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土佐堀川に浮かんだ船に母、姉と暮らす不思議な少年喜一と小二の信雄の短い交流を描いて感動を呼んだ太宰治賞受賞の傑作「泥の河」。北陸富山の春から夏への季節の移ろいの中に中三の竜夫の、父の死と淡い初恋を螢の大群の美しい輝きの中に描いた芥川賞受賞の名編「螢川」。
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Posted by ブクログ
「あーよかった!」という読後感を残して忘れてしまう小説があるが、この『泥の河』と『螢川』は情景が深く沈み忘れられない小説。 『泥の河』は昭和三十年の大阪。馬車引きは子どもの頃、目にしていた。乾いた馬糞を遊び道具にする逞しい子どもがいた。でも、水上生活者は想像するしかない。天神祭りの出来事、そして哀し...続きを読むい別れ。その情景は少年時代の不安や哀しみと共鳴する。 『螢川』の舞台は富山。思春期の少年の心は想像に難くない。でも、四人が金縛りにあうほどの螢川の情景は、はるかに想像を超えていた。華麗なおとぎ絵ではない。 「寂寞と舞う微生物の屍のように、はかりしれない沈黙と死臭を孕んで光の澱と化し、天空へ天空へと光彩をぼかしながら冷たい火の粉状となって舞い上がっていた。」 螢の乱舞の形容を読み、『錦繍』の。「生きていることと死んでいることとは、もしかしたら同じことなのかもしれません」という言葉か重なった。この小説にも川の煌めきが、一筋の「錦繍」に見えたという表現が出てきた。 情景描写の美しさ、思春期の男女の心理描写の細やかさに唸った小説だった。
「螢川」「泥の河」について
「螢川」 宮本輝の芥川賞受賞作「螢川」は宮本文学の永遠の傑作だ。この小説の舞台は富山。 主人公は中学三年生の竜夫。昭和三十七年三月から物語は始まる。 この物語において、竜夫の父の死や竜夫の友人・関根の死が主人公の人生に陰翳をもたらす。 同級生の英子に想いを寄せる竜夫の恋心にすら、友人の死の影が伸び...続きを読むてゆき、そこに思春期の複雑な心理の綾が描き出される。 宮本作品では登場人物がどんなに若年であろうと、厳然とした死が突きつけられる。 しかし、惑いながらも死を受け止め前を向いて生きてゆく登場人物たちに、私は読みながら知らぬ間に心が鼓舞されているのだ。 この「螢川」では四月に大雪に見舞われると、螢の大乱舞が見られるという老齢の銀蔵の言葉が、神秘的な光を放ちつつ、物語は螢狩りに収斂されてゆく。 ラストシーンの妖光を纏った、圧倒的な人間讃歌とも解釈できる光景は、一体何を伝えようとしているのだろうか? 銀蔵の「-----これで終りじゃあ」というセリフの裏にある、新たな「始まり」なのかも知れません。 「泥の河」 宮本輝の太宰治賞受賞作「泥の河」の舞台は昭和三十年の大阪の街。ポンポン船が行き交う川筋に暮らす八歳の信雄が主人公だ。 いまだ戦争の影を引きずった、川筋の住人の貧しい暮らしぶりが描かれ、信雄の澄んだ瞳に克明に映し出される死の場面は、胸の奥の深い部分を震わせられる。 戦争で命拾いした男の、その運を使い果たしたかのような死。沙蚕採りの老人の死、鳩の雛の死、生きながら油に浸され燃える蟹など、死の影を通して切々たる生が浮き彫りにされてゆく。 それらの生死に、信雄の友となる廓舟に住む喜一とその姉の銀子との交友が重なり、人生の深みが静かに描かれてゆく。 私が何回読んでも泪を湛えるのは、喜一が軍歌を歌う場面とラストのお化け鯉の場面だ。 この「泥の河」は少年の繊細で真っ直ぐな心を描いた小説として、時を超えて輝き続けると思います。
#切ない #感動する
物語がよくできていて、それを登場人物が力強く引っ張っていき、構成もすばらしいバランスなので、ラストの感動に繋がる。 デビュー当時から一流としか言いようがない!
今は昔の「すかみたいな死に方」
昭和30年代を時代背景とした両作は、事故や病気で、人が「すかみたいな死に方」をする。このあたり、令和初期には、ややリアリティを感じ難く、数十年を経た今日の庶民生活の向上に(現在の物価高等の困窮を軽視するつもりはないが)感慨深い。🏞️両作いずれも心に沁み入りつつ、知識と感性の全てを注ぎ込んでもなお、理...続きを読む解も納得も十全でないところがある。「一滴だと透明なのにむつみあうと鉛色になる」等の描写は、到底腑に落ちたとは言えない。読書人としての未熟を感じつつ、だからこそ読書は面白いと想えた。🏞️
#感動する
戦後の哀しい時代の空気が、文章を通して、強烈なイメージとして蘇る小説だった。 「泥の河」は、ずっと記憶に残りそう。素晴らしい小説だった。
宮本輝をこの本から入った。 泥の河、とにかく泣ける、美しく哀しい。 昔の日本はこんな貧乏だったのかなぁと想像しながら読んだ。 映画もぜひ見たい
文章が美しく、情感に溢れている。泥の河が特に刺さった。 泥の河:悲しくも美しい戦後の風景。人々は逞しく生きるも、残酷な人生。 螢川:4年間住んだ富山の方言が懐かしい。
丁寧に綴られた言葉とリアルな情景が秀逸 人間の生の美しさと強さとそして嫌悪が 子どもの視点を通して不器用に映し出される 忘れた頃にまた読み返したくなる一冊
確かに美しい文体で、イメージの中の風景も自分の幼少期が思い起こされる。 今、考えると初恋だった近所の年上のお姉さん❗ 幸せになってたらいいなーと思いながら読めた作品
昭和30年代という戦後復興真っ只中の日本が舞台の小説。 「泥の河」は、大阪で食堂を営む家族と、舟で様々な地域を転々としながら生活を営む家族との何か切なくなるような話。 「螢川」は、富山に住む家族に降りかかる友人、親との死別などの悲劇、幼なじみとの淡い恋心を交えながら家族の揺れ動く心の描写に美しく...続きを読むも切なくなるような話。 どちらの話も時代に翻弄されたが故に避けられない悲劇が描かれているにも関わらず、所々に差し込まれる風景描写が非常に美しく、とても惹きつけられるものがあった。古き良き時代のノスタルジーを想起させてくれる素晴らしい表現なので、風景描写だけでも読んで損はない小説。 「朝陽はまだ姿を見せていなかったが、鬱金色のさざめきがすでに川面で煌めいていた。」
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螢川・泥の河
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宮本輝
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