あらすじ
「産み人」となり、10人産めば、1人殺してもいい──。そんな「殺人出産制度」が認められた世界では、「産み人」は命を作る尊い存在として崇められていた。育子の職場でも、またひとり「産み人」となり、人々の賞賛を浴びていた。素晴らしい行為をたたえながらも、どこか複雑な思いを抱く育子。それは、彼女が抱える、人には言えないある秘密のせいなのかもしれない……。
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Posted by ブクログ
──命を奪ったものは、命を産みだす刑に処される。こちらのほうがずっと知的であり、生命の流れとしても自然なことなのです、と教師は言い、授業を締めくくった。(「殺人出産」)
10人産んだら、1人殺せる。命を奪う者が命を造る「殺人出産システム」によって人口を保つ日本。会社員の育子には十代で「産み人」となった姉がいた。蝉の声が響く夏、姉の10人目の出産が迫る。未来に命を繋ぐのは彼女の殺意。昨日の常識は、ある日突然変化する。表題作、他三篇。
重罪を犯せば、死刑ではなく産刑。10人産めば1人殺せる(男性も人工子宮で可能)。
そして、それで殺された人は皆に選ばれた素晴らしい人として送り出される。
突飛ないけどおもしろい発想だなあと楽しく読んだ。
あと最後に収録されている「余命」にでてきた、『女子にぴったり! 可愛い死に方100選』『男のインパクト死! 印象に残る死に方でかっこよく逝く方法』『愛される死に方ランキング☆図解説明付き』どれも読みたいなあとおもった。気になるね。
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大好きでした。
村田さんは楽しんで書いているのだろうな…と感じるので読者の私もすごく楽しいのです。(楽しませるように書いてくれているのは言わずもがななのですが…)
世界99もですが、『合理的』を追求した少し遠くて少し近い未来のお話。私自身にとって理想的だから読んでいてとても心地よかったです。好きな作家さんに出会えることは幸せですね。
Posted by ブクログ
他の著作もそうですが今ある「当たり前」からは倫理的に反した常識の世界をその世界の住人の目を通して語られることで、本当に今の倫理観も脆く崩れゆくものなのだろうと強く意識させられます。
表題作はじめ、生・生殖・死の倫理観がそれぞれ異なった世界が描かれています。
個人的なお気に入りは「トリプル」です。付き合うことや生殖としてのセックスの見方が違くて、こんな世界で生まれていたら私もきっと3人で付き合って一般的とされる繋がり方をして、カップルや生殖としてのセックスに嫌悪感を抱くかもしれません。まるで現代はカップル・モノガミーが当たり前でポリガミー・3Pと呼ばれ嫌悪されている概念のように扱っていると思います。そう言った意味では私達が生まれた世界の当たり前は本当にたまたま、資本主義や生殖、工業社会において都合がいいようにできただけの蜃気楼のようなものなんだと思います。当たり前の生・生殖・死を考えたいとき、ぼーっと現代の当たり前について疑いたい時におすすめです
短編集で、読みやすい一冊でした。
様々な法や価値観が存在する社会で生きる人々の物語は、どれもラストが予測できないものばかりで、楽しんで読むことができました。
常識引っくり返る
この人の本初めて読んだけど、スゴいとしか言いようがない。常識?ナニソレ?そんな発想おんなじ人間なのに思い付きもしませんよって感じです。
他の本も読みたいですね!このぶっ飛んだ世界観にドッブリ嵌まりたいです。
Posted by ブクログ
10人産んだら1人殺せる。殺人犯は死ぬまで産む道具。
なんて合理的なんだ。そしてそれが受け入れられている世界。
無茶苦茶なことも時間が結構解決するし、人の考え方は思うよりすぐ変わるよね。と思った。
Posted by ブクログ
生や性の価値観が異なる社会を設定した、4つの短編集。不思議な設定だけど、リアルでもあり、面白い作品だった。あと、やっぱり表現が綺麗。
「殺人出産」
10人産むと1人殺せる“産み人”制度が定着したことで、人々の生と性に対する価値観は変容し、殺意が人を産み出す社会。
一見狂った世界に思うが、読んでいるうちに、今の自分にとって当たり前の社会が、100年、200年後、“今”を知らない人々にとって当たり前なのか奇妙なものになっているのか。足下がグラつく感じがした。
「トリプル」
3人での恋人“トリプル”が流行りつつある社会。
2人でのカップルが自然と考える人からは、3Pや乱交のイメージで「厭らしい」、「淫売」と扱われる。
逆に、ただ性器での繋がり、快楽を追求するカップルの性行為を、トリプルの主人公は「おぞましい」と感じてしまう。
“性趣向”ではなく、新しい“性行為”に出会った。その他特段の感想なし。
「清潔な結婚」
家庭に性行為を持ち込まず“仲の良い兄妹”のような関係を望む夫婦が、子どもを授かるために“医療行為としてのセックス”を受ける。
(“医療行為としてのセックス”とは、単に寸前まで看護師がオナホでしごいて、最後だけ挿入する力技だった。)
恋愛から結婚生活へ移行後、共に暮らす場に性を持ち込みたくないという考えに触れ、少し自分の妻の気持ちを理解できた気がした。
「余命」
医療が発達し、老衰も事故も含め、死を克服して人々が自分で死ぬ時期・方法を自由に考えられる社会
こんな社会でも、結局周囲の評価を気にして死に方を選ぶ主人公に共感。選べるって自由だけど不自由なんだな。
Posted by ブクログ
とんでもない本だった。
生と死と性のSF作品の連続だった。
賛否両論ありそうだなーと思いながらも村田ワールドを堪能できて個人的には面白かった。
唯一無二の世界観だった…!
Posted by ブクログ
現実だったらこうなるんじゃないか?と考えながら読んだ。そうなっていないということは相当な洗脳が完了してる世界だなあ。
私個人は性愛に関して現代社会の常識から外れた価値観を持っているとされると思う。だからこそ共感するところと、受け入れ難いものがあった。
トリプルは嫌すぎた。性愛のないパートナーは羨ましいものだが、こうして文章にされると、なにか自分とは合わない気がしてくる。いわんやクリーンブリードをや。
Posted by ブクログ
ある点から見れば、すごく合理的な社会図だと思った
でも、無条件に殺されていい命などない と思う私は、まだ殺人出産の世界の時代には合わない、昔の考えをしているということ
この本は、今の社会を0とすると、殺人出産(その他短編)に出てくる世界は100
でも、0側の考え持っている人もいるから グラデーション的になるはずなのに、価値観が極端に偏っている印象があった
もしかしたら、自分がもっと歳をとったら、このような社会まではいかなくとも 価値観が大幅に変化していくのかもしれない
そのときに そんな世界を おかしい と思わない保証はないし、実際今の老人や親世代の中には 私たちの文化や当たり前をおかしいと思っている人も当然いるだろう
この小説ほど極端に書かれていると、今の社会を皮肉的に描いているようでおもしろいと感じた
Posted by ブクログ
死をもって死を成敗するなんて、本当に野蛮な時代もあったものです、命を奪ったものは、命を産みだす刑に処される。こちらのほうがずっと知的であり、生命の流れとしても自然なことなのです
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えぐい、、、と、おもろい、、、の2つの感情しか出てこんかった、
『信仰』は割とユーモラスな世界観だったけど、本作はなかなかダーク。
でもなんか確かに合理的な世界かも、と思えてしまう描写力...!!
「殺人出産」★★★★★
「トリプル」★★★★☆
「清潔な結婚」★★★☆☆
「余命」★★★★☆
Posted by ブクログ
すごく考えさせられた4遍の作品。
今、私が知っている世界が当たり前だと思っているのは幻想かも。
どの作品も考えてしまったけれど、
最後の「余命」は、本当に考えた。
いざとなったら自分で決められるのだろうか?
でも、それが当たり前なら決められるのかも。
普通なんてないのと同じで当たり前なんてない。
自分の周りの人の中でも考え方や感じ方は様々。
いつかこんな世界が訪れるのかも。
Posted by ブクログ
10人産んだら、1人殺せる。
「殺意」が命を生み出す衝動となる。
怖すぎる。
こんなに帯に惹きつけられて衝動買いすることないってくらい衝撃的だった。
表題の「殺人出産」をはじめ、他にも短編が3つ。
これより強い設定はないだろうと思って読み始めたら、その後の話も衝撃的すぎた。
どうやってこんなこと思いつくんでしょうか。
正直怖いし、倫理的にあり得ないよ!と思うけど、どの話もどこかリアリティがあって、理想郷な要素も漂ってて、本当に怖くなる。
殺人出産のラスト、怖い、怖すぎる。
読みたい気持ちと、あまりにリアルで頭の中で映像化されるのをどうにか止めたい気持ちがせめぎ合ってしんどかった。
こんなに怖いのに、読みたくさせる村田さん、、すごい、、
Posted by ブクログ
10人産んだら1人殺せる世界の話。
ギリギリありそうで無さそうな設定を作れる思考が面白い。
殺意が沸くことは割とあるけど、この設定だと自分が手を汚さないといけないから本当になったら渋い。
10人産んだら代理で誰かが殺してくれるなら考えるかもしれないとか思った。
Posted by ブクログ
どれも強烈 よくこんな話が思いつくなと思うけど殺人出産以外は近い未来あり得るかもと思ってしまった
面白かった コンビニ人間しか読んだことないけど他の作品読んでみたい
Posted by ブクログ
村田さんワールド全開だった。10人生み出すと1人殺すことが合法的に可能になるという世界線でどういう物語が始まるのか、設定に引き込まれてぐいぐいサクサク読めた作品だった。1人を殺すために10人生むことについて、そんなに殺したいなんて一途だねみたいな表現があって殺意に一途ってすごい形容詞だなと思った。殺しが生産のための行為であり、罪ではあるが悪ではないようなそれを皆が受け入れる不思議な世界。殺意こそが命のきっかけ…ね。個人的に収録されてるなかでは清潔な結婚みたいな、家族に性を求めない結婚に憧れがあるので、いいな…と思ってしまった。「トリプル」は三人交際っていうのの性行為がどう考えてもそれはレイプでは?って感じでキモくて泣きそうだった。あと最後に収録されてた「余命」は寿命がはるかに長くなり、「自然死」がなくなり?どう生きるかではなくどう死ぬかがだいじにされる世界線なんか面白いなと思った。今の社会は死ぬことにとても不寛容だから。
世界観に引き込まれた。今の世界で生きている自分から見たらこの世界は異常と思うけれど、時間が経つにつれて適応していくのだろうか...。こうなることは有り得ないと言いきれない、絶妙に筋が通った世界だと思う。何度も読み返しています。
Posted by ブクログ
するすると惹き込まれてしまった。
怖くて不気味な話が続くけれど、それは読み終えると統一感すら感じられたし、筆者のワールドなのかな。
他の作品にも興味を持ったので、読んでみたい。
Posted by ブクログ
好き嫌い分かれそ〜〜というのが正直な感想。後半は生々しい描写も多い。でも全体的なストーリーとしては、村田沙耶香好きならきっと好き!という感じだったので、この著者が好きで、グロいのが平気な人は読むのおすすめ。
Posted by ブクログ
な、なんやこれと思いつつ、誰もがうっすーら感じているであろう世の中への違和感みたいなものを小説という形で言語化していてゾッとした。
村田沙耶香さんのことを「クレイジー沙耶香」とおっしゃっている方がいたけど、こういうことか笑
読めば読むほど深みが出る作品なのでは。
Posted by ブクログ
村田沙耶香のすごいところはいつも設定は異常なのに分からなくはないなって思う事
「異常」って言葉を使ったけどそれを世の中が異常としてるからで
そもそも子どもを産む理由としての正解って?
老後寂しいとかの理由より命を、かけてでも殺したい相手がいるからって人がいてもおかしくないなって思ったり
物語の世界線だったら生きられてる人が生に感して感謝するってところはまさにそうだと思った
2章目のトリプルに関してはもはや誰にも迷惑かけてないし実際いてもおかしくないよなって
ほんで村田沙耶香の作品は9割この「まぁ分からんでもない」って感情で読み進めるんだけど最後の最後でぶっこんでくる
今回も強烈だったなぁー
Posted by ブクログ
設定がぶっ飛びすぎてたけど、このくらいぶっ飛んでなきゃ作者が伝えたいことを伝わらないんだろうなと思った
メッセージと、読んでぱっと感じる拒否感がメッセージ性を際立たせていて面白い
Posted by ブクログ
表題作の殺人出産は、こんな設定どうやったら思い浮かぶのだろうという、特殊な世界観です。皆が思う普通や当たり前を、思い切り揺さぶっていく、そんな意思を強く感じました。私は、殺人出産よりも清潔な結婚が、今と一番地続きな未来にあるように思えて、受け入れやすかったです。
Posted by ブクログ
とにかく後味が悪い読後感。このまま眠りについたらうなされそうという危機感すら感じる。『常識、普通、当たり前』にメスを入れる作品は少なくないが『殺人』を命を生み出す『出産』と同等に神聖で尊い行いだという設定は衝撃だった。一方で、同じ衝撃的な設定でも、『性行為』は『愛情表現』と『快楽』のための行為であってその延長線上には『妊娠』『出産』は存在しない体の構造にしてしまうあたりの発想は合理的で現実に合った社会構造のような気がした。
『殺人行為』をかなり具体的な言葉で紡いでいるのが思わず目をつぶりたくなる作品であった。一気読みだったのに高評価がつけれないのは表現がエグすぎて疲れてしまう作品であったためである。
Posted by ブクログ
性と死と生殖にまつわる短編集。
出てくる登場人物が自分の価値観を信じこんでるけどどかに違和感を感じていて気持ち悪い。
誰かを殺したいほど執着できる情熱ないです。
「余命」は、死ぬ時すら世間体やセンス気にしないといけない滑稽さに、どういう制度であれ悩みはついて回るな、と思いました。
Posted by ブクログ
初めての村田沙耶香さん、強烈すぎた。どうやったらこんな世界感を思いつくのか。
なんだかんだ、最後の「余命」が1番好きだった。他は読むのがしんどくなるくらい狂った話で、生々しい描写だった。
Posted by ブクログ
村田沙耶香さんの本は、五感を研ぎ澄まされるというか、私の中に流れる表層的には見えない血液を液体を感じることが出来る。
感情移入しなくていいから、読み心地がいい。
Posted by ブクログ
本の薄さと相反して、重くダークな内容だった。こんな制度は嫌だなと思いつつ、意外と悪くないのかも?と頭の隅で呟く自分もいた。
村田沙耶香恐るべし。
Posted by ブクログ
殺人出産、他3つの短篇から成る。
全て着眼点が面白いなと思った。
これが11年前に書かれた小説だというのも衝撃。
11年前の時点で既に未来の可能性としてこんな小説を書いてるんだこの人…という感じ。
①殺人出産
現代では男女が恋愛▶︎結婚▶︎妊娠・出産
の順序で(例外あり)進むことがメジャーだが
100年後の世界では人工授精が主流となり
男性も人口子宮を付けることによって
妊娠・出産が可能になっている。
更に現代日本での極刑「死刑」が100年後には
「産刑」、つまり人を殺した人間は命を産み出すべきだという考えが浸透している。
10人産んだら1人殺せる「殺人出産システム」、
これにより日本の人口減少を食い止めている。
なんかもう世界観がすごい。
現代ではありえない話だけど近い将来、遠い未来に
ありえなくはないんじゃないか…?と思える絶妙な
ラインの設定なのがすごい。
人間の価値観や常識は昔からどんどん変化していることを思えば、いつかこんな時代がくるのかもしれない。
終わり方はイマイチだったけど設定がすごかった。
②トリプル
2人で付き合うカップルではなく3人で付き合うトリプルという概念がある世界線。
デートもキスも性行為も全部3人で。
異様だと思うけどトリプル側の人間からすると
カップルの方が異様。
人間は自分が当たり前だと思っている価値観から
ズレているものについては排除したがる生き物。
これも設定として面白かった。
でもこの人の性描写絶妙に気持ち悪いから
あんまり好きじゃない。
③清潔な結婚
体外受精のシーンで思わず声出して笑った
④余命
医療の進歩により人間の平均寿命がどんどん延びている。いつか不死身が当たり前になり、死ぬのに一苦労する時代。自分で死ぬタイミングも死に方も考えなければいけなくなり、それはそれで厄介。
"医療がここまで発達する前は、死は向こうから勝手にやってくるものだったという。楽でいいなあと思う。今はわざわざ、人目を気にしてセンスのいい死に方を探しながら自分を葬らなくてはいけないのだから。"
斬新だ……たしかに楽なのかもしれない……
なんてことだ
書き上げている世界や思想は読み物として完成度が高いのですが、生々しい痛みが苦手な人にお勧めできない本です。
私にはこれに耐える精神は持ち合わせていない。書物を読んで吐き気がするという体験は初めてです。
しかしながら、村田さんの書く力が読ませてしまうんですね。読んでいて、嫌な予感(私には合ってない)がしていたのに、読み始めると引き返せなくなり、ページを閉じることができず、結局最後まで読むことになりました。
私はティムバートンが好きですが、彼の作品の中にも具合が悪くなるのでもう二度と観れない映画があります。この本も、そんな気分になる小説でした。