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私は内気な女子です――無言でそう訴えながら新しい教室へ入っていく。早く同じような風貌の「大人しい」友だちを見つけなくては。小学五年の律(りつ)は目立たないことで居場所を守ってきた。しかしクラス替えで一緒になったのは友人もいず協調性もない「浮いた」存在の塚本瀬里奈。彼女が臆病な律を変えていく。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
友達から、好きだと思うとおすすめされて借りた本。正直自分から手に取ったものではなかったし、村田沙耶香の他の作品を読んで想像していたものは、生や性に関するパラレルワールドみたいな世界だったので気は進みませんでした。借り物だし、早く読んで返さなきゃという気持ちと、タイミング(私は積読が多すぎてどれも読み...続きを読むたいので決めるのが難しいのでルーレットアプリに積読本のタイトルを入力してルーレットを回して決めています)が重ならなければ一生読むことはなかったかもしれないと感じています。これまでの村田さんの作風とはだいぶ違っていて、瀬里奈の不思議な雰囲気と主人公の律に部分的に親近感を覚えてすらすらと読んでしまいました。 まず瀬里奈の不思議な感じ。一般的ではなくて、浮いていて、壊れやすそうで繊細なのにどこか大胆。私がもし瀬里奈や律と同じ教室にいたならば、小学生なりに気を惹かれていただろうなと思う。何を考えているんだろう、あの子これからどうなってしまうんだろうどうしてみんなと違うのかな。この感情が本を読む速度を上げました。そして、瀬里奈が律や物語の力によって変わっていく。それによって変わる周りの人たちや律の感情。それがまあリアルでとても興味深い。あー、この感情わかる、っていうのがたくさんあった。最初は気になって近づいて、偽善というか面白半分で頼まれてもいない世話を焼く。そのおかげで本人が変わり周囲も変わると、そうなったのは自分のおかげなのにと思ってそれがだんだん僻みだったり嫉妬に変わっていく。自分と同じ、近い…または自分より下だと思っていた人間がいつの間にか自分とは比べ物にならないほどの高いところにいた。このとき感じる嫌な感情がすっごい、リアルというかなんというか。 「あなたは環境が恵まれてるから努力しないでもそんなところにいれるんだ」 「私はあなたより頑張っているのに、あなたは許されて私は許されない」 こういう黒くて醜い救われない感情がどこかに隠れている。これって女の友情だけなのかな?男の人でそういう話はあまり聞かない。 律の、周りの評価ばかり気にしてしまう気持ちもとても共感できた。瀬里奈への感情にも。律のように、仕事などの役割があればそれを全うできる人もいれば仕事ですら上手く振る舞えない人もいる。私も、そんな考えはなかったけど仕事や苦手な人とかかわらなければいけないときは、“演技”をすることによって上手く、円滑に物事を進められるかもしれない。仕事中は自分の自我を消して店員に徹したりとか、そうするのも処世術なのかもしれない。そうしてみよう。 瀬里奈のように周りの評価を気にしない人、律のように周りの評価ばかりを気にしてしまう人、周りの普通と違うことにアイデンティティを生み出す人。いろんな人間がいる。私はどうなんだろうと考えた。周りの評価が気になるし、でもそれもバレたくなくて、うまくいかなくてそれならいっそその評価の外に出ちゃおう、比べられて悪く評価されるのが嫌ならされないような人間になろう。そんな感じなのかもしれない、自分って。 久しぶりにこんなに好きな作品に出会えた。また読み返そう
小学生女子の閉鎖的な空気感。 過剰に空気を読めてしまう主人公。 過剰にクラスから浮いてしまう子。 人格とは、生き方とは。 主人公に共感しながら読み進めた。 私も「彼女」のように生きたい。 ガールミーツガールの名作。
掃除用具入れの「扉」を開けて安心できる閉ざされた異空間に逃げ込むように入っていった小学五年生の瀬里奈、その「扉」をくるみ割り人形を無理矢理読んで聞かせることで中から引き摺り出した律。 無理矢理こじ開けられた事でマリーになることが出来た瀬里奈は救われた気持ちだったのかはわからない。 律はその時の光景を...続きを読む思い出して大人になってクローゼットの隙間に異空間への繋がりを無意識に求めていたのかもしれない。そしてクローゼットの中に閉じ籠る事で少しだけ安心できる感覚を少し理解出来た。それは「扉」を開けてクローゼットに入る事で自分の中の「扉」を開けたのかもしれないし、間接的に瀬里奈が「扉」を開けてくれたのかもしれなかった。結果的にお互いがお互いのドアを開けた(開けるキッカケになった)2人。すべては曖昧で不安定だった。 ラストのシーンの非常階段の扉は、2人が一緒に開いた最初であり最後のドアだった。異世界へ繋がってなかった事が、「何か」に逃げなくても現実で不安を抱えながらでもなんとか進んでいける状態にやっと立てた2人の心情とリンクしている気がした。 そして「マウス」というタイトル。これは両義性であり多面性も持っていると思う。 マリーが勇敢に立ち向かい、ネズミの王を倒して王子の呪いを解く。恐怖や不安や呪いや内面の弱さのようなものに打ち勝つ。律から見た自分自身が臆病者の「mouse」であり、瀬里奈もまた同じ意味での「mouse」であり、違う意味での「mouse」でもある。つまり、かわいい子・魅力のある子という意味をも帯びた「マウス」は、恐怖の象徴と救いや魅力の象徴の両義性を表しているのだと思う。 律も瀬里奈も臆病で内気であっただろうし、何かに囚われ続けていたという意味での「mouse」であったのかもしれないし、でも同時にお互いがお互いの「扉」を開けて「扉」の外の世界へ踏み出させてくれた王子でもあったのかもしれない。 律が自分の事をネズミと例えているシーンにくるみ割り人形における「ネズミの王」を重ねるとさらに深みが出る。恐怖や不安で怯えさせる存在であり、そこを超えることで出会える新しい世界の入り口にもなり得る。つまり「恐れ」と「扉」は一続きであるということ。 「mouse=臆病で内気、だけどかわいい・魅力的」という辞書のシーンの2度目の描写で若干変化がある。それはまるで律と瀬里奈の内面の変化を映してるように見えた。 「ただの弱い存在」としか思えなかったけど、互いの「扉」を開け合うことで、弱さの中にも魅力的だと思える何かがあると気づけた。その視点の変化を、辞書の言葉の変化で象徴してるのではないかと思いました。 村田沙耶香さんにしてはライトめであるものの、計算されたシンプルさなのであろうかという勘繰り。だからこそ普段はあまりやらない考察みたいなことをやってしまったのかもしれない。 学生時代のカーストの中での位置どりであったり、バイトの描写であったり、似たような描写が多作品である部分は村田さん自身を投影している部分なんだろうなぁとインタビューなどを見るとそう思う。 過激な描写がなくとも共通した読後感があるのは、自分が村田沙耶香さんの作品に求めているものは必ずしも狂気とは限らないのだなと確認できました。
ものすごく良かったし、一気読み。 何か自分のモヤモヤした感情、子供のころ私もそう感じていたのかな、おばさんになった今もそんな感情になるような。 それを初めてゆっくり言語化されているのを聞くような。 誰しもが一度は感じる感情なのかも。 2人は特別な感情で結ばれている感じ。縁なのか。また何年後、読み返し...続きを読むたいと思った。
わたしは律でもあり、瀬里奈でもあると思った。 周りに馴染むように演じる気持ちも分かるし、好きなことであれば周りにどう思われてもいいとも思う。他人に対して、個性がなくてつまらないと思うこともある。協調性と個性とが問われるグラデーションのなかで、きっとみんな生きている。世界の解像度があがった。マウス。な...続きを読むんて可愛いタイトルなんだろう。読み終えて、改めて表紙を眺めると、可愛さのあまりに抱きしめたくなった。
今まで読んだ村田作品の中で最も読後感のいいストーリーだった。 真面目な主人公がウェイトレスという形を通して世界とコミュニケーションが取れるのはすごく分かるし、コミュニケーションが取れないけど魅力的という感覚の人間に人が集まってそこを悔しく思うのもわかる。
言葉ひとつとっても良し悪しは表裏一体である。 『真面目』は必ずしも良い評価であるとは限らず、皮肉なのかもしれない。「真面目過ぎる」のニュアンスを含んでいるかもしれない。使い方、使われる場によっては「真面目過ぎるのも大概にして欲しい」という示唆なのかも……受け取り手の受容の問題だったり、本当は伝え手も...続きを読むそこまで考えてはなかったり、ということもあり得る。要するに気にしーなんだとは思う。いやわかりみが深いよ。その平衡感覚を持っている人は人付き合いが上手い。いや、むしろ持ってない人の方が云々。 考え過ぎる律も考え過ぎない瀬里奈も、病理的とはまた違った意味で適応障害を抱えている。程度の差こそあれ、自分以外の人間が他人である社会の関わりの中では起こり得るしがらみ。両者が両極端でありながら惹かれ合うのは、適応する息苦しさを抱えていたからかもしれない。摩擦が起きないように細心の注意を払っている律も、人と触れ合わない瀬里奈も、互いに熱を持っている。 子供の頃からの無邪気な思考の癖が、大人になっ て軌道修正が上手くいかず、歪な結果を結ぶのは村田沙耶香のテッパンのひとつとも言えるが、あっさりエンドで人にも薦めやすいかも。勿論、コッテリエンドも大好物だが。 あっさり→『丸の内魔法少女ミラクリーナ』 コッテリ→『地球星人』
マイノリティな人の生きづらさ
私はこの本の登場人物とそっくりで、冒頭から自分に落とし込んで読んでいました。 学校で目立たない律は社会に出てもその生きづらさを感じていた。そのとき、やっぱり一緒にいて瀬里菜は唯一の居場所だったんだと思いました。最初、瀬里菜を拒絶していた律は、自分自身の嫌いな部分だったんだろーなって。でも瀬里菜に...続きを読む付き合わされていくうちに、ちょっとずつありのままで生きていてもいいって風に律も気持ちが変わっていった。 私自身何故か励まされたし、生きずらいまま自分を好きになれればとりあえず生きていけそうかも。そんな風に思えた作品でした。
#ほのぼの #癒やされる
村田沙耶香さんの作品にしてはすっごい普通の作品でした。普通とは言えど、瀬理奈の空想世界の話や物語の主人公になりきってしまう所とか若干現実離れしてる感じが村田沙耶香さんらしいなと思いました。 小学生の時自分も律みたいで内気で周りの人の目を気にするタイプだったなと過去と重ねて読みました。
村田沙耶香にしてはすっごい前向きで、すっごい元気もらった1冊だった。いつも陰キャの描写が上手くて、苦しくなるような本ばかりだけど、この本はそんな女の子を心から応援できた。終わりも超良かった
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村田沙耶香
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