ヴァージニア・ウルフのレビュー一覧

  • 青と緑 ヴァージニア・ウルフ短篇集
    代表作「キュー植物園」など20篇を収録した短篇集。


    以前から唱えている〈ヴァージニア・ウルフ=少女漫画説〉が、この短篇集を読んでより自分のなかで強固なものになった。小動物や植物、世間的には取るに足らないとされる小さなものたちにシンパシーを感じ、そこに個人的な象徴や啓示を見いだしていくモチーフの使...続きを読む
  • 自分ひとりの部屋
    女性と小説というテーマを掘り下げ、数世紀にわたる小説を読み解きながら女性と貧困、女性と家事・育児などの目線を交えて語られるフェミニズム批評。

    女性は男性を2倍に写す鏡の役割を務めてきたため、男性たちが優越感を与えてくれる女性を手放さないという第二章には笑ってしまった。ほんとそう。いまでさえ。

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  • 波〔新訳版〕
    男女6人の子供時代から老年期までを、それぞれの登場人物が語り口となって描かれる物語。
    ストーリー性はほとんどないに等しいが、美しい散文詩が降り注ぐかのように次々に現れて、読んでいてとても心地が良かった。個人的には間違いなく今年読んだ中でトップ3に入る作品。
  • 自分ひとりの部屋
    女性が小説を書くためには、「年収500ポンドと自分ひとりの部屋」を持たねばならない、という主張をどう受け止めたらよいか、終始迷いながら読み終えました。
    訳者の解説によれば、年収500ポンドはおよそ年収500万円と読みかえて差し支えないらしい。

    年収500万円相当の労働とは、どんな仕事であれかなりの...続きを読む
  • 三ギニー
     「戦争を阻止するためにはどうしたらよいか?」と問う手紙に対し、〈教育のある男性の娘〉という立場から回答する体裁のエッセイ。どうやら『自分ひとりの部屋』の続編に当たるらしいが、わたしはそれを未読の状態で読み始め、そんなことを気にせず読み終えた。
     著者は手紙の問いに、小説や詩歌、伝記、統計情報を参照...続きを読む
  • 波〔新訳版〕
    全体を通して詩的、抽象的、暗示的な言葉が溢れているので、一度読んだだけでは細部までは到底理解できない。
    まずは「6人のうち誰に一番共感出来るだろう」などと考えながら最後まで筋を追ってみた。
    寄せては返す波のように、6人の感情の揺れ動きが非常に印象深い。羨望と軽蔑、愛情と憎しみ、一体感と疎外感。
    親し...続きを読む
  • 自分ひとりの部屋
    この先の人生で何度も読み返すことになると思う

    「文学の中で男性が女性の恋人としてしか表象されず、他の男性の友人ということもなければ、兵士でも、思想家や夢想家でもないとしたらどうでしょう?……文学は甚大な損害を受けることになります」
    こんな簡単な理屈でさえ信じ続けることは難しい、部屋でひとり、自分は...続きを読む
  • 波〔新訳版〕
    台詞がト書きのような具合で延々続き、台詞だけで物語が展開していく。劇=詩《プレイ・ポエム》の極地ここに極まれり。
  • 自分ひとりの部屋
    女性であることの意味、男性と女性が同じフィールドで戦っているという意識はいらないのではないか。
    セクハラなどと短くして軽く扱うな。
    余裕があれば女性は上手く生きていけるのか、それとも最低限の余裕にプラスする必要があるのではないか。
    性別よりもその人が何をでき、何を乗り越えてきたのか。能力主義からの脱...続きを読む
  • 自分ひとりの部屋
    面白かった。
    過去の女性たちがいかに創作の世界から、貧困と社会の圧を理由に排除されてきたかのかの話。
    自分ひとりで金を稼げないと家からは抜け出せないし、そうしないと自分の執筆や思索に集中するための邪魔されない部屋も持てないから、お金は大事なのだろう。
    成功している男性作家が基本裕福で学びに触れる機会...続きを読む
  • 自分ひとりの部屋
    「女性が小説を書くだって」
    「ナンセンス、書けるわけがない」
    という会話が普通だった時代がある。そんな時代の中でも先人を切る方々がいたおかげで、徐々に女性が創作活動にも携われることが可能になってきた。
    本書が出版されたのが1929年、著者であるヴァージニア・ウルフさんがケンブリッジ大学で行った2回の...続きを読む
  • 自分ひとりの部屋
    なんだろう、頭に全然入ってこない

    お金と自分ひとりの部屋が必要

    これは、今の日本となってはそんなもの男ももってないよ、と思う

    でも、日本語訳がよくないのか?言葉が頭に馴染まなかった

    三章の終わり、シェイクスピアの作品には、本人を見出させるような歪みがない、というようなことが書いてあったけど、...続きを読む
  • 自分ひとりの部屋
    なんか気難しそうで(失礼)敬遠していたウルフだけど、ユーモア精神のある素晴らしい講演だと思う。小説の「誠実さ」についてということが心に残った。しかし私はシャーロット・ブロンテのことは少し擁護したくなった。「私が私であること」のなかには、憤懣も、責任感もあって、それがシャーロット自身であったのなら、そ...続きを読む
  • 自分ひとりの部屋
    2019.7.3
    1920年代と今の日本、百年経ったけどそんなに変わってないですよ、と彼女に伝えたい 言いたいことは言えるけど、その発言にいまだあまりちからはないよ 45歳で最も評論や作るものに脂がのるって考えると、物を書くというのはとても息が長く素晴らしい職業 あまりにもすばらしい文章なので思わず...続きを読む
  • 自分ひとりの部屋
    読みながらたくさんメモをとった。女性として生きる上でも、文章を書く上でも、心に刻んでおきたい言葉であふれていたから。シェイクスピアの妹は今でもわたしたちのなかにいる。〈現実〉を見据えて生きたい。暮らしていけるだけの自分のお金を得て、鍵のかかる自分ひとりの部屋で。
  • 三ギニー――戦争と女性
    【三つの役割、一つの目的】戦争を防ぐためという目的で、とある「教養ある男性」から「私」に対して手助けが要請された。手持ちの三ギニー(注:かつてイギリスで使われていた貨幣単位の一つ)をどのように平和のために用いようかと考えた「私」は、寄付を三つの異なる相手に対して申し出るのだが......。著者は、『...続きを読む
  • 自分ひとりの部屋
    フェミニズム古典。非常に読みやすく示唆に富んでいる。
    「私が簡単に飾らずに申し上げたいのは、何よりも自分自身でいることの方がはるかに大事だということです。他のひとたちに影響を与えようなどと夢見るのは止めてください。」人生の箴言
  • 自分ひとりの部屋
    女性論、文学論として忘れたくない一冊。
    5章までは意識の流れ的に思索の過程がつづられ、6章でまとめての見解が述べられる。

    著者はすぐれた精神は両性具有であること、そして人の心に伝わり、人の色々な想念を生み出し、色々な能力を呼び覚ます文学(精神の系譜?)には、精神の男性的部分と女性部分の共同作業がか...続きを読む
  • 自分ひとりの部屋
    個人的なことは政治的なこと
    この見たことあるスローガンに繋がるウルフのこの本(訳者あとがきで知った)、語り口が柔らかくわかりやすいのでかなり読みやすかった。読めてないウルフあと『船出』くらいかな…久しぶりに小説も読みたくなった。

    やる気がどうしようもないときにまた読み直したい。
  • 自分ひとりの部屋
    当時の方にしては先進的な考えだとは思うんだけど、結局男女二元論の中で生きた人のご意見だなあと斜に構えてしまった。
    でも経済格差の低い方は教育格差を乗り越えられないし、教育格差の低い方から詩人は生まれない、というのは目を背けちゃいけない、なおかつ変えてかなければならない事実だよな、とも思う。
    それに、...続きを読む