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世界最初の全身麻酔による乳癌手術に成功し、漢方から蘭医学への過渡期に新時代を開いた紀州の外科医華岡青洲。その不朽の業績の陰には、麻酔剤「通仙散」を完成させるために進んで自らを人体実験に捧げた妻と母とがあった――美談の裏にくりひろげられる、青洲の愛を争う二人の女の激越な葛藤を、封建社会における「家」と女とのつながりの中で浮彫りにした女流文学賞受賞の力作。
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Posted by ブクログ
歴史は男性の歴史とはよくいったものだ。でも有吉佐和子さんの小説にかかれば、歴史が登場人物の墓の大きさ程度のもので、墓に入るまでが歴史であり、人の人生だとしみじみとわかる。
凄まじい献身物語、おぞましい嫁姑 男のエゴ 世界初、全身麻酔による乳がん手術成功者 通仙散(麻酔剤)成就
約200年前に麻酔剤を作り、それを使って乳癌手術を日本人がしていたなんて意外、と思った。 でもこの本の主題はそこにはなく、それを支えた妻と母、そしてその家族。今では考えられないほどの封建的な考えがあったことに驚かされる。
第6回女流文学賞 第2回新風賞 江戸時代末期に世界初の全身麻酔による外科手術を成功させた華岡青洲。 本書はそれを側で支えた嫁姑の静かな熱き戦いの話。 全身麻酔という医療技術を得るためには努力だけでなく、知られざる犠牲があったことにぞっとした。 麻酔がない時代では、癌に気付いても手術ができずただ経過...続きを読むを待つだけで、本人も家族もどんなに辛い思いで過ごしたのかと想像するだけで辛い。 麻酔の偉大さを思い知った。 嫁と姑の緊張感のあるやりとりや、醜く揺れてしまう心情がひしひしと伝わってきて、とてもおもしろかった。
華岡流医術の生みの親としてその名を馳せる華岡青洲の妻、加恵のお話。 加恵は天明2年、華岡家へ嫁ぐ。(21歳前後) 京都へ遊学している夫に代わって迎え入れてくれたのが、青洲の母である於継(おつぎ)だった。 於継は美人で賢く、何をしても髪の毛1本すら乱れない完璧な人だった。 加恵はそんな於継を羨望の...続きを読む眼差しで見ていた。 義娘である加恵に対しても、実の娘のように接してくれた。 しかし、夫(於継の息子)の帰郷と同時に、於継の態度に陰りが出始める。 青洲の愛を巡って、2人の間で繰り広げられる女の戦い。 静かな軋轢は日を追うごとにエスカレートする。 遂には体を張って… この時代に「嫁ぐ」ということが、全く血の繋がりのない人間が一家で暮らすということが、どれだけ孤独で、過酷な事なのか物語っている。 於継も同じ道を通り、耐えてきたのだろう。 常に緊張感をもって生きてきたのだろう。 だからこそ、最愛の長男だけは誰にも取られたくなかったのかもしれない。 最後に、医学の発展に関与した人々に心から感謝したいと思った。多くの人間や動物たちの犠牲の元、現代医療があるのだと考えさせられた。
有吉佐和子さんの小説は外れがないです。 今回は姑と嫁という普遍のライバル関係を描きながらも、息子が医術の学びから帰京した瞬間に母の嫁に対する態度が変化したり、息子が母よりも嫁に尽くす態度に嫉妬の炎を燃やしたりと、姑目線、嫁目線で感情が変わって行くさまを、リアルに描いているところが秀逸です。 この時代...続きを読むならではの家を守る、後継を産むという「家」の繁栄が全てだったからこそ、逃げ場のない空間の中で、女には女のシビアな戦いがあったのでしょう。 しかし、麻酔のない時代、こんな大変な想いをして、今の医学の礎を築いてこられたのですね。そこを学ぶことができただけで、価値のある本です。
100分で名著から、初めての有吉佐和子 おもしろかった!!! こんなバトル小説だったとは。 けれど、言葉がきれいだからか、戦いも醜さはなくて美しい。 母である、ということ、分かるときがくるのだろうか。
すごかった。これぞ女の戦いって感じがします。 100分de名著で見たので大体の話の流れは知っていたのですが、やはり読むと一段と素晴らしい。 母と嫁を「自分を生んだ女」と「自分の子供を産む女」と称するえげつなさが最高に良い。 江戸時代の話なので、今よりもっと”家”というものが重んじられた時代の話では...続きを読むあるのですが、嫁姑問題というのは普遍的なものなのだなと感じる。人の情念とも呼べるものが描き切られている気がします。
嫁と姑が競って清州の実験台になろうとする姿は側から見れば美談に見えるがその実、清州を巡る二人の女の激しい葛藤があった。命を賭けてまで相手に勝とうとする女の戦いがすごい!
恐らく中学時代…先輩が書いた読書感想文で本書を知った。 1804年(文化元年)世界初の全身麻酔による乳ガン手術に成功した華岡青洲。その成功の裏には自ら実験台になることを願い出て失明した妻 加恵の内助の功があった。感想文にあったそんなあらすじを読んで、すぐさま「自己犠牲がテーマか…」と気が進まなくなっ...続きを読むた。 理由は単純で、エゴ極まりない10代の頃は誰かのために尽くしたり何かを差し出したりすることに対して、激しい嫌悪感を抱いていたから。何がそのような行動を取らせるのか、まだ理解できていなかったのもある。 そうして自分のエゴを優先していくあまり、本書の存在は記憶に埋もれていったのだった。 そして1年ほど前、知人から本書をレコメンドされてようやく今辿り着いた。 加恵の行動は自己犠牲を表していることに変わりはないが、それ以上のテーマが中で逆巻いていたことに気づいてゆく。 いわゆる「嫁姑問題」。しかも「彼女ら」の場合はページを追うごとに特殊な域に達していき、しまいには「加恵の置かれていた立場を考えると、あの自己犠牲も当然の成り行きだったのかな」とまで思わせる結果となった。 これは感想文を書いた先輩にだって想像してもしきれるものではなかったはず…。 物語の主人公 加恵は元々紀州地侍 妹背家の出だった。 士の娘が何故医家の華岡家に嫁ぐことになったのか。それは必然的なもので、加恵を請いに華岡家当主の妻 於継(おつぎ)が妹背家を訪れた時から全ては動き出していた。 夫(華岡雲平、のちの青洲)が遊学中の際も寂しくならずに済んだのは、小姑たちと協力して家を切り盛りしていたこと、そして何より於継の存在が大きかった。憧れだった於継に迎え入れられたことが加恵の心の支えになっていたのだ。 それがある出来事を境に二人の関係性は暗転してしまう…。この時の加恵の心情を代弁するなら「可愛さ余って憎さ百倍」が妥当だろう。 ありがたいことに今の自分は嫁姑問題で悩むことは一切ないが、加恵が家の一員になろうと試行錯誤する様子は中学時代とは比べ物にならない程よくわかる。 青洲に自分や自分の子供を認識してもらおうと必死になるところだってそう。そのためには於継との腹の探り合いやある種の化かし合いにエネルギーをつぎ込まねばならないが、彼女はいくらでも厭わなかった。 人々の間で加恵と於継は青洲を支える良き妻と母として語り草になっている。冒頭の読書感想文の他に読んだ歴史漫画にも、加恵の献身は美談として描かれていた。でもそれが全てだろうか? 映画『タイタニック』の「女の心は海のように秘密がいっぱいなの」というセリフを思い出す。美談で輝く水面下で本当は何があったのか、それは二人にしか分からないこと。 でもラストのくだりを読んでみると、実は青洲には全てお見通しだったんじゃないか。分かった上で、地球のように海ごと包み込んでいたんじゃないか。そう思えて仕方がないのだ。
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