大江健三郎のレビュー一覧

  • 沖縄ノート

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    ネタバレ

    「日本は沖縄に属する」という文章が衝撃的だった。

    沖縄問題を民族レベルにまで掘り下げて、議論している本。

    柳田邦男の民俗学を思い出すような内容であった。

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    2011年09月27日
  • 同時代ゲーム

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    純文学を大きな声で好きだといえる人でないかぎり読みきれないでしょう。それくらい難解で、ストーリーの流れなどから簡単に面白いと感じるところはない作品です。ですがノーベル文学賞作品ですから純文学好きには避けられないところなんですね。実際に読んでみるとあまりの文の巧みさに驚き、慣れないうちは1ページに10分ほどかかることもあるでしょう。読んでて暗記してしまうフレーズを例として「大岩塊、あるいは黒くて硬い土の塊」、なんてのが頻繁にでてきます。何がおかしい、とか思われるかもしれませんが、あまりに何回も出てきます。この岩の話は最初から最後まで出てくるのですが、そのたびに毎回「大岩塊、あるいは黒くて硬い土の

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    2011年09月27日
  • われらの時代

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    戦後すぐの若者の「割り食った」感を、象徴性の強いエピソードで綴った長編。

    割り食ったっていうのは「命をかける機会」を失ったことについてで、その点は今と違うけど、割り食ったって思っちゃう時代に対する怒りは共感できた。今は何が原因かはっきりしないあたりもっと悪くなってるかもしれない。

    エピソードも展開もかなり派手で、物語としても面白かった。

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    2011年09月06日
  • われらの時代

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    初期の長編。このころから虚飾や装飾を抑えた直接的なことばを使ってイメージを排除した性を描いている。遍在する自殺の機会につねに監視されながら生きるしかない現代の若者のすがたは読んでいてとても共感できた。

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    2011年09月02日
  • 「雨の木」を聴く女たち

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    頭のいい「雨の木」を発端とした連作短編集。アレンギンズバーグがなんでもないふうにでてくるところもカッコいいし、どの短編をとってもすごくおもしろかった。現実からはじまってうまくフィクションの形におとしこむ力もすごい。あいかわらずエロいのもいい。楽しかった。

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    2011年08月30日
  • キルプの軍団

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    初めて大江氏の本を手に取りました。 題材が社会思想等、重くなりがちなモノをあたりの柔らかい言葉で書かれていて、意識してゆっくり読みたくなりました。(*^^*)

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    2011年08月10日
  • 叫び声

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    文章がエロい。性的な意味ではなく。
    個別の文章と全体、両方を見てキラキラした美しい要素を感じる。

    ジャギュア、いいね。

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    2011年07月30日
  • 同時代ゲーム

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    大江健三郎の持つ創造性と民族の土地への執着、そして寓意的神話の結晶。20世紀日本文学の収穫とだけあって読み応え抜群です。
    メタ文学としては国内最高峰。
    と、ここまでベタ褒めですが、星4つの理由としては万人向けでなさ過ぎるという点。
    村上春樹、伊坂幸太郎などを好む人にとっては『難解』という幻想に苛立ちを覚える可能性が非常に高いです。
    こんな言い方したくはないですが、上級者向けです。

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    2011年06月17日
  • 沖縄ノート

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    [ 内容 ]
    米軍の核兵器をふくむ前進基地として、朝鮮戦争からベトナム戦争にいたる持続した戦争の現場に、日本および日本人から放置されつづけてきた沖縄。
    そこで人びとが進めてきた苦渋にみちたたたかい。
    沖縄をくり返し訪れることによって、著者は、本土とは何か、日本人とは何かを見つめ、われわれにとっての戦後民主主義を根本的に問いなおす。

    [ 目次 ]
    プロローグ 死者の怒りを共有することによって悼む
    1 日本が沖縄に属する
    2 『八重山民謡誌』’69
    3 多様性にむかって
    4 内なる琉球処分
    5 苦が世
    6 異議申立てを受けつつ
    7 戦後世代の持続
    8 日本の民衆意識
    9 「本土」は実在しない

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    2011年05月15日
  • 性的人間

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    セブンティーンを勧められ読んでみたが、いまいちだったが
    性的人間は、少年の自分を持つためにあそこまでやる気概、深い自己洞察に感銘を受けた
    あれだけの使命を見つけたいものだ
    共同生活は、一人になれないとストレスがマッハな俺にとって、恐怖以外の何者でもない


    死者の奢りは好きになれなかったが
    やはり流石か

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    2011年05月09日
  • 叫び声

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    相変わらず盛り上がりまでがスローな大江健三郎氏のご本。
    物語の2/3を過ぎたあたりからガンガン負の方向に展開していってもう大好きです。

    物語の最後は最低でした。
    読むんじゃなかった、金返せ!の最低ではなく、鬱なシメ方というのでしょうか、こういう類の最低な話は素晴らしい。

    11.05.08

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    2011年05月09日
  • ヒロシマ・ノート

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    ネタバレ

    [ 内容 ]
    広島の悲劇は過去のものではない。
    一九六三年夏、現地を訪れた著者の見たものは、十数年後のある日突如として死の宣告をうける被爆者たちの“悲惨と威厳”に満ちた姿であり医師たちの献身であった。
    著者と広島とのかかわりは深まり、その報告は人々の胸を打つ。
    平和の思想の人間的基盤を明らかにし、現代という時代に対決する告発の書。

    [ 目次 ]
    プロローグ 広島へ
    1 広島への最初の旅
    2 広島再訪
    3 モラリストの広島
    4 人間の威厳について
    5 屈伏しない人々
    6 ひとりの正統的な人間
    7 広島へのさまざまな旅
    エピローグ 広島から

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆

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    2011年04月24日
  • われらの狂気を生き延びる道を教えよ

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    ネタバレ

    三つの短篇と二つの中篇で構成された内容。この本を読み始めてから読み終えるまでに、間に8冊も違う本を読んでしまった。すごく読んでて苦痛になり、また疲労感を感じるほどパワーがある。完全に自分はパワー負けしたため、違う本(簡単に読める本)へと逃げ込んだ。飼育・死者の奢りも含めて大江氏の本はすごく陰鬱なイメージがあり、奇妙な設定を詳細に書かれた内容だと思う。

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    2011年04月12日
  • 洪水はわが魂に及び(下)

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    大学の授業中(授業も聞かずに)一生懸命読んでいたころが懐かしい。

    「すべてよし!」
    壮大な展開に圧倒されます。

    各個人の思想の自由が一応許されておりますが、いくら当初は尤もな理想を掲げていても、閉鎖された集団だと理論がこじ付けとなり暴走するのだとつくづく感じた。
    近年だとオウム真理教の一連の事件でその閉鎖された集団の暴走の恐ろしさを、思い知ったと思う。

    この作品はあくまで「暴走した集団」の立場から美しく描かれているが、恐ろしい作品です。
    恐ろしい作品、というのは作者の才能を指しております。

    また、タイトルが美しすぎますね。

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    2012年02月19日
  • 取り替え子

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    4日くらい、1章ずつ読み進んでいたのだが、5章目に入ったところで我慢できずに一気に読み終えてしまった。
    義兄・吾良の自殺と遺されたカセットテープをきっかけに、主人公・古義人の少年時代の体験が呼び起こされる。
    古義人らが少年時代に体験した森の中の練成道場での出来事。
    そこでは、政治的な問題や思想を大きく含みながらその集団と進駐軍の軍人、少年時代の古義人と吾良のホモソーシャル、ホモセクシュアルな関係が描かれる。
    最終章は主人公の妻の視点に切り替わる。それまで、男たちが主眼に置かれていたこの物語の中で、この章だけは女性が主役にすえられる。取り替えられた、あるいは失われた子どもを「生みなおす」存在とし

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    2011年01月08日
  • 憂い顔の童子

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    小説家・長江古義人を主人公にした『取り替え子』の続編。
    古義人の妻・千樫がベルリンに行ったこともあり、この巻ではローズさんという古義人の作品の研究者でもあるアメリカ女性の存在が目立つ。
    大江の女性の描き方は常々気になるところだが、この作品でのローズさんの描かれ方はミソジニックで嫌な感じがした。
    ラストワークに向かおうとする古義人の思考の渦の中に巻き込まれていくような気がする作品。

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    2011年01月06日
  • われらの時代

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    戦後の若者の閉塞感を描いた作品。
    共通の価値、命をなげうってでも賭けるべきもの、そのようなものが与えられない現在の閉塞感。それを何とか打開しようともがき、危険な行動に走ろうとする若者。しかし、その危険が己の身にリアリティをもって差し迫ってくると恐れおののき何もできなくなってしまう。そしてそのような自分自身に対してへの自己嫌悪。

    直接的な性的な表現がいたるところで見られる(あとがきで著者も意識して制的な表現を行ったと述べている)。

    著者はこの小説についてあとがきで以下のように述べている。
    ”ぼくは読者を荒々しく刺激し、憤らせ、眼ざめさせ、揺さぶりたてたいのである。そしてこの平穏な日常生活のな

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    2010年08月09日
  • 見るまえに跳べ

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    大江好きの友達が「奇妙な仕事」を薦めてくれたから読んでみた。
    「奇妙な仕事」ももちろん面白かったけど、僕的には「下降生活者」が一番面白かった。今回『見るまえに跳べ』を読んで、なんとなく自分の好きな作品の傾向が見えてきた気がする。
    そして、大江の作品はやっぱり読む分には抜群に面白いけど、論じるとなると途端に魅力が失われそうだと改めて思った。

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    2010年07月07日
  • 空の怪物アグイー

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    近代文学演習の課題図書。レポーターとして「スパルタ教育」を担当。
    大江の短編小説は初めて読んだけど、舞台設定が抜群に素晴らしいと思った。どの作品も面白かったけど「空の怪物アグイー」が一番好き。
    先日の近代文学会で、《近代に始まる純文学にはリアリズムの呪縛がある》なんて言われてたけど、大江はその《純文学》からうまく外れずに他と違った面白いものを書けてるんじゃないのかな。

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    2010年05月29日
  • 沖縄ノート

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     また、沖縄で米兵による少女暴行事件が起きましたね。なんべん同じことが繰り返されたら気が済むのでしょうか。いきどおりで胸がいっぱいになりました。このニュース、朝の報道番組でやっていました。アナウンサーが「沖縄は今、怒っています!」と訴えていました。わたしも「そうだ!」と思ったんですけど、その番組に出ていた出ていた評論家みたいな人が「今、○○さんは原稿を読んだだけだろうけど、沖縄はいま怒っています、って言うのは沖縄は日本とは別だろうということになりますよ。日本が怒っていると言うべきじゃないかな」というふうな意見を言ったんです。これってけっこうショックだった。わたしもそのアナウンサーの方と同じに「

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    2010年04月05日