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小説中の「僕」とは誰か? ジャーナリズムや批評家をアテにせず小説を書いていくには? なぜ多くの引用をするのか? 失敗作はどれか? ――『奇妙な仕事』以来40年に及ぶ小説家生活を経て、いまなお前進を続ける著者が、主要作品の創作過程と小説作法を詳細に語り、作家人生を支えてきた根源の力を初めて明かにする。文学を生きる糧とする読者へ贈る「クリエイティヴな自伝」。
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Posted by ブクログ
幾つかのエッセイを読むと、大江健三郎には自意識過剰なところがあると思う。 彼に影響を与えた詩について語る。 『私という小説家の作り方』というタイトルから想像されるように、大江健三郎自身が、彼の作品について語る。 同時に、ちょっぴり創作の秘密も。 彼の作品においてブレイクが、いかに大きな役割を果たした...続きを読むかが、わかる。 。 芸術家の創作における内面を垣間見れることができる。
作者の文学に対する熱意、動機が伝わる。 「だから私は大江作品を好むのか」と再認識させてくれた書。 大江作品を敬遠していた人にとっても、この本は大江作品に触れるきっかけとなると思う。 何故なら彼は「切実に」作品を書いてきた現存する最後の文学者だと思うからだ。
大江さんをなんと生真面目な作家なのだろうと感じた。 少年期にものの見え方が一度に変わる瞬間を迎えたのは、作家になりなさいとの天からの啓示だったのかもしれませんね。
例に出される本や過去の著作について読んでいないものも多かったので、正直何を言っているのかほとんどわからない章もいくつかあった。 が、最初はひとつであった作者自身と小説の中の「僕」が如何にして切り離されていったのか、その過程について書いた<ナラティヴ(語り口)>についての章は非常に面白い。 特に作...続きを読む者の文体が一人称から三人称に変化していく過程についての記述は若き大江健三郎がどれほど切実な思いで小説の突端に立ち、道を拓いてきたのかが如実に現れていて胸が熱くなった。
想像力とは、「究極のリアリティー…すなわち、われわれが神と呼ぶところのものと接触するための、人間の心理にとって知られている最高の方法である」 「世界は、ひとつにまとめる想像力の力を必要とする。それをもたらしてくれる最良のもの二つが、詩と宗教なのだ。科学はあたえるけれど、破壊しもする。」詩というより自...続きを読む分にとっては小説を中心とする文学の全体と、これという宗教が思い定められないのであれ神秘的なものへの祈念と、その二つを介して、つまり想像力の力において、私もこの世界をひとつにまとめて把握したい。自分が生まれ出てきたこと、そして今まで生きてきたし、現に生きている、そして死んでゆくけれどもその総体が生きることをしなかったと同じということにはならぬような、そのような世界を確信するために。私が小説を書いてきたのは、まさにそれへの希求によってであったし、これからあらためてまた小説を書きたいと思うのも、そのためということをほかにしてはない。あなたは小説家として才能がある、と信じていますか?と聞かれたなら、「あれ」―――日々小説の文章を書きついでゆく精神と肉体の運動が滑走路を準備して、そこから自分にも思いがけない滑空に向けて走ることになり、それまで地続きに展開していた小説が別の次元に到る、それをもたらす力である。「あれ」がやって来てはじめて、私はわれを忘れて集中し小説を書き進めることになり、その高揚したスピードで小説を終らせるのがつねだったのだから。…私が…いいたかったのは、あれがやって来ることがなければ、小説家は自分が小説の書き手だと真に自覚することはできない、と、いうことのみである。 以上、メモ。ローマン主義について詳しく知りたい。ナラティブについての究明など、何年か大江文学や、それ以外の読書を続けた後にもう一度読みたい本。
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