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Posted by ブクログ
知人に勧められて読んだ本。買って大正解だった。
ミステリーとまではいかないが、それなりに謎や事件があったりもするし、登場人物が命の危険にさらされることもあるが、基本的には人情話の部分が大きいかもしれない。
全体を通して流れている大きなあらすじがあるのだが、それに加えて各章では小さなストーリーが始まって完結する。
主人公は珠世という女性で、お鳥見役をつとめる御家人の家に生まれ、婿をとって四人の子どもに恵まれた。お役目を引退した父、実直な夫、見習いとして出仕を始めた長男、格上の旗本の家に嫁した長女、剣術にたけた次男、まだ幼さが残る10代の次女。現在は長女を除く家族と六人家族で暮らしている。そこへ、ひょんなことから浪人の源太夫とその五人の子どもたち、そして剣術にたけて、源太夫を仇と狙う娘、多津が同時にこの家に厄介になることになった。
まず珠世というヒロインがとても魅力的である。おしつけがましくなく、彼女の思いやりは彼女のまわりにいるすべての人をあたたかく包む。将軍家の鷹狩りの下準備をするというお鳥見という役目もこれまた今まで知らなかったがなかなか面白い。宮仕えの悲しさもこの小説の中には盛り込まれているし、上記のように命がかかる事件も起こったりするのだが、この小説の魅力はやはり日々のあたたかな流れだろう。
今回はこれと続編になる「蛍の行方」の二冊を購入したのだが、どちらもとても良く、話の流れもいいので、残りの三冊(既刊)近いうちに入手して読みたいものだ。また好きなシリーズが出来て嬉しい限りである。
Posted by ブクログ
代々お鳥見役を務める矢島家は現当主の妻、しっかり者の珠世が中心となって回っている。
「千客万来」
仇と狙われている源太夫は5人の子供を引き連れて、昔ほんの少々の縁があった矢島久右衛門を頼ってやってきてしばらく逗留することになる。男を仇と狙う沢井多津もひょんなことから同じ久右衛門の家に宿を借りることになる。すぐにお互い仇と狙い狙われるものだと察するが。なんとも不思議な縁と言える。
「柘榴の絵馬」
子供を失った母親の悲しみ行くばかりか。
5人の子を持つ源太夫を多津が撃てばその子らは父親を失った多津と同じ悲しみを背負うはず。
仇討ちなどおやめなされ。
「恋猫奔る」
人が恋する季節はいつなのか。
矢島家に次々と起こる恋の季節は複雑に絡み合っていた。
「雨小僧」
七度探して人を疑へとは子供の頃に教えられたが、人を見たら泥棒と思えと比べてどちらが役に立つのだろう。
「幽霊坂の女」
女心を弄んではいけません。
そして女の怨念を甘く見てはいけません。
松原市之助はその姿形の良さのためかえって女性の恨みをかうことに。
男たるもの、女性にモテるなどと思い上がってはいけませんね。
「忍び寄る影」
お鳥見役の仕事のうちに他藩を探る探索があり、かなり危険な役目で矢島家の先先代も役目のうちに命を落とし、息子も同じ探索の役目を賜りなんとか生きて戻り隠居をしているがその息子の現当主にも同じ役目が回ってきてしまった。
「大鷹狩」
P300
「子供たちだけがあっけらかんとした顔で飯をかきぉみ〜」
この内容で「あっけらかん」は誤用ではないか。
Posted by ブクログ
御鳥見役とは、将軍の鷹狩りの下準備をするお役目。
じつは、幕府の密偵のような仕事も担っていた。
江戸郊外に暮らす矢島家。
お鳥見の妻・珠世は、23をかしらに4人の子持ち。旗本に嫁いだ長女・幸江には5歳の孫までいる。
小柄で丸みのある外見、いかにも優しそうでいて、しっかり者とは、理想の女性?
広くはない家に、居候が転がり込んでくる。
父と一度会っただけの浪人・源太夫が仇に追われ、小さい子供らと共に。子供の人数にさすがの珠世もびっくりだが、飢えた子供を放っては置けない。
窮状を見かねて食べ物を届けてくれる親戚もいるありがたさ。
珠世の次男の久之助は、道場で若い娘・多津に試合を挑まれる。
行く先がないと聞いて家に連れてくるが、何とこれが源太夫を仇と狙っていたのだった。
すぐに果たし合いになりそうな所を珠世が身を挺して留める。案じつつも、そのうちに多津の心が変わるようになろうかと思う。
無邪気に懐く子供らと遊ぶうちに1年もたち、多津の心も揺れ動くのだが。
隠居している父・久右衛門が以前に危険な仕事に関わったことも知っている珠世。
実直な婿の夫・伴之助はそういう仕事はしていなそうだったが、ある日ついに任じられる日が来る。
そして、消息を絶ってしまうのだ。
嫡男の久太郎も見習い役として出仕しているが…
源太夫には士官の話が持ち込まれるが?
平成13年の作品。シリーズ1作目。
作者は1954年静岡生まれ。上智大卒、外資系会社勤務ののち、96年デビュー。著書多数。
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