大江健三郎のレビュー一覧
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試し読み
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Posted by ブクログ
一度読んだ本は、よっぽど気に入るか、読んだことを忘れていない限りは再読しないのに、
なぜかこの本は3回読んでいる。理解している自信はまったくないにもかかわらず(ノーベル賞で一瞬ブームになったとき、「燃え上がる緑の木」などを買い求めた人々はちゃんと読破できたのであろうか)。
いつも同じシーンでどきっとする。息子ふたりを、あまりにもむごい出来事で同時に失ってしまったまり恵さんが、
「こんなに疲れ果てているのに、死んでしまったら、あの子たちのことを覚えている人間が残らなくなってしまう、だから死ねない」というようなことを話すところ。
愛していたから死にたいのに、愛しているから死ねない。強く過酷な人生の -
Posted by ブクログ
難物です。本人が全部書いてまた第一章を書き直したというくらいなので、最初から生真面目に読むとそこでもう挫折しそうです(笑)。けれどこれは、全部読み終えたときのその独創性、重量感たるや類をみないものです。初期大江作品が必ずといっていいほど書評にあがるのに対して、この頃以後はあまり語られませんが、万延元年と折り返して向い側にあるような作品ではないかと。大江作品の中では傑作の1つだと信じております。この不可思議で民俗的な世界は、作品の通り、まるで遡行していく旅でもあります。脳髄に。全部読むと第一章に戻りたくなるんですが、ほんっとに最初でかなりの人が挫折するかと思う手強さなもんで(笑)
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Posted by ブクログ
子供の頃から広島や長崎で被爆した方々の手記を読んだり、原爆関連の映画を観たり、祖父から話を聞いたりして当事者が経験した筆舌に尽くし難い苦痛や悲しみに触れることはあった。
当事者ではない人の広島に対する考えや思想に触れてこなかったことにヒロシマ・ノートを読んで初めて気が付いた。
当事者ではないのに(当事者ではないからこそ、かもしれないが)広島の、そして被爆者の内面を言語化していることがただただすごい。
「われわれには《被爆者の同志》であるよりほかに、正気の人間としての生き様がない。」
被爆3世として、核兵器のない世界、戦争のない世界を諦めずに生きていきたいと思う。
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Posted by ブクログ
冒頭がすごく引き込まれる。読み進めていく中でずっと考えていたことは「なんでこんな話おもいついたの?」だった。『個人的な体験』ではそんな思いは微塵もなかった。
凄すぎる人のやっていることは普通の人にはなかなかわかりづらい的な形がこの小説にもあるのかもしれない。難解ではなく話としては内容を辿っていけるし登場人物の会話も分かる。でもそれを全体として見ようとした時理解してない自分がいる。
鷹が兄の妻と不倫して子供まで作った場面、自分は憤慨も憤慨ですがそれでは駄目なのです。おまけにその妻はその子供を生んでやり直そうとか言っるし…そこで憤慨しているようでも駄目なのです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ戦時中に感化院の少年たちが僻村の疎開地で疫病を理由に隔離及び放置される話
いつ疫病が理由で誰が死ぬのだろう、この傷か?
それとも空気感染か?などとずっとハラハラしながら疑り深い目で見ていた
それでいながらたくみに描かれる主人公と無邪気で人懐っこい弟との兄弟愛だったり、情婦の南や、逞しく男らしい朝鮮人である李や、犬の幸福そうなやり取りを見ていると、もしや僕の想像しているようなバッドエンドでは無いのかもしれないなと思えてきた
しかし疫病は犬をつたって村に取り残され主人公と絆を築いていた少女に感染する
そして犬は殺され哀願するような目で見たのに誰も助けてくれなかったことに弟は絶望して失踪
隊から逃 -
Posted by ブクログ
独特な比喩表現や会話や文章で、翻訳された本を読んでいるような気分になったので、どこか情景を思い描くときも日本離れしたイメージがずっと頭の中にあった。
火見子の多元宇宙の話はとても面白かった。なんとなくシュタインズゲートを思い出すような話。
鳥(バード)という一人の青年の心の成長の物語だったと思う。
障害を持った子供が産まれたことで生じた自分のこれからの人生や死などに対する様々な不安や恐怖の心情が丁寧に描かれていた。
障害を持った子供が産まれた父親という立場での振舞いとしてはまじでくそで0点だったけれど、一丁前に医者の言葉に腹が立ったり、恥ずかしくなったり0点の中にも心の葛藤があったんだと思わ -
Posted by ブクログ
火見子とバードの妻という「女」の描き方。
火見子はファムファタール的であるがバードにとってあまりに都合の良い女。バードの妻は名前すら語られない。「赤ちゃん、どうしたかねえ」と呟き、バードに「みすぼらしい溝鼠みたいね」と言う妻。女の存在、立ち位置の描き方へのモヤモヤは、この作品が62年前が故、と一旦頭から追い出す。ここには書いておく。
生々しく、汚らしく、臭い。よくもここまでこのように書けるなと。(それが素晴らしいところ)
読み手は容易に、自分の不具の赤ちゃんの死を望む人間の心境に入っていける。それはそれは気分が悪く吐きそうで、実際にバードが嘔吐するシーンは本気で気持ちが悪くなりそうだった。バ