【感想・ネタバレ】螢川・泥の河のレビュー

あらすじ

土佐堀川に浮かんだ船に母、姉と暮らす不思議な少年喜一と小二の信雄の短い交流を描いて感動を呼んだ太宰治賞受賞の傑作「泥の河」。北陸富山の春から夏への季節の移ろいの中に中三の竜夫の、父の死と淡い初恋を螢の大群の美しい輝きの中に描いた芥川賞受賞の名編「螢川」。

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「あーよかった!」という読後感を残して忘れてしまう小説があるが、この『泥の河』と『螢川』は情景が深く沈み忘れられない小説。
『泥の河』は昭和三十年の大阪。馬車引きは子どもの頃、目にしていた。乾いた馬糞を遊び道具にする逞しい子どもがいた。でも、水上生活者は想像するしかない。天神祭りの出来事、そして哀しい別れ。その情景は少年時代の不安や哀しみと共鳴する。
『螢川』の舞台は富山。思春期の少年の心は想像に難くない。でも、四人が金縛りにあうほどの螢川の情景は、はるかに想像を超えていた。華麗なおとぎ絵ではない。
「寂寞と舞う微生物の屍のように、はかりしれない沈黙と死臭を孕んで光の澱と化し、天空へ天空へと光彩をぼかしながら冷たい火の粉状となって舞い上がっていた。」
螢の乱舞の形容を読み、『錦繍』の。「生きていることと死んでいることとは、もしかしたら同じことなのかもしれません」という言葉か重なった。この小説にも川の煌めきが、一筋の「錦繍」に見えたという表現が出てきた。
情景描写の美しさ、思春期の男女の心理描写の細やかさに唸った小説だった。

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2025年09月27日

「螢川」「泥の河」について

「螢川」
宮本輝の芥川賞受賞作「螢川」は宮本文学の永遠の傑作だ。この小説の舞台は富山。
主人公は中学三年生の竜夫。昭和三十七年三月から物語は始まる。

この物語において、竜夫の父の死や竜夫の友人・関根の死が主人公の人生に陰翳をもたらす。
同級生の英子に想いを寄せる竜夫の恋心にすら、友人の死の影が伸びてゆき、そこに思春期の複雑な心理の綾が描き出される。

宮本作品では登場人物がどんなに若年であろうと、厳然とした死が突きつけられる。
しかし、惑いながらも死を受け止め前を向いて生きてゆく登場人物たちに、私は読みながら知らぬ間に心が鼓舞されているのだ。

この「螢川」では四月に大雪に見舞われると、螢の大乱舞が見られるという老齢の銀蔵の言葉が、神秘的な光を放ちつつ、物語は螢狩りに収斂されてゆく。
ラストシーンの妖光を纏った、圧倒的な人間讃歌とも解釈できる光景は、一体何を伝えようとしているのだろうか?

銀蔵の「-----これで終りじゃあ」というセリフの裏にある、新たな「始まり」なのかも知れません。

「泥の河」
宮本輝の太宰治賞受賞作「泥の河」の舞台は昭和三十年の大阪の街。ポンポン船が行き交う川筋に暮らす八歳の信雄が主人公だ。
いまだ戦争の影を引きずった、川筋の住人の貧しい暮らしぶりが描かれ、信雄の澄んだ瞳に克明に映し出される死の場面は、胸の奥の深い部分を震わせられる。

戦争で命拾いした男の、その運を使い果たしたかのような死。沙蚕採りの老人の死、鳩の雛の死、生きながら油に浸され燃える蟹など、死の影を通して切々たる生が浮き彫りにされてゆく。

それらの生死に、信雄の友となる廓舟に住む喜一とその姉の銀子との交友が重なり、人生の深みが静かに描かれてゆく。
私が何回読んでも泪を湛えるのは、喜一が軍歌を歌う場面とラストのお化け鯉の場面だ。

この「泥の河」は少年の繊細で真っ直ぐな心を描いた小説として、時を超えて輝き続けると思います。

#切ない #感動する

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2025年08月28日

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物語がよくできていて、それを登場人物が力強く引っ張っていき、構成もすばらしいバランスなので、ラストの感動に繋がる。
デビュー当時から一流としか言いようがない!

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2025年08月27日

購入済み

今は昔の「すかみたいな死に方」

昭和30年代を時代背景とした両作は、事故や病気で、人が「すかみたいな死に方」をする。このあたり、令和初期には、ややリアリティを感じ難く、数十年を経た今日の庶民生活の向上に(現在の物価高等の困窮を軽視するつもりはないが)感慨深い。🏞️両作いずれも心に沁み入りつつ、知識と感性の全てを注ぎ込んでもなお、理解も納得も十全でないところがある。「一滴だと透明なのにむつみあうと鉛色になる」等の描写は、到底腑に落ちたとは言えない。読書人としての未熟を感じつつ、だからこそ読書は面白いと想えた。🏞️

#感動する

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2025年08月13日

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戦後の哀しい時代の空気が、文章を通して、強烈なイメージとして蘇る小説だった。

「泥の河」は、ずっと記憶に残りそう。素晴らしい小説だった。

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2025年01月28日

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宮本輝をこの本から入った。
泥の河、とにかく泣ける、美しく哀しい。
昔の日本はこんな貧乏だったのかなぁと想像しながら読んだ。
映画もぜひ見たい

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2025年01月17日

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文章が美しく、情感に溢れている。泥の河が特に刺さった。
泥の河:悲しくも美しい戦後の風景。人々は逞しく生きるも、残酷な人生。
螢川:4年間住んだ富山の方言が懐かしい。

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2024年10月06日

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丁寧に綴られた言葉とリアルな情景が秀逸
人間の生の美しさと強さとそして嫌悪が
子どもの視点を通して不器用に映し出される
忘れた頃にまた読み返したくなる一冊

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2023年11月01日

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確かに美しい文体で、イメージの中の風景も自分の幼少期が思い起こされる。
今、考えると初恋だった近所の年上のお姉さん❗
幸せになってたらいいなーと思いながら読めた作品

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2023年10月08日

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昭和30年代という戦後復興真っ只中の日本が舞台の小説。

「泥の河」は、大阪で食堂を営む家族と、舟で様々な地域を転々としながら生活を営む家族との何か切なくなるような話。

「螢川」は、富山に住む家族に降りかかる友人、親との死別などの悲劇、幼なじみとの淡い恋心を交えながら家族の揺れ動く心の描写に美しくも切なくなるような話。

どちらの話も時代に翻弄されたが故に避けられない悲劇が描かれているにも関わらず、所々に差し込まれる風景描写が非常に美しく、とても惹きつけられるものがあった。古き良き時代のノスタルジーを想起させてくれる素晴らしい表現なので、風景描写だけでも読んで損はない小説。

「朝陽はまだ姿を見せていなかったが、鬱金色のさざめきがすでに川面で煌めいていた。」

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2023年10月05日

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宮本輝の初期代表作、太宰治賞『泥の河』と芥川賞『螢川』を収録している。全てが代表作である純文学の権化のような作家だが、その中でもデビュー作と実質デビュー作はこの人を語るには欠かせないものだろう。

戦後経済成長期で、発展を遂げようとしている大阪府の2つの家族を描いた『泥の河』。
同じく戦後経済成長期で、衰退しつつある富山に住む少年と周辺を描いた『螢川』。

全く正反対の舞台であるが、方や田舎に移ろうとし、方や都会に移ろうとする。ほぼ同じ時代に暮らしていても、2つの物語が目指す生活は異なっていた。

しかし、彼らとて、自ら進んで計画したわけではない。運命とも、悲劇ともいえる状況に身を置かれ、やむなく決心したのだ。

昭和の時代、風景、人情、感情の起伏を流動的に描き、その上、読者の心には写真のように物語の光景を刻みつける。文学が閉ざされた現代においても、宮本輝の文学は輝度を増すばかりだ。

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2023年06月25日

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太宰治賞を受賞した泥の河と,翌年に芥川賞を受賞した螢川のカップリング.恥ずかしながら宮本輝を読んだのは初めてだが,美しいですね.

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2023年05月03日

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ネタバレ

 1947年生まれ、宮本輝さん。芥川賞作家で好きな作家さんです。まさに、純文学と言った作品を書かれると思います。作風は変化するでしょうけど、この頃の作品が気に入っています。「蛍川・泥の河」、1994.12発行。「泥の河」は、太宰治賞。小学2年、うどん屋の信夫の「廓舟」の喜一(小2)、姉の銀子(小4)、母親へのそれぞれの思いが伝わってきます。「蛍川」は芥川賞。中学2年、竜夫の同級生、英子への恋心、いたち川のはるか上流に降る蛍の大群が。その情景が瞼に浮かびます!

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2023年05月03日

Posted by ブクログ

作家・宮本輝の初期の代表作2編が収録されています。
本作収録の2編の短編により、宮本輝は作家としての地位を確立しました。

宮本輝は教科書では村上春樹や吉本ばなななどと並んで文学作家として紹介されることが多いです。
ただ、大体"第三の新人"あたりからの文学作品は大衆文学との境が薄れていて、宮本輝作品も文学といわれると違和感を感じます。
この頃に登場した作家達は、共通した思想や定義などはなく、各作家が作品毎に思想を込めている部分があります。
また、2022年8月現在も活動中である作家も少なくなく、本作は純文学と大衆文学の境目がなくなってきた時期の文学作品と言えるかと思います。

各作品の感想は以下の通りです。

・泥の河...
宮本輝氏の作家デビュー作品。太宰治賞受賞作。
戦後の傷跡が残る大阪で、安治川の畔に住む少年「信雄」と、船に住む姉弟との交友を描いた作品です。
姉弟の母はその船で体を売って糊口を凌いでいます。
信雄は、船に住む「喜一」と友達になるのですが、喜一の母が客を取っている様子を垣間見てしまう。
周囲の大人に下劣な冗談を言われ、それでも喜一と友人でいようとする信雄の心理描写に長けた作品だと思います。
信雄が育ちの異なる喜一の"楽しいと言っていること"を理解できず、ラストは切なさがありました。
本作は宮本輝氏の幼少期をモチーフとしているようで、少年ゆえに処理できない自分の中の感情が書かれた名作です。

・螢川...
芥川賞受賞作です。
富山県を舞台にした作品で、こちらも重要な舞台として"川"が登場します。
もう一編『道頓堀川』という作品があり、こちらを併せて「川三部作」をなすそうです。

中学二年生の「竜夫」を中心として書かれています。
かつては戦後復興時にタイヤ販売で成功し、北陸有数の商人にのし上がった父でしたが、行き詰まり、家には借財のみが残ってしまった。
老いた父は病に倒れ、母も看病のためにろくな仕事につけずにいる。
竜夫には関根という親友がおり、関根は同級生の英子と同じ高校へ進学するために猛勉強をしています。
実は竜夫も英子に憧れをもっているのですが、それを隠しています。
テーマとして、少年が直面する2つの死を描き、生命が対比されて浮かび上がってくるように思いました。
交尾に勤しむ蛍の、恐ろしいまでに幻想的な光によって浮かび上がる英子の姿は、竜夫にとっては正しく生命の輝きそのものであったのであろうと思います。
本作も、登場人物の心理描写や情景描写が巧みで、ノスタルジーを呼び起こします。
また、シンプルに読み物としておもしろい作品でした。

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2022年08月26日

Posted by ブクログ

螢川は、素晴らしい情景が見事に浮かんできて息を呑んだ。どちらも少年の感受性が絶妙に描かれていると思った。

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2025年12月04日

Posted by ブクログ

宮本輝さん、読んでないシリーズ。夏休みにゆっくり浸りたかったのですが、とっくに通勤電車に揺られながらの日常で対峙。

大作「流転の海」に通ずるものがありました。「泥の河」、「螢川」どちらも著者の過ごした土地、経験からくる感じがしたけどどうなのかな。
ある家族のお話しが、胸に迫る宮本輝作品がやっぱり大好きだ。
まだ読んでないシリーズを続けよう。

「螢の大群は、滝壺の底に寂寞と舞う微生物の屍のように、はかりしれない沈黙と死臭を孕んで光の澱と化し、天空へ天空へと光彩をぼかしながら冷たい火の粉状になって舞い上がっていた。」

見たこともないのに絵が浮かんでくるのだから、、、凄いなぁ

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2025年09月17日

Posted by ブクログ

《蛍川》
私の好きな場面は、蛍の群れと遭遇するシーン。蛍が、先の見えない母と息子の不安な心を灯してくれているかのようだ。これからも、何度となく思い出される光景であろう。信じてこれからの人生を強く生き抜いてほしいと思った。
《泥の川》
登場人物の葛藤を想像しながら、読みすすめた。考察が必要であり、読者によって受け止め方は様々ではないか。私は感傷的な思いが残った。混沌としている世の中、時代に生きる少年の純粋さも印象的だった。それに向き合う思春期の葛藤、物悲しさがあった。人それぞれ、背景(貧しい家庭に生まれた等)をもっている。その中でも、その人が乗り越えられる試練が与えられ、生き抜いて行けるんだと信じたい

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2025年07月06日

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宮本輝さん、錦繍に続いて二作目。
最初は方言に慣れるまで戸惑ったが、泥の河、螢川ともに心理、情景描写が深くて、想像を掻き立てられる。
物悲しさのある暗い話だけど美しく感じた。

幼年期と思春期のふたつの視線で、人の世の哀歓を大阪と富山の二筋の川面に映し、生死を超えた命の輝きを刻む初期の代表作2編。
「泥の河」 太宰治賞
「螢川」  芥川賞

解説に書かれてあるように、
古くてなつかしい風景に宿る人の暮らしの哀しみを味わえたように思います。美しい文学的表現、再読したい。

本日、素敵な書店にて購入。感謝です。

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2025年03月19日

Posted by ブクログ

「螢川」は芥川賞に輝いた作品である。主人公竜夫少年時代より物語は始まるが昭和37年3月末からである。その時代に作者は生まれていないがその頃の庶民の生活実態を作者は如何にして斯様に描けたのであろうか。思わず小生の少年時代から苦労の青年時代を偲ばせられる思いでジーンと人生の真実が告げられた感じがして現実涙が流れた。芥川賞作品というと現実物は抽象的で作者よがりの作品が多く、読まず嫌いの感がなきにしもあらずだが、この様な平易な書き方で、ものすごい感動に接した。本が好きで良かったー。と切実に感激した。宮本輝の作品が俺を待っている。小生の健康も余り先が無いように思われるが、著作者の作品に心が動かされ、もう少し頑張って作者の著書に接してみたい。感動‼

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2025年02月20日

Posted by ブクログ

 とても綺麗な2作品です。子供の揺れ動く機微を繊細に捉えながら、悲しみを含んでいたり、社会の黒いところを切り取っている物語が素敵でした。とても哀愁を感じさせる物語でした。宮本輝さんは、2作品目ですが、また読んでみたいなと思います。

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2024年12月22日

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螢川・泥の河どちらもとても良かった。特に泥の河(太宰治賞)は個人的にとても好きだ。
流れるように読めるけど、心理・情景描写がその流れを邪魔することなく綺麗におさまっているのが凄いと思った。『田園発 港行き自転車』で富山を舞台にしていたのだが螢川も富山であった。出身地を見ると関西なため、富山が好きなのかなと思っていた。が、解説を読むとどうやら著者は幼い頃、富山に一年間住んでいたことがあるとのこと。一年間だけで小説の舞台に度々登場するくらいなのだから、富山で得た色々は宮本輝にとって特別なものだったのだろうか。
とにかく良い小説だった。

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2024年03月12日

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 2篇とも死や不幸や性の目覚めが少年の目を通して描かれている。それらは劇的ではないが主人公に影響を与える。登場人物の日常が微かに変化していく様子が、美しさとうら寂しさを感じさせる季節や街の描写と相俟って妙なる調べとなっている。この作者の事物の描き方捉え方は自分の好みかもしれない。

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2023年11月13日

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『泥の河』では高度経済成長期間近の大阪の雰囲気を感じることができる。
小学生や中校生といった多感な時期特有の葛藤を2作品では見事に表現されていると感じた。
『泥の河』で出てきた巨大な鯉ってどんなものなのか想像しながら読むと少し面白かったです。
廓舟で生活する母と2人の子どもが、次の場所では平和に過ごせることを祈るばかり。
『螢川』は文句なしの面白さ、これこそ昭和の純文学という感じ。最後の螢が一面に飛んでいることを描写する文章が美しい。一昔前はこんなにも螢が多く綺麗だったのかと思いながら読み進めた。

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2023年10月13日

Posted by ブクログ

宮本輝さんと言う作家はなぜこうも人間の生きていく悲しみを描いていくのだろう。
その文章が胸に沁み、浮かび上がる人間の優しさを感じながらもやっぱり読後感は淋しい。

泥の河
原作よりも映画を先に観ており、底辺に暮らす人とその底辺よりも少し上という感じの人々の思いやり優しさに感動したものだった。
原作を読んで映画の方は少し表現の仕方に違いがあると感じたが両者が私に与える心の震えは同じようなものだった。
水上生活者の喜一が信雄の家に招かれた時に誇らしげに軍歌「戦友」を歌う。
聞いた信男の父晋平が「うまい、ほんまにうまいなあ」と褒める。
なぜだろう、この文章を読んで私は涙が溢れ出た。
喜一の父親は戦争で受けた傷が元で死んでいる。

晋平は戦地でたくさんの戦友を失っている。
晋平が信雄に
「戦争はまだ終わってないでェ、なあ、のぶちゃん」
と語りかける場面がある。
そして
「一所懸命生きて来て、
人間死ぬ言うたら、ほんまにすかみたいな死に方するもんや。」
とも語る。

「泥の河」「螢川」、2作品とも人間の生と死に特別の感慨を持ち、逆らえない運命の中で必死に生きていかねばならない覚悟と、その中でも優しさがなければならないと訴えているのかもしれないと感じた。

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2022年11月17日

Posted by ブクログ

「泥の河」哀切な日本の情景が多く見られ、主人公の眼を通して私も実際に経験してきたかのような没頭できる世界観だった。最後の水上生活者家族とのサヨナラの瞬間は切なかった。
「螢川」富山の三月末が舞台。美しい光景が広がる。家族の物語。螢火のような異次元に綺麗なものを見るときっと人は何かを終わらせたり、決断できる。

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2025年09月08日

Posted by ブクログ

泥の河は昭和30年の大阪、蛍川は昭和37年の富山が舞台。
高度経済成長が始まる直前の時代背景。生まれた頃なので記憶にはないが、なんとなく懐かしい雰囲気がする。

普通なら純文学系は手に取らないのだけど、たまにはこういうのもいいか。

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2025年05月09日

Posted by ブクログ

戦後の貧しかった日本の描写が、少し気持ちを暗くさせる。考えさせられることは多い良書。読むタイミングが大切。

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2025年02月16日

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風景描写がそのまま登場人物の心情を表す、お手本みたいだ。螢川の描写は特に美しい

蛍の大群は、滝壺の底に寂寞と舞う微生物の屍のように、はかりしれない沈黙と死臭を孕んで光の澱と化し、天空へ天空へと光彩をぼかしながら冷たい火の粉状になって舞い上がっていた。

土佐堀川に浮かんだ船に母、姉と暮らす不思議な少年喜一と小二の信雄の短い交流を描いて感動を呼んだ太宰治賞受賞の傑作「泥の河」。
北陸富山の春から夏への季節の移ろいの中に中三の竜夫の、父の死と淡い初恋を螢の大群の美しい輝きの中に描いた芥川賞受賞の名編「螢川」。

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2025年01月15日

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感想
筆者の作品は似たような設定が多いから、前も読んだようなってなってしまうな。大阪、戦後、のぶちゃん、ポンポン船、きんつば、板金、遅くにできた子供など。


あらすじ
泥の河
戦後、大阪の安治川沿のうどん屋の倅の信雄は小学2年生。ある日、ポンポン船に住む喜一と銀子と出会う。喜一の母親は、ポンポン船でパンパンをして生計を立てていた。

蛍川
新潟に住む竜夫は中学生。父親の重竜が病気で余命いくばくもない。そんな中、英子という気になる女の子との関係、友達の関根の死、父親の死など思春期に様々なことを思う。

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2025年01月12日

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ネタバレ

泥の河
戦後、高度経済成長期前の日本での貧しい生き方を美しいと言えるような書き方で綴った作品。豊かさが美徳の損失であることを、感じざるを得なかった
子供心と他人と分かち合えないことなど直接的な内面の描写はあまり多くないのに行動で多くを考えさせられる作品だった

螢川
生と死を書き綴るとてもいい作品だった。
余りにも身近な死。その中で生きること。

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2024年10月11日

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現代作品にはあまりない、古風で哀愁漂う独特な雰囲気を纏った物語。生きること、命とは、子供の非力さ、色々と投げかけ考えさせられる内容であるのに、その背後には美しさもあり、何とも不思議な感覚に囚われる。短編だけどとても奥深い作品だった。

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2023年02月22日

Posted by ブクログ

蛍川、昨日1日読んでいた。宮本輝の芥川賞受賞作。鮮やかな人物描写と細やかな自然描写。この後に錦繍が発表されたが、その萌芽を感じられる。

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2022年12月19日

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