ヴァージニア・ウルフのレビュー一覧
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女性であることの意味、男性と女性が同じフィールドで戦っているという意識はいらないのではないか。
セクハラなどと短くして軽く扱うな。
余裕があれば女性は上手く生きていけるのか、それとも最低限の余裕にプラスする必要があるのではないか。
性別よりもその人が何をでき、何を乗り越えてきたのか。能力主義からの脱却に最後は陥ってしまう?
アナザードリンクはやはり、女性からのあらゆる押さえつけを受ける男性性の優勢感の爆発だったのではないか。
女性の劣等性ではなく、男性の優勢性の維持が原因。
美味しく食べていなければ、うまく考えることも、上手く愛することも、うまく眠ることもできない。
ある人になりきった視点はお -
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面白かった。
過去の女性たちがいかに創作の世界から、貧困と社会の圧を理由に排除されてきたかのかの話。
自分ひとりで金を稼げないと家からは抜け出せないし、そうしないと自分の執筆や思索に集中するための邪魔されない部屋も持てないから、お金は大事なのだろう。
成功している男性作家が基本裕福で学びに触れる機会がある。でもその一部の人しか創作の機会にありつけないのは、国や世界にとって大きな損失だ。という主張だった。
この本を読んで、J・K・ローリングが生活保護を受けてそのお金で生活しながら物語を執筆していたという話を思い出した。それを許す環境があったからこそハリポタが生まれたのであって、だから、福祉という -
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「女性が小説を書くだって」
「ナンセンス、書けるわけがない」
という会話が普通だった時代がある。そんな時代の中でも先人を切る方々がいたおかげで、徐々に女性が創作活動にも携われることが可能になってきた。
本書が出版されたのが1929年、著者であるヴァージニア・ウルフさんがケンブリッジ大学で行った2回の講演をもとにした作品。当時、男女平等の参政権が認められて、しばらくたったころ。現代社会から見つめると、男女の収入格差が明確にあり、社会的地位も男女で差がある時代といえる。
女性が小説や詩を書くことが、まだ常識とは言えない時代に創作された古典的作品があるということを認識できたこと。そして、それらの作品 -
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【三つの役割、一つの目的】戦争を防ぐためという目的で、とある「教養ある男性」から「私」に対して手助けが要請された。手持ちの三ギニー(注:かつてイギリスで使われていた貨幣単位の一つ)をどのように平和のために用いようかと考えた「私」は、寄付を三つの異なる相手に対して申し出るのだが......。著者は、『夜と昼』や『波』などで知られるヴァージニア・ウルフ。訳者は、本作以外にも複数のヴァージニア・ウルフの作品を訳出されている出淵敬子。本題は、『Three Guineas』。
月並な言い方になってしまいますが、いろいろと考えさせられることの多い作品でした。書簡による返答という形式をとっていることから -
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女性論、文学論として忘れたくない一冊。
5章までは意識の流れ的に思索の過程がつづられ、6章でまとめての見解が述べられる。
著者はすぐれた精神は両性具有であること、そして人の心に伝わり、人の色々な想念を生み出し、色々な能力を呼び覚ます文学(精神の系譜?)には、精神の男性的部分と女性部分の共同作業がかかせない、と述べる。
作家とは〈現実〉を見据え、収集して読者に提示する方法を主にとるので、女性も収入を持ち、自分の部屋を持って〈現実〉を見据えるように。作家でなくても〈現実〉は人生を活力あるものにする、と述べる。ウルフ自身は親戚からの遺産収入があった。
個々人の生でなく女性全体の生を考えるなら、 -
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ネタバレ文学史に燦然と輝く、モダニズム文学の傑作。
本当に読んでよかった。
第一部では、主にラムジー夫人の視点から、孤島の別荘を取り巻く人間模様と夫人の思考(意識の流れ)をひたすらに描写し続ける。描かれるのはたった1日なのに、情景と思考の記述が膨大で、この時点で文字どおり「実写化不可能」な作品だと思い知らされる。
1920年代に書かれた作品にも関わらず、男性像と女性像に対して赤裸々な描写が見られ、フェミニズム文学としても記念碑的作品だと言える。
読み始めてしばらくは面白さが全然わからなかったものの、チャプター17の全員での会食から突然面白くなった。ここで描かれる人物像がとても丁寧で、「どこかが残念な -
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意識の流れ文学というジャンルがあることを知らず読み始めたので20ページくらいまでは全然内容が入ってこず、挫折しそうになった。あまりにも難しくてネットで調べて、予備知識を入れてから読み始めるとかなり読みやすくなった。
語り手の内面描写(心情、回想、幻想)がグラデーションのように滑らかに描かれ、あえて語り手が判然としない文章がはさまったり、いつのまにか語り手が変わっていたり、斬新な比喩が出てきたり、集中して読まないと話がわからなくなってくるが、集中して読んでいるとどんどん話に引き込まれて、読むのがやめられなくなる。
普段、自分の思考の流れを意識したことはないが、何かを考えているときに他に意識がそ