灯台へ(新潮文庫)

灯台へ(新潮文庫)

小説・文芸
935円 (税込)

4pt

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「いいですとも。あした、晴れるようならね」スコットランドの小島の別荘で、哲学者ラムジー氏の妻は末息子に約束した。少年はあの夢の塔に行けると胸を躍らせる。そして十年の時が過ぎ、第一次大戦を経て一家は母と子二人を失い、再び別荘に集うのだった――。二日間のできごとを綴ることによって愛の力を描き出し、文学史を永遠に塗り替え、女性作家の地歩をも確立したイギリス文学の傑作。(解説・津村記久子)

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  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 海外小説
  • 出版社
    :
    新潮社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    新潮文庫
  • タイトル
    :
    灯台へ(新潮文庫)
  • タイトルID
    :
    1665076
  • 電子版発売日
    :
    2024年09月30日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    2MB

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灯台へ(新潮文庫) のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    津村記久子さんの『やりなおし世界文学』で知った本。
    作家さんでさえ、どう説明していいか、と戸惑う本。
    なのに、救済感、美しさが感じられる。
    それは読んでみなくては、と思い手にする。

    たしかに、何と言っていいかが難しい作品だった。
    でも、最初の一ページから引き込まれてしまう。

    スコットランドの小島にある、ラムジー家の別荘の、夏のある一日が描かれる。
    ラムジー家の幼い息子、ジェイムズが「影や光の射す一瞬」を結晶化していつまでもとっておけるように、その一日が克明に描かれる。
    最初透明な語り手が状況を語り始めた…と思った次の瞬間に、ラムジー夫人の内言となり、その直後には彼女が注意を向けた人物、例えば夫、ダンズリー、バンクス、そしてリリー・ブリスコウといった人物の内面に移っていく。

    これで読者として混乱しないのかといえば、意外としない(というか、たいして事件が起こるわけでないのであまり困らないのかもしれない)。
    それよりも、次第に浮かび上がってくるラムジー夫人、ラムジー、ブリスコウらの人柄、人生に興味が掻き立てられる。

    特に魅力的だと思ったのがリリー。
    画家として生涯独身を貫き、自らの表現を追究しようとしている。
    大変な美女ではあるが、一世代前の価値観で一直線に行動するラムジー夫人とは相いれなさそうなのに、なぜかリリーは夫人を慕い続ける。
    自分が持っていないものを持っているからなのか。
    十年の後、夫人も世を去り、夫妻の八人の子のうちの二人が早世してしまった後の大きな喪失感を味わいながら、人がそこにたしかにいることで、世界がどれだけ充足していたかを見出だしていく。
    そのリリーの姿は、せつなくて美しかった。

    0
    2026年10月11日

    Posted by ブクログ

    夏休みの自由研究・『灯台へ』和訳読み比べ。鴻巣友季子訳はとにかく読みやすい!巻末の津村記久子の解説が的を得ていて有難い!!

    0
    2026年10月04日

    Posted by ブクログ

    語り手がコロコロ変わるし、彼・彼女らの意識の流れがすべて文章化されて不思議な感じ。ラムジー夫人が孤高の時間に浸るシーンが好きだった。

    0
    2026年09月08日

    Posted by ブクログ

    今まで読んできた小説とは一線を画す技巧を凝らす作品である。物語展開で作品に引き込まれるのでなく、小説の表現方法で心つかまれる体験は初めてかもしれない。

    たった二日間の出来事を登場人物たちの内省を中心に物語を組み立てる手腕はさることながら、ある人の心理描写がいつの間にか他の人の思考に置き換わり、溶け合う。さながら、長尺一本撮りの映画を観ているよう。しかし、読者が触れるのは登場人物たちの発話や表情ではなく、内なる独白なのである。この奇妙な感覚は本作との出会いに感謝せざるを得ない。

    各主要人物たちは総じて魅力的だが、個人的なベストはラムジー。なんといっても女々しい。「同情を強いてくる飽くなき欲望」を体現しながら間近で深いため息をつく姿は、現代の友達いないプライドだけ熟成されたおじさんを想起させる。
    その凝り固まった自尊心が寂しい、の一言を他人に告げることを不可能にする。そんな自分を顧みることなく、不当に扱われているという認識から不機嫌になる。うーん、他人事ではないなと身をつまされる。

    世俗と芸術という主軸をベースに読み進めるのもよいし、私のように卓越した技巧に着目する読み方もできる。どの登場人物に一番共感するかも読者それぞれで異なるだろう。

    しかしどの人物も悩み苦しみ、一時は救われたように見えても、再び同じ孤独や不安に立ち返ってしまう。そのような人生のままならなさが何度となく描かれる。そのやるせなさや寄る辺のない不安を肯定してくれるやさしさが、本書に通底する魅力なのかもしれない。

    0
    2026年06月18日

    Posted by ブクログ

    初バージニア・ウルフ!

    誰の内なる思いなのかを判別するのに戸惑いながら読み進めるうちに、次第にコツが掴めてくる。自分の心中の移りゆく思いと同じ様に捉えるのがミソ。ウルフは、自身の心に浮かぶ感情や思いを、そのまま文章にする事に長けているのだろう。但し、その文章を読む方としては、慣れていないと、ちょっと気色悪いというか、まとまりが無いというか、落ち着かない様に感じてまう。

    0
    2026年05月27日

    Posted by ブクログ

     ラムジー一家とその仲間たちと、一緒に濃密な時間を過ごしている感じで読んだ。
     第二部では、一家のうち3人が亡くなり、荒廃した空き家の様子が描かれている。特に家を切り盛りしていたこの小説の中心人物であるラムジー夫人を失うことは、読んでいる私にも辛かった。
     第三部では、第一部から10年後、家は改修され、残された人達がかつての生活を回想しながら、新たな人生を送っていることがわかる。絵描きのリリーが、自分の描く絵に迷いがあったのに、最後に自分のヴィジョンを発見する所が良かった。
     灯台へと目指す舟で、父と子3人でサンドイッチを食べるシーンも良かった。
     「灯台」とは残された家族の再生の象徴なのかもしれない。
      

    0
    2026年02月22日

    Posted by ブクログ

    まるでなにかに呼ばれたかのように、リリーはあわててカンバスに向き直った。まぎれもなくここにある──自分の絵が。そう、緑や青をふんだんに使い、ラインを縦横に描きこみ、なにかを表現しようとしているものが。

    0
    2026年02月21日

    Posted by ブクログ

    今まで何度か挫折していたものの、コツさえ掴めばすんなりと読めてしまった。
    そしてそれが癖になり、味わったことのない読書体験に様変わりして、物語に囚われてしまう。
    ほとんどどこにも移動していないのに、随分と長く居座ってしまったこの感覚。

    時間感覚や空間感覚までもがこの作品に掌握されてしまい、最後のページを読み終えると同時に「これが物語(小説)の力よ」と心臓を鷲掴みにして、その力の偉大さにひれ伏す。

    0
    2026年02月11日

    Posted by ブクログ

    自分の心が抜け出して、本の中の人物たちに憑依している感覚。
    いろんな人物が出てくるが、不思議とそれぞれに憑依体験ができる。そのせいで、クライマックスでラムジーが息子を一言褒めるシーンでは感無量に。
    人の心の動きをここまで取り出すことに成功している作品は稀有。読んでいて先が気になる!とか、ワクワクするとか、そういう作品ではないけれど、凄いものを見た感覚は残る。

    0
    2026年10月05日

    Posted by ブクログ

    初ヴァージニア・ウルフである。

    イギリスアメリカの本や映画によく引用されたり、名前が上がってくるので、もちろん名前は知っていた。「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない」という映画もあるほどである。

    友人がSNS で勧めているのを見て読んでみた。

    基本は、登場人物たちが何を感じて考えているかの頭の中を文章にしたもの。主人公であるラムジー夫人のものが一番多いが、ラムジー夫人の考えを意識について書いていたかと思うと、次に別な登場人物の意識や考えに変わっていたりする。

    この前読んだ「長い一日」はこれであったかと改めて思った。「意識の流れ」という、20世紀のモダニズム文学の手法であると、何かのレビューで読んだ。

    確かにプルーストの「失われた時を求めて」はこんな感じである。今となっては当たり前と思われる手法が、実はある時代において、新しいものであったということに、まずは驚いた。

    この作品については集中して読んてしまうところと結構読み飛ばすところがあった。主にラムジー夫人が夫について考えてることや別の登場人物であるリリーの思考などが私の興味を引いたようだ。

    そして、私自身の意識や思考や感情も考えてみると、絶え間なく流れている。いろんな新しいことを考えている。ずっとまっすぐに同じことを考えてるのではなく、いろんなことが入ってくる。例えば、仕事で1つの大きいこと考えたとしても、「あ、そういえば昨日の夕ご飯何食べたっけ?」とか「あの人のあの言葉ムカついたんだ」とか、いろんなことをちょいちょい思い出しながら、メインのストリームに戻っていく。メインのストリームがあることもあれば、それすらもなくて、細切れの考えが次から次へと、しりとりのように動いていくこともあるし、全然関係ないものが動いていくこともある。

    これを表現した作品らしい。2章があることによって、意識の流れの羅列に大きなメリハリがつく。

    0
    2026年09月21日

灯台へ(新潮文庫) の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 海外小説
  • 出版社
    :
    新潮社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    新潮文庫
  • タイトル
    :
    灯台へ(新潮文庫)
  • タイトルID
    :
    1665076
  • 電子版発売日
    :
    2024年09月30日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    2MB

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