綿矢りさのレビュー一覧
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同性同士の恋愛がテーマなのかもしれないが、そこはあまり意識せず読めた。
同性同士故の葛藤は描かれているけれど、自分がリベラルな考えだから気にならなかったのか、綿矢さんの筆力がそう思わせたのだろうか。
同じ経験はなくても、学生特有の心の機微や時代背景は共感するところがあった。
街中で同性同士で手を繋いでいる人たちを見ることが増えたけど、日本人より外国人カップルのほうが多い気がする。(主語が大きいけど)日本人カップルは幼少期に経験した排他的な感覚が、大人になっても残っているのから堂々としづらいのだろうか。
とはいえ、異性カップルが手を繋いでいても何も意識しないのに、同性カップルをみると「あっ」と -
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ネタバレ自分が大好きで、楽しみを見つけるのがうまいメンタル強めな菖蒲。
そんな菖蒲が中国生活を楽しむ姿が面白い。
私も、菖蒲みたいに自分のやりたいことにまっすぐに生きていきたいな。
彼女の我が道を往く生き方に私も憧れる。
コロナ禍の中国のシーンがあって、中国はこんな感じだったんだなと思った。
コロナ禍なのに、新天地で外に出て、自分の好きなことをやる。その結果、コロナに感染する姿を見て、私には菖蒲のような感染が広がってる時に、外に出る勇気はないなぁと思った。
読んですごいスカッとする1冊です!
あまり長い作品ではないので、サクサク読めるので、オススメです! -
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★3つと4つの間。
題名から、もっと激しいものをイメージしていたが、そこまでではなかったかな。それは、世代の違いがあると思う。作者よりほぼ20年前に産まれた私の時代には、もっと激しい愛を扱った作品がいっぱいあったから。というか、作品だけではなく、若者は、少なくとも私は、恋愛至上主義たったから。何よりも大切なものは運命の人を見つける恋愛だった。今風に言えばコスパやタイプ的には割に合わないこと。でも、そんなこと考えもしなかった。そんなに知識も知恵もなかったんだ、昔の若者は。得る知識は知り合いからの口コミか本・雑誌・テレビ・新聞だったからね。 -
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ネタバレ
あったかくて、辛辣で、眩しくて、痛々しくて、それでもやっぱり暖かい作品だった。
"レズ""ホモ"同性愛者を表現する言葉があるけれど
どこか卑下した言い方というか。
異性愛者が正義だと思っている考え方が浮き彫りになる呼び方な気がして、好きじゃなかった。
作中の久乃と綸は同性に恋をした。
周囲の友達が異性に恋をする中で、同性の親友に恋をする。
自分の気持ちに気付いたときは、葛藤や戸惑いの気持ちに押しつぶされたかもしれない。
けれど、お互いがお互いをきちんと見つめて
自分の気持ちに蓋をしないで、気持ちを通わせたところが
すごく暖かくて、煌めいていて眩しか -
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ネタバレ久々の綿矢りさ先生作品!
コロナ禍の人々をテーマにした4つの短編集。
どのお話もクセつよな人たちが登場するのですが、全体的にそれぞれの人物の細かい感情描写が神がかっています。
とは言え、実はざっと一読した時点では、なんだかどれもあと一歩の所で刺さらないなぁと思ってしまいました。
でも、なんで刺さらないのかな?と考えながらパラパラと読み直してみた時に、私気づきました。
認めたくないものの、(敢えて言葉を選ばずに言えば)性悪登場人物たちの気持ちが何故か少しだけ分かってしまうからだーーーーーー!!!
ギリギリの所で100%共感できていないのは、自分の中に残っている理性がまだ機能してくれてい -
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ぐんぐん加速していった下巻。一目会うことさえ叶わなかった7年をはさんで、二人が一度クロスし、そして再び一本のラインとして交わりあっていく様子が、鮮やかに描かれていた。一方がむかし言っていたことをもう一方がずっと覚えていたり、現在と過去がシンクロしたりと、このふたりの長い年月を読者としてずっと追ってきた喜びが感じられた。
一度固く閉ざされてしまった彩夏の心がほぐされていった直接的なきっかけや、逢衣と両親のその後など、はっきりとは書かれていない。納得いかない読者もいるだろうが、現実って実際はこんなものだろうなと、むしろ自然に思われた。なにもすべてにおいて、はっきりした出来事をきっかけに心が動いてい -
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ずっと読んでみたかった一冊。しっとりねっとりした感じを勝手に想像していたが、現代的でスピード感もありぐんぐん読ませる感じだった。お互い彼氏のいた逢衣と彩夏が付き合うようになった経緯もなかなか急なのでびっくりしたけど、それは読者にとってわかりきった展開なのでこれくらいでいいのかも。とはいえ元彼氏の颯と琢磨があまりに物分かりがよすぎて不憫……。
ところどころ文章が荒っぽい感じがするのに引っかかりつつも、先が気になりあっという間に読み終えた。もともと素朴な印象だった逢衣が、彩夏と一緒にいるうちにどんどんあか抜けていくような様子にわくわくした。女性が女性と交わることではじめて得る気づきが丁寧に綴られて -
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中学生で女性同士惹かれ合い付き合った2人が大人になって再開する話。
綿谷りさのレズビアンがテーマの小説といえば「生のみ生のままで」だが、今作は中学生編と大人編で分かれているのが新鮮だった。本の表紙を開いたところにあらすじが書いてあり、中学生時代の2人が引き裂かれることが予告されているので即ネタバレを喰らった。何も知らず読みたかったな。
主人公の久乃と相手の綸の性格が対照的で、どちらかには共感できるようになっているので引き込まれた。中学生時代の話が思ったより長く、早く大人編にならないかなぁ…と思いながら読んだ。
タイトルに「短い命」とあるので早死にしちゃうとか?と邪推したがそういう意味ではなく安 -
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ネタバレ▼メモ
・絃(ゆずる)
▼好きな個所
P136
・この三カ月のあいだ、奈世は常にいなかった。なのに急に、奈世がもう本当に僕から離れてしまっていたのだと実感した。(中略)走るスピードをゆるめずに、道端にあった公衆電話ボックスに入った。走るのに邪魔だから形態は持ってきていない。百円玉を入れ暗記している奈世の携帯電話の番号をプッシュするけれど、つながらなかった。家に帰ったあとも、携帯から何度も何度もかけなおしたけれど、僕の声はどこにも届けられない。
∟同棲してる時は当たり前の環境に、塩対応だったのに、奈世ちゃんの携帯番号覚えてたんだ、内には熱いとこあるじゃん。そして、この人間の変化と一心不乱の時に -
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初版から22年程経っていることを知り、時の流れの速さに愕然としつつ初めて読みました。
長谷川と絹代と、にな川の3人の高校生が、アイドルのライブに行く。出来事はそれぐらいしかない。
高校生活が始まり、少なくとも馴染めているとは言い難い長谷川と友達グループを見つけ活発的な絹代、クラスどころか家族とも馴染めないにな川。
中学とも大学とも違う、狭間の時代。
大人から見ると、不器用が過ぎる2人と、背伸びをしたがる普通の高校生。自己管理はできないが欲情を発散したいと感じていた頃。
私も昔を思い出し、つい当時の後悔と懺悔が頭をもたげそうになる。
当時は史上最年少の芥川賞受賞者ということで、メディアで随分取