大江健三郎のレビュー一覧

  • 空の怪物アグイー

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    大江健三郎はどうやら合わないのか、なんら感動というものは得られなかった。印象に残ったのは本のタイトルにもなっている「空の怪物アグイー」。
    最後の方で、子どもに石を投げられて目に当たるという場面がある。その子どもたちは何を思ったのか、そしてアグイーを思った主人公はどうも落ち着いていて、腑に落ちなかった記憶があった。

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    2014年11月18日
  • 新しい人よ眼ざめよ

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    大江健三郎のブレイクへの傾倒ぶりと、イーヨーが大部分を占める生活がまざまざと。
    イーヨーの弟妹たちは大江健三郎に対してどういう気持ちを抱いているんでしょう。それが気になって仕方ありません。

    それにしてもどうしてこの人は色んなところに責任負わされ続けなきゃならんのでしょう。だんだん辛くなって来た…

    12.02.28

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    2012年02月29日
  • 叫び声

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    「性的人間」に連なっていく、青春の渇きや絶望的な生を描いた、印象的な作品。三人の若者がそれぞれの希望と絶望から生まれる妄想のような日常をそれぞれのやり方で必死に生きる姿は、今も僕らの心の中に眠る憧れのある形なのかもしれない。

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    2012年02月14日
  • われらの時代

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    「戦争が終わったあと、その当時の人々は無条件に喜んで、戦争なんかもう2度とごめんだと思った」と私は思っていた。
    しかしこの本を読んでその考えは間違っていたと思った。
    戦中の教育を受けた人間の中には本作の主人公のように「英雄的に死にたい」と思い、平和になった世の中を「人を殺す機会もない老後までの執行猶予」としてみていた人もいたのかもしれないと気づかされ、愕然とした。「平和=無条件によいもの」という考え方を自分は教育を通して感じていたが、それは一面的なものの見方だったのかもと思った。

    果たしてこの作中には希望が感じられないが、この閉塞感は現代ではなお増幅されている気がする。
    物語として、この内容

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    2012年02月08日
  • 「雨の木」を聴く女たち

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    ネタバレ

    大江健三郎の本は初めて読んだ。

    会話の途切れ目が分からない会話文が特徴だと感じた。
    官能表現を、あえて官能に訴えない直接的な表現にすることで、視覚的な刺激を受けたように感じさせるような手法(であるかどうかは別として)には驚いた。

    レイン・ツリーという共通したメタファーを探る幾つかの物語だが、それぞれの物語に固有のメタファーも存在し、短編としても、長編としても楽しめる作品だと感じた。

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    2012年02月08日
  • われらの時代

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    この時代は、「おれたち」と言える共同意識があったのだろう。
    こんな観念的な自殺を考えて生きられるほどの精神的余裕もあった。
    50年後の今、自殺者数は年間3万人を超えるようになって久しい。
    それも、誰にも助けを求められない中高年が生活苦で死ぬのが大半だろう。
    思想や観念など何もなく、「おれたち」なんて意識は欠片もない孤独に晒されて虚ろに死ぬ。
    そんな死に方(あるいは生き方)は、今後ますます当たり前になっていく。
    そんな時代を生きる僕らの心を、文学にこそ救ってほしい。

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    2012年02月03日
  • 私という小説家の作り方

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    例に出される本や過去の著作について読んでいないものも多かったので、正直何を言っているのかほとんどわからない章もいくつかあった。

    が、最初はひとつであった作者自身と小説の中の「僕」が如何にして切り離されていったのか、その過程について書いた<ナラティヴ(語り口)>についての章は非常に面白い。

    特に作者の文体が一人称から三人称に変化していく過程についての記述は若き大江健三郎がどれほど切実な思いで小説の突端に立ち、道を拓いてきたのかが如実に現れていて胸が熱くなった。

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    2012年01月14日
  • われらの時代

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    戦後の若者を描き出している。物語はストレートで分かりやすい。直接的な表現が自分はあまり得意ではなかった。

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    2011年12月11日
  • 見るまえに跳べ

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    世界の大江だ〜と思って読んだら何かBL?(違)大江さんの書く青少年はギラギラしていて好きです。「下降生活者」が何だか度肝抜かれました。そんな呼びかけられても!

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    2011年11月24日
  • あいまいな日本の私

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    読み終えました・・・




    スピノザを読んで暮らすことの宣言書だったのだろうか、

    歴史を忘れることなかれ、という確認書だったのか。




    偶然にも今日は広島でした・・・




    満足感はあります。やっぱり本はいい。




    井伏鱒二の「山椒魚」が無性に読みたくなった。

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    2011年11月12日
  • 「雨の木」を聴く女たち

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    ハワイ大学のセミナーに出席した著者が、某精神病院で「雨の木」と呼ばれる木と出会う。「雨の木」が暗示する、「人が死にむけて年をとる」という事実を、描く短篇集。

    人の死と、その後に残された者たちの悲嘆を描いている。

    余り前向きなメッセージは伝わってこずに、ただ重苦しい生のアワれというような感情が後に残る。小説としての完成度が非常に高い。

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    2011年10月10日
  • 静かな生活

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    伊丹十三監督が映画化したこともあって読んだ本です。知的障害者であるイーヨーと妹のまあちゃんの日々を綴っています。独特の散文が、なれるまで読みずらかったのを覚えています。しかし、だからといって、稚拙であるとかそういう印象を持つことはありません。こういうのもあるんだ、と感じる種類の独特さでした。イーヨーは大江健三郎さんの息子、大江光さんをモデルにしているようです。

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    2011年07月05日
  • 美しいアナベル・リイ

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    この作品から新しい大江の文体が披露された。アナベル・リィの詩句を巡る着想、意識的な文体の改変に纏わる話、そして女性が中心となって物語世界をドライブさせていく。ここに来て新しい大江を見ることができるなんて!次作「水死」で見事な結実を生む脈動に溢れた作品。

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    2011年06月02日
  • 美しいアナベル・リイ

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    これまでおよそ時系列で大江健三郎の著作を読んできましたが、ピンチランナー調書辺りから主題と言うか、小説を書く目的みたいなものが少しずつ変わってきている気がします。

    前期は人間の虚飾や欺瞞や、ありとあらゆる醜い部分を徹底的にほじくっていますが、後期は虚飾や欺瞞をバイパスに、その先にあるものを書こうとしている様です。
    私は作家としての大江健三郎自身に強い思い入れはなく、単純に作品のみを好んでいます。従って好みの問題で言えば、前期の方が圧倒的に好きです。だいたい作者が30代以前の作品が特に。

    ただし若いころの作品は、若かったから書けたんじゃないかとも思います。
    大江氏の場合、負の部分をほじくるな

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    2011年05月31日
  • みずから我が涙をぬぐいたまう日

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    ミシマの自決に直接的に揺り動かされて、オオエの終生のテーマである天皇制に取り組んだ中篇2作。人生の三分の二、意識のレベルでいうとそれ以上の比重で平成に暮らしてきた個人としては、テーマ自体に共感を持つことはできない。ただ、それ故にかフラットに小説として読むことはでき、この時期のオオエの様々な発想は面白く読める。狂気をその強大な想像力をしてねじ伏せるように世界を構築していくオオエの姿は大変勇ましく、頼もしいのだ。
    また、これを読んでおくと「水死」がさらに面白くなること請け合い(読まなくても面白いよ)

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    2011年05月06日
  • 沖縄ノート

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    2011/4/22『大江健三郎さん勝訴確定 「沖縄ノート」訴訟』というニュースを見て、本書を読みました。沖縄が戦後の米国統治体制の中で日本「本土」から切り離され、沖縄が本土に住む日本人の意識の淵に沈んでいく事を危惧した本・・・そして1972年の沖縄返還まで。自省や複文が入り混じってかなり難解でしたが、大江sanの真のメッセージを考えたいと思います。

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    2012年10月19日
  • 見るまえに跳べ

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     カラマゾフ下巻をよみすすめながらの見る前に跳べとはなにか。全体にながれる、カラマゾフほどに直接的ではないゆがんだ印象、混乱だとか迷走であるとか、どのお話もハッピーなものとはいえない。暗くどんよりした陰湿なムードが好きな人は好みなのかも。中上健次以前の日本近代文学のひとつの傾向なのだろうか。

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    2015年10月11日
  • あいまいな日本の私

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    ネタバレ

    [ 内容 ]
    「私は渡辺一夫のユマニスムの弟子として、小説家である自分の仕事が、言葉によって表現する者と、その受容者とを、個人の、また時代の痛苦からともに恢復させ、それぞれの魂の傷を癒すものとなることをねがっています。」―一九九四年ノーベル文学賞受賞記念講演ほか、全九篇の講演に語られた、深く暖かい思索の原点と現在。

    [ 目次 ]
    あいまいな日本の私
    癒される者
    新しい光の音楽と深まりについて
    「家族のきずな」の両義性
    井伏さんの祈りとリアリズム
    日米の新しい文化関係のために
    北欧で日本文化を語る
    回路を閉じた日本人でなく
    世界文学は日本文学たりうるか?

    [ POP ]


    [ おすすめ度 

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    2011年04月26日
  • 美しいアナベル・リイ

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    大江氏の作品としては標準的。やや消化不良?やはり長編が読みたくなる。
    これを読む前に、「人生の親戚」を読んでおくことで、この変奏を楽しめるはず。
    にしても、単行本時の「臈たしアナベル•リイ 総毛立ちつ身まかりつ」という秀逸なタイトルが変更されてしまったのはなぜたろうか?

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    2011年04月19日
  • われらの狂気を生き延びる道を教えよ

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    3.11以降のこの時代に、この時期の大江を読むことには感慨を覚える。核の時代の孤独と閉塞感は今に通じる感覚があるのではないか。恐怖によってのみ連帯する人々の中で自由とは狂気と同義なのだろうか。
    しかし、詩篇を核とした大江流の私小説が見事に結実し、見事な完成度を誇る作品群である。

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    2011年04月18日