【感想・ネタバレ】波〔新訳版〕のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

男女6人の子供時代から老年期までを、それぞれの登場人物が語り口となって描かれる物語。
ストーリー性はほとんどないに等しいが、美しい散文詩が降り注ぐかのように次々に現れて、読んでいてとても心地が良かった。個人的には間違いなく今年読んだ中でトップ3に入る作品。

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2023年08月02日

Posted by ブクログ

全体を通して詩的、抽象的、暗示的な言葉が溢れているので、一度読んだだけでは細部までは到底理解できない。
まずは「6人のうち誰に一番共感出来るだろう」などと考えながら最後まで筋を追ってみた。
寄せては返す波のように、6人の感情の揺れ動きが非常に印象深い。羨望と軽蔑、愛情と憎しみ、一体感と疎外感。
親しい人物に抱く、相反するが並立する感情が、難解だが美しい表現で綴られている。
訳者の解説にもある通り、6人にはウルフの多面的な部分が投影されているようだ。

また、バーナードが自分に言い聞かせるように繰り返す、「月曜日のあとには火曜日が来て、また水曜日が続くのです」という言葉。仕事を持ち、家族を持ち、家を持ち、一見すると豊かで楽しい人生を送っていても、どうしても埋められない虚しさと物足りなさがある。しかし、次の瞬間には、折り合いをつけてやっぱり楽しく人生を謳歌しようではないかと、前を向く。
このバーナードの気持ちが一番共感出来たかもしれない。人間の本質的な感情をよく表していると思った。

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2022年02月06日

Posted by ブクログ

台詞がト書きのような具合で延々続き、台詞だけで物語が展開していく。劇=詩《プレイ・ポエム》の極地ここに極まれり。

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2021年11月11日

Posted by ブクログ

独特な文体でしたが、とても新鮮な読書体験ができました。綺麗な小川の流れを見ているような気持ちで読みました。内容は少々難解で分からない部分も多かったのですが、雰囲気の勢いに任せて味わいました。間に挟まれる1日の時間の描写が素敵でした。

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2022年03月05日

Posted by ブクログ

パフォーミングアーツを鑑賞しているような感覚だった。タイトル通り、誰かの語りに別の誰かの語りが(場合によっては同じ人の語りが)打ち寄せては消えていく。感情を揺さぶるでも、答えにたどり着くでもない、こんな読書体験があるのかと読み終わって震えた。

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2021年09月10日

Posted by ブクログ

ちゃんと入ってきていない。
詩に触れてこなったし(散文とは言え詩的な受容体を要する気がする)、読むのに早すぎたか遅かったかもしれない。味わいはまだ。うっすら。これが円だとすれば、接線にぶつかれば円に入っていけるのに、まだ平行線、とでも言おうか。
感性で読みたいのに邪魔が入ってきてしまう。本の読み方、意識の仕方をやっぱり鍛えないとな、と思った。

美しい本だと思う。
繰り返されるフレーズ。
青灰色の装丁、よくぞ選んでくれた。

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2021年07月06日

Posted by ブクログ

SNSでおしゃれに紹介されていて、憧れを持って手に入れて、読み出してびっくり!難しいというか、流れが、意味が頭に入って来ない…最初の20ページほどで中断し、数ヶ月。それでも何とか再開し読み進めるうちに、(ああ、タイトルの波とは、この波のように寄せては返すような文章の構成のことを言うんだな…)と理解してから何とか最後まで辿り着きました。訳者あとがきに著者ウルフのご主人が「一般の読者には最初の100ページは難解すぎるだろう」とおっしゃったとあり、私は心の内で「それな!」と叫びました(笑)私が特別読解力がないわけではなかったのだ…と安堵しました。というわけで、内容についての感想はあと2回くらい読まないと書けそうにありません。頑張ります(拳)

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2023年12月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

同窓の男女6人の人生が彼らの独白オンリーで綴られているんだけど、あまりに詩的で繊細、内面的に描かれていてはっきりした筋を追うような作りにはなっていない。ところどころで海辺の夜明けから日没までの美しい風景描写が挿入されて、人生のうつろいと重なり合う。読み始めは素敵だなあと思ったものの、ずーっと同じ調子にあいまいで装飾が多い文章なので疲れてしまった。飴玉をなめるみたいにゆっくりゆっくり読む本だと思う(そうしなかった私に非がある)。一番好感度高かったのはロウダ。最後に自殺したことが明かされるけど、そうなっちゃうよねえ、と思わされる。
全体を通して精神しか書かれないので、中盤で皆の精神が溶け合い、一つになったかのように感じられるシーンも自然と入ってきた。自分たちは6人の個別の存在ではなく、一つなのだとバーナードは言う。そもそも最初から、彼らの独白は会話しているわけでもないのにお互いに答えあっている。でも、ゆるくつながった独白で進めるという書き方がその焦点に特化しすぎていて、感動的というよりは、そういう風に書いてあるからそうなるよな、という感想が勝った気がする。

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2022年09月04日

Posted by ブクログ

ほんとにね、寄せては返す波のようだよね、文章が。なんだか主体の境界線が溶け合ってしまって誰ともいつとも定かでないような感じがして、『きことわ』がこれの何かを受けているのかなとちょっと思いました。

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2021年07月07日

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