小沼丹のレビュー一覧

  • 村のエトランジェ
    書くのが遅くなってしまった。(4/19)
    白孔雀のいるホテルと、村のエトランジェがとくに良かった気がする。次点で紅い花、汽船。けどどう良かったか書くとなると難しいな。チェーホフぽかったのかなと、かもめを読んだからかそう思う。人の死ぬタイミングや動機、そこまでの経緯に近しいものを感じた。そうだ、主人公...続きを読む
  • 藁屋根
    大寺さんの若き日の話が載っているという素敵な短編集。とは言え、大寺さんモノ(と云うのもおかしな話ですが)は表題「藁屋根」と「眼鏡」「沈丁花」の3篇。あとは小沼丹自身の紀行文と、谷崎精二「竹の会」についての思い出話と言った処。大寺さんの3編でホッと癒された後の「竹の会」がユーモラスな面々が多々登場して...続きを読む
  • 村のエトランジェ
    小沼丹の初期短編集。大寺さんに辿り着く前にはこんなにも多彩な作品を手掛けていたのですねと云うのがまず第一印象。瀟洒なミステリから東西問わずの歴史掌編までバラエティ豊かな1冊で、非常にお腹いっぱいになれます。
    お気に入りは「登仙譚」「白孔雀のいるホテル」「ニコデモ」あたりですが、ちょいちょい出てくる気...続きを読む
  • 木菟燈籠
    一人称の出てこない徹底した主観ながら、目線の優しさから偏った思考や不快感を催さないという、不思議な文章。落ち着いた読書を楽しみたい時には、どうも小沼丹か野呂邦暢を選んでしまいます。
    『木菟燈籠』それそのものが墓標のように、誰かから風の噂の様に流れてきて知る知人の死について描かれる作品が殆どですが、其...続きを読む
  • 懐中時計
    昭和30~40年頃に書かれたものからか、文体が変わっていて、読み進むのが面白かった。
    主人公・大寺しんが妻を亡くしたころや、友人との語らいの様子を描いたものを含めた短編集。

    解説を読むと文体の不思議さは時代によるものでなく、小沼丹さんの個性によるものである様子。
  • 懐中時計
    文体と文章を味わい その先に何も求めない。

    小沼丹氏の創作態度そのものを
    とても心地よく感じた。

    「黒いハンカチ」以来2冊目だが 
    氏の文体を味わうことの快適さは 
    漱石を読むときに似ているような気がする。

    作者の世界が目前に広がる…その先に主張はない。
    このような文学 空気感 時代感 私は大...続きを読む
  • 黒いハンカチ
    ビブリアの栞子さんが好きな本だと作中で知り、書店で取り寄せてもらった。受け取りに行った日に偶然、同じ作家の随筆集「珈琲挽き」を書棚で見つけた。今度もう一度あの店で探して、また見つけたら今度は買って読もうと思う。

    硝子の向こうにある、絶妙にレトロな空気。「真逆」「茲」といった、今はもう使わない漢字が...続きを読む
  • 黒いハンカチ
    このミステリには、「洒脱」の風が吹いている。昭和30年代に女性雑誌の連載モノとして発表されたのがもともとだそうだが、「古めかしさ」は50年という時間を経てかえってほどよい「異国情緒のようなもの」に転化している。

    さらりとした文体にも、日常のなかにちいさな「気づき」として表れるトリックを見破るカギに...続きを読む
  • 埴輪の馬
    名随筆揃い。「煙」という作品で焚火をする小沼丹。なんだか暖かそうなので焚火をしてみたら私の布団が(笑)
  • 黒いハンカチ
    女学校の教師ニシ・アズマの視点で描かれる元祖・日常の謎。彼女の好奇心と鋭い観察力・洞察力により、日々のふとした疑問から生まれる謎が綴られていく。
    ストーリィは淡々としているが、その穏やかな語り口とは逆に描かれている世界はシュールで殺伐としたものが多い。「無邪気な日常の謎」とは言えないだろう。それでも...続きを読む
  • 黒いハンカチ
    連作短編集。今から50年以上前に書かれた作品なのに、古くささを感じさせない洒脱な雰囲気があります。ミステリとしては一直線でもう少し捻りが欲しい気もしますが、着眼点が面白いです。解説で天藤真の名前が挙がっていましたが、読んでいて泡坂妻夫と同じような感覚を得ました。
    探偵役のニシ・アズマ女史がいいんです...続きを読む
  • 椋鳥日記
    小沼氏のロンドン滞在記。氏の軽妙な自意識と現実という外界の接面がたてる心地よい軋み。解説を読むまでほぼ100%実際の記録と疑わなかった僕も読者として相当鈍いのかも知れないが、これが本当に計算された物語であるなら何と巧妙な書き手であることか。おぬまたん、恐るべし!
  • 椋鳥日記
    ロンドン滞在雑記というか、紀行文といおうか、そういった類のものではあるのだけれど、そう合点して読み進めていくと、いきなり面食らう事がある。
    それを引くと、下記のような部分だ。
     ~仏蘭西窓越しに陽射の明るい裏庭をぼんやり見ていたら、うつらうつら睡くなった。
     何だか妙な音楽が聞こえて、裏庭の黄色い土...続きを読む
  • 椋鳥日記
    小沼さんのロンドン暮らしの随筆。普段からユーモラスなのに、そんな人がロンドンの話を書くんだからめちゃくちゃ面白いよこれ。小沼さん独自の、人や季節を書き留める視点がたまらなくいい。いいんだよーなんでみんな小沼さんを知らないのかしら。いいですよとても。
  • 懐中時計
    小沼さんの分身的な大寺さんシリーズ。友人や動物や妻といった日常の話。ユーモラスだけど、切なくて、でも悲しいだけじゃないし、人生の楽しみも感じるけど、やっぱりどこか切なくなるような話。
  • 懐中時計
    特に大寺さんのシリーズがいい。この作品の良さが分かる(100%でないにしても)本読みになれて良かったと思う。
  • 黒いハンカチ
    1958年。若い女の先生が探偵役。 これこそまさに謎解きなんてどうでもいい、むしろ邪魔、このニシ・アズマ先生の日常をもっともっと読みたい、と思った。 ニシ先生、素敵な友人たちや、素敵な家族がいて(意外やお嬢様だ)、山で亡くなった元恋人がいて、そしてちょっと気になる男の人まであらわれているのに。 夏の...続きを読む
  • 黒いハンカチ
    A女学院のニシ・アズマ先生の事件簿。

    主人公「ニシ・アズマ」って名前がよくないですか?

    こういう優しくてユーモラスな文章大好きです。
    高野文子のマンガがすきな人ならわかってくれそう。
    昭和33年の作品。
  • 黒いハンカチ
    ニシ・アズマという名前に惹かれて読んだ。
    A女学院のニシ・アズマ先生が謎解きをして解決する事件簿。
    謎解きの仕方が鋭い観察と独特の嗅覚。
    殺人とかあるのだけどあんまり怖くなくさらっと読める推理小説。
    電車の中やすこしの空き時間で一話ずつ読んだ。
    レトロっぽい推理小説。
  • 栞子さんの本棚2 ビブリア古書堂セレクトブック
    本編作中に登場した小説をちょこっとづつ掲載されていて試し読みが出来ます。今回は江戸川乱歩が多めでちょっと興味を持てるような作品かと思いました