【感想・ネタバレ】華岡青洲の妻のレビュー

あらすじ

世界最初の全身麻酔による乳癌手術に成功し、漢方から蘭医学への過渡期に新時代を開いた紀州の外科医華岡青洲。その不朽の業績の陰には、麻酔剤「通仙散」を完成させるために進んで自らを人体実験に捧げた妻と母とがあった――美談の裏にくりひろげられる、青洲の愛を争う二人の女の激越な葛藤を、封建社会における「家」と女とのつながりの中で浮彫りにした女流文学賞受賞の力作。

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歴史は男性の歴史とはよくいったものだ。でも有吉佐和子さんの小説にかかれば、歴史が登場人物の墓の大きさ程度のもので、墓に入るまでが歴史であり、人の人生だとしみじみとわかる。

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2025年09月03日

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凄まじい献身物語、おぞましい嫁姑 男のエゴ
世界初、全身麻酔による乳がん手術成功者

通仙散(麻酔剤)成就

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2025年05月07日

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約200年前に麻酔剤を作り、それを使って乳癌手術を日本人がしていたなんて意外、と思った。
でもこの本の主題はそこにはなく、それを支えた妻と母、そしてその家族。今では考えられないほどの封建的な考えがあったことに驚かされる。

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2025年04月21日

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第6回女流文学賞
第2回新風賞

江戸時代末期に世界初の全身麻酔による外科手術を成功させた華岡青洲。
本書はそれを側で支えた嫁姑の静かな熱き戦いの話。
全身麻酔という医療技術を得るためには努力だけでなく、知られざる犠牲があったことにぞっとした。
麻酔がない時代では、癌に気付いても手術ができずただ経過を待つだけで、本人も家族もどんなに辛い思いで過ごしたのかと想像するだけで辛い。
麻酔の偉大さを思い知った。
嫁と姑の緊張感のあるやりとりや、醜く揺れてしまう心情がひしひしと伝わってきて、とてもおもしろかった。

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2025年03月28日

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華岡流医術の生みの親としてその名を馳せる華岡青洲の妻、加恵のお話。

加恵は天明2年、華岡家へ嫁ぐ。(21歳前後)
京都へ遊学している夫に代わって迎え入れてくれたのが、青洲の母である於継(おつぎ)だった。

於継は美人で賢く、何をしても髪の毛1本すら乱れない完璧な人だった。
加恵はそんな於継を羨望の眼差しで見ていた。
義娘である加恵に対しても、実の娘のように接してくれた。
しかし、夫(於継の息子)の帰郷と同時に、於継の態度に陰りが出始める。

青洲の愛を巡って、2人の間で繰り広げられる女の戦い。
静かな軋轢は日を追うごとにエスカレートする。
遂には体を張って…

この時代に「嫁ぐ」ということが、全く血の繋がりのない人間が一家で暮らすということが、どれだけ孤独で、過酷な事なのか物語っている。

於継も同じ道を通り、耐えてきたのだろう。
常に緊張感をもって生きてきたのだろう。
だからこそ、最愛の長男だけは誰にも取られたくなかったのかもしれない。

最後に、医学の発展に関与した人々に心から感謝したいと思った。多くの人間や動物たちの犠牲の元、現代医療があるのだと考えさせられた。

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2025年02月19日

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ネタバレ

世界最初の全身麻酔による外科手術を成功させた華岡青洲。
その成功の陰には進んで人体実験に身を捧げた母と妻の姿がありました。

加恵は憧れの於継に息子の嫁にと望まれたことが嬉しくもあり誇らしかったのです。嫁と姑は本当の母娘のように仲良くやっていました。それが一変したのは京都へ遊学していた雲平(青洲)が帰ってきてから。加恵は於継の言動に含みを感じるようになり、華岡家での疎外感を味わうようになったのです。
これといって激しい二人の対立があるのではなく、雲平を巡る物静かな戦いが繰り広げられました。

青洲が麻酔について研究し実験していると知った於継は自分を実験に使ってくれと言い出します。いやいやお母さんではなく私を、と言う加恵。大事な嫁にそんなことはさせられないと言う於継。結局青洲は二人に頼むのですが、実験に使った薬の強さは違うものでした。

嫁、姑の女のたたかい

病になった義理の妹小陸 なんという怖ろしい間柄だろうと思っていた。

「そう思うてなさるのは、嫂さんが勝ったからやわ」

男というのはすごい。母と嫂さんとのことを気づかないわけはないのに知らないふりして薬を飲ませた。私は病気で死ぬけれど嫁にも姑にもならなくてすんで幸せだった。


母と妻の争いを見ていた青洲は何を思っていたのか。この時代だから男と女の違い、ましてや嫁の立場の弱さはあったと思います。嫁にいかず病気でこの世を去った青洲の妹達が幸せだとは私には思えませんでした。医者の家華岡家への貢献度は自分の身を実験に差し出した嫁の加恵、姑の於継に敵わないかもしれませんが、小陸たち青洲の妹達も一丸となってささえたから、手術の成功があったのだと思います。

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2025年03月12日

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有吉佐和子さんの小説は外れがないです。
今回は姑と嫁という普遍のライバル関係を描きながらも、息子が医術の学びから帰京した瞬間に母の嫁に対する態度が変化したり、息子が母よりも嫁に尽くす態度に嫉妬の炎を燃やしたりと、姑目線、嫁目線で感情が変わって行くさまを、リアルに描いているところが秀逸です。
この時代ならではの家を守る、後継を産むという「家」の繁栄が全てだったからこそ、逃げ場のない空間の中で、女には女のシビアな戦いがあったのでしょう。

しかし、麻酔のない時代、こんな大変な想いをして、今の医学の礎を築いてこられたのですね。そこを学ぶことができただけで、価値のある本です。

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2025年01月29日

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100分で名著から、初めての有吉佐和子

おもしろかった!!!
こんなバトル小説だったとは。
けれど、言葉がきれいだからか、戦いも醜さはなくて美しい。
母である、ということ、分かるときがくるのだろうか。

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2025年01月24日

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すごかった。これぞ女の戦いって感じがします。
100分de名著で見たので大体の話の流れは知っていたのですが、やはり読むと一段と素晴らしい。

母と嫁を「自分を生んだ女」と「自分の子供を産む女」と称するえげつなさが最高に良い。
江戸時代の話なので、今よりもっと”家”というものが重んじられた時代の話ではあるのですが、嫁姑問題というのは普遍的なものなのだなと感じる。人の情念とも呼べるものが描き切られている気がします。

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2025年01月11日

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嫁と姑が競って清州の実験台になろうとする姿は側から見れば美談に見えるがその実、清州を巡る二人の女の激しい葛藤があった。命を賭けてまで相手に勝とうとする女の戦いがすごい!

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2024年12月27日

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ネタバレ

人間の本質に、殊におなごの本質に触れるような気がするのよし。永遠のライバル嫁姑。

美談として流布しているのであろう華岡青洲の母と妻は、もしかしたらこういう内情であったのではないか、華岡青洲自身は、科学者ではなくて医学者だけども、わりとマッドサイエンティストという歴史小説。良いとか悪いとか論じるのはナンセンスだと思う。そう言う下地に成り立っているのが今の現実でございましょ?遡って糾弾するなら今の快適、適切は捨てなきゃね。

私は、スルッと「そうかもな」と思えた。
語尾が「〜のよし」「〜いただかして」なんて穏やかで牧歌的な印象なのだけど内容はドロドロの愛憎。綺麗事で人生乗り切れないし、学べることもないのよし。

有吉佐和子さんの鋭い考察にやっぱり感服する。今月の100分de名著は図らずも有吉佐和子さんの特集らしいですね。
琴線に触れる描写が、昭和中期の作品には多い傾向にあるので、その年代を今後も攻めていきます。

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2024年12月13日

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ネタバレ

 「夫の母親は、妻には敵であった」。
 敬愛していた於継(おつぎ)に請われて華岡家に嫁いだ加恵(かえ)。実の親子のように仲良く暮らしていた日々は、3年間の京都遊学を終えた夫 雲平(うんぺい)--後の青洲--の帰郷によって突如終焉する。表面的には普段どおりでも、何事においても嫁を蔑ろにするようになった於継を加恵は憎悪し始め、対抗する……。

 自分こそが“家”(=当主)に最も頼みとされる女でありたいという、嫁と姑の静かで激しい争い。雲平が麻酔薬を開発すれば、その実験台として2人して名乗り出、張り合う。母/妻の鑑として周囲には美談めいて伝わるが、その内実はエゴイスティックで醜い。
 結果的に加恵のほうが実験により貢献するが失明する。「お母はんに勝った」と得意気な加恵に、病に倒れた義妹 小陸(こりく)は2人の間柄は見ていて恐ろしかった、女二人で争わずに済むから自分は嫁に行かなくて幸福だったと告げる。慌てて於継を褒めちぎって取り繕う加恵に小陸はさらに言う、「そう思うてなさるのは、嫂さんが勝ったからやわ」と。

 家制度の呪縛され、翻弄される女性の悲しさ。当主となる男児を産んだと自分する姑 於継と、血縁という壁に阻まれる嫁 加恵。妻や母になっても味わう女性の苦難を、当の息子で夫の雲平は鈍感なのか黙認しているのか何の反応も示さず、研究者や医者としての欲望を優先する。舞台設定は江戸時代だが、女性が透明化され、女性同士の争いですら男性に利用される理不尽さは現代にも通ずるものがある。嫁姑間の凄まじい葛藤を浮き彫りにする作者の腕に感嘆するばかり。映画版(増村保造、1967)ではこれほど伝わらなかった。

 本書に関して強いて欠点を挙げるとすれば、註解が多すぎること。年少の読者を想定しているのか、昭和62(1987)年5月の改版からの構成なのか分からぬが、あまりに頻出で読み進めるのに難があった。

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2024年12月06日

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恐らく中学時代…先輩が書いた読書感想文で本書を知った。
1804年(文化元年)世界初の全身麻酔による乳ガン手術に成功した華岡青洲。その成功の裏には自ら実験台になることを願い出て失明した妻 加恵の内助の功があった。感想文にあったそんなあらすじを読んで、すぐさま「自己犠牲がテーマか…」と気が進まなくなった。

理由は単純で、エゴ極まりない10代の頃は誰かのために尽くしたり何かを差し出したりすることに対して、激しい嫌悪感を抱いていたから。何がそのような行動を取らせるのか、まだ理解できていなかったのもある。
そうして自分のエゴを優先していくあまり、本書の存在は記憶に埋もれていったのだった。

そして1年ほど前、知人から本書をレコメンドされてようやく今辿り着いた。
加恵の行動は自己犠牲を表していることに変わりはないが、それ以上のテーマが中で逆巻いていたことに気づいてゆく。
いわゆる「嫁姑問題」。しかも「彼女ら」の場合はページを追うごとに特殊な域に達していき、しまいには「加恵の置かれていた立場を考えると、あの自己犠牲も当然の成り行きだったのかな」とまで思わせる結果となった。
これは感想文を書いた先輩にだって想像してもしきれるものではなかったはず…。

物語の主人公 加恵は元々紀州地侍 妹背家の出だった。
士の娘が何故医家の華岡家に嫁ぐことになったのか。それは必然的なもので、加恵を請いに華岡家当主の妻 於継(おつぎ)が妹背家を訪れた時から全ては動き出していた。
夫(華岡雲平、のちの青洲)が遊学中の際も寂しくならずに済んだのは、小姑たちと協力して家を切り盛りしていたこと、そして何より於継の存在が大きかった。憧れだった於継に迎え入れられたことが加恵の心の支えになっていたのだ。
それがある出来事を境に二人の関係性は暗転してしまう…。この時の加恵の心情を代弁するなら「可愛さ余って憎さ百倍」が妥当だろう。

ありがたいことに今の自分は嫁姑問題で悩むことは一切ないが、加恵が家の一員になろうと試行錯誤する様子は中学時代とは比べ物にならない程よくわかる。
青洲に自分や自分の子供を認識してもらおうと必死になるところだってそう。そのためには於継との腹の探り合いやある種の化かし合いにエネルギーをつぎ込まねばならないが、彼女はいくらでも厭わなかった。

人々の間で加恵と於継は青洲を支える良き妻と母として語り草になっている。冒頭の読書感想文の他に読んだ歴史漫画にも、加恵の献身は美談として描かれていた。でもそれが全てだろうか?

映画『タイタニック』の「女の心は海のように秘密がいっぱいなの」というセリフを思い出す。美談で輝く水面下で本当は何があったのか、それは二人にしか分からないこと。
でもラストのくだりを読んでみると、実は青洲には全てお見通しだったんじゃないか。分かった上で、地球のように海ごと包み込んでいたんじゃないか。そう思えて仕方がないのだ。

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2023年11月02日

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高校生のとき以来で読み直したら、とてつもなく面白かった!
世界初、全身麻酔による乳癌手術を成功させた医師とその家族の物語…ときくと何やら高尚で敷居が高そうだが、「バッチバチな嫁姑もの」という普遍的でエンタメ性高いエッセンスをまぶして描くセンスの凄さ!
有吉佐和子さんは「悪女について」も読み返したい!

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2023年01月15日

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世界で初めて全身麻酔による乳がん手術を成功させた華岡青洲。
青洲の母と妻が麻酔薬の人体実験に協力したという逸話だけは知っていたけど、それを広めたのが有吉佐和子さんのこの作品だったとは知らなかった。

普通なら美談として描かれそうだけど、青洲を支える女性たちにスポットを当てているところが面白い。
母と嫁が競い合うように自ら実験台になりたがるという、狂気すら漂う献身が描かれている。

どちらがより献身的かを競う嫁姑の意地の張り合いによる心理戦が続いていく。
口にする言葉と嫁の加恵が淡々と語る心の中の本音が全く違う。表向きは仲の良い嫁姑に見えるから尚更怖い。
ただの嫁姑の嫌味バトルだけではなく、嫁ぐ女性が抱えていた葛藤や、当時の社会における女性たちの複雑な感情が丁寧に描かれている。

生き生きしている女性たちの姿が浮かんでくるので、つい史実だと思いそうになるけど、この嫁姑バトルはあくまでもフィクションだそうだ。

華岡青洲と妻・加恵のことがもっと知りたくて調べてみると、青洲の直系の子孫が現在も札幌で麻酔科医として活躍されているとのこと。
またそのお子さんも麻酔科医だそうで、青洲の理念が時代を超えて今も受け継がれているのが本当にすごい。

私自身も全身麻酔のお世話になった身で、今の安全な医療の背景には多くの犠牲と努力によって成り立っているのだと思うと、青洲や加恵、華岡家の家族、たくさんの人々や動物たちに、改めて深い敬意と感謝の気持ちを伝えたい。

和歌山弁の語尾「のし」が妙に耳に残る。
嫁も姑も上品に「〜のし」って言うから、つい真似したくなるのし。
自分でも気づかないうちに「のし」が出ちゃいそうだのし。
有吉佐和子さん、やっぱり好きだなぁ。
Audibleにて。

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2025年11月28日

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この時代の嫁と舅のの確執といえば、それまでだが、今も通じる世界。世の中はかくも変わらないもの。でも少しは変わっているとも言える。
後100年後には、もっと良い世界に少しは変わっているだろうか

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2025年09月30日

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ネタバレ

嫁姑の冷ややかな戦いの凄まじさ。花岡青洲という歴史に残る医者のもとで繰り広げられる。
表面に出てこないだけに恐ろしい。でも、ずっと目立たなかった小陸は「嫂さんが勝ったからやわ」と二人の戦いを見抜いていた。
もしかすると今でも同じような戦いが行われているのかもしれない。

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2025年04月20日

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華岡青洲自体は知らなかった。
それでもやっぱり有吉佐和子は間違えなくおもしろかった。
華岡青洲の妻と母の嫁姑問題の話。
今回も女性の気持ちが細かく描かれている。
まず、美しい母に請われて青洲が勉強中で家にいない中、結婚する。
青洲が帰ってくるまでは本物の親子のように仲睦まじく暮らしてきたのに、青洲が帰ってきた途端、勢力図が変わり憎しみ合いが始まるところが見事。
また、青洲が研究している麻酔薬の実験台に自分を使ってくれと嫁姑で争うのがすごい。
苦しんだほうが青洲の役立ち、相手より優位に立てると思う女の強さ、醜さよ…。
そして姑が亡くなった後、青洲の妹がずっと当人だけしか気づいていないと思っていた嫁姑の確執をずっと見て、感じてきたことや、自分は嫁に行かず嫁姑の問題に巻き込まれず幸せだったと嫁に言うところはゾッとした。。

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2025年04月14日

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こういう本を書くにはどれだけの背景勉強と創作のオリジナリティが必要とされるのか想像がつかない。
何かの発見や発明の背景には当然試行錯誤を伴う実験があるもので、犠牲?礎となるひとや動物がいる。そこにあるストーリーにライトを当てていく
スタイルのノンフィクションがとても面白かった。
於継さんすごいわ

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2025年01月02日

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「100分de名著」2024年12月の1冊。
医学の躍進の裏に隠された嫁姑の確執と涙に、思わず息が詰まる。

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2024年12月08日

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世界で初めて全身麻酔下での手術を成功さてた華岡青洲の妻加恵と青洲の母御継の物語。青洲じゃなくてこの二人にスポットライトを当てているのが面白い。封建社会であった江戸時代において嫁姑問題は今よりも激しかったのか。嫁いだ加恵は華岡家に馴染んだかのように思っていたが青洲が留学から帰ってきてから御継の態度が変わりあくまでも加恵は他所の人という態度を取られる。そこから二人は見えないところでバチバチの関係になるも青洲の妹の小陸以外それに気づかない。青洲が麻酔薬の通仙散を開発し研究するに至り二人は自身を実験台として差し出す。ここでもどちらが先に実験するか、どちらがより貢献できたかで張り合っていて女って怖いなと思う一方でそれに気づかない青洲と周りの鈍感さに驚く。1回目の実験で視力を失っているにも関わらず夫への気遣い及び姑への勝ち誇る気持ちで加恵はそれを隠していたのはすごいなと思った。
実際のところ二人の関係はわからないがそういう歴史の見方もあるんだなと。

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2024年09月29日

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とても日本らしい嫁姑関係が主題の作品。
話の舞台は江戸時代後期、でもこの小説が書かれたのは1960年代くらいだから、2世代・3世代くらい前まではどの家庭でも似たような感じだったんだろうか(今もか)。
日本が近代化して150年くらい経つけど、家庭レベルではまだまだ日本は封建的だってことだ。

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2024年04月10日

Posted by ブクログ

今更ながらの同書ですが読む気になったきっかけは、ここ数年ずっと冬場に霜焼けが酷くて皮膚科に行ってもさして好転せずにこの冬たまたま出会った漢方軟膏が存外に効き目あり♪

しかもこれは遥か昔の江戸時代にかの華岡青洲が創案した軟膏であると!

この著書の名前は聞いたことがあるし大昔にずいぶん愛読され且つ映画もドラマも大ヒットした記憶があるんだけど、こんなきっかけで初めて読む気になったのであります笑

いやあ青洲の妻と姑との長くて物凄い葛藤の物語だったのですね!
医家の嫁に相応しいと早くから見込まれ請われて嫁いだ加恵と、非の打ち所がないと近辺で評判の姑 於継の二人だったけれど、世間で言うところの嫁姑の関係どころではない静かだが激しい憎悪があらゆる部面で影に日に展開する様が凄いこと!そして間に立つ青洲のいずれにも付かず離れずの絶妙な態度と立ち位置、依って見習うべし⁈

江戸時代に世界で初めて全身麻酔のもと乳癌手術を施し成功した青洲もさることながら、競って自身を捧げて彼に協力し支えたとされる二人の女性の意地と意思の張り合いがなんとも凄まじい。

同時に華岡青洲という人物の断片も知ることが出来て、遅きに失したとは言え遅ればせながらも読めてほんとに良かった‼︎

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2024年01月06日

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大家の作品だけあり、安心と重厚感がひしひし伝わる読みごたえのある作品であった。
麻酔薬開発の裏に嫁 姑 小姑の関係あり
一気に読み終えた。

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2022年12月30日

Posted by ブクログ

八月三十日 有吉忌 
有吉佐和子さんの作品はほとんど読んでいませんが、華岡青洲の妻は、とても引き込まれた作品でした。
華岡青洲は、世界で初めて全身麻酔による乳癌手術に成功した外科医。庶民大衆への治療に従事しながら、麻酔剤を精力的に研究していた。
主人公は、この医師の妻となった加恵と、この医師の母である於継。母は、大成を期待する息子の為に、自ら嫁として加恵を選ぶ。選ばれた嫁は、美しい姑に畏敬の念さえ持ち、喜び嫁ぐ。
しかし、嫁姑は、一人の男性、青洲を巡り、優位性を保つ為、静かに激しく対立していく。
そして、麻酔剤の人体実験をも競い合うように申し出る。青洲は、母には軽度の麻酔剤を試し、妻には完成を目指す麻酔剤を投与する。
以前(すっごく以前ですが)読んだ時、実は、全部史実だと思っていた。それほど、この女性たちの冷戦状態が生々しい。この母嫁の存在は事実らしいけど、創作であり小説。
華岡青洲を医師として成功させる為、家族が献身的に支える。それに応えていく青洲に家族は幸福を得る。とはいえ、姑は息子を我が物とし医師の母として生き抜き、妻は寄り添うことを切望しながら医師の妻として生き抜く。
世間からは美談とされた献身の影の恩讐。たぶん、それに気がついていたけれど、研究に没頭する青洲。青洲の功績を、当時の封建社会下の家庭にふみ込んで、親子、夫婦、兄弟姉妹、それぞれの心理戦を加え名作だと思います。

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2022年09月01日

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どこの家庭でも問題はあるんだなぁと思う。それを乗り越えてどっしりと構えられるのだと思うと自分はいかに甘ちゃんだと実感。

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2022年03月03日

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ネタバレ


世界初の全身麻酔手術が日本で行われていたことなんて全然知らなかったので、そこでまずビックリ。(無知で申し訳ない)

そして青洲が自分の母親と奥さんを実験台にしていたのもどうやら史実。どこまでがフィクションなんだろう?ってすごく興味がわいた。日本史とか勉強してた時代に知りたかった〜〜

全身麻酔をはじめて打った人とトマトを初めて食べた人は全人類にとって功績者だと思ってるので、心の底からすごいと思いました。

表向きは綺麗なフリをした嫁姑ドロドロバトルものとしても面白かった!笑

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2021年05月29日

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名医である華岡青洲の元に自ら実験台(?)になる人は,当時は大勢いたことだろう。通仙散の開発にも多大な手間をかけたことだろう。

著者である有吉佐和子は,その内でも華岡青洲に嫁ぎ妻となる「加恵」に焦点を当てて,自ら実験台として身を捧げることを切り取ることで,女の壮絶な人生を描写したのである。これはかなりの力技で,多少の曲解おそれず,史実以上に優先したいことがあってのことだろう。

とはいえ,表向きは「華岡青洲の世界初の乳がん手術の成功,それを支えた麻酔薬の通仙散」を讃えることに成功している。

これが何か超現象かなにかによるものなのであれば一種のホラー作品にとどまる。しかし,当時の閉ざされた社会と曼荼羅華のもたらす毒気は,現代にも通じる不気味さである。

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2021年04月14日

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嫁姑関係にイライラ。ストーリーは面白いと思うが、最後まで誰にも共感できずに終わった。医療技術の進歩の裏には必ず犠牲となった先人がいる、という点には確かにはっとさせられた。

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2024年07月19日

Posted by ブクログ

いくら創作と言っても、実存した家庭の内部をこんな風に書いてしまっていいのか?と、余計な心配をしてしまいました。それくらい、嫁姑の完璧な確執がドラマチックです。
文体は古風だが、読みやすい。
難しい単語に注釈が付いている本を久しぶりに読みました。スマホが出現してから辞書を開くことがなくなってしまったから、この注釈を読むのも面白かったです。

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2023年09月20日

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