【感想・ネタバレ】劇場(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

高校卒業後、大阪から上京し劇団を旗揚げした永田と、大学生の沙希。それぞれ夢を抱いてやってきた東京で出会った。公演は酷評の嵐で劇団員にも見放され、ままならない日々を送る永田にとって、自分の才能を一心に信じてくれる、沙希の笑顔だけが救いだった――。理想と現実の狭間でもがきながら、かけがえのない誰かを思う、不器用な恋の物語。芥川賞『火花』より先に着手した著者の小説的原点。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

又吉さんの実体験や、それまでの人生経験をベースに書かれた作品なのかな、と思いました。

主人公の抱える過剰な自意識や嫉妬心は、私自身の心の中の深い部分にも存在している感情です。
(大人になってから上手く隠せるようになってきたとは思いますが)
そうした生の、リアルな感情が、包み隠さずしっかりと描かれており、どうにも他人事とは思えませんでした。

また読み返したい作品です。

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2026年02月14日

Posted by ブクログ

大抵の人は永田を嫌うだろうし、実際作中でも永田は嫌われている。ただ、なぜ嫌うのかと言うと、大人が捨ててきた子供っぽさを、永田は大事に抱き抱えつつ、大人でも子供でもない空間に浮かんでいるからなんじゃなかろうか。

徹底的に自他をいじめ抜くからこそ、そのクリティカルさは生まれている。のにも関わらず、そいつは毎日自分の元に帰ってくる。何も言わなくなるのに、そばにいる。その愛嬌がどうしようもなく魅力的にうつるのかもしれない。



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2025年09月09日

Posted by ブクログ

もともとyonigeというバンドが好きで、
その中でも沙希という曲が1番好きで。

この本から影響を受けて書いた曲だと知ったにも関わらず読んだことがなかったので、
今更ながら読んでみた。

終盤、気が付いたら涙が止まらなくなっていた。
最後の描写は実際の場面を見たかのように強く映像として残っていて、2人のこの時間に終わりが来ることを認めたくなくて、しばらく最後のページをずっと眺めていた。

永田のプライド、コンプレックス、それが人との関わりにおいて邪魔をしてしまうシーンは、
ここまでの表出さえしなくとも自分自身の中にもある感情、あった感情な気がして、読み進めるのを躊躇いそうになる瞬間もあった。

永田と沙希が歩み続けた日々が、二人にとって尊い瞬間であったことが救いに感じる。
それが逆に沙希を苦しめてしまったのかもしれないけれど。

私がこれからyonigeの沙希を聴いて
永田と沙希の日々を思い出すように、
彼らも、これからの日々で互いを思い出す時
切ないながらも今を色濃く生きる糧になりますように。

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2025年05月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

哀しいけど永田側の人間だと自覚しているし、ちゃんと生きにくいし、演劇もやってたし、わかる、わかるよ〜の連続だった。劇場、映画の方がおすすめだけど原作も良い。

変わらなかった君は何も悪くないんだよって最後の最後まで甘やかしてしまうのも沙希過ぎるし、修復不可能なことに後から気付いて、気付いても最後まで期待を捨てきれず演劇に当てはめて都合がいいように持っていこうとするのが永田過ぎる。

私は大好きな作品、映画も小説も定期的に読みたくなるだろうな〜!

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2025年02月02日

Posted by ブクログ

2人の間に起こった出来事は、決して劇的なものではない。むしろありふれた話で、だからこそ自分の経験とリンクして胸が締め付けられる思いだった。

『火花』が良すぎてなかなか読めていなかったのだけど(?)、もっと早く読んでおけばよかったと後悔。

「乱暴に言う自分の言葉で興奮しているようだった」
「涙を感動の物差しとして誰かに示すことを恥と思ういやらしさ」
「(沙希には)夢のある暮らしに対する期待があった。それを目の当たりにしてしまったことがつらかった」
「僕の場合、与えるということは「欲求」であって「優しさ」なんかではないのかもしれない。こんなことを考えている時点で下品だなと思う。」
「芸術というものは、何の成果も得ていない誰かが中途半端な存在を正当化するための隠れ蓑なのではなく、選ばれた者にだけ与えられる特権のようなものだという残酷な認識を植えつけられた。」
又吉さんの文章を読んでいると、自分の中にある卑屈な人間性やコンプレックスが刺激される。あのセリフやあの描写、普段見て見ぬふりしている自分の嫌なところを見せつけられてるみたいで自己嫌悪に陥る。

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2025年02月22日

Posted by ブクログ

青春、夢、恋愛、挫折…そんな淡い儚い言葉が満載の小説でした。

大阪から上京し劇団を旗揚げした永田が大学生の沙希と出会い、やがて2人は暮らし始める。しかし永田の書く芝居の公演は酷評の嵐で劇団員にも見放され、大きな挫折に見舞われるが、沙希に『あなたには才能がある』と言われ、永田は変わることができない。そのまま沙希に甘え続け、いわゆる『ヒモ』状態が続き、些細なことで諍いになり、沙希は次第に心身をすり減らして、やがて二人には溝が生まれる…誰もが若い頃に経験しただろう夢と挫折、将来像を二人は描けなくなってしまう…若さというものが残酷で、切なさだけが残る。

この『劇場』は、コロナ禍の2020年に映画化され山﨑賢人と松岡茉優という配役が素晴らしかった。
小説の何気ない描写がしっかりと映画に活かされていたように思う。
(小説とは違う映画のラストシーンは賛否両論あるかもしれないが、ちょっと泣けた)

やっぱり又吉直樹さんの小説は、悔しいけど面白いな。

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2026年03月12日

Posted by ブクログ

 演劇と沙希を核に持つ永田と恋人沙希の不器用な恋の物語。
 正直に言って恋愛小説とは思えないが、どこか恋愛小説のような気配を感じる本。永田のクズさに途中苛立ちを覚えたが、読み進めていくとクズであることに変わりなくとも、永田本人も自覚しきれていない変化を読み取れる。
 中盤あたりの永田は本当に嫌気がさすが、根気よく読み続けてほしい。沙希という「神様」のおかげで少しずつ永田の中の傲慢さが溶けていく。最後は完全なハッピーエンドとは言えないにしても、なにかスッキリとした爽快感が残る。終盤の短い部分でこの小説の色が変わる。どうか最後まで読んでほしい作品だ。 
 
 最後にこんな感想を読んでくれたあなたに感謝する。

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2026年03月06日

Posted by ブクログ

捻くれている永田もまっすぐな沙希ちゃんも、危なかしくて目が離せなくて一気に読んだ。
登場人物みんな人間くさくてリアリティがある。
最後が切なかった。自業自得だけれどそれが永田という人間なのだと思う。

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2026年02月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

永田がクズすぎて感情移入出来ないなとも思ったけど、永田から見た初期の沙希の魅力的なものが物語が進んでいくにつれてだんだん見れなくなってきて、最後のシーンに感じた喪失感で結局は永田に感情移入していたんだなと思った。

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2026年02月11日

Posted by ブクログ

偶然の関係が、演劇とともに壊れていく。
正しさが分からなくなった先で、お互いの気持ちの変化がすれ違っていく描写がとても苦しかった。
ラスト、ずっと胸の内に留めていた本音を演劇に重ねて言い合う場面がとても良かった。

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2026年02月01日

Posted by ブクログ

ストーリーはおもしろかったが、情景描写が細かく繊細で難しく感じた。又吉さんの伝えたいことに対して、自分が理解しきれていないのではないかと思った。
これからも本をたくさん読んだ後に再読してみたい。

永田の繊細さや不器用さが又吉さんそのものに思えることがあり、それも含めて面白く、魅力的だと感じた。
た、それ故にバッドエンドになってしまうのかとヒヤヒヤしていたが、希望にも受け取れる方向性でホッとした。

好きなフレーズ「この嫉妬という機能を外してもらえないだろうか。」
自分は永田ほど変なやつじゃないと思いつつ、永田の心の声を知ると、自分にも当てはまることが少なからずあり、過去を振り返って恥ずかしくなり反省した。

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2026年01月14日

Posted by ブクログ

『火花』を最初に読んだときは芸人の本か…と少なからず偏見があって、なかなか内容が入ってこなかった。今回の『劇場』は『火花』を2回読んで多少又吉さんへの感じ方が変わってから読んだ。最初の4行でかなり掴まれてしまった。
永田も沙希ちゃんもどうしようもない人なんだけどどうしようもなく惹かれてしまうものに抗えないその姿ってちょっとうらやましいと思った。
サッカーゲームの場面とか商店街の場面とかそういう情景描写に好きだなって思う瞬間が何度かあった。

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2026年01月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ダメ男に引っかかった女がダメ男に尽くして結局別れて。さきは次はいい男捕まえて、幸せになるんだろうな〜という感想だけど、心理描写にグッときたので星4です!あのなんとなく過ごしている、何かを見ている、ぽやーっと考えている時の人の心の動きを的確に言語化されてるのすごすぎます…!

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2025年11月20日

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葛藤と純粋の物語。一人称内向きの心内をよく書き込んでいるので読む側もそこまでか?いやそう考えるよな〜とか心揺らされた。そんな風に思うのは男だけかな?

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2025年11月16日

Posted by ブクログ

初又吉本
元々好きなタイプの喋りをする人だなとyoutubeとか見てて思ってたけど、彼の書く物語もちゃんと好きだった

一文一文が長いし、描写が緻密すぎて最初50ページくらいはいまいちだったけど、そっから気持ち持ってかれた
何度か物語としては盛り上がりではない一文に心痛めて泣いた

永田は普通に現実で会ったら一蹴してしまうゴミ男だけど、永田を産み出した又吉はとても優しいなと思った。

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2025年10月12日

Posted by ブクログ

主人公が本当にろくでもない人間のような気がした。又吉の人間も同じようなテーマで自分に才能がないって気づきながらそれを見ようとせず生きてるみたいな?類似性が感じられたけど。
私はやっぱり又吉の言葉遣いが好きだなと思った。
普通の人が1行でいうことを3行くらいの複雑な表現をする、感じがもっと知りたい、とかそんな気持ちになる。言葉が豊かだなと思う。
恋愛って本当にこんな感じなんだろうか?
もう一度読みたい。

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2025年09月07日

Posted by ブクログ

単行本207ページって短め?って思ったけど、そうとは思えないくらい内容が濃い。
永田がクズ過ぎて、正直感情移入が難しくかなりイライラも、した、けど、
ラストスパートでこの本の印象が一気に変わった。
結局のところ、沙希も変だし永田はもっと変という印象。でも、最後の「2人の関係性がこれ以上どうしようもなかった感」がとても切なく、泣きそうになった。

純文学は多分初めてだった。難しくて、読み返したことも多々あったけど、又吉先生のその表現方法の巧みさに唸りました!

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2025年08月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

序盤の主人公とんでもなく尖ってたが、年月が経つにつれてだんだん丸くなっていったように感じた。
それはもちろん歳を重ねて落ち着いたからでもあるだろうけど、沙希ちゃんの影響もかなりあったんじゃないかと思って、心がじんわりした。

ふたりはきっともうどうしようもないんだと伝わってきて悲しかった。永田がふざけたり明るい調子で話すほど、余計に切なくなった。

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2025年08月02日

Posted by ブクログ

永田の悲観的で周りを認めたくなくムキになってしまい周りの人を傷つけては後悔する、良くないとわっていても彼女に寄りかかり理想を生きようとする、どこか理解できるような出来ないような。

最後の演劇の台本を2人で読んでいるシーンは演劇の中という設定だからこそ本当のことが言えるようでとても切なく感じた。

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2025年07月26日

Posted by ブクログ

永田のどうしようもなさに嫌気がさすけど、そのどうしようもなさは、形は違えど自分の中にもあるから同族嫌悪的に嫌な気持ちになる気がする。人と支え合うことは大事だけど片方が一方的に寄りかかると壊れる。

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2025年05月27日

Posted by ブクログ

4.0/5.0

語り手の主人公にとって、「演劇」と「彼女」の二つの存在が自分の柱になっていて、それぞれに対する欲求、喜び、不満等をそれぞれで補い合っているような構図が印象的だった。
恋愛小説とも言えると思うけど、軟派な印象になっていないのは著者の繊細な文章表現によるものだと感じた。
あと、性的な描写をわざとらしいくらい、一切排除してるのは意図的なんですかね?

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2025年03月25日

Posted by ブクログ

読むのが苦しい。

難しくて読みづらいとかそういうことではなくて、読み進めるほどに心が締めつけられるような、息がしづらくなるような。


評価されない、評価されないどころか、攻撃される。精神的にも肉体的にも。

永田は自分のほぼ全てである演劇において、沙希はほぼ全てである恋愛において。

最初は二人で同じ方向を向いて歩いていたのになぁ。永田の行動はまるでストーカーのごとく怪しかったけど。
沙希の部屋に異物である永田が持ってきたブロックが増える度に二人の歩く角度が少しずつ開いて行ったかのよう。沙希の心に何かが染みを作るように。

沙希の純粋さに耐えきれなくなった永田が何かを持ってきて部屋を乱したかったのかな。まるで心にちょっと墨でも垂らすように。
そんな事を上手く表現できないもどかしさを感じた。

やっと二人が離れる前に、最後の最後は二人は壁を背にして同じ方向を向けたのにね。
しっかり壁に背をつければ角度が開くことも無く同じ方向に進めたのに。
同じ方向を向いても東京と青森に離れていては横を向いても姿は見えないね。

うん、必死に生きる若者だった。
切ない作品だった

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2024年12月30日

Posted by ブクログ

火花、人間をこれまで読んできて、又吉作品の3冊目となりました

又吉さんの人間の本性を捉える文章力に魅了され、気づいたら又吉作品を立て続けに読んでました。

今回の作品では、一番大切な人が側にいてくれるのを当たり前だと思わずに、日々を大切に過ごしていこうと思わされました。

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2024年12月17日

Posted by ブクログ

165ページからの駅前の描写が一番好きだった、こういう街の風景に溶け込む人になりたい

面白かったけど、いいのか悪いのかずっと又吉直樹という人物が書いた小説ってのが頭から離れなかった、作家性が強すぎるなと思った

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2026年03月21日

Posted by ブクログ

19.11.5
永田の人間としての器の小ささばかりが表に出ていて読んでいてあまり良い気はしなかった。
ただ沙希が次第に永田から離れていく場面辺りからは読み応えがあったかなと感じた。

前半から中盤があまりにも退屈だった故に

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2026年03月17日

Posted by ブクログ

永田がずっと1人で色々あーだこーだ考えてる描写が多く、難しく考えるだけじゃなくて行動しなよとか思ったりしたけど、そのまま自分に返ってきた

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2026年02月04日

Posted by ブクログ

サキちゃんがなんで永田じゃなきゃ駄目だったのかよく分からない。永田が演劇に生きる姿が好きだったのか、自分にないものをもっているところが好きだったのか、理由は特になくただ一緒にいることが好きだったのか。

永田は本当にろくでもない奴でサキちゃんの親を悪く言ったところはサキちゃんが可哀想でこんな奴早く別れればいいのにと思っていた。
最後までなんで別れないんだろうって思った。ああなる前に永田に自分の存在の偉大さを解らせてやるべきだったと思う、でも何故それができなかったかというとそれもまた永田のせいで、性格上聞き入れることなくまた自分のせいにされるのを恐れていたのだと思う。

最後の永田が劇のセリフで想い出を語るところは自分も経験したかのように頭に描写が浮かんだ。2人の想い出に一つ一つ区切りをつけることが悲しく泣いてしまった。絶対泣かないと思ってたのに。

最後だけ優しくなったって無駄だよ永田、最初からずっと優しく大事にしてあげればよかったのにね
と永田本人に言いたくなった。

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2025年11月09日

Posted by ブクログ

理想と現実のギャップを正当化したいわけではないが、何か理由をつけなければならないように感じる焦燥感とそれゆえの行動、それを見守ってくれる人の優しさにまた偽を塗り込めて真実が閉ざされるような閉塞感。劇に魅入られたが故に適当に生きられない不器用な物語。

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2025年02月23日

Posted by ブクログ

なぜそうしてしまうのかわかっていてもついやってしまう言動。心が痛くなる。なぜなら自分もしてしまうかもしれない、もはやしてしまってるのかもしれないと考えてしまった。

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2025年01月02日

Posted by ブクログ

永田はクズではなく、不器用で、生きるのがヘタで、でも愛は深い人物なんだって思った。
沙季ちゃんには言えないし、してあげられない優しさは永田の中に愛として確かにあって、でもそれがどうにも価値観とか経済的なこととか、社会が邪魔をして上手く伝えられない。
「どうして幸せになれないんだろう」って、永田の言葉が印象的。どうやってもこの社会では、「何かを得るものは何かを捨てなきゃならない」から彼らは彼らだけで幸せになれないんだって考えさせられた。
それから、演劇って夢があるなと....

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2025年02月14日

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