【感想・ネタバレ】波〔新訳版〕のレビュー

あらすじ

遠い太陽の光が海辺の一日に降り注ぎ、生まれては消える波のうねりを情感豊かに描きだす。男女六人の独白が物語るのは、幻想のように過ぎた半生の思い出。くり返す描写と語りが重なるとき、意識が風景に打ち解けていく。ウルフの傑作、四十五年ぶりの新訳!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

同窓の男女6人の人生が彼らの独白オンリーで綴られているんだけど、あまりに詩的で繊細、内面的に描かれていてはっきりした筋を追うような作りにはなっていない。ところどころで海辺の夜明けから日没までの美しい風景描写が挿入されて、人生のうつろいと重なり合う。読み始めは素敵だなあと思ったものの、ずーっと同じ調子にあいまいで装飾が多い文章なので疲れてしまった。飴玉をなめるみたいにゆっくりゆっくり読む本だと思う(そうしなかった私に非がある)。一番好感度高かったのはロウダ。最後に自殺したことが明かされるけど、そうなっちゃうよねえ、と思わされる。
全体を通して精神しか書かれないので、中盤で皆の精神が溶け合い、一つになったかのように感じられるシーンも自然と入ってきた。自分たちは6人の個別の存在ではなく、一つなのだとバーナードは言う。そもそも最初から、彼らの独白は会話しているわけでもないのにお互いに答えあっている。でも、ゆるくつながった独白で進めるという書き方がその焦点に特化しすぎていて、感動的というよりは、そういう風に書いてあるからそうなるよな、という感想が勝った気がする。

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2022年09月04日

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