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こんな時代だからこそ心に沁みる名句がある。
「孤独」や「孤立」を感じる時代だからこそ、深く心に沁みる名句がある。
漂泊・独居しながら句作を続けた“放浪の俳人”種田山頭火と尾崎放哉の自由律俳句が今、再び脚光を浴びているという。その厖大な作品の中から、現代俳句の泰斗・金子兜太が生前選んだ山頭火55句と、お笑い芸人で芥川賞作家の又吉直樹が選んだ放哉55句を合わせて110句を厳選・解説した“奇跡の共著”。
労れて戻る夜の角のいつものポストよ 山頭火
……東京暮らしには多少の余裕が出てきたものの、妻と別れて一人身になった孤独感は、やはり深かったのだろう。そんな折だから、町角のポストに友だちのような親しみを感じるのである。(金子)
こんなよい月を一人で見て寝る 放哉
一人で月を眺めていて、「よい月だな」と感慨にふけることがある。……だが、どこかでこの喜びを誰とも分かち合うことができない淋しさも感じてしまう。……一人だからこそ感じることのできた喜びと淋しさが句の内部で循環している。(又吉)
うしろ姿のしぐれてゆくか 山頭火
……感傷も牧歌も消え、生々しい自省と自己嫌悪も遠のいて、宿命をただ噛みしめているだけの男のように、くたびれた身体をゆっくりと運んでいる姿が見えてくる。(金子)
咳をしても一人 放哉
……誰もいない孤独が満ちた部屋で咳をする。その咳は誰にも届かず、部屋の壁に淋しく響く。一つの咳によって部屋に充満していた孤独や寂寥が浮き彫りになる。(又吉)
「孤独」を磨き続けた2人の自由律の名句を“再発見”する一冊。
Posted by ブクログ 2023年10月12日
俳句とはあまり馴染みがなく、山頭火と尾崎放哉についての知識はほぼゼロで読みましたが、又吉さんのおかげでいい出会いができました。
以下自分用メモ
又吉直樹 17.18歳のときのノートについて...
『みんなの日常は喜怒哀楽みたいな感情の動きでリズムができているけど、俺はもう、ため息と舌打ち...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年06月01日
山頭火と放哉の俳句それぞれ55句に、金子兜太氏と又吉直樹氏が解釈を加えたもの。山頭火に関する本はいくつか読んでいるので、漂泊・独居の様子は少し知っていたが、放哉に関しては今回が初めて。エリートコースを歩んでいた、という事実が驚きだった。自由律俳句を詠む二人の"生き方"に、ますます...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年02月16日
山頭火、放哉と言う名前は知っていても、彼らの句を鑑賞することは今までなかった。
この本の選ばれた110句を読み、それぞれの句に何か感銘を受けたとは言えないが、きっと心の奥底にひとつくらいは沈み込み、ふとした拍子にその句のことを思い出すのかもしれない。
放哉の句を選んだ又吉氏の解説に、
「人生を上...続きを読む
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