大江健三郎のレビュー一覧

  • ヒロシマ・ノート

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    今はもう、戦後ではなくて戦前なのだという話を聞いた。
    そういう世界で読む1965年の大江さんの静謐に満ちた、けれどとても力強い文章が隅々まで行き渡る。
    『われわれがこの世界の終焉の光景への正当な想像力をもつ時、金井論説委員のいわゆる《被爆者の同士》たることは、すでに任意の選択ではない。われわれには《被爆者の同士》であるよりほかに、正気の人間としての生き様がない。』
    何も出来ないと思う前に、一冊本を読むことはできる。

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    2009年10月07日
  • 新しい文学のために

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    現代の文学理論が非常に平易に解説されている良書。
    理論関係はいろいろ読んだけど、いまいちまだ頭の中で整理がつかない、という方にオススメ。

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    2009年10月04日
  • われらの狂気を生き延びる道を教えよ

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    時代の疾走感を感じる、難解さは日本トップクラスの暗号小説群。
    「みずから我が涙をぬぐいたまう日」とセットでどうぞ。

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    2009年10月04日
  • 「雨の木」を聴く女たち

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    どこへも行かない、どこへも行けない.
    久しぶりに読んでみたら、前と同じように凹みました.
    We never learn.

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    2009年10月04日
  • 遅れてきた青年

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    兵隊として死ぬことを夢見ていた少年に、終戦によって刻み込まれた「自分は遅れてきた」という絶望感。日本における“ロスト・ジェネレーション”の青春、戦前派or戦中派でも、戦後派でもない狭間の世代の喪失感…。あくまで主人公の視野に映るもののみを語る主観的な文章なのに、同時にどこまでも客観的な語り口が貫かれていて、そのひりひりとした緊迫感に引き込まれる。

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    2020年12月18日
  • 空の怪物アグイー

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    ・・・これを読むと、子供の頃に読んだ時に気分がドーンと沈み、具合が悪くなってしまった思い出が蘇って来ます。
    ちなみに「空の怪物アグイー」は大江健三郎の親友であった作曲家の故武満徹をモデルに書かれた物です。

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    2009年10月04日
  • 持続する志 現代日本のエッセイ

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    思い返せば10代の一時期、そう思春期の頃、私はこの本を枕にして過ごしていたことがあった。若かったのかなあ・・・。でも志はいつまでも持続し続けたいものです。

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    2009年10月04日
  • 死者の奢り・飼育

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    2ヶ月くらい前からおすすめと言われて貸してもらってずっと放置していた
    繰り返し読みたくはならない
    気に入ったのは「他人の足」。それ以外はふつうかなー
    身体中の孔が粘ついた腐敗臭で満たされていくような閉塞感が不快だった、じめじめしすぎていた。
    でもその湿っぽさこそが、死者や胎児のような物体、飼育されて観察対象となった黒人兵士と一般的な人間とを隔てている気持ち悪さなのだろうけど(湿気は人間側の特徴として
    何かに身を費やさないと存続できないのかというほど無意識に観念に追い立てられ、根拠で生を掌握しようとする様子も嫌気がさす
    そしてその差を感じることで優位(人間側としての優位性ではなく、存在としての違

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    2026年02月26日
  • みずから我が涙をぬぐいたまう日

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    大江健三郎が三島由紀夫による自決を受けて執筆した小説と知り、興味を持って手に取った。三島は簡単にいえば右翼的な思想、大江はおなじく左翼的な思想で知られているが、それがどのように結節して小説に反映されているのか、注目しながらまずは表題作を読んでみた。しかし、たしかに天皇に対する言及は存在するが、なかなか理解が難しい小説で、まず、主人公が通常の状態ではない。みずからをガンに罹患して瀕死の状態にあると思い込んでいるという特殊な設定で、そうなると当然そのなかの物語もストレートに受け止めることはできなくなる。あるいはこの描きかたじたいが、天皇を語りづらいものであると暗に示しているのかもしれないが、どうに

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    2026年02月03日
  • 大江健三郎自選短篇

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    考えたことを丁寧に描写させているように感じ、人の心の中に踏み込んでいくような怖さがありました。後期の作品には、親の子を思う気持ちが溢れています。
    全体的に面白かったです。

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    2026年01月08日
  • 性的人間

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    性的人間
    前半と後半で異なる作品の印象
    前半は辛気臭く湿っていて個人的に退屈だった
    後半は現代の感覚からすると不謹慎な内容だがかなりユーモア効いていた

    セブンティーン
    青少年の推進力みたいなものが文章にあらわれている

    共同生活
    何回か寝そうになった

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    2025年12月31日
  • 晩年様式集

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    作者キャリア最期の小説作品。
    自身を“長江古義人”と称する私小説シリーズであり、今まで作品に登場させてきた親族達から徹底批判を喰らうというメタ要素は変わらず。表題、内容から作者周りの関係の清算が行われていると感じ少し寂しい。
    過去作未読者は完全に排除される上、再翻訳した様な独特の文体はより難読性を上げているが、これまでオーケンを読んできて良かったと思える作品だった。

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    2025年11月24日
  • 個人的な体験

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    難解すぎた
    時代を考えると、直接的な表現を避けられた比喩が多出している、言論として規制のようなものがあったのだろうかと感じる


    ストーリーはバードが子供の障害に対して、どう向き合うかといったところで、妻ではない女と寝たり酒浸りになったり、アフリカに思いを馳せたりと、今書かれると受け入れられない表現が多かった

    面白いかはわからなかったが、葛藤ということを表現するとこういうことなのかとなんとなく感じた

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    2025年11月14日
  • 死者の奢り・飼育

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    どの作品にも、差別や格差、人権といったテーマが描かれている。
    『飼育』は芥川賞を受賞した作品で、弱者となった黒人兵を“獲物”のように扱い、次第に親しくなれたかと思えば、関係が突如として一変する過程が描かれている。
    現代でも差別が完全になくなったわけではないが、昔に比べると社会はずいぶん平和になり、表面的であっても受け入れようとする姿勢が広がってきたのだなあと思った。

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    2025年10月13日
  • 沖縄ノート

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    大江さんの著作は広島ノート以来。それは数十年前のことだが、広島ノートは読んでいて途中で挫折した記憶ある。
    この沖縄ノートを読んで、なんで挫折したのかよくわかった気がした。
    読みづらい、それだけ。
    内容は深いが…

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    2025年09月23日
  • 死者の奢り・飼育

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    「人間の羊」は、主人公が全く喋らず、心の中の言葉で表されている。

    教員の正義感は、主人公のためではなく、自分のためにやっているように感じる。

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    2025年06月19日
  • われらの狂気を生き延びる道を教えよ

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    おほきな疲労感とともに
     狂気を書く。その点では『ねじまき鳥クロニクル』とおなじだが、前者は社会の狂気。こちらは個人の狂気だ。
     しかも、こちらの狂気は説明的な人工の(=絵空事の)狂気なのだ。人間に直に根ざした狂気とは感じられない。

     一文がながながしい変革期の文体。それは、大江がのちに『さようなら、私の本よ!』で書いたとほりだ。《あなたの出発時の文章はスッキリして、書いてることがよくわかった、いまはゴテゴテしている。それは批評家が賞めてるような、あなたに豊かな資質があるということじゃなくて、いま何を書いたらいいかわからないから、形容詞の煙幕を張ってということじゃないのか?》


     「核時代

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    2025年05月29日
  • 万延元年のフットボール

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    大江健三郎作品6作目

    著者の代表作であり人気の作品なのですが、正直、難解だった。難しすぎて思考停止状態に陥り、何度も眠くなることがあった。でも後半になると主題としてあるものが見えてきて、それについて深く考えることができた。

    自己欺瞞に自己憐憫、決定的な要因がない場合でも、人は誰しも何かしらの荷を背負って生きているものだと思う。その重みはそれぞれであり、軽くなるものもあれば、どんどん重くなるものもある。その重みに耐えかねて、懺悔し審判を受けて、その重みから解放されたいと願うこともあるだろう。しかし、それができず、そのことで苦しむことになると狂気をはらんだ自己破壊的な衝動が芽生えてくるのかもし

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    2025年03月21日
  • みずから我が涙をぬぐいたまう日

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    小説というよりは、思想といった方がしっくりくるような小説だった。三島由紀夫の自決、そして天皇制からの糸が紡がれてこの小説が出来上がったとのこと納得。
    相変わらず大江健三郎はどんな発想で小説を書いてるのかと度肝抜かれる。

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    2025年01月17日
  • 個人的な体験

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    いやー難しかったけど引き込まれた。比喩表現の多彩さ、引き出しの多さが半端じゃない。
    重厚感のある文章。
    よく読み切れた。

    病院の人々が官僚的という説明があったが、本当に酷く冷たい印象だった。意地悪というか。
    特異な形で生まれた赤子を馬鹿にしている風で嫌悪感が生まれた。

    鳥(バード)の現実逃避が極端で、かつ堕落しすぎていて、ずっとモヤモヤしていた。

    ただ、自分の自由への意志と病気のまま生まれてくる赤子というジレンマに酷く苦しんだのだろうと思う。


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    2025年01月15日