大江健三郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
走れよ、走り続けよ!が好きです。後は何というかまあ、いつもどおり。というか。まあすべていつもどおりですが。しかし短編と長編でこれだけイメージが揺るがないというのも珍しいんじゃないかという気がしますよ。どうだか知りませんが。「食べ物をいかにもまずそうに描写する」のが上手ですよねー。コーラと排骨麺って絶対遠慮したい組み合わせだと思う。何か、こういうの上手ね。(意図してやってないとゆー可能性もあるが)作中で異常な程不味そうに描かれていたオックステイルスープは、大江健三郎本人の得意料理らしい。実際おいしいらしい。(大江健三郎にインタビューしたSwitch編集者の弁)
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Posted by ブクログ
遅れてきた青年は、早すぎる未来に復讐を試みるが、やはり早く去りすぎた戦争という過去にはただ憧れるのみで、恨む事は永遠に無いのである。それはひとえに、青年にとっての戦争(過去)が現実に起こった事ではなく、お伽話の空想事と同じ意味合いの存在に過ぎないのであり、それ故にやはり青年は遅れてきた青年なのだ。仮にこの青年が第二次世界大戦の真っ只中に生きた青年であったとしたら、やはり青年は早く来すぎた世界大戦の時代に復讐を誓い、早く去りすぎた過去の戦争いくつかに憧れを覚えたのではないか。青年にとってすべては早すぎる訪れ、或いは早すぎる終焉を持つ出来事なのであり、己を取り巻くすべてのものに対して、己は遅れ続け
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Posted by ブクログ
大江健三郎、23歳の作品。
現状から逃げ出そうとしながら、逃げ出すきっかけが掴めずに鬱々と日々を過ごしている青年が やっとの事で残酷な程怠惰な日常から逃げ出すチャンスを得たところに、思わぬ事件が降りかかり・・・・みたいな。(分かりやすくあらすじ)
見ようによっては飛び立とうと思いながら飛び立てない、臆病な卑怯者の主人公。という側面での理解もそれなりに深く掘り進める事は出来るのだが、この主人公が必要としているのは自ら足を踏み出す馬力と勇気、ではなくて 外側から自分自身を引っ張ってくれるあらがいようのない力 であったのだともまた言えるのではないかと思う。自分自身の意思とは関係無く、自分を引き上げ