大江健三郎のレビュー一覧

  • 性的人間
    【本の内容】
    青年の性の渇望と行動を大胆に描いて波紋を投じた「性的人間」、政治少年の行動と心理を描いた「セヴンティーン」など問題作3編。

    [ 目次 ]


    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセ...続きを読む
  • 大江健三郎自選短篇
    ・大江健三郎「大江健三郎自選短篇」(岩波文庫)を 読んだ。帯に「全収録作品に加筆修訂が施された大江短篇の最終形」とある。本書収録の23編に関しては、以前の「全作品」や「全集」ではなく、これが最終形、もしかしたら定本になるといふことであらう。それを意識して読んだと書いたところで、私にはそれ以前との違ひ...続きを読む
  • 取り替え子
    以前に読んだ「水死」の前の時代の小説だ。「水死」を読んでよく分からなかった人物背景もよく分かった。義兄の塙吾良が、伊丹十三をモデルにしているというのも途中で気づいてからより面白くなってきた。そういえば、愛媛の「伊丹十三記念館」に行ったことを思い出した。そう考えると、いろいろなことがつながってくるのだ...続きを読む
  • 万延元年のフットボール
     1967年発表、大江健三郎著。友人が死んだ主人公、アメリカから帰ってくる弟、障害児を生んだ主人公の妻。彼らは故郷である四国の村へ向かう。そこで弟の主導の元、スーパーへの略奪が起こり、万延元年の一揆をなぞるように、村全体を巻き込んだ暴動が始まる。
     今まで読んだ著者の作品の中で一番面白かった。思想や...続きを読む
  • われらの時代
    遅く生まれてしまった世代の苦悩、鬱屈、閉塞感が伝わってくる。
    そこから抜け出したいのに抜け出せず絶望する。
    兄弟二人は抜け出せそうになったのに結局抜け出せず絶望する。
    時代が変わっても同じような苦悩がある気がする。

    読んでて気持ちのいい内容じゃないのに、
    ページをめくる手が止まらなかった。
    特に後...続きを読む
  • われらの時代
    大江健三郎って下手にノーベル賞取ってしまったから何やかんや言われるけど、初期の作品の衝動というかみずみずしさというのは素晴らしい。これは現在進行形で若者である人間にしか書けないだろうし、個人的な体験に並ぶ傑作だと思う。
  • 個人的な体験
     1964年発表、大江健三郎著。塾講師をしている27歳の青年バードに脳瘤のある子供が生まれた。彼は愛人火見子の元へ逃げ、秘密裏に子供を殺してほしいと病院側に頼み込む。葛藤した彼は最終的に子供を受け入れることを決意する。
     どこか寓話的な小説だった(おそらく医者の露骨な態度と赤いスポーツカーがその雰囲...続きを読む
  • ヒロシマ・ノート
    最初の2章くらいが面白くなくて、“これがそんなに話題作か~”って感じで匙を投げかけたけど、そこでぐっとこらえて読み進めると、後半になるにつれてより入れ込める感じになってきた。原爆のことを考える機会も久しぶりに持てた気がするし、そういう意味でも意義深い時間を過ごせました。
  • 空の怪物アグイー
     大江健三郎、著。精神病院から逃げ出した患者を探して町をさまよう「不満足」、新興宗教団体から脅される記者の心理的葛藤「スパルタ教育」、寝たきりの老人に現代社会は明るいと嘘をつくアルバイト「敬老週間」、原爆被害者の孤児を引き取った男の真意「アトミック・エイジの守護神」、生まれたばかりの障害児を殺した男...続きを読む
  • 見るまえに跳べ
    話の筋がある。読んでいてとても緊張感があった。そのうえ、なにかしらのテーマがある。そしてなにより粘っこい文体。おそろしい。
  • 人生の親戚
    大江健三郎さんらしからぬ面白さだ。まり恵さんは「本当の回心」出来たのだろうか?熱望しても叶わなかっただろう。ヤッテも・ヤラなむてもたいしたちがいはない。まり恵さんが瀬戸内寂聴とダブッて凄まじい。
  • 芽むしり仔撃ち
     1958年発表。大江健三郎、著。集団疎開する感化院の少年達が辿り着いた村で疫病が流行り、村人は避難。残された子供達は村で生活を始める。
     大江健三郎を読むのは二冊目だが、やはり文体がすごい。一見、倒錯しているような文章だが、雰囲気としては納得ができる。何気ない風景や物事といった対象に生物的な語をあ...続きを読む
  • 個人的な体験
    鳥(バード)という男の 個人的体験についての物語

    妊娠 そして 出産
    27歳四ヶ月   生まれたのは 脳ヘルニアの赤ん坊だった。
    飼育される バード
    檻の中で アフリカに行くことのみが 願い。バードの希望。
    なぜ飼育されるようになったのか?
    誰に飼育されているのか?

    大学院の中退 アルコールの飲...続きを読む
  • 叫び声
    僕(主人公)という人間が大学生のころに出会った4人の物語。僕、ダリウス・セルベゾフというアメリカ人、虎、呉鷹男が共同の目的の元、一つの屋根の下で生活を共にする。ダリウスが造船中である友人たち号(レ・ザミ)というヨットで外国に行く話を持ちかけた。3人は同意する。それぞれの思いのもとレ・ザミに思いを馳せ...続きを読む
  • あいまいな日本の私
    1990年代に日本人とは何かについて考え、それを絞り出すように言葉を選び、発信していった講演がまとめられた良書。2014年の今でも著者の主張は錆びていないと思う。まだ私には経験が浅く、著者の主張を受け止めきれていない部分があるが、年を取り経験を積み読み返すことでまた新たな発見が得られると思う。
  • 小説のたくらみ、知の楽しみ
    ブレイクの救済のヴィジョン、エリアーデの元型の理論、「indestructiblity of human existence」、山口昌男の記号論的人類学、ロシアフォルマリストの異化の理論に影響を受け、それらを時代の課題と自分の問題において書く、という大江の文学の姿勢に胸を打たれる。
  • ヒロシマ・ノート
    この本を理解するのはちょっと難解です。
    ですが、私たちがいかに原爆という出来事を
    知らなかったか、ということを理解できるでしょう。

    どうしてもあのようなものが落ちて来ると
    根こそぎ、という印象を抱きますが
    そうではなく、それでも体に爆弾を抱えつつも
    生きていた人がいたこと…

    そう思うとアメリカの...続きを読む
  • 性的人間
    セブンティーンが鮮烈。あのどうかしちゃっているほどの自意識が本当に痛々しい。政治的背景は、出版当初からはだいぶ変わっているが、描かれているものは普遍的。
  • 芽むしり仔撃ち
    太平洋戦争時、感化院に入っていた子供たちを集団疎開させるため山奥の寒村へと歩いていく。冒頭、脱走者がふたり出たために足止めをくらっている場面から話ははじまり、ふたりは予定調和のように半殺しの目にあい戻ってくる。憲兵から逃れても幾重にも重なる輪のように広がった「村」の目からは逃れることができない。

    ...続きを読む
  • 遅れてきた青年
    青年の純粋さが突き抜け過ぎていて狂気でした。
    みんな狂気。

    こういう本を定期的に読まないと、気が済みません。

    13.03.16