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「産み人」となり、10人産めば、1人殺してもいい──。そんな「殺人出産制度」が認められた世界では、「産み人」は命を作る尊い存在として崇められていた。育子の職場でも、またひとり「産み人」となり、人々の賞賛を浴びていた。素晴らしい行為をたたえながらも、どこか複雑な思いを抱く育子。それは、彼女が抱える、人には言えないある秘密のせいなのかもしれない……。
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Posted by ブクログ
コロナ禍の、社会が丸ごと変わってしまったかのようなあの感覚を味わえる作品。
性愛と生殖の関係に一度でも違和感を持ったことがある人におすすめしたい。
スッと頭に入ってきて不思議と納得感のあるストーリーだった。
今はあり得ないことでも、明日にはあり得ること、あたりまえのことになっているかもしれない。過激だ、思想が強い、なんて嘲笑されていた人が、数年後には持て囃されたり、はたまたその反対のことが起きたりするのは現代社会でも起こり得ることで、どんなことでも簡単に馬鹿にできないなと思った。
出産や育児を経験してから再読すれば、また違った感想を持てそう。
表題にもなっている『殺人出産』の他に三篇の作品が入っていて、全四篇読むのに1時間かからないくらいなので、タイトルでギョッとした人も手に取ってみたほうがお得。
表題作ももちろんだが、『トリプル』も良かった。自分とは違う恋愛の形について受け入れる“べき”なのはわかっていても、自分と違うものを気持ち悪いという感情は自然なものだよなぁ、清らかだから受け入れられないこともあるのか、と気づかされる。
Posted by ブクログ
他の著作もそうですが今ある「当たり前」からは倫理的に反した常識の世界をその世界の住人の目を通して語られることで、本当に今の倫理観も脆く崩れゆくものなのだろうと強く意識させられます。
表題作はじめ、生・生殖・死の倫理観がそれぞれ異なった世界が描かれています。
個人的なお気に入りは「トリプル」です。付き合うことや生殖としてのセックスの見方が違くて、こんな世界で生まれていたら私もきっと3人で付き合って一般的とされる繋がり方をして、カップルや生殖としてのセックスに嫌悪感を抱くかもしれません。まるで現代はカップル・モノガミーが当たり前でポリガミー・3Pと呼ばれ嫌悪されている概念のように扱っていると思います。そう言った意味では私達が生まれた世界の当たり前は本当にたまたま、資本主義や生殖、工業社会において都合がいいようにできただけの蜃気楼のようなものなんだと思います。当たり前の生・生殖・死を考えたいとき、ぼーっと現代の当たり前について疑いたい時におすすめです
常識引っくり返る
この人の本初めて読んだけど、スゴいとしか言いようがない。常識?ナニソレ?そんな発想おんなじ人間なのに思い付きもしませんよって感じです。
他の本も読みたいですね!このぶっ飛んだ世界観にドッブリ嵌まりたいです。
Posted by ブクログ
ある点から見れば、すごく合理的な社会図だと思った
でも、無条件に殺されていい命などない と思う私は、まだ殺人出産の世界の時代には合わない、昔の考えをしているということ
この本は、今の社会を0とすると、殺人出産(その他短編)に出てくる世界は100
でも、0側の考え持っている人もいるから グラデーション的になるはずなのに、価値観が極端に偏っている印象があった
もしかしたら、自分がもっと歳をとったら、このような社会まではいかなくとも 価値観が大幅に変化していくのかもしれない
そのときに そんな世界を おかしい と思わない保証はないし、実際今の老人や親世代の中には 私たちの文化や当たり前をおかしいと思っている人も当然いるだろう
この小説ほど極端に書かれていると、今の社会を皮肉的に描いているようでおもしろいと感じた
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