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Posted by ブクログ
「静」と「動」の村田沙耶香が楽しめる初期の作品集。「ひかりのあしおと」と「ギンイロノウタ」という2作品が収められています。
2作品は発表時期も近く、どちらも少女・女性の生きづらさが基調にあります。異常な母親(愛菜ちゃんもアカオさんもタイプは異なりますが怖いですね。)や無関心な父親といった歪んだ家族像、顔や目といったモチーフ、現実と妄想の曖昧な境界など、共通する要素は少なくありません。しかし、読後に受ける印象が大きく異なる点が面白いです。
「ひかりのあしおと」は純文学的と言うか、芥川賞受賞作にありそうな内省的な文体。よく抑制されています。一方「ギンイロノウタ」にはもっと過剰で呪術的なイメージが溢れています。僕は「ギンイロ」の方が好みです。
この違いを生み出している要因としては、語り手の年齢差も大きいと思います。「ひかりのあしおと」の誉は大学生、「ギンイロノウタ」の有里は中高生であり、世界の受け止め方そのものが異なります。しかしそれ以上に、生きづらさの起点となる出来事の有無が重要なのではないかと思いました。
誉はピンク色の怪人によるトイレ閉じ込め事件をキッカケにトラウマを抱え、壊れてしまいます。しかし、起点となる決定的な事件のない有里の方がより深刻です。有里は生まれながらの資質や環境で、自然と内側から壊れていった感じがします。それだけに、逃げ場のない絶望感が際立ってました。
また、両作の結末における「解決」のあり方も対照的でした。ひかりを受け入れた誉と、ギンイロの世界に飛び込んでいく有里。テーマは似ているのに、正反対の結末でした。
最近の村田作品は「ギンイロ」の方に近いのかなと思います。村田沙耶香という作家の世界観はこの段階ですでに完成している感じがありますね。
面白かったです。
Posted by ブクログ
人間は他者との関係の中でしか自己を定義できない側面が強いから、母親の役割を担わない純粋無垢な存在は最早概念に近いのかも。主人公は過剰適応の状態に近くて、慢性的な緊張だったり自己抑圧を強いられている。母親が肯定されなかったことで主人公の胸が躍る場面が印象的だった。ひかりが迫ってくることで高まる閉塞感は、太陽をじかに見た時の目の奥の鈍痛のよう 恐怖を宥めようとする時の手の平の湿り気や指のもつれ、迫る焦燥感の描写がリアルで読んでてしんど楽しい(ひかりのあしおと)
生きづらさの言語化がすごい 周囲との不調和を感じる人間の内面を繊細に丁寧に描いているから主人公の狂気がじわじわ自分に浸食していくのを感じた。
誰にでもその人自身の閉じられた世界があって、ひとりよがりに踠いては蹲って生きているんだなあ
多くの人が白を切る部分に対して忠実すぎた主人公が様々な道具に縋って自分の居場所を模索し続けるその一貫性に惹かれる部分もある(ギンイロノウタ)
Posted by ブクログ
『ひかりのあしおと』
ホラーだった。村田沙耶香作品では、良い人との出会いで自分を成長させていくという展開は期待できないので、普通に良い人っぽい蛍が出てきて逆にドキドキした。蛍には「どうにかなる前に逃げて!」と言いたくなった。
「光の人影は、私を狂わせるために追いかけてきていたのではなかったのでした。私の狂気を止めるために、ずっと追いかけてきていたのです。」がよくわからなかった。
『ギンイロノウタ』
凄みのある作品だった。
指示棒のステッキなど、小物遣いが絶妙。最後、有里が銀色の扉を探すために家を出たところからドキドキが止まらなくて、事件が起こるに違いないと思った。サスペンスのようだった。
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