あらすじ
極端に臆病な幼い有里の初恋の相手は、文房具屋で買った銀のステッキだった。アニメの魔法使いみたいに杖をひと振り、押入れの暗闇に銀の星がきらめき、無数の目玉が少女を秘密の快楽へ誘う。クラスメイトにステッキが汚され、有里が憎しみの化け物と化すまでは……。少女の孤独に巣くう怪物を描く表題作と、殺意と恋愛でつむぐ女子大生の物語「ひかりのあしおと」。衝撃の2編。
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読んでいるときは主人公たちが強烈だけど、読み終わると周囲からは単に印象の薄い人くらいに見えていたんだろうなと考えた。
普通に見えるから教師が面倒な関わり方をしてきたり恋人が次々に出来たりをするのだろう。
愛菜ちゃんも突表紙なく思えるけど周囲との関わり方を見ると、やっぱり普通の範囲内で可愛らしい人に見えそう。
裏の顔とか内心が怖いなって感じた話。
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『ひかりのあしおと』
誘拐する側の話はあまり読んだことがなかった。蛍があまりにも純粋なので、どうか傷つけないでほしいと願ってしまった。いわば同意のないまま関係が進んでしまったということだと思うので、後に傷になることもあるだろう。
母と娘の関係もあまりに歪なので、読んでいて苦しかった。母に対する不快感をどうしたらいいのかわからなかった。でも現実にこういう親子って存在していると思うのだ。リアルなフィクションでありあまり他人事とも思えない、その点が一番苦しい。
『ギンイロノウタ』
私が化け物だとして、なんて書き出しの小説、苦しいに決まっていた。ひとり静かに狂気に侵食されていく過程を見せられていたのだと思った。
何が起こるのか予想ができず、主人公の衝動と殺意がどうなってしまうのか不安で仕方なかった。生きづらさの域をもうずっと超えていて、救いの手はどこからも差し伸べられないことが絶望でもあった。ある意味では、銀色の扉を自分の体に見つけたことはせめてもの救いであったのか?
何がどうなっているのか、まったくわからないのに読者を引きずりこむのが凄い。
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娘を批判しかしない父親と、娘に「愛菜ちゃん」と呼ばれる母親の関係性が誉の人間性に影響を及ぼしていることは間違いないが、本人はそれを小学生の頃の事件のせいだと思っている。(ひかりのあしおと)
誰とも感情を共有できない有里は性で人と関わろうとするが失敗する。性への欲が殺人への欲に変化していく。(ギンイロノウタ)
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村田さんの作品を読むのは2回目ですが、こちらも気味が悪いほどのリアリティのある表現が巧みで凄く個性的で良かったです。病んでいる感じが自分にも共感できるところがあるので、表現しにくいドロドロしたものも描かれていて流石だと思いました。
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村田沙耶香さんの小説に出てくる登場人物って確かに狂ってるけどなんかほんのちょっとのキッカケでそっち側に転がって行ってしまいそうな感覚が理解できてしまうのが怖い。
特に思春期の自分なんか今思い出すとあの頃の自分て狂ってたなぁって思うもんね。
誰でも抱えてる心の闇とか病的な部分を表現するのが上手いんだと思う。
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少しずつ滲み出し現実となっていく少女の狂気。
その狂気を醸成していった学校や家、バイト先での日常の出来事の一つ一つが身に覚えのあるものがあり、心が苦しかった。
銀色の扉を開いた彼女はどこに行ってしまったのだろうか。
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村田さんの作品は「生きづらさ」という日々のもやもやを的確に言語化してくれる気がします。結末は突飛に感じることもありますが、そこに至るまでの経緯や登場人物たちの感情・言動には共感できることも多いです。
「ギンイロノウタ」でうわぁ分かる…!となったのが、花いちもんめのシーン。
「私の体は強ばっていた。この遊びで私は、いつも最後の方まで残ってしまうからだ。人気のある女の子は何度も名前を呼ばれ、いったりきたりの取り合いになっていた。(略)私はいつまでも名前を呼ばれないまま、細い声で歌いながら前後に動いていた。」
何て緻密に文章化するんだろうと思いました。
他にも「失敗してはいけないと思えば思うほど失敗してしまう」描写がリアルでした。スプーン目玉焼き新聞のチラシ3連続は読んでいて辛かったです。その他、大人の名前尽くしで迫られるシーンや修学旅行の写真等、解像度が非常に高い。
幼少期や学生時代の苦い思い出の一方、学校の先輩との性行為のシーンはちょっと笑ってしまいましたが。
多分結構前の作品なのかな?魔法少女やコンビニでのアルバイト等、後々の作品にも繋がりそうなコンセプトも入っていて興味深かったです。
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中編2作品収録
2作品とも著者の独特の世界を感じさせる内容でした
主人公はいずれも女性
ひとことで言ってきもこわ系な感じでしょうか
他にない世界観が好きです
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歪な家庭環境で育てられた主人公がその呪縛から逃れるために、いろいろともがく話。短編が二編収められているが、状況設定はとてもよく似ていると感じた。ただ解釈が様々になるように描写されていることも多く、私の読み取り不足によるところもあるかもしれない。
似ている点としては、主人公は両方とも親から何かを押し付けられるというところが挙げられ、「ひかりのあしおと」では、大人っぽくあることを、「ギンイロノウタ」では臆病であることを押し付けられて、そのせいで孤独を強いられていた。
大きな違いとして「ひかりのあしおと」では、主人公は自分の家庭や自身についての異常性を認識しており、それ故に普通になることを目指していたり、敢えて親と同じような状況になるようにしたりと親が求めることに反抗しようとしていた。一方、「ギンイロノウタ」では、主人公はずっと自分を守ることに一生懸命で、主人公を守ってくれるものが成長とともにステッキ、ノート、扉、ナイフという風に変化していっているだけだった。その結果、結末や話の向かう先に変化があったのがとても興味深かった。
個人的には「ギンイロノウタ」の方が「ひかりのあしおと」より複雑でかつ表現も真に迫っていて好みだった。また、「ギンイロノウタ」でステッキをなくしてノートになった後、また自分の中に銀色の魔法を見付けるという流れも人は変わらないことを示しているようで好きだった。
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2作品はどちらも未完成感はあるものの、やはり村田沙耶香は面白い。
ギンイロノウタは最後はちょっとついていけなくなったが、性欲の描き方がリアルに感じた。
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ここまで怖いと思った作品はありませんでした。
ホラー的な怖さではなくて、人間の狂気の部分が
ここまで、生々しく描かれていることに恐怖を感じる自分もいれば、どこか、自分と重なる所もあるなと感じました。「コンビニ人間」にも通ずる部分も
あると感じました。藤田香織さんの解説も素晴らしかったです。
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今回の村田沙耶香ワールドは、男女ではなく親子
どうしてそうなっちゃうの的な主人公の行動の後ろには歪んだ母親がいて、その歪みを助長したり作ったりする父親
お母さんがアカオさんになる描写が自分のようで恐ろしい
異常殺人犯の心理ってこういうことなのかと理解したくもないのに同情してしまうのが悔しい
Posted by ブクログ
今まで読んできた著者の作品の中でも癖の強い2作が収録されている。
思春期の未成熟な心と体のバランスにもがく少女たちの葛藤を狂気とも感じ取れるほど繊細に描かれていて怖いのに文字を追わずにはいられなかった。
少女たちが見つけた自身を脅かす正体から安息する術は傍から見ると歪で理解し難い。
しかし、他者からの理解より自身が内に秘めた自身と共存できた時に少女から大人へと変化していくのかも知れないと思った。
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お気に入りの銀のステッキを持って、押入れという秘密の場所で遊ぶ。そこは性欲と殺意に満ちた世界。少女のいたいけな遊びではなく、怪物になるための儀式のようだった。いや〜、恐い!ひたすらに狂ってる!
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村田さんの作品の中で1番自分的には落とし込むのが難しかった作品。特にギンイロノウタの方は、どうして主人公の人間形成がこのようになったのか、探ろうとしたけど難しい。お母さんが二面性を持っていて、お父さんも子供に興味が無さそうだったから、そんな2人の顔を伺って幼少期を過ごしたから、必要なものが逸脱してしまった感はある。救われない主人公だけど、自分の核となる軸は曲げずにずっとずっと忠実にいる。なんだか孤独だった。
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まさか可愛いって思うことになるとは想像していなかった。「コンビニ人間」「消滅世界」に続いて三冊目。
変態小説…
変態観察をしている感覚… 変態を安全な場所から"覗き見"しているといった感じに近いかな。変態が変態として成長していく課程を垣間見るだけじゃなく、変態の脳の中まで覗くことができてしまい、観察をやめれなくなる中毒性… 何かしらの"毒"を含んでいるんですよね。
「勃起していた私の手のひらは、いつの間にか萎えていた。私は顔をしかめて母の乾いた皮膚を見つめた。裏に汗をびっしょりかいた、生臭い皮膚。宿っていた欲望はすっかりなくなり、母の表皮を蔑む気持ちに変わっていた。」
これが変態の生の表現だ!
#ギンイロノウタ
#村田沙耶香
Posted by ブクログ
表題作とひかりのあしおとの2作。独特な表現が物語の世界観をより引き立てている。いずれの作品も歪みから歪みが生まれその環境から脱する事ができない…そんな話。考えるのではなく、感じる一冊。
Posted by ブクログ
この世に同じ感情や興奮なんて1つもないはずなのに、恋とか愛とか言葉が先行してしまっているから、私たちは無意識にそこに当てはまるように軌道修正しているんだろうなと気付かされた。
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引っ込み思案で友達ともうまく行かない有里。中学では友達のリーダー格に嫌われ、一人でいるところに、空回りする教師に目をつけられ、毎日スピーチをさせられることに。そんなとき、自分を持てるのが、幼稚園のときにいとこに買ってもらった銀色の携帯指し棒と、押し入れの中に貼り付けた男の目玉の写真…。
『コンビニ人間』の印象で読んでしまう村田沙耶香だが、本作に含まれる2本とも漠然とした恐怖と性をテーマにした作品だ。
1本目の『ひかりのあしおと』は光が怖い少女が恐怖から逃げるために性に逃げ込む。話はわかるがちょっと収束点がわからないところが有ったが、やはり表題作の閉塞感から、銀色の扉を探すために話が危ない方向に"駆け上がっていく"感覚で苦しくなっていくところが醍醐味だ。
『コンビニ人間』のままならない押し流されていくが起伏の少ない感じではなく、思ったようにいかないために前にも後ろにも進めない状況を暴力的に壊そうとするアグレッシブな2本。好き嫌いが分かれそうな作品では有る。
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村田沙耶香さんの他作品「地球星人」と似た雰囲気のある表題作。
主人公の置かれている環境や周囲の人の感じが、「うわあこういう人いるよね」「これ辛いな...」と思うようなことばかりで主人公に感情移入できる場面も多い前半ですが、そんな主人公が後半に行くにつれて徐々に常軌を逸していく様子はとてもハラハラした。
最後のステッキの場面は表現が美しくて感動した。
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不器用な者や自分の感情や目の前の出来事に
上手く折り合いをつけられなくては、どんどんと
深みにハマっていくしかないのだろうか。
それかあえて気付かないふりをしている人が多いのか分からないが、それでも自分の行き所を
模索している姿に惹かれる部分もあるのではなかろうか。
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『星が吸う水』以来の村田沙耶香san。
少女の顔をした、化け物が目覚める。私となんの関係もないあなたを、私は殺したい-。
1話目「ひかりのあしおと」は、小学二年生の誉(ほまれ)が<ピンク色の怪人>にトイレに閉じ込められるシーンから始まり、<レンアイ>を経て、呪文と光に苦しめられながら大学生となっていく物語。冒頭から「私」が敬語で語り出す距離感、大学の教室で蛍から声を掛けられた時に、「不意に、とてもきれいな発音の日本語が私に放たれました。」という表現が素敵でした。
2話目は表題作「ギンイロノウタ」。「私が”化け物”だとして、それはある日突然そうなったのか~」から始まる恐ろしさ。主人公の少女・友里(ゆり)が病院で生まれるシーンから始まり、常に夫の顔色を窺い態度を変える母親(お母さんとアカオさん)、魔法のステッキ、押し入れの世界等。後半で日記が具体的になって来て、ナイフを持ち、外に出たところはハラハラしながら読みました。
誉と友里の魂の叫びと祈りが、外の世界に届きますように。
【第31回野間文芸新人賞】
Posted by ブクログ
人の内部ってこんなに複雑なんだと(他人事みたいだけど)思った。
たった一瞬の取るに足りない動きを3行もかけてじっくりゆっくり描写する感じがたまらなく好き
本読んでるって感じがする
気味が悪いけど惹きつけられる、
なんかすごい恥ずかしい気持ちになる本でした
Posted by ブクログ
ひかりのあしおと の方が個人的に好きだったなー
村田沙耶香の本で殺人衝動に駆られる主人公の話はあまり読んだことがなかったけど、これは2話ともそうだったから新鮮だった。
読みすすめるのが怖いくらい何が起こるか分からなくて面白かった!
ギンイロノウタの最後は、どういうことなんだろう?結局、他人ではなくステッキの中に己の衝動があったということ?
有里の自分を誤魔化したり言い訳したりする描写がめっっっちゃリアルで見ててキツかった笑
Posted by ブクログ
表題作+1の2編。2007年発表の「ひかりのあしおと」は、「地球星人」へ繋がるプロトタイプに感じた。野間文芸新人賞受賞の「ギンイロノウタ」も「コンビニ人間」とそれ以降へ続いていく重要なステップだったと思う。発表順に作品を読まなかったことを後悔してしまうほど、作家の遂げた進化が凄まじい。
Posted by ブクログ
「ひかりのあしおと」「ギンイロノウタ」の2作品とも、主人公視点での淡々とした語り口が特徴的で、何が正常で何が異常・狂気なのかと不思議な気持ちになった。
「ギンイロノウタ」後半は物語がどんどん救いようのない方向に進んでいくが、つらいと思いながらも引き込まれて一気に読んでしまった。
巻末の藤田香織さんの解説に
"怖い。でも知りたい。怖い。だけど見たい。抗いきれないのは作者の中に住む「狂気」が、ともすれば自分のなかにあるかもしれない、と思わされるからです。"
とあるが、私の覚えた感想もまさにその通りだった。
「ギンイロノウタ」について言えば、「家族や教師との不和などの問題が主人公の感性を歪ませた」というだけの話ではなく、子供向けアニメ、第二次性徴といった一般的に無害なものや誰にでもある経験が全て衝撃的な展開に繋がっていくところに引き込まれたのであった。
正直なところ「ギンイロノウタ」のインパクトが強すぎて、先に読んだ「ひかりのあしおと」が平和な話だったかのように記憶が書き換えられているため、落ち着いたら単独で再読したい。
Posted by ブクログ
ひかりのあしあと
この作品を読んで思った言葉、それは「気持ち悪い」。
母親と娘を批判しかしない父親と、娘に「愛菜ちゃん」と呼ばれる母親の関係性が誉の人間性に影響を及ぼしていることは間違いないが、本人はそれを小学生の頃の事件のせいだと思っている。
気付いたら斧を持って好きな男の子を脅迫しているあたりもサイコパスだと感じた。
ギンイロノウタ
ひかりのあしあと同様、この小説にもサイコパスを感じた。「このまま土屋先生を殺してしまうんだろうな」と思っていたがそのような展開でなかったあたりも物語に引き寄せられた。