【感想・ネタバレ】灯台へ(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

「いいですとも。あした、晴れるようならね」スコットランドの小島の別荘で、哲学者ラムジー氏の妻は末息子に約束した。少年はあの夢の塔に行けると胸を躍らせる。そして十年の時が過ぎ、第一次大戦を経て一家は母と子二人を失い、再び別荘に集うのだった――。二日間のできごとを綴ることによって愛の力を描き出し、文学史を永遠に塗り替え、女性作家の地歩をも確立したイギリス文学の傑作。(解説・津村記久子)

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

今まで読んできた小説とは一線を画す技巧を凝らす作品である。物語展開で作品に引き込まれるのでなく、小説の表現方法で心つかまれる体験は初めてかもしれない。

たった二日間の出来事を登場人物たちの内省を中心に物語を組み立てる手腕はさることながら、ある人の心理描写がいつの間にか他の人の思考に置き換わり、溶け合う。さながら、長尺一本撮りの映画を観ているよう。しかし、読者が触れるのは登場人物たちの発話や表情ではなく、内なる独白なのである。この奇妙な感覚は本作との出会いに感謝せざるを得ない。

各主要人物たちは総じて魅力的だが、個人的なベストはラムジー。なんといっても女々しい。「同情を強いてくる飽くなき欲望」を体現しながら間近で深いため息をつく姿は、現代の友達いないプライドだけ熟成されたおじさんを想起させる。
その凝り固まった自尊心が寂しい、の一言を他人に告げることを不可能にする。そんな自分を顧みることなく、不当に扱われているという認識から不機嫌になる。うーん、他人事ではないなと身をつまされる。

世俗と芸術という主軸をベースに読み進めるのもよいし、私のように卓越した技巧に着目する読み方もできる。どの登場人物に一番共感するかも読者それぞれで異なるだろう。

しかしどの人物も悩み苦しみ、一時は救われたように見えても、再び同じ孤独や不安に立ち返ってしまう。そのような人生のままならなさが何度となく描かれる。そのやるせなさや寄る辺のない不安を肯定してくれるやさしさが、本書に通底する魅力なのかもしれない。

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2026年06月18日

Posted by ブクログ

初バージニア・ウルフ!

誰の内なる思いなのかを判別するのに戸惑いながら読み進めるうちに、次第にコツが掴めてくる。自分の心中の移りゆく思いと同じ様に捉えるのがミソ。ウルフは、自身の心に浮かぶ感情や思いを、そのまま文章にする事に長けているのだろう。但し、その文章を読む方としては、慣れていないと、ちょっと気色悪いというか、まとまりが無いというか、落ち着かない様に感じてまう。

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2026年05月27日

Posted by ブクログ

 ラムジー一家とその仲間たちと、一緒に濃密な時間を過ごしている感じで読んだ。
 第二部では、一家のうち3人が亡くなり、荒廃した空き家の様子が描かれている。特に家を切り盛りしていたこの小説の中心人物であるラムジー夫人を失うことは、読んでいる私にも辛かった。
 第三部では、第一部から10年後、家は改修され、残された人達がかつての生活を回想しながら、新たな人生を送っていることがわかる。絵描きのリリーが、自分の描く絵に迷いがあったのに、最後に自分のヴィジョンを発見する所が良かった。
 灯台へと目指す舟で、父と子3人でサンドイッチを食べるシーンも良かった。
 「灯台」とは残された家族の再生の象徴なのかもしれない。
  

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2026年02月22日

Posted by ブクログ

まるでなにかに呼ばれたかのように、リリーはあわててカンバスに向き直った。まぎれもなくここにある──自分の絵が。そう、緑や青をふんだんに使い、ラインを縦横に描きこみ、なにかを表現しようとしているものが。

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2026年02月21日

Posted by ブクログ

今まで何度か挫折していたものの、コツさえ掴めばすんなりと読めてしまった。
そしてそれが癖になり、味わったことのない読書体験に様変わりして、物語に囚われてしまう。
ほとんどどこにも移動していないのに、随分と長く居座ってしまったこの感覚。

時間感覚や空間感覚までもがこの作品に掌握されてしまい、最後のページを読み終えると同時に「これが物語(小説)の力よ」と心臓を鷲掴みにして、その力の偉大さにひれ伏す。

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2026年02月11日

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十年の歳月を挟んで切り取られたある二日の情景。密度濃く描かれる一瞬一瞬の連なり、その思索や夢想が各人の中に降り積もり、人生を織り上げる。記憶は結晶のように固く残るが、肉体は儚く消えてゆく。時も人も、無常ゆえに永遠なのかもしれない。不思議な充足感が残った。
昨年新訳が出たということで読んでみた本作、実はこれがウルフ初体験。なぜ今まで手を出してなかったんだろう?というくらい好きなタイプの空気感だった。ドラマを追う展開も嫌いではないけど、思索や意識の流れに重きを置いた作品を読むのが好き。他のウルフ作品も読んでみたい。

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2026年01月24日

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登場人物たちの心の中や辺りを自在にたゆたっているような、不思議で素敵な感覚に包まれ今までにない新しい読み心地。

100年ほど前に書かれた小説だが、物語の世界へ入り込むとそこは現代的にまで感じられるというのが驚き。時々何かを失い、目に見えないものを積み重ねながら人は生きていく。深い思考の奥底へと沈んでいくような、読んでいる間豊かな時間を過ごした。この先何度でも読み返したい。

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2026年01月04日

Posted by ブクログ

Twitterで話題になっていたので購入。最初はなんか思ってた感じと違う!読みにくい!これ耐えられるかな?と思ってたけど、読み進めていくうちにどんどん夢中になっていった。

この本の1番の特徴は、色んな登場人物たちがその瞬間頭の中で考えている細かなことが、ほとんどそのまんまと感じられるほど正確に淡々と書き続けられていくところ。
ほんの一瞬の間にも周りにいる人間たちは各々全然違うことを考えているんだな、同じものを見ても目の前にいる人間と自分とでは全く違うことを考え、お互いに対しても常に何らかの印象を覚えているのだなと、色んな人たちの心の声を聴きながら、それぞれの脳内に瞬時にワープし続けながら考えた。登場人物と一緒に物思いに耽り、ある思考からまたある思考へと次々に別の世界へワープしつづけた、すごく豊かで濃厚な読書体験だった。ときどきマンガで人の心が全部読めちゃう設定のキャラとかいるけど、その能力を得た気分になれる感じ。

訳者あとがきにあった「この語り手は文章のスタイル、語彙、リズムなどを通して、人物の声帯模写ばかりか、一種の思考模写をおこなっているようにさえ見える」「文章のひとつひとつの後ろに、視点のゆらぎ、複数の人間の声または集合意識があり、それらが波動し響きあいながら全体のテクストを作り上げる」「本作のもつ曖昧性、半透明の包被に包まれて漂うことは、まさに読書の愉悦たりえる」はかなりこの小説での体験を言い得ていると思う、言語化すごいな。まさに「声」という表現がぴったりだと感じるほど、読んでいる間は登場人物たちの声が頭の中で鳴り響いていたように思う。そしてだからこそこの作品を翻訳することがどれだけ難しかったか、またそのためにある意味訳者の「読み」の痕跡が見える、訳者を介した作品になってしまっているということが書かれていたのも面白かった。

そこまででもだいぶ楽しめたけど、すごいのが第二部。一転して情景描写のオンパレードになって、その前までずっと頭の中を占めていた人間たちの声が一掃され、巡っていく季節と朽ちていくお屋敷が淡々と描写されてゆく。役者が去ったあとの舞台をじっくり眺めているような感覚。そしてそこに淡々とナレーションのようにさし挟まれる登場人物たちの行く末。まさに無慈悲にも時はゆくのだと実感させられ、ゾッとした。第一部でのみんなの声が、うるささが本当に恋しくなった。けどあえて戻って読むことはしなかった。

現代の感覚からは少し間抜けにすら思える彼らのこだわりやプライド、色んな階級や環境や属性の人々の関係性やエピソードがある一つの場所のみを舞台に描かれているところ、永遠だと思えた美しいバランスが気がついたらもう戻れないほどに崩れてしまっているというこの世界の脆さと不可逆性、美しく気高いだけでなく不完全なところもありながら、どうしても魅力的に映ってしまう奥さんの存在…などすごく桜の園を彷彿とさせた作品でもあった。これを舞台化しても絶対面白いだろうなぁ(すごく難しいだろうけど)。

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2026年01月06日

Posted by ブクログ

第一部は「明日晴れたら灯台に行こう」という母と子の会話から。別荘に集まって食事を楽しむ家族と友人の、たった一晩のやりとりで200ページを超えます。
食事のシーンでのごく自然な会話、その奥でそれぞれが何を思っているかが全部!(ホントに全部)書き出されてます。
会話の間で思考がぐるぐる、話を振られたら次はそこからぐるぐる…(「意識の流れ」というらしい)
すなわち腹の中までお見通しなので、登場人物のキャラがハッキリ。海外文学あるある「この人なんだっけ」が起こりにくくありがたい。
そして忘れた頃に、まーだ灯台の話してる!

第二部はその日の真夜中。ロウソクを消してから〜朝起きる頃にはダダダッと10年の時が過ぎ。走馬灯すぎて二度見(読み直)してしまう。別荘が荒廃していく描写に突然差し込まれる、驚きの出来事の数々。

第三部では、10年の間に様変わりした別荘に家族と友人が再び集い、今度こそ灯台へ。
舟に乗る親子・別荘から見送る友人。またも思考の渦はぐるぐる、想いは馳せられまくり、今はもういない人の影までちらちらと。

解説で、ヴァージニア・ウルフの生涯と、彼女にとっての「灯台へ」が自身の夏の思い出と重なっていることを知ってからのもう一度、おかわり第三部。
登場人物それぞれの何かがほどけたようなラスト。彼女がこう締めた事が、読み終わった後もズーンときます。

読んでよかった〜
そして、鴻巣友季子さん訳の作品ももっと読んでみたくなりました。

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2025年12月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

100年前に書かれた小説の中で、過去の人として描かれるラムジー夫人。
それでも、詳細に描かれる心の動きを読み進める中で、「その気持ち知ってる」と、ドキリとする。
幼い子供と気持ちのケアを求める夫に対する気持ち、夫と通じ合える部分と通じ合えない部分、集団の中で気持ちを奮い立たせる振る舞い、どれも普段意識していないもしくは意識することを躊躇うことを、克明に書き出している。何気なく通り過ぎていく気持ちの機微を掬い上げ、言語化する筆者の手腕に驚く。時代が、文化が、世代が違くとも共有できる気持ちがあることに新鮮に驚いた。
第一部は意図せず個人に立ち入りすぎてしまったような、どこか気まずい気持ちで読み終えた。

第二部は朽ち果てそうな家を舞台に、10年の歳月をさらっていく。悲しい意外な描写もあるけれど、リズムがよくユーモアも感じられ、読んでいて不思議と浮き立つような気持ちになった。

はずみをつけて、第三部。第一部で中心的存在だったラムジー夫人や明るい未来が予想された兄姉が退場し、残されて難破しそうな一家がようやく灯台目指して船出する。
一歩引いて透徹な姿勢で見守るリリー、気持ちの整理ができずに忙しいラムジー一家、それぞれが気持ちの落とし所を見つけていくところがとても魅力的にみえた。

解説を読み、他者との関係性に寄らず、ふとしたところで通じ合えることがある、その不思議を見落とさず面白がれる気持ちの余裕を持ち合わせていたいと感じた。

作品を通じて特に好きな人物はカーマイケル老人。
日向ぼっこをしながらただただ生を謳歌している様が、心に残った。

これまで読んだことのない小説だった。
自身の年代によって読み方も変わるかもしれない、10代のうちに読んでみたかったようにも思う。
10年後、20年後と読み直していきたい。

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2025年12月08日

Posted by ブクログ

小説の技法?が斬新すぎて少しだけ難解に感じた。
たった2日間の出来事に細かすぎる情景描写、心理描写、人間関係が詰め込まれていた。

たいてい小説を読むと、ここが印象に残った!っていうシーンがあるんだけど、本作品にはそういうのがなくて作品全体を通じてぼんやりと印象深く、なんとなく古臭く、自分の子供時代をふわっと思い出すような、なんとも言えない読後感があった。

小説の翻訳本っていのも初めてだったし、これからも少しずつ色んな作品を手に取って、その良さに触れられるといいな〜

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2025年10月06日

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ジョイスやプルーストと並び称されるモダニズム作家の珠玉の名作。
第1部と10年後の第3部はラムジー家の夏の別荘でのそれぞれの1日。それを結ぶ第2部は10年という2つの時間を家人が不在の中で語られる個人的な出来事や第一次大戦を交えた短いエピソードの中で深い悲しみとともに濃密に結びつける。
主人公一家とその知人たちの移り変わる心模様を木々や風、海や芝などと時間の流れに合わせて淡々としながらも豊かに表現された言葉の数々に心が揺り動かされ、いつのまにか心の片隅にじんわりと残る不思議な作品。
舞台となったスカイ島のスコッチウイスキー、タリスカーとともに愉しんだ一冊。

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2025年09月20日

Posted by ブクログ

家族には絶対的な存在で逆らうことが許されない哲学者ラムジー氏、偉大な家長として頼られ崇められ、時には反発される。海の向こうに見える灯台へいこうという息子のジェイムスに、にべもなく「明日は晴れないだろう」という。美しくしっかりもので周囲からあがめられる8人の子持ちの理想的な母親ラムジー夫人、独身女性には結婚しなければいけないと解き、身近に集う若い男と女を結びつけようとする。

独身の女性画家リリー・ブリスコウやウィリアム・バンクス、チャールズ・タンズリー、オーガスタス・カーマイケルなどもラムジー家のスカイ島の別荘に一緒に滞在している。

第一部では、そんなラムジー家の別荘に集う人々の一日が描かれる。

第二、第三部は、10年後の別荘の一日。ラムジー夫人も美しかった娘のプルーも息子のアンドルーも亡くなっているが、ラムジー夫人は美しく理想の女性としていまだにあがめるリリーは、独身で、ラムジー夫人が画策したウィリアムバンクスとは結婚していない。ラムジー氏は10年前に果たされなかった灯台行きを決行する。反発するが逆らえず同行する16歳になった息子のジェイムスと娘のキャム。

われわれが周囲の景色やまわりの人々を見た時に、相手の機嫌を推察したり、時には高圧な態度に反発したり、でも敬愛すべき人であると思い直したり、そこから派生して過去の行動や会話も連想したり、まわりの景色に思いを寄せたりといった心象風が続く。

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2026年07月05日

Posted by ブクログ

人物がたくさん出てくるうえに語りの視点が次々と入れ替わって非常に読みづらく、新鮮な体験だった。
途中は意味も分からずに義務的に文章を読んでいたけれど、度々出て来る美しい描写に出会えてよかった。
個人的には好き。

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2026年06月15日

Posted by ブクログ

とても難解だった。
最初は心情描写がトリッキーな作品なのかなと思ったけど、
途中からガラッと変化した。
帯にある通り、小説でこんなことできるんだという感想。
難しくて読むのに時間がかかったけど、読んで良かったと思えた作品。

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2026年06月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

日常の出来事のなかで登場人物が感じる思考をすべて文章化しているのではないかと思うくらい話の進み方がゆっくりしています。
全体的に例えの表現が多く、私のイメージの範囲が狭いせいもありページを進めるのに時間がかかりました。
ラムジー夫人が、自分の子供達の今の瞬間をそのままにしておきたい、という感情にとても共感し読んでいて胸が熱くなりました。
第一次世界大戦の頃なので100年ほど前の話になりますが現代とは違うゆったりとした空気感にとても穏やかな気持ちになりました。
こういったじっくりと味わう物語をまた読んでみようと思います。

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2026年05月23日

Posted by ブクログ

本屋の棚に割と目立つように展示していたので、購入。

登場人物が考えていることが長々と綴られていく。いつの間にか、その叙述が別の人間の考えになっていたりする。その点については、あれ、と感じるが、読みづらくは感じない。
ただ、何かが起こるというより、登場人物の頭の中の考えをずっと読まさせていくのは、すごく疲れた。ページが進まない。前半はほんの半日の話なのに、だいぶ時間が掛かってしまった。
登場人物たちについて説明的な記述がある訳ではないので、哲学者ラムジー、美貌のラムジー夫人、その子供たち、夫妻の別荘に集う独身主義の画家リリー・ブリスコウ、学者、詩人達の人となりが判ってくるまで、ずいぶん時間が掛かってしまった。
ラムジー夫人はリリーに結婚を薦めるが、彼女にはその気なし。だけど、リリーは夫人を慕っている。また、夫妻の間の心理合戦がテレパシー会話のように語られる。

後半は10年後。夫人や子供にのなかには亡くなったものもいる。リリーの頭の中に夫人への愛慕、その不在が語られる。ジェームスは父親ラムジーを憎む気持ちがあるが、父がそれにまったく気づいていないような有様。

解説にジョイスの「ユリシーズ」との比較があった。
確かに凄い作品だと思うが、同じような本を喜んで読むかと云われたら、微妙な処だ。

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2026年05月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

灯台へ、流されるように

流されるように最後までなんとか読み切りました。久々にこういったタイプの作品を読みました。翻訳じゃなかったら無理ですね。現実と心の声がごっちゃになります

二部を読み始めるとちょっとドキッとしました(汗

読んであらすじを追う読書ではなく、読み進むに任せて読んでいくタイプの本、なのでしっかり印象に残りました、というシーンが実はパッと思いつかないですけど、現代の読み方だとリリーにスポットライトが当たりそう。

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2026年03月17日

Posted by ブクログ

紙の本。
とりあえず、「私は読みました。」という程度の理解。世にいう、「意識の流れ文学」はちょっと気を許すと、何を読んでいるのかわからなくなり「ほとんどどこにも行かない小説」は読む手を選ぶかもしれない。けれども、ウルフの文体から浮かび上がる登場人物はイキイキと個性豊かに人生を送り、鴻巣友季子訳は横のものを縦にするだけではない、作品に対する思いがつたわる作品だと思います。

また読書力つけてから読み直したいと思います。

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2026年03月08日

Posted by ブクログ

複数の視点で語られる2日間。現実と思考、現在と過去、事実と空想が間断なく折り重なっていく。
とても美しい自然描写を重ねながら、移ろう心理描写を表現していくところが素晴らしいです。

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2026年02月14日

Posted by ブクログ

解説の、人間関係なんてすれ違ってても成立するし、分かり合えてる必要なんてないというメッセージが、腑に落ちた

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2026年01月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

文学史に燦然と輝く、モダニズム文学の傑作。
本当に読んでよかった。

第一部では、主にラムジー夫人の視点から、孤島の別荘を取り巻く人間模様と夫人の思考(意識の流れ)をひたすらに描写し続ける。描かれるのはたった1日なのに、情景と思考の記述が膨大で、この時点で文字どおり「実写化不可能」な作品だと思い知らされる。
1920年代に書かれた作品にも関わらず、男性像と女性像に対して赤裸々な描写が見られ、フェミニズム文学としても記念碑的作品だと言える。
読み始めてしばらくは面白さが全然わからなかったものの、チャプター17の全員での会食から突然面白くなった。ここで描かれる人物像がとても丁寧で、「どこかが残念な奴」ばかりが描かれる。それでいて、どいつもこいつも内心では他人を見下している。最悪な会食を、上品なユーモアとともに描くチャプターで、本作の中でもとても印象に残った。個人的には、バンクスの考えが自分自身にいちばん近かった。
第一部全体を通じて、美しい景色の中に、ラムジー夫人のこどもたちへの愛情と幸福感が伝わってきた。

第二部は、鳥肌が立つほど素晴らしい文章だった。第一次世界大戦の激動の時代に一家が翻弄され、かつての別荘が荒廃している様を描く。10年の月日の間に別荘が朽ち果てていく様子を淡々と描くことで、ラムジー夫人死後の、一家の暗い気持ちを完璧に描写している。登場人物の語りがなく、情景描写のみでここまでの寂寥感を表現できたのは奇跡と言っていいのでは。本当に素晴らしい名文だった。「そろそろ小説に飽きたし、「文学」を感じたい」といった変わり者には、真っ先にお勧めしたい。

第三部では、10年後に一家が再び別荘に集まり、灯台へ向かう様子を描く。ジェイムズとキャムの父親(ラムジー)に負けまいとする不屈の精神がユーモラスに描かれる。それと同時に、今は亡きラムジー夫人を忘れることができずに葛藤し続けるリリーが描かれる。リリーが自問自答する下記のシーンに、本作のメッセージが集約されていると感じた。
「往々にして人は年とともにこんな疑問に迫られる。大いなる天啓はいまだ降りきたらず。いや、大いなる天啓なんてものは決して降りないのかもしれない。その代わりにあるのは、暗闇のなかで不意に灯されたマッチの炎のような、日々のささやかな奇跡と光明だ。」
(単行本p.208)
日々のささやかな奇跡と光明を、暗闇の中のマッチに喩える最高の文章だ。

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2025年11月27日

Posted by ブクログ

ウルフ初かも。いや初じゃないかも?
二部の、寂寥たる屋敷の描写が本当に素晴らしくて、大人になって良かったなと思った。
解説読んでへえ~となったけど、それはそれ。小説は理由で読むものじゃないもんね!

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2025年11月13日

Posted by ブクログ

結構長くてまじめな感想を書いていたのに誤操作で消えてしまい、心が折れて放置してしまった……
改行は少ないわ主語は分かりにくいわ、読みやすさとは程遠い文体だし続きが気になるタイプの作品でもないのだが、鋭い人間観察眼があり、精細に描写された登場人物像は現代にも通じるところがあって、面白かった(と思う)

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2025年10月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

これを「確かに傑作だ」と手放しに首肯するには自身の海外文学に対する読書力?知見?がまだまだ足りないのかなぁと実感させられた。

日本の小説でも「話者が誰なのかわからない現象」はたまにあって、その度に「読みにくい」としか思わなかったが、解説を読んでみるとそれこそが技法というからびっくり。
確かに、印象とか感想はとめどなく対象を変えていくもので、その人間本来の印象こそをそのまま描くことが正、みたいなヴァージニア考えも一理ある。
けど、傑作とはなぁ…
評価が分かれそうな気はする。訳者の人も原作に添いつつ、この曖昧な文章をよく訳してくれたなと感謝。

ラムジー夫人に対する周囲の評価が場面によってコロコロ変わるのは、人には色々な面があるという証左だし、いいところ・悪いところだけじゃなくて、他の側面もあるってところでは確かに頷ける。
ラムジー夫人の余計なお世話とも感じられる優しさもいいのかも知れない。
10年後のジェイムズの思春期只中の考えもよく理解できる。

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2026年06月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読むのに非常に苦労した。目が文字の上をすべり、中身が頭に入ってこない。
登場人物の意識の流れを克明に描写した文章なので、それを自分の頭の中のイメージに置き換えていく必要があるのだが、うまくできなかった。
こういった文章をちゃんと読める読者になりたい、というのが率直な感想です。

作品が何を主題として描いていたのか分からなかったので、各社の説明文の要所を引用してみる。
・二日間のできごとを綴ることによって愛の力を描き出した(新潮文庫)
・若い女性画家はそんな母子の姿をキャンバスに捉えようとする(岩波文庫)
・微妙な意識の交錯と澄明なリリシズムを湛えた文体によって繊細に織り上げられた、去りゆく時代への清冽なレクイエム(岩波文庫)
・別荘での一日を、それぞれの登場人物の意識を通して語られる内面のドラマ(みすず書房)

新潮文庫に書いてあるように「愛の力」が描かれているということは読み取れなかった。岩波の「去りゆく時代への清冽なレクイエム」というのも意味が分からない。若い女性画家(リリー)が描こうとしていたのが母子(ラムジー夫人とジェイムズかな?)だったとは思ってもみなかった。
みすず書房の説明は「どのような構成の小説か」を述べているだけなので、これはさすがに理解できる。逆に言えば、そのレベルまでしか読み取れなかった。

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2026年06月16日

Posted by ブクログ

人と話す時に絶えず動く心
思ったことまるっと描写
途中で入れ替わる話者
誰がいましゃべってるんだろ
誰がいま心のうちを吐露してる
隅々までかいてる

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2026年05月12日

Posted by ブクログ

一日目に第一部読んで、今日第二部、第三部と読んだんだけど目がめっちゃ疲れた!!!

表現が美しすぎて幅がありすぎてなんかもう人物描写が外も内も凄すぎて私は何を読んだんだ???って気分です……

最初感じてた読みにくさは慣れたので今日はもう全然なかったんだけど、なんだろ、直接描写の途中から間接描写に変わったりで一文、いや一節一節をしっかり読まないとすぐ置いてかれるというか。
ほんまころころ移動するから読むのにめっちゃ目と頭使ったなっていうマジ疲労感がすごい。゚(゚^▽^゚)゚。

しかし凄い描写力だった……

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2026年01月06日

Posted by ブクログ

人間への観察力・洞察力がすごい。
あまりステレオタイプな見方をするのも良くないと思うが、同じ女として、ラムジー夫人の心情の揺れ動きや様々なことに気がついて細かく世話を焼く振る舞いもよくわかると思ったし、ラムジー氏の描写には権威ある立場の男性ってこんな感じだよなと思わず頷いてしまった。

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2025年10月02日

Posted by ブクログ

家族でも結局、一人一人の人間なのだから
分かりあうってことは、ごく珍しいかもしれない。

この本は第三者から見た景色や語り手から見た景色が進む話ではない。

出てくる登場人物たちが、お互いにどう思っているか、どんな感情を持っているかが延々と書いてある。

誰かのたった一言に対して、過去の記憶や複雑な感情が数ページにわたって書かれていたり、何も起こらない静かな情景の中で、人との孤独や繋がりが繊細に描かれている。

セリフだって無いようなもので、
読んでいて本でしか表現できないとは
こういうことかと思った。

映画ではどうしても台詞や行動で表現する必要があるから、ここまで深く、複雑な感情を伝えるのは難しいと思う。

読書生活の中で、まだまだいろんな体験ができるなと思った。

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2025年09月19日

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