ヴァージニア・ウルフのレビュー一覧

  • 三ギニー
    「どうしたら戦争を阻止できるか?」という男性からの質問の手紙に対し、いち女性として返信するという体裁で綴られた、戦争と女性をめぐるエッセイ。

    戦争は男性が引き起こすもの、そして戦争を防ぐには女性の教育と自立が必要だと説くウルフの筆致からは、男性社会において貶められてきた女性たちの歴史と、戦火が迫り...続きを読む
  • 波〔新訳版〕
    独特な文体でしたが、とても新鮮な読書体験ができました。綺麗な小川の流れを見ているような気持ちで読みました。内容は少々難解で分からない部分も多かったのですが、雰囲気の勢いに任せて味わいました。間に挟まれる1日の時間の描写が素敵でした。
  • 青と緑 ヴァージニア・ウルフ短篇集
    もちろん後からの私たちは、彼女の最期を知っていて読むわけで、つい儚さとか弱さとか繊細さとか脆さとか…をイメージしながら読んでしまうのだけれど、意外にもしっかりとした強さをも感じる。
  • 波〔新訳版〕
    パフォーミングアーツを鑑賞しているような感覚だった。タイトル通り、誰かの語りに別の誰かの語りが(場合によっては同じ人の語りが)打ち寄せては消えていく。感情を揺さぶるでも、答えにたどり着くでもない、こんな読書体験があるのかと読み終わって震えた。
  • 波〔新訳版〕
    ちゃんと入ってきていない。
    詩に触れてこなったし(散文とは言え詩的な受容体を要する気がする)、読むのに早すぎたか遅かったかもしれない。味わいはまだ。うっすら。これが円だとすれば、接線にぶつかれば円に入っていけるのに、まだ平行線、とでも言おうか。
    感性で読みたいのに邪魔が入ってきてしまう。本の読み方、...続きを読む
  • 自分ひとりの部屋

    読むべくして読めた気がするし、また月日が経って読むときはもっと深く感銘を受けると思う。
    ひとりの人間が考えたいこと、想いたいこと、それらはどんな人であっても簡単に手放したり、奪われたりするべきものではない。
    ひとりの部屋とお金、それは実際に必要なものであり、また心の中にひとつあるべき、生命力を絶や...続きを読む
  • 自分ひとりの部屋
    まずは、ヴァージニア・ウルフを読んだ私に大満足。タイトルにも魅かれた。
    多様性が叫ばれる今。
    1928年に書かれたこの本。
    100年近くが経過しているのにもかかわらず、年500ポンドと自分ひとりの部屋を持てない女性は多い。そんな中で、とにもかくにも少なくとも自分ひとりの部屋でワインを飲むことができて...続きを読む
  • 自分ひとりの部屋
    1928年にケンブリッジ大学の女子カレッジで行なわれた講演をベースにした、フェミニズム批評の古典的作品。「意識の流れ」による叙述のため、読み取りにくい部分もあるが、訳注と解説が充実していてとても助かる。

    「自分ひとりの部屋」というタイトルは、女性が小説を書こうと思うなら、生活にゆとりのあるだけのお...続きを読む
  • 自分ひとりの部屋
     本書の内容を簡潔に紹介するならば、女性の文学との関わりの歴史を辿りながら、女性の地位向上のために、ウルフがその考えるところを、特に同性である女性に向けて、あるときは率直に、あるところでは文学的な虚構を混じえて、語りかけたものである。

     女性が小説や詩を書こうとするならば、〈年収500ポンド〉と、...続きを読む
  • 自分ひとりの部屋
    ボーヴォワール『第二の性』よりずっと穏やか、ミシュレの『魔女』よりずっと身近。気さくな女友達と言った感じの文章が快い。
  • 波〔新訳版〕
    SNSでおしゃれに紹介されていて、憧れを持って手に入れて、読み出してびっくり!難しいというか、流れが、意味が頭に入って来ない…最初の20ページほどで中断し、数ヶ月。それでも何とか再開し読み進めるうちに、(ああ、タイトルの波とは、この波のように寄せては返すような文章の構成のことを言うんだな…)と理解し...続きを読む
  • 青と緑 ヴァージニア・ウルフ短篇集
    絶版のちくま文庫版と収録作品はほぼ同じ。以前読んだとき同様、やはり「キュー植物園」の完成度がとびぬけてすばらしい。園を行き交う人びとが、ありえたかもしれない過去に思いをよせたり、でもいま手にしているこの現実でよかったんだと思いなおしたりする意識の流れが、花々や蝸牛の描写をおりまぜつつ見事に点描されて...続きを読む
  • 波〔新訳版〕
    同窓の男女6人の人生が彼らの独白オンリーで綴られているんだけど、あまりに詩的で繊細、内面的に描かれていてはっきりした筋を追うような作りにはなっていない。ところどころで海辺の夜明けから日没までの美しい風景描写が挿入されて、人生のうつろいと重なり合う。読み始めは素敵だなあと思ったものの、ずーっと同じ調子...続きを読む
  • 波〔新訳版〕
    ほんとにね、寄せては返す波のようだよね、文章が。なんだか主体の境界線が溶け合ってしまって誰ともいつとも定かでないような感じがして、『きことわ』がこれの何かを受けているのかなとちょっと思いました。
  • 幕間
    もう一度読まねば。味がよく分からん。そんなふうに読んでしまった。読書の仕方を改めねば。

    モンゴメリ、クリスティー、ウルフ。戦争が否応なしに入り込む。
  • 三ギニー――戦争と女性
    1938年出版のウルフの長編エッセイ。

    ヒットラーやムッソリーニなど全体主義の台頭、そして戦争の足音が近くなかでの戦争と女性の関係について論じている。

    が、視点は、国際政治というより、イギリス国内、中産階級的な世界のなかにおける男女差別、家父長制の偽善というところにフォーカスされている。

    そし...続きを読む
  • 三ギニー
    教養の深い作者がいろんな種類のオブラートやサランラップで包んでこてこて執筆してらっしゃるが、どうやら「あんたら男どもが好き勝手やって腐敗したこの社会において、女性を家に閉じ込めといて、自ら稼ぐすべを無くした上で、施設を改築する寄付をしろ、ですってえ?勝手に戦争始めといて、戦争を止めるにはどうしたらい...続きを読む
  • 自分ひとりの部屋
    すべての人の日々のちょっとした心がけとかそういう程度のいろいろの積み重ねでしか変化しないことだし、最終的にそういうちょっとした勇気というところにまとまっていて、やっぱり無力なんだよなと思いました