大江健三郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ概要
狂気と自由,作家と障がい者の息子,閉塞的な集落・田舎町などを共通の要素とする3つの短編と2つの中編を収録。1969年発行。
・走れ,走りつづけよ
・核時代の森の隠遁者
・生け贄男は必要か
・狩猟で暮らしたわれらの先祖
・父よ,あなたはどこへ行くのか?
感想
大江健三郎の作品を読むのはほぼ初めて。10年以上も前に初期の作品を読んだ気がするけれど,まったく覚えていない。
正直なところ,難解でよくわからなかった。しかし,よくわからないながらも,つい読み進めてしまう魅力のある中短編集だった。通常,難解な小説というのは読み進めるのが苦痛なのに,この作品はそんなことはなかった。ただし,「父よ -
Posted by ブクログ
もうこれ、たいへんだー。
大江健三郎さんは本当に妥協しない人ですね。
信仰を背負う人を真面目に書くって、もうとんでもなく疲れるはずなのに…
新・ギーおにいが現代のキリストでありブッダであって、でも宗教=インチキの図式も人々の中にある。
宗教や奇跡や祈りなんて曖昧なもの、今時力を持たないんですよね。
原発の方が余程信頼されてしまう。
そういう部分を物語に都合よく誤魔化したりしないで、新・ギーおにいの葛藤をちゃんと言語化して、投石で殺してしまう。
あまりに真っ当過ぎてハラハラ感がなかったのは残念ですが、もうこういう話が書ける作家なんてほとんどいないんだろうなぁ。
12.06.25 -
Posted by ブクログ
「戦争が終わったあと、その当時の人々は無条件に喜んで、戦争なんかもう2度とごめんだと思った」と私は思っていた。
しかしこの本を読んでその考えは間違っていたと思った。
戦中の教育を受けた人間の中には本作の主人公のように「英雄的に死にたい」と思い、平和になった世の中を「人を殺す機会もない老後までの執行猶予」としてみていた人もいたのかもしれないと気づかされ、愕然とした。「平和=無条件によいもの」という考え方を自分は教育を通して感じていたが、それは一面的なものの見方だったのかもと思った。
果たしてこの作中には希望が感じられないが、この閉塞感は現代ではなお増幅されている気がする。
物語として、この内容