大江健三郎のレビュー一覧

  • われらの時代

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    初めての大江健三郎。自分にとって大江健三郎は、人の良さそうなおじいちゃんというイメージだったのでびっくり。


    時代の違いなのか、描かれている若者達が持つ焦燥感、閉塞感、性へのこだわりや嫌悪感、その場限りの衝動、くだらないこだわり等自分には理解できない。

    突飛に感じる箇所も幾つかあり、正直言えば、大江健三郎の作品でなければ、途中で止めていたかもしれない。物語終了間際のストーリー展開には否応なしに引き込まれる。

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    2015年11月24日
  • 万延元年のフットボール

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    大江さんの作品は難解と言われたり、考察しながら読むべきとの見方があるかもしれないが、私にとってこの小説は感情にまかせて読んでしまうものだった。集団行動の不条理さや、行動的であることへの嫉妬心のようなもので、感情がかき乱され続けた。エネルギーに満ちた小説。

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    2015年09月26日
  • われらの時代

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    3.5
    らすとの畳み掛けは読みながら死ぬかと思った

    p90
    弟は幸福な人間を見るようにかれを見つめて笑っていた。靖男は弟を殺したかった。肉親にたいしてもちうる感情は殺意か愛かの二つしかない。

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    2015年09月03日
  • 「雨の木」を聴く女たち

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    正直この小説はよくわからない。理解し得たという実感がない。しかし何かが面白いのだ、だからずんずん読んでいる。

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    2015年07月14日
  • 人生の親戚

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    それぞれ知恵と身体に障害を持った兄弟を自殺で亡くした母の生きざまが勇気を与えてくれる。2015.6.6

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    2015年06月06日
  • 沖縄ノート

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    今となっては、ちょっと偏っているかなと思うが、太平洋戦争~日本国復帰に当時を過ごしたのであれば、そうであるのかなと思う。

    現在の日本政府の対応を見ると、沖縄独立運動は起こってもしょうがないかなと思ってしまう。

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    2015年03月01日
  • われらの時代

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    状況からの脱出をはかる兄弟。兄はフランス留学による現状打破を目指すが外人相手の娼婦を職業とする愛人との関係から逃れられない。閉塞した状況の中、暴発寸前の弟とその仲間は一発の手榴弾に希望を見いだそうとするが惨めな失敗の中、最悪の状況に墜ちていく。
    自ら状況を悪化させていくような彼らの生き方は当時の若者からは共感を得られたけど、今の時代には流行らないかもしれませんね。

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    2015年01月23日
  • 取り替え子

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    とても難しい純文学小説。著者の大江健三郎自身と、自殺した映画監督で大江の義兄、伊丹十三をモデルにしているということで興味深く読んだ。
    作家の古義人は、映画監督の義兄、吾良の自殺の理由を探ろうとする。吾良が古義人に残した録音メッセージとの対話や、映画の絵コンテから、共通のトラウマである少年時代の記憶がよみがえる。ただし、その核心は本書からだけではよくわからない。
    また古義人の妻であり吾良の妹である千樫も重要な位置づけを担っている。本書のテーマの一つである、「取り替え子」は生み替えともいえるだろうか。趣旨は少し違うが、トニ・モリソンのSulaという本を思い出した。
    大江は義兄の自殺を悶々と悔やんだ

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    2015年01月13日
  • 万延元年のフットボール

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    下手な翻訳文のような、注意深く選びとられて長々と装飾された言葉の羅列に息が詰まる。
    会話になると急に世界が矮小になったと感じる。五感でさえ人間を中心に存在しているわけではない、この退廃的で重苦しい空気が表現されています。

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    2014年10月04日
  • 美しいアナベル・リイ

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    【本の内容】
    かつてチャイルド・ポルノ疑惑を招いて消えた映画企画があった。

    それから30年、小説家の私は、その仲間と美しき国際派女優に再会。

    そして、ポオの詩篇に息づく永遠の少女アナベル・リイへの憧れを、再度の映画制作に託そうと決意するのだが。

    破天荒な目論見へ突き進む「おかしな老人」たちを描く、不敵なる大江版「ロリータ」。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    長く小説を書いてきた作家である「私」、少女の頃「アナベル・リイ」という8ミリ映画に撮られ、今は国際派女優のサクラさん、新しい映画のプロデュースをする大学時代の同級生……幾重にも時間が重なり、四国の森で起きた一揆の記憶が読み返される

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    2014年09月11日
  • 性的人間

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    【性的人間 改】

    字面だけ見るととんでもない官能小説のようだが、中身は人間の欲求の奥深さや潔さ、外に出せば醜い塊だが己のなかでは宝石のようなものを描いている。

    読みやすくはないがのめり込む。再読必須の一冊。僕の自意識は今日も正常か?平常か?

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    2014年08月13日
  • 取り替え子

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    大江健三郎の義兄、伊丹十三が飛び降り自殺。生前、彼から託されていた田亀というカセットを通じて、大江は伊丹と会話を続ける。我慢して読んでみたが最後まで頭に入ってこなかった。残念。

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    2014年08月11日
  • 万延元年のフットボール

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    隠喩に富んで、いたのだろうか。

    大江に先にはまったのは、私の方だった。ただ、万延元年のフットボールだけは友人が先で、とにかく感銘を受けたからと、こちらの積ん読を一つずつ崩す楽しみを無視して割り込まんとしてきたのである。しかし、このような義務感から、技巧的にもテーマ的にも考え抜かれたであろうこの著書をあらぬことか斜め読みしてしまったのである。

    含蓄やギミックの多い物語を斜め読みすることは、一夜の夢を見るようだ。思考は途切れ、飛び、気まぐれに繋がり、そしてまた散る。同じくノーベル文学賞を受賞した莫言との比較や、スーパーマーケット襲撃を百姓の一揆と重ねたようなストーリーを、次には関東大震災時の朝

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    2014年07月29日
  • 同時代ゲーム

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    壮大な御伽噺、生々しい神話、それらに捉えられた剥き出しの魂。本当に壊す人と創建者たちが切り拓いた〈村=国家=小宇宙〉が存在したかのように「僕」の魂の物語が迫ってくる。
    人々が生き、生き続け、生き残り、繋いでいくそれぞれの土地には、それぞれに紡がれて行く物語があるはず。
    読んでいる時には〈村=国家=小宇宙〉が特別な世界に思えたのに、読み終えると、僕の生きた土地にもこんな神話があるんじゃないかと自然に思えてくるから不思議だ。

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    2014年02月19日
  • あいまいな日本の私

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    大江健三郎の本は好きだけど、、難しかった。断片的にしかついていけなかった。

    そもそも大江健三郎の代表作を読んでいるだけじゃなくて、歴史や文学の基本的な教養がないといかんなと思った。

    ただ、彼が考えていることの喫緊さ、例えば日本を発信していくこと、などはすごく伝わってくるので、もう一度知識を蓄えてからまた読もうと思う。

    安部公房 「壁」
    川端康成
    宮沢賢治
    ハックルベリー・フィン
    渡辺一夫 ラブレー
    クンデラ「小説の精神」
    スピノザ
    井伏鱒二
    三島由紀夫

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    2013年11月10日
  • 美しいアナベル・リイ

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    クライストの小説「ミヒャエル・コールハースの運命」を映画化するという
    国際的なプロジェクトの一端に
    シナリオライターとして参加することになった語り手は
    「万延元年のフットボール」に書ききれなかった民衆蜂起のエネルギーを
    その映画で再現しようともくろむ
    しかし、企画は思わぬところで頓挫した
    集められた子役のフィルムと、それを撮影したカメラマンに
    児童ポルノ制作の疑いがかけられたのである

    主演女優のサクラ・オギ・マガーシャックなる人物は
    幼い頃、戦争で焼け出されてひとりぼっちだったところを
    アメリカ人将校に引き取られ
    後にはその将校との結婚に至ったという過去を持っている
    彼女自身は、そんな人生を

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    2013年09月14日
  • 性的人間

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    薄々気づいてはいたけれども、文学における性的探求の凄まじさ。僕らの時代もそうだったけれども、この圧倒的なパワーに翻弄されてしまう。保守的で性的で強固な日本文壇的で、となったらもうなにを読めばいいの。死者の奢りや飼育にたしかに感じた文学としての震えみたいなものを、こういう内容だと感じることができない自分が嫌だけれども、しょうがないともおもう。あの圧倒的な震えを、確かめたいだけなのに。人間存在の実存を問うという感覚がわたしにはわからなかった。いつかこの本ごと理解できる日が来るのか。

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    2013年09月14日
  • 私という小説家の作り方

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    大江さんをなんと生真面目な作家なのだろうと感じた。

    少年期にものの見え方が一度に変わる瞬間を迎えたのは、作家になりなさいとの天からの啓示だったのかもしれませんね。

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    2013年06月21日
  • 取り替え子

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    ネタバレ

    読んでいて楽しい、それでいて読み終わってしばらく経つと、すっかり何が書いてあったのか忘れてしまう。『憂い顔の童子』を読んでみて思い出したのだけど、やっぱりここで記載されている「アレ」私も核心が良くつかめなかった。とはいえ、このように書こうとしているのに直接に書けないものが現れているのを目の当たりにするのは面白い体験である。しかしこのことは『憂い顔の童子』に引き継がれていなかったら、やっぱり「アレ」の存在意義は読者にとってなかなか不明瞭なままだったろうとも思う。

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    2013年05月21日
  • 静かな生活

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    「マアちゃん」主語だとやっぱり地の文が地味でモデストになってしまって私としては物足りない。『燃え上がる緑の木』も同じなのだけど。伊丹十三の映画も見たけれど、大江健三郎の作品を読んでいると伊丹十三は相当な切れ者のように想像させられていたのに、何か物足りない。あとがきみたいなので伊丹十三も喋り言葉で参加しているけれど、そこでもなんだかパンチが足りなかった。

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    2013年05月03日