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Posted by ブクログ
2人の間に起こった出来事は決して劇的なものではなく、むしろありふれた話で、だからこそ自分の経験とリンクして胸が締め付けられる思いだった。
『火花』が良すぎてなかなか読めていなかったのだけど(?)、もっと早く読んでおけばよかったと後悔。
「乱暴に言う自分の言葉で興奮しているようだった」
「涙を感動の物差しとして誰かに示すことを恥と思ういやらしさ」
「(沙希には)夢のある暮らしに対する期待があった。それを目の当たりにしてしまったことがつらかった」
「僕の場合、与えるということは「欲求」であって「優しさ」なんかではないのかもしれない。こんなことを考えている時点で下品だなと思う。」
「芸術というものは、何の成果も得ていない誰かが中途半端な存在を正当化するための隠れ蓑なのではなく、選ばれた者にだけ与えられる特権のようなものだという残酷な認識を植えつけられた。」
又吉さんの文章を読んでいると、自分の中にある卑屈な人間性やコンプレックスが刺激される。あのセリフやあの描写、普段見て見ぬふりしている自分の嫌なところを見せつけられてるみたいで自己嫌悪に陥る。
Posted by ブクログ
理想とその理想とかけ離れた現実とのギャップが、人の目を盲目にしてしまう危険があると感じた。本来大事にしていた価値観や、身近にいる大切な人間はいつも変わらずに存在しているはずなのに、エゴやプライドがその見え方を変えてしまう。またギャップを分析して、その原因が理解できるからこそ、自己を相対化して俯瞰できてる自分に満足というか、驕りというか、偽りの自信みたいなのが生まれて、いつの間にか危機が目の前に迫ってきているのにも気づかず、気づいた時にはもう遅いとなってしまう。わかることと並ぶことは違うなと。これを断ち切るための何かが足りなかった物語だったと思う。何かを強く追い求めることは同時に、何かを犠牲にすることもあるということも感じるさせられる内容だった。
Posted by ブクログ
演劇制作に打ち込む青年と服飾デザイナーを目指す女子の恋愛模様を描いた小説。ひょんな出会いから恋人関係になった二人が、同棲し数年を過ごすが、徐々に関係性に変化が生まれる。彼は定職に就かず舞台作りに励むが、観客や演劇関係者からの評価はなかなか上がってこない。一方彼女は女性服販売店や居酒屋で働くが、上京し夢見た姿には遠い日々。そんな中、二人は交際を続けるが、しだいに距離が生まれていく。そして彼女は東京を離れ実家に戻る。離れ離れになった二人は連絡を取り続けるが、彼女は彼との別れを決断した上で、東京に出てくる。彼の方はまだ、彼女に愛情があり、部屋をかたづけて実家に帰ろうとする彼女を笑わせようと必死におどける。しかし「あんたとはもう一緒にいられない」と言う彼女の気持ちは変えられない。どこまでも夢を追い続けようとする彼と、年齢や過ぎた時間から夢に見切りをつけた彼女、対照的な二人の姿の描写が読者に感慨を与えてくると思った。
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