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人生の途上で堪えがたい悲しみに直面したとき、人はその事実をいかに受けとめ、その後の人生をどう生き得るのか。肉体に障害を抱えた長男と精神に障害をもつ次男、二人の息子を同時に自殺によって失った女性が、その悲惨を真正面から引き受け、苦しみの果てにたどりついた生の地平は? 魂の癒しを探り、生きることへの励ましに満ちた感動的な長編小説。第一回伊藤整文学賞受賞作。
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Posted by ブクログ
息子二人を自殺で失った女性の半生。 同時期に書かれた「恢復する家族」と共通する表現が多く、筋としても苦難の受容と克服がテーマになっている。 手紙で語らせるスタイルが印象的。 引用はイエーツ、バルザック、フラナリー・オコナー。 ムーサン、サッチャン、アンクル・サム、ミツオなど、相変わらずネーミングセン...続きを読むスが好み。
一度読んだ本は、よっぽど気に入るか、読んだことを忘れていない限りは再読しないのに、 なぜかこの本は3回読んでいる。理解している自信はまったくないにもかかわらず(ノーベル賞で一瞬ブームになったとき、「燃え上がる緑の木」などを買い求めた人々はちゃんと読破できたのであろうか)。 いつも同じシーンでどきっと...続きを読むする。息子ふたりを、あまりにもむごい出来事で同時に失ってしまったまり恵さんが、 「こんなに疲れ果てているのに、死んでしまったら、あの子たちのことを覚えている人間が残らなくなってしまう、だから死ねない」というようなことを話すところ。 愛していたから死にたいのに、愛しているから死ねない。強く過酷な人生の物語。
2人の息子を自殺で亡くした悲しみを正面から迎え入れるための集会での瞑想と、担いなおすためのメキシコの農場での労働を経験するが、それらの場所で救済を媒介するかのようなまり恵の働きとその働きに励まされる周囲の人々のような形で魂の癒しが語られる。 最後には以前の作品でも語られていた小説(を書くこと)の罪が...続きを読む、本作ではまり恵=マリアとしてまり恵の生涯を了解し得るものとして書いたことへの葛藤として書かれている。
大江健三郎さんらしからぬ面白さだ。まり恵さんは「本当の回心」出来たのだろうか?熱望しても叶わなかっただろう。ヤッテも・ヤラなむてもたいしたちがいはない。まり恵さんが瀬戸内寂聴とダブッて凄まじい。
それぞれ知恵と身体に障害を持った兄弟を自殺で亡くした母の生きざまが勇気を与えてくれる。2015.6.6
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