大江健三郎のレビュー一覧

  • 万延元年のフットボール

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    大江健三郎作品6作目

    著者の代表作であり人気の作品なのですが、正直、難解だった。難しすぎて思考停止状態に陥り、何度も眠くなることがあった。でも後半になると主題としてあるものが見えてきて、それについて深く考えることができた。

    自己欺瞞に自己憐憫、決定的な要因がない場合でも、人は誰しも何かしらの荷を背負って生きているものだと思う。その重みはそれぞれであり、軽くなるものもあれば、どんどん重くなるものもある。その重みに耐えかねて、懺悔し審判を受けて、その重みから解放されたいと願うこともあるだろう。しかし、それができず、そのことで苦しむことになると狂気をはらんだ自己破壊的な衝動が芽生えてくるのかもし

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    2025年03月21日
  • みずから我が涙をぬぐいたまう日

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    小説というよりは、思想といった方がしっくりくるような小説だった。三島由紀夫の自決、そして天皇制からの糸が紡がれてこの小説が出来上がったとのこと納得。
    相変わらず大江健三郎はどんな発想で小説を書いてるのかと度肝抜かれる。

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    2025年01月17日
  • 個人的な体験

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    いやー難しかったけど引き込まれた。比喩表現の多彩さ、引き出しの多さが半端じゃない。
    重厚感のある文章。
    よく読み切れた。

    病院の人々が官僚的という説明があったが、本当に酷く冷たい印象だった。意地悪というか。
    特異な形で生まれた赤子を馬鹿にしている風で嫌悪感が生まれた。

    鳥(バード)の現実逃避が極端で、かつ堕落しすぎていて、ずっとモヤモヤしていた。

    ただ、自分の自由への意志と病気のまま生まれてくる赤子というジレンマに酷く苦しんだのだろうと思う。


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    2025年01月15日
  • 個人的な体験

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    同じモチーフを保有し、同時期に発表された姉妹作として『空の怪物アグイー』があるけれど、個人的にはそちらの方が面白い文章が多くて好み。こちらはより実験作という方が相応しいように現在進行形で思考を連ねていくスリリングさがある。けれどその分、大江健三郎という作家のトレードマークのようなあの緻密でソリッドでハードな文章からは離れた幾分隙のある古臭い文章にも感じた。

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    2024年08月13日
  • 死者の奢り・飼育

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    ネタバレ

    著者の作品は初めて読んだが、特に“飼育“では遠藤周作みを感じた。黒人を“獣“として見物する描写が特に。飼育の前半は少し読みずらかった。

    死者の奢りは芥川賞特有の雰囲気があり、まさか死体整理のバイトの話とは、題材が衝撃であったが、妊娠中の女学生が登場するのは取ってつけたように感じた。段取りが異なるとして作業がやり直しになるなど、面白いことは面白いが。

    他人の足では、同士としてどんな話をしようが例え仲良くなろうが、あくまで同士だからという前提がとても強く、同士ではなくなる(足を得る)と根底が崩れ、もう元の関係には戻れないという当たり前ながらも複雑な現実について。
    一番好みの話だった。

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    2024年08月02日
  • 大江健三郎自選短篇

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    晩年の大江健三郎が、自身の短編を初期、中期、後期に自薦したもの。初期作品は新潮版の死者の奢りで大体読んだため再読。万延元年のフットボールで感じた苦手意識はなくなった。とはいえ全然理解は追いついていない。全く内容が入ってこなかった作品もちらほら。

    アグイー以降、障害児を育てることになってからの作品は明らかに初期作品と違いを感じるし、段々日記なのか作品なのか分からなくもなる。日常ではあまり触れることのない剥き出しの人間の本音、本性に触れるようで嫌な気持ちにもなるが、真逆の感覚も同時に味わうような複雑な気持ちになる。

    もっと精神的に成熟してから読むと突き刺さるのかも。

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    2024年07月12日
  • 沖縄ノート

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    戦時中、慶良間(けらま)諸島において、赤松嘉次元大尉は沖縄住民に集団自決を強制した。大江健三郎『沖縄ノート』1970

    赤松元大尉による自決命令があったという住民の供述は得られなかった。曽野綾子(その・あやこ)『ある神話の背景』1973

    ※赤松嘉次元大尉の遺族は、2005年、大江健三郎・岩波書店を名誉毀損で訴えた。二審判決は「命令があったかどうかは”わからない”が、大江が命令を真実と”信じる”相当の理由があった」として原告の請求を棄却した。

    遺族が遺族年金や弔慰金を国から支給してもらうには、自決した人々が準軍属扱いでなければならず、「軍の自決命令」が必要だった。そこで島民らは当時の駐屯隊の

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    2024年05月20日
  • 大江健三郎全小説 第3巻

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    ネタバレ

    長かった。1文読むのに普段の2倍かかったように感じる。
    セヴンティーン、幸福な若いギリアク人、善き人間、犬の世界は面白かった。後はよくわからなかった。敬老週間がわりとストレートなオチなのがかなり意外だった。
    大江健三郎を読む集中力は30ページくらいしか持ちあわせていないみたいだ。
    セヴンティーンは教科書に載っていたあの画像の人がモデルなのか

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    2024年05月18日
  • 万延元年のフットボール

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    ひどく胃もたれする1冊。面白いとか面白くないとか、そういう感想は書けない。万延元年の一揆、障害児が産まれた夫婦、暴力性のある弟、友人の奇妙な自殺、兄弟の死、この本を構成する全ての要素が暗く陰鬱。わかる言語で描かれているのに理解を拒絶するような不思議な感覚。読後すぐは二度と読みたくないと思っているが、何故かいつか読み返したくなる予感がする。

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    2024年04月22日
  • 親密な手紙

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    2010年から2013年にかけての連載だから、『水死』を出して、最後の長編『晩年様式集(イン・レイト・スタイル)』を書いていたころか…

    一度読んだだけではなかなか意味が取れない独特の文体が懐かしい。
    あー、もう小説の新刊は読めないんだなあ、という感慨を改めて抱く。

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    2024年03月13日
  • 個人的な体験

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    大江健三郎の小説を読むのは初めてなのだけど、想像してたのと随分 違っていた。とても独特で 比喩が多く なんとも言えない不思議な世界観。読むのにすごく時間がかかった。世界観が独特すぎて。悪くはないのだけども、大江健三郎ってこんな感じなんや…ということが知れてよかった。

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    2024年02月24日
  • 親密な手紙

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    大江健三郎さんが伊丹十三さんや交流のあった人、息子さんのことなど書いたエッセイみたいな作品。大江さんについてあまり知らないと少しついていけない話も多かった。つい先日に読んだ本の引用がまた出てきて縁を感じた。

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    2024年02月11日
  • 親密な手紙

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    大江健三郎氏が書いたエッセイ集。
    おそらく背景知識があれば面白いのであろうが、
    著作も読んだことが無く、交友関係もわからない状態で
    読んだので、全くついていけなかった。

    小説家に対してやはりいきなり自伝を読むのはお勧めしないという事だ

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    2024年01月27日
  • あいまいな日本の私

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    講演内容をまとめたものであり読みやすかったが、前提知識ゼロで挑んだので難しい部分もあった。
    日本に生きる私としてもっと日本を知るべきかと思う。

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    2024年01月06日
  • 性的人間

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    大江健三郎の初期短編3作が収録されている。痴漢、右翼、自慰行為、妄想を扱いながら実存を問うという感じ。時代の中にある作品という感じがして、いまの時代においてはやや鼻白らむ感じは否めない。登場人物が絶望しているようで、どこか希望を持っているから葛藤するわけで。
    テーマはともかくやはり文章は上手い。
    本書に収録されているセブンティーンの後編『政治少年死す』は全集の第3巻に収録されている。

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    2023年10月08日
  • 沖縄ノート

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     著者の心で響いていた「きみは沖縄のイメージを単純化しようとしているのではないか」という声。
    これは明らかに我々に向けられた言葉だ。
     いま改めて、沖縄を他の都道府県と質的に同じ程度の日本の構成地域として捉えられるのか私たちは考える必要がある。沖縄県は他の都道府県と比べれば圧倒的に巨大な米軍基地が立地しておりそれはまず何より"米軍のため"のものであり、次点として沖縄、または日本の防衛を担うものである。この時点で、沖縄県は明らかに異常な状態にあると考えるべきだ。沖縄県は他の地域と比べても均質な日本の構成地域ではない。歴史的にみると沖縄はもともと琉球であったし、また沖縄戦という

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    2023年09月21日
  • 死者の奢り・飼育

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    末尾の江藤淳の解説を読むと、暗さの中に美が〜、という評があった。しかし私はこの短編集を読んで、粘り気の強い暗さが終始付き纏う感覚があった。どの短編も結末が好きで、久しぶりにスッキリした読み応えだった。
    特に、「死者の奢り」「他人の足」が好き。けれど粘っこいセクスは好きではない。
    全体を通して20代に発表した作品とは思えない。
    障害を持つ人々、外国兵や人種に関して、大江の抱く考えが知りたい。

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    2023年09月11日
  • 死者の奢り・飼育

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    ネタバレ

    死体処理のアルバイトの話「死者の奢り」、山奥に墜落した黒人兵と村人との間に起こった悲劇「飼育」のほか、「他人の足」「人間の羊」「不意の唖」「戦いの今日」の計六編収録。

    これらの作品は「監禁されている状態、閉ざされた壁のなかに生きる状態を考えること」だったという。(「解説」より)

    隔離病棟で鬱屈と暮らす少年たちのもとに新しい患者がやってきて、社会の注意を寄せようと活動を行うさまを描いた「他人の足」はわかりやすく面白い。

    また、バスのなかで外国人兵から辱めを受けた青年に、その様子を傍観していた教員が、社会に公表するために恥をさらす犠牲を迫る「人間の羊」も、ぞっとする読後感。

    「人間の羊」「

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    2023年06月24日
  • 個人的な体験

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    読書会課題図書
    今更気づいた
    かの有名な著者の作品を読んでいなかったことに
    読書会に感謝

    表現はすごいと思う
    でも、小説だと理解していても共感できないものはどうしようもない

    ラストはストンと落ち着いたが、むしろこれがない方がいいとも言われたとか
    それでは救いがないのではないか

    すごい作品群を残して逝かれた大江健三郎氏を追悼する

    ≪ 自らの 運命受けた 魂よ ≫

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    2023年06月21日
  • 芽むしり仔撃ち

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    過去課題本。ストーリーは全くのフィクションだが、日本社会に今も厳然として存在する排他的な村社会の縮図がリアルに描かれていて、これが著者が20代の時に書かれた作品なのに驚く。タイトルの意味は最後まで普通に読めばわかる。

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    2023年06月07日