述べられているように、それは私小説や随筆と地続きの表現だからだと思う。あまり人が死なないし、死んでも「殺されて当然」じゃないところがよかった。

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    2023年02月02日
  • 懐中時計

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    ネタバレ

    前々から辺りの友人達が「面白い面白い」言うていたので気になっていたのだが「貸してくれ」の一言が言えず、若しくは言ったけれども機会に恵まれずだったか、読めていなかった。漸く。

    素晴らしい。

    もっとしっかり感想書きたいのに言葉が出てこない。ただ何度も心がキュッとなった。盛者必衰と言うのかな、皆んな死んじゃうことの寂しさが。

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    2022年05月05日
  • 黒いハンカチ

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    「ビブリア古書堂の事件帖5」に出ていて。
    面白そうだと思ったので。

    なぜか懐かしさを感じた。
    昭和30年代に書かれたお話なので、
    年代的に実際に体験した懐かしさではない。

    実際に目で見たわけではなく、
    話で聞いたのか、本で読んだのか、
    その出処がわからない既視感が、
    何とも言えず心地よかった。
    観念的な懐かしさ、とでも言おうか。

    そういえば、「コクリコ坂から」を見た時も、
    似たような懐かし感があったなぁ。

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    2014年04月01日
  • 黒いハンカチ

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    大好き♪
    A女学院の教師ニシ・アズマが活躍する連作短編集。
    さらりさらりと事件を解決していく。
    なかには殺人事件もあったりするのだが、解説の言葉を借りれば「殺害動機など、生臭い部分は巧妙に叙述が避けられている」おかげで、爽やかで品の良い作品になっている。

    このようなタイプの作品は、中にはもの足りないと感じたりするものもあったりするのだが、小沼氏のこの作品はミステリーとユーモア、そして上品な文章と、すべてのバランスが絶妙で心地良い。

    小沼丹はミステリー作家というわけではないので、ニシ・アズマシリーズはこの一冊だけらしい。
    うーん、残念!

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    2013年01月29日
  • 懐中時計

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    地面にどっかりと腰をおろしている小説である。それは怠惰ということでなくて、地面に接する面積が多いという事、即ち生きている者の生活が誠実に描かれている。
    言うなれば四角錐なんだけれども、そこに何らかの死が通過していく。
    四角錐に落とされた雫のように、重力に逆らわず通過するのだ。

    どれも良いのだけれど「黒と白の猫」「蝉の脱殻」「砂丘」「影絵」「ギリシャの皿」がとりわけ好きです。

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    2011年02月27日
  • 懐中時計

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    サスペンスぎりぎりのところで平凡な日常に踏みとどまっているようなバランス感覚。昔の新聞の四コマに出てくる暢気な父さんのような人物造形。何だか好みだ。

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    2010年06月07日
  • 小さな手袋

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    何だろう、この圧倒的な感じ。普通のことをごく普通に書いているのに、とてもかなわないと思わせる文章。またひとり、平伏したくなる文筆家に出会ってしまったという快い敗北感。とことん読んでみたい。

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    2010年06月07日
  • 懐中時計

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    2008年12月16日購入

    淡々として味わいのある作品である。

    何ということはない事を書いて面白い。
    事件は起きるがその事件とのかかわり具合が
    あっけらかんとしてなんだか清々しい。

    日記を書くなら
    このように書いてみたいものだと思う。

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    2009年10月04日
  • 黒いハンカチ

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    少し古い感じがかなり魅力的でした。謎解きもおもしろかったです。主人公の飄々として観察力の鋭いところが気持ちいい!
    短編集風なので読みやすいです。

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    2009年10月04日
  • 黒いハンカチ

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    今から見れば、このころって言うのはファンタジー世界のごとき様相を呈しているのかもしれません。

    屋根裏でお昼寝がしたくなる本です。

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    2009年10月04日
  • P+D BOOKS 不思議なソオダ水

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    重い本を読んだ後で、軽い作品が読みたくて短編集のこちらを手に取りました。

    やっぱり古い言葉遣いは心地良い。穏やかな気分になります。
    「さう」とか「せう」とかの歴史的仮名遣い+「さうぢやなくつてよ」みたいな話し方が、私はしっくりきて落ち着きます。

    人名がカタカナ表記なのが斬新でした。カタカナにするだけでこんなに変わるのかと。マノ氏と書くと海外文学っぽいから不思議。

    小沼丹さん、やっぱりいい。好き。

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    2025年12月11日
  • 栞子さんの本棚2 ビブリア古書堂セレクトブック

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    第2弾。本家の内容はすっかり忘れてしまったけれど、それでも江戸川乱歩と太宰治のお話は良かったと。

    で、今回あらためて江戸川乱歩の面白さを認識した。
    太宰治はそこそこ読んでいるけれど、ミステリー好きなのに、乱歩はほとんど読んでない。

    これからのんびりと読んでみようと。
    春になったら、古本屋さん巡りに出かけよう。

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    2025年02月26日
  • 小さな手袋

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    小沼丹の描いたエッセイです

    知己にあたる人々が登場する知己エピソードがチラホラと出て、落語のような滑稽さがどれもあるのですが、既に故人であるオチが多々あります
    冗談の言う間柄だった方が、いつの間にか流行り病で倒れていたり、数日前まで元気だったのにポックリ逝っていたり、サラリと訃報を流してエピソードを切っています

    表現したいものをテーマのエッセイで、カラリと喪に服したような小説が描きたい、といったようなことを述べていました
    「大寺さん」という軸になるキャラを産み出したことで、喪失を客観的に表現できるようになったそうです
    湿度を除くことが出来たと、除湿機のようなキャラだそうです

    おそらく小沼

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    2024年12月27日
  • 村のエトランジェ

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    派手に面白い、とか手に汗握るような小説ではないけど、静かな文章の中に人間の感情がふんだんに盛り込まれていた感じでした。
    そうなので可笑みあり、ユーモアあり、憐憫あり、そしてミステリ的な作品もあり、人の恐さもあり…。短編集でそれぞれに特徴があって「次はどんな話かな」と、どんどん読んでいて気づいたら読み終えてました。

    どれもよかったけれど特に『汽船』『白い機影』『白孔雀のいるホテル』が好みでした。

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    2024年12月06日
  • 懐中時計

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    大好きな小沼丹。
    途中まで読んで数年放置、最後までやっと読めた。
    毎日寝る前に少しずつ読んで、不思議な気分になった。

    突然奥さんが亡くなる大寺さんシリーズが含まれており、全体にほのかに死の匂いが漂う。
    でも淡々と時間と生活を描いていて、ここにしかない境地なんだなと思う。
    明るくはない、湿っぽくもない。
    本人の後書きによれば、このころ、なにを書くかではなく、何を書かないか、を考えて書いていたらしい。
    エヂプトの涙壺、影絵あたりが好み。
    小沼ワールドに浸ると接続詞まで漢字で書きたくなる。
    真逆はマサカ、フトは不図。

    これが母語で読める幸せ。
    もっと読みたいけど、講談社文藝文庫は高いんだよね。

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    2023年07月01日
  • 藁屋根

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    毎日食べても飽きないごはんのような小説。藁屋根の家から見える樹海も、先輩作家から理不尽な仕打ちを受けたことも、異国で食べた味のしないカレーも、同じくらいの「平熱」で覚えていること、語ること。

    そこそこ幸せに生きるためのヒントが、そこにはあるような気がする。

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    2023年04月10日
  • 懐中時計

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    うぅん、洒脱。それとどこかアートの香り。
    庄野潤三の様な“静”の小説家には間違いないが、作中で登場する謎と、解明も無くプツンと終わる話の様式が心地良い。特に表題作、『黒と白の猫』辺りは格調高い名作。
    他作も確実に巧いんだろうなと、読者の信頼を引き出させる一冊だった。

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    2023年02月28日
  • 懐中時計

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     「黒と白の猫」からの四編は、いわゆる大寺さんもの。
     妻の突然の死。しかし声高に悲しみが描かれることはない。
      ー兎も角、死ぬにしてもちゃんと順序を踏んで死んで呉れりゃいいんだけれど、突然で、事務引継も何もありやしない。うちのなかのことが、さっぱり判らない。
     ここだけ読むと、奥さんの死を悼んでいないように取られかねないが、一見淡々とした言葉の連なりの中に作者の悲哀や喪失感が感じ取れる。

     「エヂプトの涙壺」「断崖」「砂丘」の三編は、男女関係にまつわるサスペンス味豊かな作品。本書の中ではかなり異色な感じ。

     表題作の「懐中時計」。時計をなくしてしまったところ、友人が懐中時計を売ってあげ

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    2023年02月26日
  • 栞子さんの本棚2 ビブリア古書堂セレクトブック

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    『ビブリア古書堂の事件手帖』に登場する本の原文が集められていて、いろんな本の入り口として触れるにはとても良い本でした。

    普段詩を読まないので寺山修司や木津豊太郎の詩を読めたのと、意外と読まないシェイクスピアに触れられたのがよかったです。

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    2023年02月12日
  • 村のエトランジェ

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    これは取っ付きの遅さを後悔した良作家。
    短編が得意なのか、作品ごとに柔軟で多面的な魅力がある。
    一貫しているのは上品さと小気味いいユーモア、読んでいて楽しいミニミステリ要素。
    このコント仕立てと純文学のバランス感は意外と新鮮かもしれない。

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    2023年01月23日