綿矢りさのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
言いたいことを飲み込んで、あとから「ああ言えばよかった」と思う。そんなことがある人に、由依のこの言葉を届けたい。「わきまえません、それがthis is me」。読んでいて、なんとも胸がすきました。
長い不妊治療を経て妊娠した由依が、外見も口調もパンクな「グレた妊婦」へと変貌する。戸惑う夫の視点で描かれる日々は、驚きと笑いの連続です。夫の気持ちもわかるのに、由依には「そのまま言っちゃえ」と思ってしまう。この温度差がたまりません。
奇抜な姿以上に惹かれたのは、言いたいことを遠慮なく言い切るところ。世間の期待に合わせて言葉を丸めない、その勢いが気持ちいい。
突然の変化は、私には「ある日、自分のうまくいく人格に気づいた」ようにも見えました。「この私でやっていける」と気づいた人の弾け方。その読みが、由依を眺める楽しさにつながりました。
「妊婦×エキセントリック」という作者のひらめきも面白い。出産や育児の大変さを感じつつ、読み終えて残ったのは、ただただ「痛快で楽しい!」でした。コスパやダイパを吹き飛ばす、こんな人がいる物語に出会えるのが、うれしいかったです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ要所で出てくる派手なフォント、インパクトのあるキャラクター、勢いのあるコメディの中に、妊活や妊娠出産、子育てに至る深刻で現実的な問題が色濃く滲んでいて、クスクス笑って読んでいたのに急にヒヤッと身につまされる一文が現れる
p.133「そしたらご機嫌取りみたいに、子ども産んだら特典として、金をやる、クーポンをやる、って行ってくるぞな?でもそんなんもらえたら確かに嬉しいけど自尊心は下がっていくんだす!」
世間から産め産めと言われているような圧を感じる度、家畜や物扱いされているように感じてしまう気持ち悪さが、由依のこの言葉を読んで少し消化された気がした -
Posted by ブクログ
ネタバレ愛の思いや考えがとても詩的な文章で書かれていて、こういう気持ちはこういう表現になるのかと感心しながら読みました!とても好きです!
実は綿谷さんの原作とは知らずに当時映画を見ていたので、内容は大体覚えていたのですが、小説でしかできない文章での魅せ方が素敵だなと思った。もちろん、映画は映画で良いんだけどね!
愛がやってることはまさに"狂気"って感じで理解は不能だし、なんで急にそんなことした?みたいな突発的な行動が多いんだけど、本当に心の底から大好きな人がいて、その人に近づきたくてってなった時に、心の中で誰しも狂気的な自分、無鉄砲な自分っているんじゃないかなって思った。私も結構そのタイプだし、、、実際にやるかっていうのはまた別の問題だけど
あんだけ色々しておいて、美幸もそうだし、最後たとえにも受け止めてもらっていてすごいな〜二人とも心広すぎない?というか、愛が二人にそうさせる魅力的な人間なのかな〜? -
Posted by ブクログ
ああなんだか頭が痛い。昔の自分よ、これを読んでしっかりと反省してくれ。書かれていることがわかってしまうのも、ある意味成長かもしれないけれど。私も当時は、主人公のように、なぜ彼氏が生きがいだと言ってはダメなのか分からなかったから。。
二章建てになっていて、文体が変わる。それもなんだか、奈世自身が諦観したというか、絃への重すぎる思いを、自認しながらやめられない、ホラーみたいな気持ちになる。
絃もやばいけどな、いちいち不安になるなよ、さっさと結婚してくれよ、と35歳までに産まないといけない女たちは思ってしまうけれど。
お父さんは、もっと自然にスムーズに結婚するんだと言う。いいなあ、羨ましい。私もそうしたかったのに。
もう少し、頑張れば、仕事よりも何億倍も難しい結婚とやらを、私もできるのかしらん。
などと、冒頭で成長したと書いた自分が、過去の過ちを自認しながら実のところ全然成長できてないことに、なんならそれをぐつぐつ煮詰めている自分に、奈世みたい、と思ったりした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレおもしろかった。
「女」を描いた作品ってやたらと強くなりがちというか、主人公含めあんまり登場人物に共感できないことが多かったけど、収録されてる作品どちらもほどよい棘とほどよい笑いとがあり、気持ちよく読めた。
かわいそうだね?の最後のブチ切れが最高だった。
すんごく嫌なことが起こってるとき、脈絡もないようなことをつらつらと長々と考えてしまったり、合間におふざけを入れないと耐えられなくて不要などうでもいい思考を挟んでみたり、とかめっちゃ身に覚えがあるから、それが文章に表されてることに感動した。
亜美ちゃんは美人も、これ女ならみんな一回は経験したことあるんじゃ?という、周りの注目が自分をスルーしていく感じとか何もかもリアルすぎて、この方は女を描くのがうますぎるなと思った。 -
Posted by ブクログ
こんなに巨大なフォントを小説で初めて見た。かなりイノベーションだなと思った、芸術点高いし一本取られたな。こんなに真面目な悪ふざけは初めてかも。「平気、平気、ヘイキング!」は機会があれば絶対使いたい。電車で爆笑した、こういうふざけた大人になりたかった。私もスパチュラをさっと取り出せる人になりたい。
P163永遠に主役になれない出産育児のステージで、サブとして妻と子どもをサポートする役割を、喜んで引き受ける男なんか、いねえよ!
P231クソッ、クソッ、バカにして、バカにして!青春むだにするほど勉強したのに、働き盛りの繁殖期には全部中断して、産め産めって!そりゃねえだろ!クソッ!ワタイだって、仕事辞めたくなかったよォ!
P257うちに子どもができないせいでなんとなく連絡が遠のいていた彼らとも、流仁の誕生を契機にまた連絡を取り合うようになったのは、少し皮肉な話だ。