大江健三郎のレビュー一覧

  • 持続する志 現代日本のエッセイ

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    思い返せば10代の一時期、そう思春期の頃、私はこの本を枕にして過ごしていたことがあった。若かったのかなあ・・・。でも志はいつまでも持続し続けたいものです。

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    2009年10月04日
  • 晩年様式集

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    作者キャリア最期の小説作品。
    自身を“長江古義人”と称する私小説シリーズであり、今まで作品に登場させてきた親族達から徹底批判を喰らうというメタ要素は変わらず。表題、内容から作者周りの関係の清算が行われていると感じ少し寂しい。
    過去作未読者は完全に排除される上、再翻訳した様な独特の文体はより難読性を上げているが、これまでオーケンを読んできて良かったと思える作品だった。

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    2025年11月24日
  • 個人的な体験

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    難解すぎた
    時代を考えると、直接的な表現を避けられた比喩が多出している、言論として規制のようなものがあったのだろうかと感じる


    ストーリーはバードが子供の障害に対して、どう向き合うかといったところで、妻ではない女と寝たり酒浸りになったり、アフリカに思いを馳せたりと、今書かれると受け入れられない表現が多かった

    面白いかはわからなかったが、葛藤ということを表現するとこういうことなのかとなんとなく感じた

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    2025年11月14日
  • 死者の奢り・飼育

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    どの作品にも、差別や格差、人権といったテーマが描かれている。
    『飼育』は芥川賞を受賞した作品で、弱者となった黒人兵を“獲物”のように扱い、次第に親しくなれたかと思えば、関係が突如として一変する過程が描かれている。
    現代でも差別が完全になくなったわけではないが、昔に比べると社会はずいぶん平和になり、表面的であっても受け入れようとする姿勢が広がってきたのだなあと思った。

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    2025年10月13日
  • 沖縄ノート

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    大江さんの著作は広島ノート以来。それは数十年前のことだが、広島ノートは読んでいて途中で挫折した記憶ある。
    この沖縄ノートを読んで、なんで挫折したのかよくわかった気がした。
    読みづらい、それだけ。
    内容は深いが…

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    2025年09月23日
  • 性的人間

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    「セブンティーン」と「共同生活」は興味深かった。他者との関わり合いの中で見つめる実存。
    いずれの人間も最後は自らが自身を実存づけた。運命などではなく。それを政治と性というモチーフで描き出す。
    初大江健三郎だけど非常に興味深い。

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    2025年07月30日
  • 死者の奢り・飼育

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    「人間の羊」は、主人公が全く喋らず、心の中の言葉で表されている。

    教員の正義感は、主人公のためではなく、自分のためにやっているように感じる。

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    2025年06月19日
  • われらの狂気を生き延びる道を教えよ

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    おほきな疲労感とともに
     狂気を書く。その点では『ねじまき鳥クロニクル』とおなじだが、前者は社会の狂気。こちらは個人の狂気だ。
     しかも、こちらの狂気は説明的な人工の(=絵空事の)狂気なのだ。人間に直に根ざした狂気とは感じられない。

     一文がながながしい変革期の文体。それは、大江がのちに『さようなら、私の本よ!』で書いたとほりだ。《あなたの出発時の文章はスッキリして、書いてることがよくわかった、いまはゴテゴテしている。それは批評家が賞めてるような、あなたに豊かな資質があるということじゃなくて、いま何を書いたらいいかわからないから、形容詞の煙幕を張ってということじゃないのか?》


     「核時代

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    2025年05月29日
  • 万延元年のフットボール

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    大江健三郎作品6作目

    著者の代表作であり人気の作品なのですが、正直、難解だった。難しすぎて思考停止状態に陥り、何度も眠くなることがあった。でも後半になると主題としてあるものが見えてきて、それについて深く考えることができた。

    自己欺瞞に自己憐憫、決定的な要因がない場合でも、人は誰しも何かしらの荷を背負って生きているものだと思う。その重みはそれぞれであり、軽くなるものもあれば、どんどん重くなるものもある。その重みに耐えかねて、懺悔し審判を受けて、その重みから解放されたいと願うこともあるだろう。しかし、それができず、そのことで苦しむことになると狂気をはらんだ自己破壊的な衝動が芽生えてくるのかもし

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    2025年03月21日
  • みずから我が涙をぬぐいたまう日

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    小説というよりは、思想といった方がしっくりくるような小説だった。三島由紀夫の自決、そして天皇制からの糸が紡がれてこの小説が出来上がったとのこと納得。
    相変わらず大江健三郎はどんな発想で小説を書いてるのかと度肝抜かれる。

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    2025年01月17日
  • 個人的な体験

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    いやー難しかったけど引き込まれた。比喩表現の多彩さ、引き出しの多さが半端じゃない。
    重厚感のある文章。
    よく読み切れた。

    病院の人々が官僚的という説明があったが、本当に酷く冷たい印象だった。意地悪というか。
    特異な形で生まれた赤子を馬鹿にしている風で嫌悪感が生まれた。

    鳥(バード)の現実逃避が極端で、かつ堕落しすぎていて、ずっとモヤモヤしていた。

    ただ、自分の自由への意志と病気のまま生まれてくる赤子というジレンマに酷く苦しんだのだろうと思う。


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    2025年01月15日
  • 個人的な体験

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    同じモチーフを保有し、同時期に発表された姉妹作として『空の怪物アグイー』があるけれど、個人的にはそちらの方が面白い文章が多くて好み。こちらはより実験作という方が相応しいように現在進行形で思考を連ねていくスリリングさがある。けれどその分、大江健三郎という作家のトレードマークのようなあの緻密でソリッドでハードな文章からは離れた幾分隙のある古臭い文章にも感じた。

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    2024年08月13日
  • 死者の奢り・飼育

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    ネタバレ

    著者の作品は初めて読んだが、特に“飼育“では遠藤周作みを感じた。黒人を“獣“として見物する描写が特に。飼育の前半は少し読みずらかった。

    死者の奢りは芥川賞特有の雰囲気があり、まさか死体整理のバイトの話とは、題材が衝撃であったが、妊娠中の女学生が登場するのは取ってつけたように感じた。段取りが異なるとして作業がやり直しになるなど、面白いことは面白いが。

    他人の足では、同士としてどんな話をしようが例え仲良くなろうが、あくまで同士だからという前提がとても強く、同士ではなくなる(足を得る)と根底が崩れ、もう元の関係には戻れないという当たり前ながらも複雑な現実について。
    一番好みの話だった。

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    2024年08月02日
  • 大江健三郎自選短篇

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    晩年の大江健三郎が、自身の短編を初期、中期、後期に自薦したもの。初期作品は新潮版の死者の奢りで大体読んだため再読。万延元年のフットボールで感じた苦手意識はなくなった。とはいえ全然理解は追いついていない。全く内容が入ってこなかった作品もちらほら。

    アグイー以降、障害児を育てることになってからの作品は明らかに初期作品と違いを感じるし、段々日記なのか作品なのか分からなくもなる。日常ではあまり触れることのない剥き出しの人間の本音、本性に触れるようで嫌な気持ちにもなるが、真逆の感覚も同時に味わうような複雑な気持ちになる。

    もっと精神的に成熟してから読むと突き刺さるのかも。

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    2024年07月12日
  • 沖縄ノート

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    戦時中、慶良間(けらま)諸島において、赤松嘉次元大尉は沖縄住民に集団自決を強制した。大江健三郎『沖縄ノート』1970

    赤松元大尉による自決命令があったという住民の供述は得られなかった。曽野綾子(その・あやこ)『ある神話の背景』1973

    ※赤松嘉次元大尉の遺族は、2005年、大江健三郎・岩波書店を名誉毀損で訴えた。二審判決は「命令があったかどうかは”わからない”が、大江が命令を真実と”信じる”相当の理由があった」として原告の請求を棄却した。

    遺族が遺族年金や弔慰金を国から支給してもらうには、自決した人々が準軍属扱いでなければならず、「軍の自決命令」が必要だった。そこで島民らは当時の駐屯隊の

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    2024年05月20日
  • 大江健三郎全小説 第3巻

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    ネタバレ

    長かった。1文読むのに普段の2倍かかったように感じる。
    セヴンティーン、幸福な若いギリアク人、善き人間、犬の世界は面白かった。後はよくわからなかった。敬老週間がわりとストレートなオチなのがかなり意外だった。
    大江健三郎を読む集中力は30ページくらいしか持ちあわせていないみたいだ。
    セヴンティーンは教科書に載っていたあの画像の人がモデルなのか

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    2024年05月18日
  • 万延元年のフットボール

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    ひどく胃もたれする1冊。面白いとか面白くないとか、そういう感想は書けない。万延元年の一揆、障害児が産まれた夫婦、暴力性のある弟、友人の奇妙な自殺、兄弟の死、この本を構成する全ての要素が暗く陰鬱。わかる言語で描かれているのに理解を拒絶するような不思議な感覚。読後すぐは二度と読みたくないと思っているが、何故かいつか読み返したくなる予感がする。

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    2024年04月22日
  • 親密な手紙

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    2010年から2013年にかけての連載だから、『水死』を出して、最後の長編『晩年様式集(イン・レイト・スタイル)』を書いていたころか…

    一度読んだだけではなかなか意味が取れない独特の文体が懐かしい。
    あー、もう小説の新刊は読めないんだなあ、という感慨を改めて抱く。

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    2024年03月13日
  • 個人的な体験

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    大江健三郎の小説を読むのは初めてなのだけど、想像してたのと随分 違っていた。とても独特で 比喩が多く なんとも言えない不思議な世界観。読むのにすごく時間がかかった。世界観が独特すぎて。悪くはないのだけども、大江健三郎ってこんな感じなんや…ということが知れてよかった。

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    2024年02月24日
  • 親密な手紙

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    大江健三郎さんが伊丹十三さんや交流のあった人、息子さんのことなど書いたエッセイみたいな作品。大江さんについてあまり知らないと少しついていけない話も多かった。つい先日に読んだ本の引用がまた出てきて縁を感じた。

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    2024年02月11日