大江健三郎のレビュー一覧

  • 親密な手紙

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    大江健三郎氏が書いたエッセイ集。
    おそらく背景知識があれば面白いのであろうが、
    著作も読んだことが無く、交友関係もわからない状態で
    読んだので、全くついていけなかった。

    小説家に対してやはりいきなり自伝を読むのはお勧めしないという事だ

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    2024年01月27日
  • あいまいな日本の私

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    講演内容をまとめたものであり読みやすかったが、前提知識ゼロで挑んだので難しい部分もあった。
    日本に生きる私としてもっと日本を知るべきかと思う。

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    2024年01月06日
  • 性的人間

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    大江健三郎の初期短編3作が収録されている。痴漢、右翼、自慰行為、妄想を扱いながら実存を問うという感じ。時代の中にある作品という感じがして、いまの時代においてはやや鼻白らむ感じは否めない。登場人物が絶望しているようで、どこか希望を持っているから葛藤するわけで。
    テーマはともかくやはり文章は上手い。
    本書に収録されているセブンティーンの後編『政治少年死す』は全集の第3巻に収録されている。

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    2023年10月08日
  • 沖縄ノート

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     著者の心で響いていた「きみは沖縄のイメージを単純化しようとしているのではないか」という声。
    これは明らかに我々に向けられた言葉だ。
     いま改めて、沖縄を他の都道府県と質的に同じ程度の日本の構成地域として捉えられるのか私たちは考える必要がある。沖縄県は他の都道府県と比べれば圧倒的に巨大な米軍基地が立地しておりそれはまず何より"米軍のため"のものであり、次点として沖縄、または日本の防衛を担うものである。この時点で、沖縄県は明らかに異常な状態にあると考えるべきだ。沖縄県は他の地域と比べても均質な日本の構成地域ではない。歴史的にみると沖縄はもともと琉球であったし、また沖縄戦という

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    2023年09月21日
  • 死者の奢り・飼育

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    末尾の江藤淳の解説を読むと、暗さの中に美が〜、という評があった。しかし私はこの短編集を読んで、粘り気の強い暗さが終始付き纏う感覚があった。どの短編も結末が好きで、久しぶりにスッキリした読み応えだった。
    特に、「死者の奢り」「他人の足」が好き。けれど粘っこいセクスは好きではない。
    全体を通して20代に発表した作品とは思えない。
    障害を持つ人々、外国兵や人種に関して、大江の抱く考えが知りたい。

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    2023年09月11日
  • 死者の奢り・飼育

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    ネタバレ

    死体処理のアルバイトの話「死者の奢り」、山奥に墜落した黒人兵と村人との間に起こった悲劇「飼育」のほか、「他人の足」「人間の羊」「不意の唖」「戦いの今日」の計六編収録。

    これらの作品は「監禁されている状態、閉ざされた壁のなかに生きる状態を考えること」だったという。(「解説」より)

    隔離病棟で鬱屈と暮らす少年たちのもとに新しい患者がやってきて、社会の注意を寄せようと活動を行うさまを描いた「他人の足」はわかりやすく面白い。

    また、バスのなかで外国人兵から辱めを受けた青年に、その様子を傍観していた教員が、社会に公表するために恥をさらす犠牲を迫る「人間の羊」も、ぞっとする読後感。

    「人間の羊」「

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    2023年06月24日
  • 個人的な体験

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    読書会課題図書
    今更気づいた
    かの有名な著者の作品を読んでいなかったことに
    読書会に感謝

    表現はすごいと思う
    でも、小説だと理解していても共感できないものはどうしようもない

    ラストはストンと落ち着いたが、むしろこれがない方がいいとも言われたとか
    それでは救いがないのではないか

    すごい作品群を残して逝かれた大江健三郎氏を追悼する

    ≪ 自らの 運命受けた 魂よ ≫

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    2023年06月21日
  • 芽むしり仔撃ち

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    過去課題本。ストーリーは全くのフィクションだが、日本社会に今も厳然として存在する排他的な村社会の縮図がリアルに描かれていて、これが著者が20代の時に書かれた作品なのに驚く。タイトルの意味は最後まで普通に読めばわかる。

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    2023年06月07日
  • 芽むしり仔撃ち

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    小説における舞台としては現実から遠い感じはするが、世間から一方的な印象で除外されてしまう少年たちの姿はいつの時代にも通じる。

    置かれた状況から否応なしに犯してしまう行動は残酷なのだが、登場する少年たちには仲間意識、心底にある強さや優しさがある。
    そしてところどころにみられる詩的な表現に動揺しながら、樹木や土、腐蝕した(何者かの)匂いまでもが漂う錯覚があり、疫病を恐れて無人になった山里の陰鬱な情景の中に引き込まれていく。

    リアルな表現なだけに不快な気分になりながらも、差別問題や疫病に対する意識などの重大なテーマがあり、必要な読書ではあった。
    大江健三郎さんが「監禁状態」をテーマにして描いた小

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    2023年05月07日
  • 空の怪物アグイー

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    なかなか難解ではある。
    最後の解説を読んで何となーくテーマが明らかになる。

    人間の恒常的な状態は恐怖である。
    現代人間の欠落した内面は、恐怖という非存在によって埋められる。→恐怖の発見と、その恐怖からの逃亡の拒否(という矛盾)によって人間は成立する。


    「恐怖の前での自己欺瞞」
    が全体のテーマとして描かれているらしい。

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    2023年04月16日
  • ピンチランナー調書

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    本作品「ピンチランナー調書」は雑誌「新潮」に、3カ月に渡って連載されたものを1976年10月に書籍化したものである。私は、高校生の頃から、大江健三郎の初期の作品を中心に読んでいた。この「ピンチランナー調書」が発行されたのも、私が高校生の頃であるが、実際にこの本を読んだのは、大学生の頃だったと思う。当時の私には、この「ピンチランナー調書」は難解すぎるものであったし、ストーリーとしても、当時の私には、決してわくわくするようなものではなく、むしろ、退屈な話に感じられ、途中で読むのを断念した記憶がある。そういう意味では、今回、私にとっては、この「ピンチランナー調書」を読むことは、それから40年以上を経

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    2023年03月31日
  • 見るまえに跳べ

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    前に読んだ「死者の奢り・飼育」は主に監禁状態を主題とする作品群だったが、今回は政治的人間と性的人間を主題とした作品群だった。
    大江さんの初期作品の新潮文庫版は主題で分けられているので、1冊の本として読みやすかった。
    三島、川端、大江という戦後の文豪の素晴らしい作品を今後も折に触れて読んでいきたい。

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    2023年03月09日
  • 芽むしり仔撃ち

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    この粘着質な文章な何でしょう。内容のせいなのか、作者に起因するものなのか。
    未だ、最後に救いがあったのなら印象も違ったのに。

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    2022年12月31日
  • 芽むしり仔撃ち

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    ネタバレ

    閉鎖的な環境に閉じ込められるが朝鮮人の友人や少女との出会いにより、青春小説のように希望を持てる瞬間もあったがそれらがとても脆いもので簡単に壊れてしまう様が悲しく読み応えがあった。

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    2022年11月21日
  • 懐かしい年への手紙

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    ネタバレ

    大江健三郎ならではダンテの神曲を頼りに自作の捉え直しを含んだ「自伝」的小説。
    個人的には発表順に氏の著作を読んで来たので、面白く読んだ。ただ、この前に読んだのが「M/T〜」と「同時代ゲーム」の再読だったので、物語としてのダイナミズムは少し欠けるかと思った。

    「懐かしい年」というのは、文字通りのイメージの昔を懐かしむという事ではなく、まさにここ数年の流行りの並行世界(しかもタイムリープ)と捉えられるのが面白い。(この後には純粋なSFにもトライすることになる。)

    ただ、必ずしもここでの(懐かしい年そのものである)ギー兄さんの死がその(理想的な)世界が失われたことを表すわけではないのだけど、再生

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    2022年11月10日
  • 叫び声

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    伊坂幸太郎を筆頭に、絶賛される事の多い本作だが自分はハマらなかった方。
    エネルギーを加えて描くべき人物が分散されていていたり、ギトギトした人物の描写が少なく薄口に感じた。

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    2022年09月27日
  • 新年の挨拶

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    雑誌『図書』に連載された著者のエッセイをまとめた本です。

    あつかわれている主題はさまざまですが、障がいをもつ息子の光との関係や、彼の音楽活動をめぐる文章が、やや多いように感じられます。心理療法家である河合隼雄について述べた文章でも、河合のことばから著者と息子との関係へと連想が動き出し、河合の「コンステレーション」ということばが、著者とその家族のありかたについて著者自身が考えをおよぼす契機となって、著者のなかで河合の方法論があたらしく息づきはじめたことが述べられています。

    著者自身の作品について語った文章では、「雨の木」(レイン・ツリー)をめぐる著者の考えの変遷がうかがえるものが含まれており

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    2022年09月12日
  • 沖縄ノート

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    少し難しくて読みづらかったです。
    筆者の尊敬してる方に対する思い、沖縄に対する思いや第二次世界大戦後の沖縄の在り方など事実も知れて良かったです。

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    2022年08月25日
  • 同時代ゲーム

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    ネタバレ

    妹への手紙という形で語られる、四国の山奥にある故郷の村の歴史と伝承、兄弟の逸話。序盤は、現在の生活と村の神話・歴史がリンクするかたちで語られるので頭のなかで整理する必要があるが、次第に神話と歴史にフォーカスされていく。

    面白いが、クセのある文章ですこし読みづらい。


    以下、村の神話と歴史における主な出来事、および語り手の家族について

    ・藩を追放された武士集団が「壊す人」を主導として川をさかのぼり、行き詰まりの大岩塊を爆破して、森に囲まれた盆地に隠れ住む。(そのときに流れ出した大洪水によって追跡隊は押し流される) のちに「吾和地(あわじ)」と呼ばれるようになる。

    ・村の開拓がひと段落した

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    2023年02月27日
  • 僕が本当に若かった頃

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    聖書の物語は、神に選ばれた者たちを中心に進行するが
    大江健三郎の場合
    「選ばれなかった者たちの語り」としての神話を
    構想していたようである
    例えば「治療塔」のストーリーにそれは明快であるし
    また、そう考えれば
    解体と再構築の作業を読者に強いるがごとき難渋な文体も
    集合的無意識の行なう要領を得ない語りであると
    説明することはできる
    そしてその根底に
    「母」の存在が担保する性善説の世界観があるわけだ

    ただし、そういった方向性は
    ノーベル賞に「選ばれた」ことで骨抜きになったし
    なにより作品として読者を選ぶものだった

    「火をめぐらす鳥」
    若い頃、伊東静雄という詩人に影響を受けた筆者は
    その詩の一節

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    2022年02月04日