【感想・ネタバレ】孤独の俳句 ~「山頭火と放哉」名句110選~(小学館新書)のレビュー

あらすじ

こんな時代だからこそ心に沁みる名句がある。

「孤独」や「孤立」を感じる時代だからこそ、深く心に沁みる名句がある。
漂泊・独居しながら句作を続けた“放浪の俳人”種田山頭火と尾崎放哉の自由律俳句が今、再び脚光を浴びているという。その厖大な作品の中から、現代俳句の泰斗・金子兜太が生前選んだ山頭火55句と、お笑い芸人で芥川賞作家の又吉直樹が選んだ放哉55句を合わせて110句を厳選・解説した“奇跡の共著”。

労れて戻る夜の角のいつものポストよ 山頭火
……東京暮らしには多少の余裕が出てきたものの、妻と別れて一人身になった孤独感は、やはり深かったのだろう。そんな折だから、町角のポストに友だちのような親しみを感じるのである。(金子)

こんなよい月を一人で見て寝る 放哉
一人で月を眺めていて、「よい月だな」と感慨にふけることがある。……だが、どこかでこの喜びを誰とも分かち合うことができない淋しさも感じてしまう。……一人だからこそ感じることのできた喜びと淋しさが句の内部で循環している。(又吉)

うしろ姿のしぐれてゆくか 山頭火
……感傷も牧歌も消え、生々しい自省と自己嫌悪も遠のいて、宿命をただ噛みしめているだけの男のように、くたびれた身体をゆっくりと運んでいる姿が見えてくる。(金子)

咳をしても一人 放哉
……誰もいない孤独が満ちた部屋で咳をする。その咳は誰にも届かず、部屋の壁に淋しく響く。一つの咳によって部屋に充満していた孤独や寂寥が浮き彫りになる。(又吉)

「孤独」を磨き続けた2人の自由律の名句を“再発見”する一冊。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

職場の人が読んでいた本を教えてもらった。

とても好き、と思った句がいくつか。

柘榴が口あけたたはけた恋だ

何かつかまへた顔で児が藪から出て来た

労れて戻る夜の角のいつものポストよ

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2024年02月06日

Posted by ブクログ

俳句とはあまり馴染みがなく、山頭火と尾崎放哉についての知識はほぼゼロで読みましたが、又吉さんのおかげでいい出会いができました。




以下自分用メモ

又吉直樹 17.18歳のときのノートについて...

『みんなの日常は喜怒哀楽みたいな感情の動きでリズムができているけど、俺はもう、ため息と舌打ちだけで生活のリズムができている』みたいなメモがあって、めちゃくちゃ暗くて驚きました(笑)

コントでネタにしたらウケたので暗いノートに書き殴られた言葉たちの居場所があった

頭で考えたものより感情の発露として出てきた言葉の方が強度をもつ
→尾崎放哉への確信


絶望の果ての大笑い 的なことby太宰治



種田山頭火
山口防府出身 既婚(のち離婚)
母の自殺〜父の放蕩、弟の自殺、酒造業の失敗など不幸が重なる
一度東京にでるが、精神衰弱で帰郷、熊本にもいったりきたり

尾崎放哉
一高、東大のエリートだが戦時中の失恋等で崩落していく
病に臥せながら俳句を詠みまくる

痩せ細る自分と煩い蚊を対比している句など客観的なものが多い


こんな生き方をした人間は何かを見つめすぎて悟るのか

面白かった

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2023年10月12日

Posted by ブクログ

書けそうで書けない自由律。
二人の共通項した部分を知ることが出来て良かったです。間違えて覚えている俳句もありました。孤独で力強い俳句が心に染みます。繰り返して読みたいです。又吉直樹の鑑賞も良い。

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2023年03月16日

Posted by ブクログ

“放浪の俳人”種田山頭火と尾崎放哉の自由律俳句作品の中から金子兜太氏と又吉直樹氏が110句を厳選・解説。本当に"心の声がつい漏れてしまった”みたいな自虐的なような、ユーモラスな、自由な言葉が心を軽くさせてくれた。又吉さんの解説も読み応えがあって良かった。

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2025年04月29日

Posted by ブクログ

種田山頭火名句五十五選 金子兜太
 分け入っても分け入っても青い山
 うしろ姿のしぐれてゆくか
 けふもいちにち風をあるいてきた
 鴉鳴いてわたしも一人
 枯草しいて月をまうえに

尾崎放哉名句五十五選 又吉直樹
 つくづく淋しい我が影よ動かして見る
 こんなよい月を一人で見て寝る
 一本のからかさを貸してしまった
 花火があがる空の方が町だよ
 咳をしても一人

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2024年10月08日

Posted by ブクログ

 山頭火、放哉と言う名前は知っていても、彼らの句を鑑賞することは今までなかった。
この本の選ばれた110句を読み、それぞれの句に何か感銘を受けたとは言えないが、きっと心の奥底にひとつくらいは沈み込み、ふとした拍子にその句のことを思い出すのかもしれない。
 放哉の句を選んだ又吉氏の解説に、
「人生を上手く渡れそうな材料は一通り揃っていたが、その部分がことごとく使い物にならなかったのではないか。」(P164. 釘箱の釘がみんな曲がつて居る)
とあるが、そんな悲しみか絶望かを体験した放哉の生き方が心に沁みた。

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2023年02月16日

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