あらすじ
世界最初の全身麻酔による乳癌手術に成功し、漢方から蘭医学への過渡期に新時代を開いた紀州の外科医華岡青洲。その不朽の業績の陰には、麻酔剤「通仙散」を完成させるために進んで自らを人体実験に捧げた妻と母とがあった――美談の裏にくりひろげられる、青洲の愛を争う二人の女の激越な葛藤を、封建社会における「家」と女とのつながりの中で浮彫りにした女流文学賞受賞の力作。
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Posted by ブクログ
有吉佐和子の名著にとうとう突入!いや、どれも名著なんだけども。
これまで読んできたのは、青い壺と紀ノ川。特に順番を考えて読んでるわけではなく、本屋で見つけたものから読んでる気がする。
で、そういえばこの有名な「華岡青洲の妻」もあるやん!ということで、見かけて即買いしたのだった。そういえば前読んだ2冊は創作だったけど、これは華岡青洲をモデルにした伝記みたいなもので、ちょっと違うか。
華岡青洲は自分でもさすがに知っている。麻酔をなんやかんやした人!
でもその妻を主人公にしたということと、物語の上手さからいわゆる伝記感は全くなく、これまでの小説と同様一気に読めてしまった。
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主人公っぽい加恵が、将来的に華岡青洲になるのであろう、華岡家の嫡男に嫁ぐ微笑ましいエピソードから始まる。
姑になる於継ももう一人の主人公っぽいのだが、これが完璧超人。美人で頭も良く、医者の嫁としてすべてを計画し、家のために殉ずる。
そのために、身分としてはかなり上となる、武家の娘、加恵を息子の嫁としてもらいに来るというのがプロローグ。
加恵は於継にべた惚れで、その人に認められたという思いで、ぶっちゃけ息子なんか知らないまま嫁入りする。
まさに昔だなぁと思う、一度も会ったことのない人に嫁入りして、しかも旦那は留学中で三年も帰ってこない…
ただまあ、ここまで読むと普通に微笑ましいだけなのだが、この本の帯には「医療小説×嫁姑バトル」とデカデカと記してある。
嫁姑バトル…?読み進めるのが怖い。いつ於継が豹変するんだ。豹変というか、多分スタンスは一貫してるんだろうけども…
と思ったら、旦那の雲平帰宅と同時に一気に起きた。
三年待ちわびた嫁と旦那の初邂逅はなんとなにも起きず、家族の誰も嫁を息子に紹介しない。息子もただ学業の報告をするだけ。なんだこれは。これまでは散々加恵を褒めてきた於継が突然の沈黙。
そこからはしっかりと嫁姑バトルが始まる。
でも、窓のさんをスーッとやってほこりが残っていてよみたいなのではなく、お互い無言にバトル。
加恵もこれまでなんで於継を慕っていたのだろうかとか言い始める。
於継の思惑はなんなんだ?
それにしても相変わらずものすごく読みやすい。なぜ読みやすいのかはよく分からないが、すごい勢いで読めてしまう。嫁姑バトルだけではなく、ちゃんと医療小説としても面白いからだろうな。
しかし、後半になっても、どうも加恵の姑嫌いが妄想にしか思えない。
というのも、於継の内心が全く描かれないから。なんかミステリー小説読んでるような心持ちにもなってくる。
青洲は最初の頃からずっと麻酔薬の研究を続けており、猫や犬を使って実験しまくり。華岡家の周りにはふらふらした動物がたくさんいるという状況が10年ほど続く… でも名医だから問題ない!
青洲の妹が乳癌で亡くなったが、てっきりここで研究中の麻酔薬を使うのかと思ったらそうではなかった。まだ研究が十分ではなく、人体には使えないのと、かなり末期だったからの模様。
そして時は進み、麻酔薬を使った猫が後遺症が軽く、宙返りができるようになったのを、きっかけに、嫁姑がそれぞれ自分の体を使って人体実験をしろ、とバトルを始める。でも、麻酔薬を使ったら死ぬからそれならこっちのほうが死に甲斐があるみたいなことをお互い言い始め、「全然信用しとらんやないかい!」と切れる青洲。それはそう。
未だ男子を産めない加恵への嫌味は確かに感じるが、そこまでの悪意にはやはり感じられない。
そしてほんとに麻酔薬を使って眠っている母の内股をつねって麻酔が効いてるか確認する青洲の姿を見て、「嫁以外の内股に手を!」とショックを受ける加恵。気にし過ぎだろう。医者だぞ?嫁入り直後とかならともかく、もう長い間医者の嫁として過ごしてきて今更… 逆に怖い。
それにしても於継の気持ちが描かれないからよくわからんなぁとずっと思ってたら、於継の次にとうとう加恵が重い麻酔を使ったあとに、とうとう気持ちを吐露する。確かに何故か憎んでたわ。加恵の考えは全然間違ってなかった。しかしなんでだ?
しかも加恵と似たように、青洲が気付け薬を口移しで飲ませるのを見てショックを受ける於継。なんなんだ君たちは。
結局、加恵は副作用で盲目になってしまうが、強い薬に耐えたということで於継に勝った感を出し、数年後にようやく男子も産み、於継は亡くなり、バトルは終わる。
ただ、唯一このバトルに気づいていた小姑の小陸がまた癌になり、でも治せないので弱っていくが、病床で加恵に気づいていたことをガンガン伝える。姑をもう憎んでいないという加恵の余裕は、勝ったと思ってるからだと。うーん、誰も気づいていないと思いきや、しっかり見られていた。
そして結局家族には麻酔手術をできなかったものの、患者のガンを麻酔で取ることに成功し、青洲の望みはとうとう果たされる。熱い。
ただ、結局わざわざ望んで嫁として迎えた加恵を、於継はなぜそこまで憎んでいたのか、それが分からなかった。途中で気が変わったという感じでもなかったし。望んで嫁に迎えたのはあくまでも息子のためであって、嫁については正直どうでも良かったってことか…?うーん、何がしたかったんや。
女性、特に嫁姑問題を体験した人が読んだら分かるのかもしれない。
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最近になって、有吉佐和子作品を読み始めた。
そしてハマっている!
「恍惚の人」を最初に読んだのがキッカケだが、どの作品も本当に面白く、何十年経った作品であるのに色褪せない感じがして、共感や感情移入するのは、人間模様はいつの時代もそんなに変化がなく同じようなものなのだからかと。
あと、漢字の勉強にもなったし、語尾の「〜やのし」「〜かのし」「〜よし」が印象に残る作品だった。
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女流文学賞
今さらながら有吉佐和子の不朽の名作というものを読むが、さすが素晴らしかった。
一文一文、練り上げられたであろう文章。
なのに!新潮文庫がそれを台無しに!
巻末に17ページにもわたって注解というものがついているのだが、それを無視すればいいのに、いちいち巻末を見てしまう私。
稽古事、刑死体、側室、仁術、写本、小姑、十八番、などなど、読者を馬鹿にしているのかっ!と思うような単語にまでいちいち解説しているのである。
そのたびに流麗な文章が中断してしまう。
途中で、数ページまとめて読む方法に切り替え、少しましになったが、これは国語の教科書なのか!
その割に、最後の方で出てくる、華岡青洲が書いた漢文や、杉田玄白の書いた候文の書状などは注釈が殆どなく、古文が苦手な私は、これこそ訳してほしかった。
さて、内容であるが、絶世の美女である、外科医華岡青洲の母と、幼少の頃からその人に憧れて嫁入りした妻との闘いを描く。
華岡青洲といえば、世界最初の全身麻酔による乳癌手術に成功した紀州の外科医。
愛する息子または夫の麻酔剤の完成のため、自分こそが麻酔剤の人体実験に挑むべき、というところまで行きつくのだった。
表面的には、相手を慮って、自分が犠牲になって麻酔剤を飲むと言い張っているように他人からは見える美しい光景なのだが、心の中はドロドロ。
救いは華岡青洲がそういったバトルに無関心で、優しかったことかな。
札幌に子孫が経営する華岡青洲記念病院があるのは意外だった。
Posted by ブクログ
以前、和歌山にある華岡青洲の里「春林軒」を訪れた事を思い出し、何気なく手に取った一冊。
華岡青洲とは母親と妻を実験台にして初めて乳癌の手術をした人という認識しかなかったが、封建社会の時代の中、嫁姑の争いの上で「通仙散」という麻酔薬を完成させたということを知った。
また杉田玄白が、年下の華岡青洲に教えを乞いたい手紙を送ってたことも驚いた。
Posted by ブクログ
歴史は男性の歴史とはよくいったものだ。でも有吉佐和子さんの小説にかかれば、歴史が登場人物の墓の大きさ程度のもので、墓に入るまでが歴史であり、人の人生だとしみじみとわかる。
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約200年前に麻酔剤を作り、それを使って乳癌手術を日本人がしていたなんて意外、と思った。
でもこの本の主題はそこにはなく、それを支えた妻と母、そしてその家族。今では考えられないほどの封建的な考えがあったことに驚かされる。
Posted by ブクログ
第6回女流文学賞
第2回新風賞
江戸時代末期に世界初の全身麻酔による外科手術を成功させた華岡青洲。
本書はそれを側で支えた嫁姑の静かな熱き戦いの話。
全身麻酔という医療技術を得るためには努力だけでなく、知られざる犠牲があったことにぞっとした。
麻酔がない時代では、癌に気付いても手術ができずただ経過を待つだけで、本人も家族もどんなに辛い思いで過ごしたのかと想像するだけで辛い。
麻酔の偉大さを思い知った。
嫁と姑の緊張感のあるやりとりや、醜く揺れてしまう心情がひしひしと伝わってきて、とてもおもしろかった。
Posted by ブクログ
華岡流医術の生みの親としてその名を馳せる華岡青洲の妻、加恵のお話。
加恵は天明2年、華岡家へ嫁ぐ。(21歳前後)
京都へ遊学している夫に代わって迎え入れてくれたのが、青洲の母である於継(おつぎ)だった。
於継は美人で賢く、何をしても髪の毛1本すら乱れない完璧な人だった。
加恵はそんな於継を羨望の眼差しで見ていた。
義娘である加恵に対しても、実の娘のように接してくれた。
しかし、夫(於継の息子)の帰郷と同時に、於継の態度に陰りが出始める。
青洲の愛を巡って、2人の間で繰り広げられる女の戦い。
静かな軋轢は日を追うごとにエスカレートする。
遂には体を張って…
この時代に「嫁ぐ」ということが、全く血の繋がりのない人間が一家で暮らすということが、どれだけ孤独で、過酷な事なのか物語っている。
於継も同じ道を通り、耐えてきたのだろう。
常に緊張感をもって生きてきたのだろう。
だからこそ、最愛の長男だけは誰にも取られたくなかったのかもしれない。
最後に、医学の発展に関与した人々に心から感謝したいと思った。多くの人間や動物たちの犠牲の元、現代医療があるのだと考えさせられた。
Posted by ブクログ
世界最初の全身麻酔による外科手術を成功させた華岡青洲。
その成功の陰には進んで人体実験に身を捧げた母と妻の姿がありました。
加恵は憧れの於継に息子の嫁にと望まれたことが嬉しくもあり誇らしかったのです。嫁と姑は本当の母娘のように仲良くやっていました。それが一変したのは京都へ遊学していた雲平(青洲)が帰ってきてから。加恵は於継の言動に含みを感じるようになり、華岡家での疎外感を味わうようになったのです。
これといって激しい二人の対立があるのではなく、雲平を巡る物静かな戦いが繰り広げられました。
青洲が麻酔について研究し実験していると知った於継は自分を実験に使ってくれと言い出します。いやいやお母さんではなく私を、と言う加恵。大事な嫁にそんなことはさせられないと言う於継。結局青洲は二人に頼むのですが、実験に使った薬の強さは違うものでした。
嫁、姑の女のたたかい
病になった義理の妹小陸 なんという怖ろしい間柄だろうと思っていた。
「そう思うてなさるのは、嫂さんが勝ったからやわ」
男というのはすごい。母と嫂さんとのことを気づかないわけはないのに知らないふりして薬を飲ませた。私は病気で死ぬけれど嫁にも姑にもならなくてすんで幸せだった。
母と妻の争いを見ていた青洲は何を思っていたのか。この時代だから男と女の違い、ましてや嫁の立場の弱さはあったと思います。嫁にいかず病気でこの世を去った青洲の妹達が幸せだとは私には思えませんでした。医者の家華岡家への貢献度は自分の身を実験に差し出した嫁の加恵、姑の於継に敵わないかもしれませんが、小陸たち青洲の妹達も一丸となってささえたから、手術の成功があったのだと思います。
Posted by ブクログ
有吉佐和子さんの小説は外れがないです。
今回は姑と嫁という普遍のライバル関係を描きながらも、息子が医術の学びから帰京した瞬間に母の嫁に対する態度が変化したり、息子が母よりも嫁に尽くす態度に嫉妬の炎を燃やしたりと、姑目線、嫁目線で感情が変わって行くさまを、リアルに描いているところが秀逸です。
この時代ならではの家を守る、後継を産むという「家」の繁栄が全てだったからこそ、逃げ場のない空間の中で、女には女のシビアな戦いがあったのでしょう。
しかし、麻酔のない時代、こんな大変な想いをして、今の医学の礎を築いてこられたのですね。そこを学ぶことができただけで、価値のある本です。
Posted by ブクログ
100分で名著から、初めての有吉佐和子
おもしろかった!!!
こんなバトル小説だったとは。
けれど、言葉がきれいだからか、戦いも醜さはなくて美しい。
母である、ということ、分かるときがくるのだろうか。
Posted by ブクログ
すごかった。これぞ女の戦いって感じがします。
100分de名著で見たので大体の話の流れは知っていたのですが、やはり読むと一段と素晴らしい。
母と嫁を「自分を生んだ女」と「自分の子供を産む女」と称するえげつなさが最高に良い。
江戸時代の話なので、今よりもっと”家”というものが重んじられた時代の話ではあるのですが、嫁姑問題というのは普遍的なものなのだなと感じる。人の情念とも呼べるものが描き切られている気がします。
Posted by ブクログ
嫁と姑が競って清州の実験台になろうとする姿は側から見れば美談に見えるがその実、清州を巡る二人の女の激しい葛藤があった。命を賭けてまで相手に勝とうとする女の戦いがすごい!
Posted by ブクログ
人間の本質に、殊におなごの本質に触れるような気がするのよし。永遠のライバル嫁姑。
美談として流布しているのであろう華岡青洲の母と妻は、もしかしたらこういう内情であったのではないか、華岡青洲自身は、科学者ではなくて医学者だけども、わりとマッドサイエンティストという歴史小説。良いとか悪いとか論じるのはナンセンスだと思う。そう言う下地に成り立っているのが今の現実でございましょ?遡って糾弾するなら今の快適、適切は捨てなきゃね。
私は、スルッと「そうかもな」と思えた。
語尾が「〜のよし」「〜いただかして」なんて穏やかで牧歌的な印象なのだけど内容はドロドロの愛憎。綺麗事で人生乗り切れないし、学べることもないのよし。
有吉佐和子さんの鋭い考察にやっぱり感服する。今月の100分de名著は図らずも有吉佐和子さんの特集らしいですね。
琴線に触れる描写が、昭和中期の作品には多い傾向にあるので、その年代を今後も攻めていきます。
Posted by ブクログ
「夫の母親は、妻には敵であった」。
敬愛していた於継(おつぎ)に請われて華岡家に嫁いだ加恵(かえ)。実の親子のように仲良く暮らしていた日々は、3年間の京都遊学を終えた夫 雲平(うんぺい)--後の青洲--の帰郷によって突如終焉する。表面的には普段どおりでも、何事においても嫁を蔑ろにするようになった於継を加恵は憎悪し始め、対抗する……。
自分こそが“家”(=当主)に最も頼みとされる女でありたいという、嫁と姑の静かで激しい争い。雲平が麻酔薬を開発すれば、その実験台として2人して名乗り出、張り合う。母/妻の鑑として周囲には美談めいて伝わるが、その内実はエゴイスティックで醜い。
結果的に加恵のほうが実験により貢献するが失明する。「お母はんに勝った」と得意気な加恵に、病に倒れた義妹 小陸(こりく)は2人の間柄は見ていて恐ろしかった、女二人で争わずに済むから自分は嫁に行かなくて幸福だったと告げる。慌てて於継を褒めちぎって取り繕う加恵に小陸はさらに言う、「そう思うてなさるのは、嫂さんが勝ったからやわ」と。
家制度の呪縛され、翻弄される女性の悲しさ。当主となる男児を産んだと自分する姑 於継と、血縁という壁に阻まれる嫁 加恵。妻や母になっても味わう女性の苦難を、当の息子で夫の雲平は鈍感なのか黙認しているのか何の反応も示さず、研究者や医者としての欲望を優先する。舞台設定は江戸時代だが、女性が透明化され、女性同士の争いですら男性に利用される理不尽さは現代にも通ずるものがある。嫁姑間の凄まじい葛藤を浮き彫りにする作者の腕に感嘆するばかり。映画版(増村保造、1967)ではこれほど伝わらなかった。
本書に関して強いて欠点を挙げるとすれば、註解が多すぎること。年少の読者を想定しているのか、昭和62(1987)年5月の改版からの構成なのか分からぬが、あまりに頻出で読み進めるのに難があった。
Posted by ブクログ
20年ぶりに読む。
嫁姑の心理描写が見事に尽きる。
以前は於継が怖い存在としか思えなかったが
息子をもつ今となってはもはやどちらの気持ちも手に取るようにわかる。
あるときまでは優しくいられる、しかしきっかけが訪れると
闘いが始まる、静かな、そして当事者にしか見えない炎。
姑は早く死ねたらいいと思う。
長患いを嫁にみてもらうとなるともうその先は本当に地獄だ。
青洲の偉大な働きがかすむほどの物語であった。
Posted by ブクログ
完全に忘れてしまう前に感想を…。
バッチバチの嫁姑バトルって感じではないのに、ドロドロしてる感じがすごいです。帯に「嫁姑バトル」みたいなことが書かれてて面白そうだったから買いましたが、それだけではなく、壮大な女二人の人生の物語。
加恵さんは、さすが武家の娘というべきでしょうか。
私なら途中で絶対「やっだー、私と同じもの飲んだと思ってたんですか?おかさんの麻酔には危ないもの入ってないのし!ご老体には無理よし!(方言はてきとー)」とか煽っちゃうかなー?笑
加恵さんを応援してしまうのは、やはり自分も嫁の立場だからでしょうか…笑
前、和歌山に旅行したときに道の駅に寄ったら、そこが華岡青洲の記念館みたいな場所で(しかも無料)それが結構面白かったんのし。
元々華岡青洲は好きだったけど、この小説で華岡愛が増したので今度はもっとじっくり見てみたいなーと思います。
Posted by ブクログ
唸るしかない。この薄さで女の六十余年の生涯を描き切るのである。武家から望まれて医者の家に嫁ぎ、慕っていた絶世の美貌の姑とやがては静かなれど凄惨ない関係に。世界初の全身麻酔手術を成功させた華岡が麻酔薬を完成させるまで、姑と人体実験の座を争うのである。
それには「勝った」はずだが、最後の数行で、男の目から見ればそんな女たちの営みもが、当時の世では、ものの数にも入らぬのだと示され、なんだか改めて愕然とするのである。いや、今の世でもそうだよな。
ところで文章のきりりと角の立った美しさよ! 時代もののこととて、漢字も多く古風なのだが、昔の紀州の方言が実に味わい深い。「〜のし」って語尾、ほかにあるー?
そしてそして、最近、動詞のことをよく考えるのだが、日本はオノマトペに頼るあまり動詞の種類は少ないと決めつけていた私の無知よ。
腕を拱(こまぬ)く、夜伽に侍(はべ)らす、喉を通る…ワクワクすっど!
映画版見たいなー、現代でやるなら美しい姑は中谷美紀とかどうよと考えていたら、昔の映画では高峰秀子さまなのね!見る!
Posted by ブクログ
100分で名著で知って買い、ようやっと読めた。
請われて嫁いだのに、環境変化にも馴染もうと努力し、憧れの人と家族になれた喜びからの突き放し。夫にとって母よりも特別な存在になれることが自分の存在価値になっていったことが、皮肉にも麻酔薬の完成には必然だったのかも。
夫はどちら贔屓でもなく、母、嫁にそれなりの対応だったのに、女たちが勝手にというのがなんとも。
小姑がもっと間に立ってくれればまた変わっふたかもしれないのに。小姑も姑ほどではないが、侵入者に対する意地悪な気持ちがあったのでしょう。
むかーし、子供向け漫画で読んだ華岡青洲夫妻の話からは想像できなかったお話しでした。
Posted by ブクログ
世界で初めて全身麻酔による乳がん手術を成功させた華岡青洲。
青洲の母と妻が麻酔薬の人体実験に協力したという逸話だけは知っていたけど、それを広めたのが有吉佐和子さんのこの作品だったとは知らなかった。
普通なら美談として描かれそうだけど、青洲を支える女性たちにスポットを当てているところが面白い。
母と嫁が競い合うように自ら実験台になりたがるという、狂気すら漂う献身が描かれている。
どちらがより献身的かを競う嫁姑の意地の張り合いによる心理戦が続いていく。
口にする言葉と嫁の加恵が淡々と語る心の中の本音が全く違う。表向きは仲の良い嫁姑に見えるから尚更怖い。
ただの嫁姑の嫌味バトルだけではなく、嫁ぐ女性が抱えていた葛藤や、当時の社会における女性たちの複雑な感情が丁寧に描かれている。
生き生きしている女性たちの姿が浮かんでくるので、つい史実だと思いそうになるけど、この嫁姑バトルはあくまでもフィクションだそうだ。
華岡青洲と妻・加恵のことがもっと知りたくて調べてみると、青洲の直系の子孫が現在も札幌で麻酔科医として活躍されているとのこと。
またそのお子さんも麻酔科医だそうで、青洲の理念が時代を超えて今も受け継がれているのが本当にすごい。
私自身も全身麻酔のお世話になった身で、今の安全な医療の背景には多くの犠牲と努力によって成り立っているのだと思うと、青洲や加恵、華岡家の家族、たくさんの人々や動物たちに、改めて深い敬意と感謝の気持ちを伝えたい。
和歌山弁の語尾「のし」が妙に耳に残る。
嫁も姑も上品に「〜のし」って言うから、つい真似したくなるのし。
自分でも気づかないうちに「のし」が出ちゃいそうだのし。
有吉佐和子さん、やっぱり好きだなぁ。
Audibleにて。
Posted by ブクログ
この時代の嫁と舅のの確執といえば、それまでだが、今も通じる世界。世の中はかくも変わらないもの。でも少しは変わっているとも言える。
後100年後には、もっと良い世界に少しは変わっているだろうか
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嫁姑の冷ややかな戦いの凄まじさ。花岡青洲という歴史に残る医者のもとで繰り広げられる。
表面に出てこないだけに恐ろしい。でも、ずっと目立たなかった小陸は「嫂さんが勝ったからやわ」と二人の戦いを見抜いていた。
もしかすると今でも同じような戦いが行われているのかもしれない。
Posted by ブクログ
華岡青洲自体は知らなかった。
それでもやっぱり有吉佐和子は間違えなくおもしろかった。
華岡青洲の妻と母の嫁姑問題の話。
今回も女性の気持ちが細かく描かれている。
まず、美しい母に請われて青洲が勉強中で家にいない中、結婚する。
青洲が帰ってくるまでは本物の親子のように仲睦まじく暮らしてきたのに、青洲が帰ってきた途端、勢力図が変わり憎しみ合いが始まるところが見事。
また、青洲が研究している麻酔薬の実験台に自分を使ってくれと嫁姑で争うのがすごい。
苦しんだほうが青洲の役立ち、相手より優位に立てると思う女の強さ、醜さよ…。
そして姑が亡くなった後、青洲の妹がずっと当人だけしか気づいていないと思っていた嫁姑の確執をずっと見て、感じてきたことや、自分は嫁に行かず嫁姑の問題に巻き込まれず幸せだったと嫁に言うところはゾッとした。。
Posted by ブクログ
こういう本を書くにはどれだけの背景勉強と創作のオリジナリティが必要とされるのか想像がつかない。
何かの発見や発明の背景には当然試行錯誤を伴う実験があるもので、犠牲?礎となるひとや動物がいる。そこにあるストーリーにライトを当てていく
スタイルのノンフィクションがとても面白かった。
於継さんすごいわ
Posted by ブクログ
世界で初めて全身麻酔下での手術を成功さてた華岡青洲の妻加恵と青洲の母御継の物語。青洲じゃなくてこの二人にスポットライトを当てているのが面白い。封建社会であった江戸時代において嫁姑問題は今よりも激しかったのか。嫁いだ加恵は華岡家に馴染んだかのように思っていたが青洲が留学から帰ってきてから御継の態度が変わりあくまでも加恵は他所の人という態度を取られる。そこから二人は見えないところでバチバチの関係になるも青洲の妹の小陸以外それに気づかない。青洲が麻酔薬の通仙散を開発し研究するに至り二人は自身を実験台として差し出す。ここでもどちらが先に実験するか、どちらがより貢献できたかで張り合っていて女って怖いなと思う一方でそれに気づかない青洲と周りの鈍感さに驚く。1回目の実験で視力を失っているにも関わらず夫への気遣い及び姑への勝ち誇る気持ちで加恵はそれを隠していたのはすごいなと思った。
実際のところ二人の関係はわからないがそういう歴史の見方もあるんだなと。
Posted by ブクログ
嫁姑バトルの話だった。和歌山の青洲の里に行った時に案内の方が、「本読みました〜?あれは、ねぇ〜」って苦笑してたからかえって気になる本だったので読んでみた。有吉佐和子面白い。