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『ほんのささやかなこと』著者が描く、ある少女のひと夏 赤ちゃんが生まれるまで、ひと夏の間、親戚の家に預けられた少女。怒らず優しく接してくれる親戚との生活は初めて知る愛に満ちていた。だがこの夏もやがて終わりの時が――映画「コット、はじまりの夏」原作。感情の深みを驚くほど静かに描き出す著者の代表作
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Posted by ブクログ
ちょっと、西の魔女が死んだを思い出した。 子供にとってひと夏という短い時間が、一生の中でどれだけ大切なものになりうるかが、さらっと描かれた文章の中に詰まっている。 楽しいときを留めておけないくらいなら、いっそ素っ気なく振る舞う感じ。 願望や喜びの感情をあえてセーブすることで、避け難い現実からのダメ...続きを読むージを大したことではないかのように、やり過ごす感じ。 そんな子どもならではの心の防衛反応が、あぁ分かるなーと思う。いろいろと思い出す。 だからラストの一言が、ぐっとくるね。 ここは、クレア・キーガンがうまい。実に鮮やか。 映像やセリフでは、この一言に込められた想いの半分も伝えられないのではないだろうか。 文字で、本で読むことで味わえる仕掛けだ。
シェーンの「カムバアアアック!」とか、時かけの「いっっけええええ!」見たいな。 しかしおじさんおばさんいい人すぎて、その反動で、父ちゃん母ちゃん含め周りの市井の人たちがなかなかのイヤな感じだったな。。
短い物語ですぐ終わってしまうので、大切に丁寧に読んでいく。 はじめから、心に響く文章がいくつも登場する。 秘密は恥。 黙っていることは良いことだ。 信じて良い人は見極める。 手をかけて育てる。 丁寧な言葉遣い。 礼儀正しく。 嘘をつかない。 ギャンブルをしない。 噂話をしない。 教養。 子供を亡く...続きを読むした夫婦で、崩壊する話はたくさんあるが、ここでは夫婦のお互いの愛情と優しさで支えあっている。 周りに噂好きの友人達がいても、自分さえしっかりと愛を持って生きていたら、腐らない。 黙っとく。 人生って、苦行ではなく、心のままに愛を感じる素晴らしい日々。 腐ってる人の家は散らかっていて、顔もキツい。 まずは、家の片付けとお手入れ、自分にもお手入れをする。 カズオイシグロの遠い山なみのひかりのラストと通じるものがあると、あとがきにあった。いつか読んでみたい。 想像通りのクレアキーガンの心地いい文章、良い作品でした。 今回もラストが読者に委ねられる。 ラストの父さん。父ちゃんのことを呼ぶことで、自分が成長して変化したことを表している。 実の父親に向かって父さんと呼びかけ、改まった、変化した自分が意見を言う。 また違う解釈が次に読む時に出来るのかもしれない。 またいつか読みたい。 その時に心に刺さる文章や感じ方はまた違っているだろうから。 イライラと日々を過ごすのでは無く、いろんな角度から物事を捉えることをし、大らかに実直に生きていこう。その方が同じ人生でも楽しい。 同じ物事をどれだけ柔軟に捉えられるかで人生の質も変わる。 人生には希望、愛、優しさが溢れている。 酷い人にあうこともあるが、それは一時。酷い人は四六時中、酷い自分と一緒にいなければいけない。私じゃない。どういう毎日を送るかは選択出来る。
クレア・キーガン2冊目。 映画「コット、はじまりの夏」の原作。映画は観てないけど。 ほんのささやかなこと、がとても良かったのでこちらも購入。 アイルランドの子沢山な農家の女の子、わたしがお母さんが赤ちゃんを産んで安定する前までに親戚のおばさん/おじさんに預けられて 愛情を受け、ケアされて成長するお...続きを読む話。 とても切なくて、悲しくて、泣きながら読んだ。 おばさん/おじさんは、子沢山で貧乏な…農家で育ったわたしをケアしてくれる。街に出て綺麗なお洋服を買い、言葉遣いを教え、体を綺麗に洗ってお風呂に入れて。 中盤、おばさん/おじさんには実は子どもがいて、不慮の事故で亡くなってしまったことがわかる。わたしは幼児(7歳くらいなのかな?)、服のサイズからするときっとその子どもの方が少し大きいのかな。 お父さんは、子どもや家族をケアしていないように見える。この作品においては。わたしを預ける時も、むかえにくるよ、など安心させる言葉は言わない。お母さんはきっと、子どものお世話でいっぱいいっぱいなんだろう。 アイルランドでは1980年まで(!?)避妊具やピルが非合法で、中絶も禁じられていたらしい。子どもが労働力として見込まれるということもあり、農家…第一次産業では多産は珍しくなかったらしい。 つまり、お父さんやお母さんは怠惰や愛情不足でわたしのケアをしていないのではない。それが、辛い。社会構造が理由。 そう思うと、ケアしてくれる側のおばさん、おじさんの発言がやや無神経にも思える。お母さん、お父さんは〜をしてくれなかったの?とかね。 物語の中盤で、わたしはおじさんと手を繋いで散歩をし、そのとたんに一度もお父ちゃんに手を繋いでもらったことがないと気がつく。 この感じをを思い出さなくていいように、手を離してくれないかなと、わたしは思う。 この子は家に帰って、日常を過ごしながら、どんな思いでいるんだろうなぁ?と考えてしまった。 おじさん、おばさんによるケアで精神が成長した、心が豊かになったのは確かだろうけど。 待っているのは現実で、続いていくのも現実。 一度得たものをまた得られない(かもしれない)ことで、辛くならないかな。わたしの両親に対して、叶わないwillを抱いて、小石を飲み込むような気持ちになったりしないのかな。そうだといいな。 おばさん、おじさんは? 喪失を抱え続けて生きていくのは、どんな気持ちなんだろう。 淡々とした文章で、かつ描写しすぎないからこそ、想像する余地がある。 近々、再読すると思う。 読みながら、フェアポート・コンヴェンションが1969年にリリースしたアルバム「Unhalfbricking」を聴いていたら 物語の終わりに合わせて、「時の流れを誰が知る?」が流れた。とても良い組み合わせ。 フェアポートはアイルランドじゃなくイギリスのフォークロックだけどね、、、 And I am not alone while my love is near me I know it will be so until it's time to go そしてわたしは、愛する人がそばにいれば孤独じゃない 時が来るまではそれが続くことを知っている この歌詞がぴったりで、なんというか…さらにグッときた。 あとは、サニーデイ・サービスの海岸行き。良い読書体験でした。
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