小沼丹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
4月末のロンドン。赤い二階バスも通る道に面した家に越してきた主人公が、何気ない日常や不思議と懐かしい人々・風景の姿を綴る。
のんびり、淡々とした、日記(随筆?)風の小説集。
読んでいて「これは著者の実体験なのかしらん?」と何度も思ったが、一応「小説」であるらしい。
何気ない日常のよしなし事が、淡々と綴られる。その筆致はどことなくとぼけているようでもあり、かと思えば思いがけずしんみりとすることもあったりと、淡い色に彩られており、目に優しい鮮やかさ。
昼間からビールを飲んだり、移民局にて「仕事はない」と言い切ったり(一体どうやって生活していたのだろう? 著者本人は客員教授のようなものでロンドン -
Posted by ブクログ
大学生になったばかりの頃、僕はひと夏、宿屋の管理人を勤めたことがある。宿屋の経営者のコンさんは、その宿屋で一儲けして、何れは湖畔に真白なホテルを経営する心算でいた。何故そんな心算になったのか、僕にはよく判らない。
……湖畔に緑を背負って立つ白いホテルは清潔で閑雅で、人はひととき現実を忘れることが出来る筈であった。そこでは時計は用いられず、オルゴオルの奏でる十二の曲を聴いて時を知るようになっている。そしてホテルのロビイで休息する客は、気が向けばロビイから直ぐ白いヨットとかボオトに乗込める。夜、湖に出てホテルを振返ると、さながらお伽噺の城を見るような錯覚に陥るかもしれなかった。
コンさんは、