作品一覧

  • 灯台へ(新潮文庫)
    4.0
    1巻935円 (税込)
    「いいですとも。あした、晴れるようならね」スコットランドの小島の別荘で、哲学者ラムジー氏の妻は末息子に約束した。少年はあの夢の塔に行けると胸を躍らせる。そして十年の時が過ぎ、第一次大戦を経て一家は母と子二人を失い、再び別荘に集うのだった――。二日間のできごとを綴ることによって愛の力を描き出し、文学史を永遠に塗り替え、女性作家の地歩をも確立したイギリス文学の傑作。(解説・津村記久子)
  • 三ギニー
    3.5
    1巻1,232円 (税込)
    教育や職業の場での女性に対する直接的・制度的差別が、戦争と通底する暴力行為であることを明らかにし、戦争なき未来のための姿勢を三ギニーの寄付行為になぞらえ提示する。
  • 青と緑 ヴァージニア・ウルフ短篇集
    3.6
    1巻1,980円 (税込)
    〈 じつに、ウルフ的、もっとも、実験的。〉 イマジズムの詩のような「青と緑」、姪のために書かれたファンタジー「乳母ラグトンのカーテン」、園を行き交う人たちの意識の流れを描いた「キュー植物園」、レズビアニズムを感じさせる「外から見たある女子学寮」など。 短篇は一つ一つが小さな絵のよう。 言葉によって、時間や意識や目の前に現れる事象を点描していく。 21世紀になってますます評価が高まるウルフ短篇小説の珠玉のコレクション。 ――ウルフは自在に表現世界を遊んでいる。 ウルフの短篇小説が読者に伝えるものは緊密さや美や難解さだけではない。おそらくこれまでウルフになかったとされているものもここにはある。 たぶんユーモアが、そして浄福感が、そして生への力強い意志でさえもここにはあるかもしれない。(「解説 ヴァージニア・ウルフについて 」より) 【目次】 ■ラピンとラピノヴァ……Lappin and Lapinova ■青と緑……Blue & Green ■堅固な対象……Solid Objects ■乳母ラグトンのカーテン……Nurse Lugton's Curtain ■サーチライト……The Searchlight ■外から見たある女子学寮……A Woman's College from Outside ■同情……Sympathy ■ボンド通りのダロウェイ夫人……Mrs Dalloway in Bond Street ■幸福……Happiness ■憑かれた家……A Haunted House ■弦楽四重奏団……The String Quartet ■月曜日あるいは火曜日……Monday or Tuesday ■キュー植物園……Kew Gardens ■池の魅力……The Fascination of the Pool ■徴……The Symbol ■壁の染み……The Mark on the Wall ■水辺……The Watering Place ■ミス・Vの不思議な一件……The Mysterious Case of Miss V. ■書かれなかった長篇小説……An Unwritten Novel ■スケッチ  ・電話……The Telephone  ・ホルボーン陸橋……Holborn Viaduct  ・イングランドの発育期……English Youth ■解説 ヴァージニア・ウルフについて——西崎憲 ■年表 ___________________ 《ブックスならんですわる》 20世紀の初頭、繊細にしてオリジナルな小品をコツコツと書きためた作家たちがいます。前の時代に生まれた人たちですが、ふっと気づくと、私たちの隣に腰掛け、いっしょに前を見ています。 やさしくて気高い横顔を眺めていると、自分も先にいくことができる、そんな気がします。いつも傍に置いて、1篇1篇を味わってみてください。 ___________________
  • 波〔新訳版〕
    4.0
    1巻2,750円 (税込)
    遠い太陽の光が海辺の一日に降り注ぎ、生まれては消える波のうねりを情感豊かに描きだす。男女六人の独白が物語るのは、幻想のように過ぎた半生の思い出。くり返す描写と語りが重なるとき、意識が風景に打ち解けていく。ウルフの傑作、四十五年ぶりの新訳!
  • 幕間
    3.0
    1巻1,232円 (税込)
    スターリンがムッソリーニが、ヒトラーが台頭しつつあった頃、イギリス内陸の古い屋敷で上演される野外劇に集った人々──迫り来る戦争の気配と時代の気分を捉えた遺作の新訳。
  • 私ひとりの部屋
    -
    1巻880円 (税込)
    「論文というより、エッセーに近く、エッセー小説風の描写スタイルで、それまで暖めてきたテーマが一気に噴出した、といった強い情熱がひしひしと伝わってくる作品ではあるけれども、そこは熟達した小説家らしく、具象的で、実際的であり、ふんだんに散りばめられた辛辣なジョークに思わず笑いも誘われる。従来の男性優位思考に対する、手厳しい皮肉と嘲笑と諷刺をからめた論詰が、とぼけた表現の随所に潜んでいるので、聞き手の若い女性たちはさぞ胸のすく思いをし、会場に笑いの渦を巻き起こしたに違いない」(エッセイスト高沢英子氏のことば)…講演をもとにしたウルフの女性論。
  • 自分ひとりの部屋
    4.6
    1巻1,056円 (税込)
    「女性が小説を書こうと思うなら、お金と自分ひとりの部屋を持たねばならない」。大英博物館の本棚にはない、ものを書きたかった/書こうとした女性たちの歴史を熱く静かに紡ぐ名随想、新訳登場。
  • 三ギニー――戦争と女性
    4.0
    1巻2,420円 (税込)
    戦争を未然に防ぐために、女性には何ができるか? 貴重な三ギニー貨幣をどこに寄付すればよいのか? ヴィクトリア朝の家父長制の偽善とファシズムのイデオロギーを比較・批判し、反戦の基本的な構想を展開する。女性と文学を扱った『自分だけの部屋』と並ぶ、ウルフの代表的長編エッセイ。

    試し読み

    フォロー
  • 波

    -
    1巻770円 (税込)
    たまたま子供時代を一緒にすごした男3人、女3人からなる7人の人物の、人生行路をなぞる作品。しかし全編が登場人物のモノローグから構成され、それぞれの人物は一緒にいながら、そこには普通の「会話」はない。一人ずつが舞台の前に出てきて、いわば「一人がたり」をおこなう。不思議な時間と空間ができ、不思議な交響楽がいつのまにか鳴り響いてくる。

    試し読み

    フォロー
  • ダロウェイ夫人
    -
    1巻770円 (税込)
    「意識の流れ」の文学の創始者のひとり、ウルフの代表作。一夜の晩餐によばれた人たちのさまざまなその場の意識や思いつきが、重なり合い、呼応し、反発し、とめどなくあらぬ方へと流れ行く…そのさまは、不思議な現実感と虚無感をかもしだす。大澤氏の訳はみごとなまでに流麗である。 アカデミー賞を受けた映画「めぐりあう時間たち」で一躍おおきな話題に!

    試し読み

    フォロー
  • 燈台へ
    -
    1巻770円 (税込)
    とらえたかと思った瞬間に逃げ去る幻影《ヴィジョン》。『燈台へ』の作中人物は、それを追いつづける。それは悲劇であり、哀歌でもあるが、にもかかわらず、明るさと救いが与えられる。「生は、意識をもったその最初から終局に至るまで、われわれをとり巻いている半透明な《かさ》…この定まらぬ、未知の、とらえがたい《スピリット》を書きあらわすことが、小説家の仕事ではないだろうか?」ウルフはこう書いた。

    試し読み

    フォロー

ユーザーレビュー

  • 灯台へ(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    小説の技法?が斬新すぎて少しだけ難解に感じた。
    たった2日間の出来事に細かすぎる情景描写、心理描写、人間関係が詰め込まれていた。

    たいてい小説を読むと、ここが印象に残った!っていうシーンがあるんだけど、本作品にはそういうのがなくて作品全体を通じてぼんやりと印象深く、なんとなく古臭く、自分の子供時代をふわっと思い出すような、なんとも言えない読後感があった。

    小説の翻訳本っていのも初めてだったし、これからも少しずつ色んな作品を手に取って、その良さに触れられるといいな〜

    0
    2025年10月06日
  • 灯台へ(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ジョイスやプルーストと並び称されるモダニズム作家の珠玉の名作。
    第1部と10年後の第3部はラムジー家の夏の別荘でのそれぞれの1日。それを結ぶ第2部は10年という2つの時間を家人が不在の中で語られる個人的な出来事や第一次大戦を交えた短いエピソードの中で深い悲しみとともに濃密に結びつける。
    主人公一家とその知人たちの移り変わる心模様を木々や風、海や芝などと時間の流れに合わせて淡々としながらも豊かに表現された言葉の数々に心が揺り動かされ、いつのまにか心の片隅にじんわりと残る不思議な作品。
    舞台となったスカイ島のスコッチウイスキー、タリスカーとともに愉しんだ一冊。

    0
    2025年09月20日
  • 灯台へ(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    本当に凄い、人生ベストブックの一つ
    なんで凄いのかは言語化するのが難しいけど、結局自分は個人的・私的・内省的な作品が好きなんだなと
    あと「瞬間を永遠にする」という芸術観がめちゃ刺さる
    まだ何回も読み返すだろうな

    0
    2025年09月09日
  • 自分ひとりの部屋

    Posted by ブクログ

    ヴァージニア・ウルフは、わたしの母校で英文科を選択すると、避けて通れない。彼女のエッセンスは、すべての学びのベースになる。
    文学とフェミニズムの変わり目に位置し、当時の試みや思想の体現者ではないかと。
    フェミニズムの台頭と言っても 決して 男女同権のために男性を叩いたということではなく どうやって社会に向き合って自分がどの位置にいるのか 自分は何なのか、どのように生きていくのかということを常に考えて動いて発信した人そのものだと思います
    文学表現においては非常に感覚的で センシティブで難しくてよく分からない部分もありますが このエッセイに関しては非常に冷静でシンプルに書かれていてとても表現が分

    0
    2025年08月23日
  • 自分ひとりの部屋

    Posted by ブクログ

    この内容がほぼ100年前に書かれていた事に驚いていると、ヴァージニアウルフの語る主人公が自室に入る前に立ち止まり、100年後の世界を想像する場面が出てきて、こちらを覗く著者を想像する事ができた。

    また、女性の作家が作品を書く上で、差別に対する怒りを表現する事を、作品を捻じ曲げてしまうとして良しとしない内容の記載については、最近の映画や小説において社会問題を扱うものが多くあるが、それらの表現は捻じ曲げられてしまっているのだろうか?一概にそうは思えないが、今後は作品の内容や表現と根差している問題意識のバランスのようなものを考えながら読んでみたいと思った。

    0
    2025年05月24日

新規会員限定 70%OFFクーポンプレゼント!