大江健三郎のレビュー一覧

  • 死者の奢り・飼育
    キーワードは、「死者の奢り」、「他人の足」、「飼育」、「人間の羊」ほか。初の大江san作品でした。難解な部分も多いですが、何度か読んでみたいと思います!
    【第39回芥川龍之介賞】
  • 取り替え子
    4日くらい、1章ずつ読み進んでいたのだが、5章目に入ったところで我慢できずに一気に読み終えてしまった。
    義兄・吾良の自殺と遺されたカセットテープをきっかけに、主人公・古義人の少年時代の体験が呼び起こされる。
    古義人らが少年時代に体験した森の中の練成道場での出来事。
    そこでは、政治的な問題や思想を大き...続きを読む
  • 憂い顔の童子
    小説家・長江古義人を主人公にした『取り替え子』の続編。
    古義人の妻・千樫がベルリンに行ったこともあり、この巻ではローズさんという古義人の作品の研究者でもあるアメリカ女性の存在が目立つ。
    大江の女性の描き方は常々気になるところだが、この作品でのローズさんの描かれ方はミソジニックで嫌な感じがした。 ...続きを読む
  • われらの時代
    戦後の若者の閉塞感を描いた作品。
    共通の価値、命をなげうってでも賭けるべきもの、そのようなものが与えられない現在の閉塞感。それを何とか打開しようともがき、危険な行動に走ろうとする若者。しかし、その危険が己の身にリアリティをもって差し迫ってくると恐れおののき何もできなくなってしまう。そしてそのような自...続きを読む
  • 見るまえに跳べ
    大江好きの友達が「奇妙な仕事」を薦めてくれたから読んでみた。
    「奇妙な仕事」ももちろん面白かったけど、僕的には「下降生活者」が一番面白かった。今回『見るまえに跳べ』を読んで、なんとなく自分の好きな作品の傾向が見えてきた気がする。
    そして、大江の作品はやっぱり読む分には抜群に面白いけど、論じるとなると...続きを読む
  • 空の怪物アグイー
    近代文学演習の課題図書。レポーターとして「スパルタ教育」を担当。
    大江の短編小説は初めて読んだけど、舞台設定が抜群に素晴らしいと思った。どの作品も面白かったけど「空の怪物アグイー」が一番好き。
    先日の近代文学会で、《近代に始まる純文学にはリアリズムの呪縛がある》なんて言われてたけど、大江はその《純文...続きを読む
  • 性的人間
    大江健三郎の表題作「性的人間」の他、「セブンティーン」「共同生活」の3作が収録された短編集。大江健三郎は、ノーベル賞を受賞する以前から名前は知っていたものの、手に取ることのなかった作家でした。何故、いまさら読むことにしたかというと、「大江健三郎の小説は普通におもしろい」という雑誌の記事を見たからとい...続きを読む
  • 沖縄ノート
     また、沖縄で米兵による少女暴行事件が起きましたね。なんべん同じことが繰り返されたら気が済むのでしょうか。いきどおりで胸がいっぱいになりました。このニュース、朝の報道番組でやっていました。アナウンサーが「沖縄は今、怒っています!」と訴えていました。わたしも「そうだ!」と思ったんですけど、その番組に出...続きを読む
  • 燃えあがる緑の木―第二部 揺れ動く―
    イェーツの詩をはじめ引用が多い。イェーツの詩や教会や魂のことを巡る対話が多々出てくる。宗教色が濃くはあるし引用される詩なども理解できているわけではないのだけど、物語世界に引き込まれるようにして読んだ。
  • キルプの軍団
    高橋源一郎氏の文学がこんなにわかっていいかしら (福武文庫)に出てきて、とっても気になっていた本です。

    何がいいって、書き出しのサービス精神です。
    上述の書籍で、高橋氏が引用しているのですが、書き出しはこんな感じです。

    「まずキルプという名前が、気にいったのでした。Quilpとアルファベットで印...続きを読む
  • 空の怪物アグイー
    個人的な体験でちょっぴり出てくる、バードが精神病者を探し回るエピソード「不満足」が入った、わたしにちょっぴり嬉しい短編集。

    どれも短めなのでスイスイ読めました。
    「敬老週間」と「アトミックエイジの~」は、シニカルでプッと笑えるオチが大江健三郎っぽくなくて軽く驚きました。
    敬老週間はタイトルも素晴ら...続きを読む
  • M/Tと森のフシギの物語
    こんなにも自由なイメージを喚起させるように描けるものなんだなぁと感心しました。
    おとぎ話風の語りですが、森の中は村人達だけでの裁判(昔から限界状況での自治ってモチーフはよく出ますね)や、なんだか超絶に大きな人がいたり、少年としての著者が出て来たり。
    少し異色ですが、個人的には好きです。

    あの、「ど...続きを読む
  • 性的人間
    はじめて大江健三郎を読み衝撃を受けた。おもしろい。
    性的人間の厳粛な綱渡りをする痴漢少年が好きだ。セヴンティーンもニヤニヤしながら読んだ。
  • われらの時代
    切実な本だ。切実な若者が切実な汗をかきながら切実なるものを探し求めつつも現実的な希望がなく部屋に引きこもって自慰に耽るような、そういう切実さだ。
  • 取り替え子
    大江健三郎。

    私小説というおうか、自分の人生が語られている。

    どこまでが事実で、どこまでが小説としてのことなのか、気になるところではある。



    登場人物はおそらくほとんど実在の人物。

    古くからの友人であり、義兄である吾朗(伊丹十三)の投身自殺からはじまる。



    本の中にたくさんのメタファー...続きを読む
  • 僕が本当に若かった頃
    ある事件がきっかけで日本を「亡命」し、渡米した人と、その事件に関わった筆者の話。日本人であることを否定しアメリカで生きてきた彼。なーんてね。
    自分が犯した?罪の意識と戦ってきた彼の気持ちが、どこか夏目漱石の「こころ」を彷彿とさせた。まったく違うんだけどね。いろいろな要素がつまってて、引き込まれるよう...続きを読む
  • われらの時代
    戦争のない時代に栄光はなくて、
    自殺できるという希望にすがりながら僕達は生きていく。

    そんなメッセージが場末のバーのJazzや民族紛争、手榴弾の音によって明るみにされていく。
    共感は出来ずとも同調は出来る、不思議なパラノイア。
  • われらの時代
    これは約45年前に書かれた本だが、現在の若者の生き方、そして彼らがどのように人生を捉えているか、ということを端的に言いあててる!僕たちは死なない程度に生きていて、その惰性につきまとう倦怠感にイライラして、でもなにも自分のしたいことが出来なくて、でも死ぬのは怖いから、生きている。この小説に出てくる三人...続きを読む
  • 遅れてきた青年
    文学小説の面白さって共感と、更なる発見だとおもうんだけど、この本にはそれが詰まってた。
    普通の大人はもう忘れてしまっているような、幼少期に感じた懐かしい記憶を忘れずに持ちつづけているという事も、作家にとって大切な要素だと思うけれど、そんな懐かしい記憶を呼び起こし、共感、更なる発見もさせてもらえて充実...続きを読む
  • 言い難き嘆きもて
    71
    大江さんの小説はやたら小難しいけど(失礼)
    エッセイは読みやすい
    そういうものなのかな?