大江健三郎のレビュー一覧
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戦時中、慶良間(けらま)諸島において、赤松嘉次元大尉は沖縄住民に集団自決を強制した。大江健三郎『沖縄ノート』1970
赤松元大尉による自決命令があったという住民の供述は得られなかった。曽野綾子(その・あやこ)『ある神話の背景』1973
※赤松嘉次元大尉の遺族は、2005年、大江健三郎・岩波書店を名誉毀損で訴えた。二審判決は「命令があったかどうかは”わからない”が、大江が命令を真実と”信じる”相当の理由があった」として原告の請求を棄却した。
遺族が遺族年金や弔慰金を国から支給してもらうには、自決した人々が準軍属扱いでなければならず、「軍の自決命令」が必要だった。そこで島民らは当時の駐屯隊の -
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著者の心で響いていた「きみは沖縄のイメージを単純化しようとしているのではないか」という声。
これは明らかに我々に向けられた言葉だ。
いま改めて、沖縄を他の都道府県と質的に同じ程度の日本の構成地域として捉えられるのか私たちは考える必要がある。沖縄県は他の都道府県と比べれば圧倒的に巨大な米軍基地が立地しておりそれはまず何より"米軍のため"のものであり、次点として沖縄、または日本の防衛を担うものである。この時点で、沖縄県は明らかに異常な状態にあると考えるべきだ。沖縄県は他の地域と比べても均質な日本の構成地域ではない。歴史的にみると沖縄はもともと琉球であったし、また沖縄戦という -
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ネタバレ死体処理のアルバイトの話「死者の奢り」、山奥に墜落した黒人兵と村人との間に起こった悲劇「飼育」のほか、「他人の足」「人間の羊」「不意の唖」「戦いの今日」の計六編収録。
これらの作品は「監禁されている状態、閉ざされた壁のなかに生きる状態を考えること」だったという。(「解説」より)
隔離病棟で鬱屈と暮らす少年たちのもとに新しい患者がやってきて、社会の注意を寄せようと活動を行うさまを描いた「他人の足」はわかりやすく面白い。
また、バスのなかで外国人兵から辱めを受けた青年に、その様子を傍観していた教員が、社会に公表するために恥をさらす犠牲を迫る「人間の羊」も、ぞっとする読後感。
「人間の羊」「 -
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小説における舞台としては現実から遠い感じはするが、世間から一方的な印象で除外されてしまう少年たちの姿はいつの時代にも通じる。
置かれた状況から否応なしに犯してしまう行動は残酷なのだが、登場する少年たちには仲間意識、心底にある強さや優しさがある。
そしてところどころにみられる詩的な表現に動揺しながら、樹木や土、腐蝕した(何者かの)匂いまでもが漂う錯覚があり、疫病を恐れて無人になった山里の陰鬱な情景の中に引き込まれていく。
リアルな表現なだけに不快な気分になりながらも、差別問題や疫病に対する意識などの重大なテーマがあり、必要な読書ではあった。
大江健三郎さんが「監禁状態」をテーマにして描いた小 -
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本作品「ピンチランナー調書」は雑誌「新潮」に、3カ月に渡って連載されたものを1976年10月に書籍化したものである。私は、高校生の頃から、大江健三郎の初期の作品を中心に読んでいた。この「ピンチランナー調書」が発行されたのも、私が高校生の頃であるが、実際にこの本を読んだのは、大学生の頃だったと思う。当時の私には、この「ピンチランナー調書」は難解すぎるものであったし、ストーリーとしても、当時の私には、決してわくわくするようなものではなく、むしろ、退屈な話に感じられ、途中で読むのを断念した記憶がある。そういう意味では、今回、私にとっては、この「ピンチランナー調書」を読むことは、それから40年以上を経