あらすじ
「産み人」となり、10人産めば、1人殺してもいい──。そんな「殺人出産制度」が認められた世界では、「産み人」は命を作る尊い存在として崇められていた。育子の職場でも、またひとり「産み人」となり、人々の賞賛を浴びていた。素晴らしい行為をたたえながらも、どこか複雑な思いを抱く育子。それは、彼女が抱える、人には言えないある秘密のせいなのかもしれない……。
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十人産んだら一人殺せるという法律になった世界。倫理観というものがいかに曖昧なのかを考えさせられる。他の短編も性と生の常識を打ち破る斬新な世界観が描かれる。
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村田沙耶香作品3作目。ワールドに完全にハマり始めた。「まず既存の価値観を並べます。それを斬り刻みます。それらのピースを並べて直しま〜す」というセリフが頭に浮かぶ。とある言葉を反対の意味として捉え妄想してみるクセをつけると視野が広がりそう。軽快な思考実験を見せてもらえているようでとてもよい読書体験。
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価値観の正義に嬲られてるような感覚に陥った1冊。
今ある正しい価値観も、100年後には変わっている
というフレーズが、この1冊を象徴するキーワードの代表だとも思う。
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現実世界の日本における倫理観をひっくり返した、じっとりとした世界観が深くて本当に面白い。
不思議な背徳感があり、他人には勧めにくいが個人的には大好きです。
短編集で、読みやすい一冊でした。
様々な法や価値観が存在する社会で生きる人々の物語は、どれもラストが予測できないものばかりで、楽しんで読むことができました。
常識引っくり返る
この人の本初めて読んだけど、スゴいとしか言いようがない。常識?ナニソレ?そんな発想おんなじ人間なのに思い付きもしませんよって感じです。
他の本も読みたいですね!このぶっ飛んだ世界観にドッブリ嵌まりたいです。
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インパクトあるタイトルですが、中身もかなり斬新です。倫理的なことを無視すれば少子化対策としてはかなり良いシステムだと思います。少なくとも9人ずつは増えていくわけですから。
もし自分が産み人だったら誰を殺すだろうと考える読者は多そうですが、自分が死に人と告げられたら誰に殺されるのだろうと考える人はあまりいないかもしれません。特にラストの実際殺していくシーンを見てしまったら余計に誰を殺そうかになると思います。
主人公たちの視点で進むのでそれは当然です。でも死に人がいないと成り立たないシステムなんです。チカちゃんのお母さんは一体どういう気持ちで参列者に頭を下げたんだろうと思うと、やはり倫理的には肯定できないシステムには違いないですね。
死に人を殺していくシーンは自身が女性なのによくこんな結末にもっていけたな…と思う一方で、その後の育子の決断はやはり女性作家でないと描けなかっただろうなとも思いました。
とても読み応えのある短編でした。
他の作品はどれもイマイチでしたが、何回か読み返すうちに「トリプル」はしっくりくるようになりました。圭太がマウスになるシーンは相変わらず気持ち悪いですが、真弓がマウスになるシーンは安心できてよかったねと思います。
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一冊読み終えてまず強く残ったのは、著者は世の中にあんまり期待してなさそう(?)という感覚だった。人間社会を内側から描いているというより、地球人について学んだ宇宙人が、地球人向けに書いたSFを読んでいるような視点。世界をかなり俯瞰で、少し距離を置いて眺めている感じがする。その距離感が、個人的にはとても心地よかった。
その感覚をいちばん象徴していると感じたのが、最後の短編『余命』。
『女子にぴったり!可愛い死に方100選』『男のインパクト死!印象に残る死に方でかっこよく逝く方法』というフレーズが強烈で、今まさに世界中で議論されているジェンダーの問題には一切触れず、「女は可愛いものが好き」「男はかっこつけたい生き物」といったステレオタイプな言葉遣いを、何の疑問もなくそのまま使っている。その無邪気さというか、無関心さが逆に不気味で面白い。
「自分で余命を決められるようになった」という設定だけを社会にポンと置いて、あとは完全ノータッチ。価値観も言葉も現実世界のまま。パッケージ化されたものをそのまま信じて使っている感じが、なんというかすごく宇宙人っぽいと思った。
「テレビで若者の流行り言葉として紹介された言葉を、おじさんおばさんが使い始める頃には若者はもう誰も使っていない」みたいなズレに近い気がする。カルチャーの中心にいないからこそ、外側から見よう見まねで取り入れている感じ。その微妙なズレの感覚が、意図したものだろうからこそ笑える。
「死に方にも流行がある」という設定も、皮肉が効いていて印象的だったので引用する。
「土に還る、というのは今人気の死に方だ。死んだあと、あの人はああ死んだらしいとか、普段は地味なのに派手で迷惑な死に方をする奴だったとか、いい歳してあの死に方はないだろうとか、人間性を噂されたりセンスを笑われたりするので、なるべく大人しく、それなりにお洒落に死にたい。
医療がここまで発達する前は、死は向こうから勝手にやってくるものだったという。楽でいいなあと思う。今はわざわざ、人目を気にしてセンスのいい死に方を探しながら自分を葬らなくてはいけないのだから。」
生きている間だけじゃなく、死に方にまでセンスや評価が付きまとう世界という設定は、笑えるのにどこかゾッとする。
『トリプル』もかなり好きだった。若者の間では当たり前になっている新しい性文化「トリプル」を実践する主人公・真弓と、それを頑なに穢らわしいものとして扱う母親との対比が、完全にブラックジョーク。
実の娘に向かって「ラブホテル」「乱交」「3P」って言葉を使いながら真剣に注意している母親の姿が、あまりにも滑稽で笑ってしまった。
表題作であり一番長い中編の『殺人出産』については、正直そこまで刺さらなかったかも……?というのが本音。でも『清潔な結婚』も好きだったし、他の短編も総じて面白かった。
人の身近にある「生と死」や「性」を扱いながら、常人では思いつかない方向に突き抜けていく感覚に、著者が親しい友人から「ぶっ飛んでる」と評されるという話にも頷けたし、読んでよかった一冊だった。
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『コンビニ人間』『地球星人』『消滅世界』と4作続けて読み、村田沙耶香という作家が作る「箱」の面白さに圧倒された。
また、村田沙耶香は合理性を突き詰めた先での世界を提示し一旦フラットにして、読者に「倫理観」を問うてきているのかなと感じた。
ここで言う「箱」とは、既存の常識を鮮やかにひっくり返した世界観のことだ。
例えば『消滅世界』なら「夫婦間のセックスが近親相姦になる世界」、『殺人出産』なら「10人産めば1人を殺せる権利が得られるシステム」。誰にでも共通して伝わる明快な「箱」を作り、その中で物語を動かす手腕が凄まじい。
キャラクターの背景や心情描写の解像度(あるある!という共感)に依存せず、設定そのものの強度で読ませる点に彼女の特異性を感じる。
特に表題作の『殺人出産』において、死者の葬儀が「真っ白な服を纏い、骨になった状態で行われる」という描写が印象的だった。骸骨にダリアを挿す光景はあまりに美しく、読み終えた後も脳内で何度も映像化されている。
併録されている短編も、生と死を徹底的に描き切っていて興味深い。個人的には、歪(いびつ)ながらもどこか純粋な『清潔な結婚』が非常に面白かった。
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何が普通かはその時代、世界によって違うんだなし、当たり前もいつ当たり前では無くなるかもしれないなーと。トリプルの性描写は私はダメだった。短編で本の中の世界に没入したいときにおすすめします
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合理性がありつつ、倫理からは逸れている
読み進めると、さもそれが当たり前かのように感じそうになるけど、読後に「いやいや」と現実世界に帰ってくる感じがサウナのようなデトックス感がありたまらない
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設定が面白く、こんな世界ありえないだろうと考えながらも、どこかリアリティを感じさせるような設定に読む手が止まらなかった。
生と死を主に扱っている短編集。
清潔な結婚という話の描写で笑ってしまった。
人に勧められるような作品ではないと思った。
Posted by ブクログ
収録されている作品は、連作ではありませんが、『生、死、恋人、夫婦、家庭』といった身近なものの常識に、真っ向から『No』を突きつける作者の胆力と、そんな青くさい主張をグイグイと読ませてしまう構成力が光る短編集です。
「殺人出産」
SF作家のような緻密な設定はありません。村田沙耶香センセイは、ぶっ飛んだ設定の中に力技で読者を引き摺り込んでいきます。
語られるのは『生と死(もしくは殺意)』。読みながらよくメモを取るのですが、この作品で取ったメモは
「なんだ,,殺せばいいんだ!」のみ。
没入感がヤバいです。
「トリプル」
恋人達の新しいカタチの提示。青春小説のような女子高生の日常と恋人達の目眩く過激なセックスが綴られています。
恋人達の新しいカタチは、多様性にも対応した自由で柔軟なものに見えて、実はすでに様式化している点が悲しいです。
「清潔な結婚」
性的なものから切り離された清潔な家庭とはどういったものでしょう。
「夫は家では一切の性行為を禁じることを希望し、それは私も同じだった。 『性とは僕にとって、一人で自分の部屋で耽る行為か、外で処理する行為なんです。 仕事でつかれて、ただいま、と帰ってくる家にセックスがある。そのことに生理的嫌悪感があるんです』」
セックスレスの肯定でしょうか。お互いにセックスありの愛人が家庭外にいる清潔な夫婦。快適そうですが、夫は次のステップ(家庭=子作り)には進めなさそうです。その融通の効かなさが村田沙耶香っぽいと思いました。
「余命」
ラストは『死』でした。短い作品ですが、この短編集をしっかり締めています。
世界観に引き込まれた。今の世界で生きている自分から見たらこの世界は異常と思うけれど、時間が経つにつれて適応していくのだろうか...。こうなることは有り得ないと言いきれない、絶妙に筋が通った世界だと思う。何度も読み返しています。
Posted by ブクログ
◯殺人出産
とんでもない世界観に衝撃的なラスト。
眉をひそめた、こわばった表情で読み終わった。
怖すぎる。あんなに柔らかい雰囲気の方からこんな話が出てくるなんて。
怖すぎる。
→印象に残った文章
あなたが信じない世界を信じたいなら、あなたが信じない世界を信じてる人間を許すしかないわ。
◯トリプル
トリプルのセックスが痛くて怖そうに思えた。
◯清潔な結婚
→印象に残った文章
そもそも、従来の、夫婦でセックスをして子供を作るという考えが、古いんです。
◯余命
→印象に残った文章
楽でいいなあ。今はわざわざ、人目を気にしてセンスのいい死に方を探しながら自分を葬らなくてはいけないのだから。
全体を通して、自分が当たり前と思ってることは本当か?当たり前を信じる必要あるのか?と思わされた。怖いけど読み進めたくなる不思議な文章、物語でした。
Posted by ブクログ
なんともぶっ飛んだ設定…と思いきや、読んでいるうちにそうだよなぁ、死刑にするんじゃなくて…とかも思いつつ、いやいやそれ遺伝子的には大丈夫なのか!?とかも思いつつ、いやでも確かに…等々無いのに、有る←設定で考えてしまうリアルさがあった。
少子化少子化と謳われる中、この対策がもしあったらどうなるんだろうと思うけれど、やっぱり時が過ぎれば、慣れれば、何事も日常になってしまうような気もして怖さがある。
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すごーく変わったお話でびっくりしました。想像の斜め上いってて、ぶっ飛びました。文章がとても綺麗で読みやすいので、スラスラと読めましたが、私にとっては気持ち悪い表現や内容が多くて、読み切るのが辛かった
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内容は理解出来るけど、頭が理解するのを拒否しているのか、頭の中に内容が入って来るのが難しかった。
100年経てば時代も様変わりして、この小説の世界が「当たり前」になっていてもおかしくないなとも思うが、その世界にいたらまっさきに死んでしまいそうだなと思った。
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「10人産んだら、1人殺せる」
人口を維持するために、命を生み出す貢献をすれば殺人が合法化される。読み始めは、村田沙耶香さんらしい「倫理観の狂ったディストピア(であユートピア)」だと思っていた。けれど、物語の後半に差し掛かる頃、この制度をどこかで肯定し始めている自分に気づいた。
この物語が突きつけてくるのは、「正義や倫理観は、時の流れの中で移り変わる蜃気楼のようなものだ」というメッセージだ。読んでいく上で、ギョッとするような殺人出産の制度肯定していくように。
昨日まで「悪」だったことが、100年後には「当たり前の正解」になっている。歴史はそんなことを何度も繰り返してきた。一見ぶっ飛んだ設定のように思えて、読み終える頃には「あり得るかもしれない」と納得させられてしまう。その思考実験の深度があまりに鋭い。
そして、その根底にあるのは、生物としての最も純粋で本質的な本能「次の世代へ命のバトンをつなぐこと」。
人間という生き物の「本能」と「システム」が、最もグロテスクに、かつ美しく噛み合ってしまった世界。たまたまこの物語の世界はこの極端システムに行き着いただけで、僕らの住むこの世界も近しい未来を辿るかもしれないと感じた。
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性をテーマにした短編集。
10人産んだ暁に1人誰かを殺めることができる、ってそう遠くない未来にありそうな考え方だなと思った。村田さんの表現ってリアリティがすごくて迫ってくるような印象だから、いつもの村田ワールドきたって思いながら読んでました。
Posted by ブクログ
命を生み出すことは、命をつなぐことであり、命を渡すことでもある。
男がそれをできないのは、それほどの覚悟をできないから。その分、必死に守り、育み、献身しなきゃいけないんだろうなと思った。
着眼点としては面白いけど、なかなか受け入れ難い
Posted by ブクログ
一見狂ってしまったシステムを正当化する人々、変わっていく新しい世代、未だに受け入れずに逆行する人々など、奇妙なズレが気味悪かった。
妙に生々しい描写もあり、引き込まれてしまった。
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設定は面白い。でも短い。もっと深堀したら絶対に面白くなりそう。いとこの小学生がどうなったのかも気になる。上司のことも気になる。
他の短編も面白いけど短い。
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今の価値観と100年後の価値観は全く違うもの。当たり前と言えば当たり前だけど、普通に暮らしていても意識できるものじゃない。
流行みたいに爆発的に広がって変わる価値観(『トリプル』みたく)もあるから今日明日、1年後2年後の世界で何かが変わっても不思議ではないと思う。
その時に適応するか、反発するか。
変化するというのは受容されるべきもので、受け入れ難いような、そんなものなんだと感じた。
作品は生殖と愛を徹底的に分断しているように感じた。確かに、自分のセーフゾーンに「性」という不確定要素があったら困るなぁと思うけれど、そういう人はいないので安心笑
Posted by ブクログ
10人産んだら1人殺してもいい世界の「殺人出産」をはじめとした、命がテーマの斬新すぎる4つの短編集。
ぶっ飛んでるなぁ
少子化と殺人欲求を同時に解決するとしては合理的ではあるけど現実では難しいんだろうな
発送の次元が違いすぎて新鮮だった
Posted by ブクログ
★3.5
短編集なのにめっちゃ濃くておもしろかった…
殺人出産 生かすことと殺すことという相反する二つの概念が、一つの社会のサイクルの中で循環していくのが皮肉的で蠱惑的だった。
殺人が正当化される世界で、何を希望に生きるのか、と思ったけど殺人を希望にいきるんだな~
トリプル あの~気持ち悪いのにすごい興奮した
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殺人出産やっと読み切った。
10人産んだら1人殺せる殺人出産システム、3人で付き合うトリプルなど、どの短編も現在の常識とは違う体験で、まるで違う世界線を覗いているような感覚だった。
Posted by ブクログ
⭐︎3.5
村田沙耶香さんワールド全開で、期待通りの強烈さ。
登場人物たちの考え方や行動を怖い、気持ち悪いと感じてしまう私の常識が、彼らからしたら気持ち悪いんだよな…。ずっと居心地の悪さを感じながら読んだので少ないページ数の割にどっと疲れた。(いい意味で)
自分の当たり前が根幹から揺るがされる。
Posted by ブクログ
表題作は、設定がとても良い。
作中の日常生活全体に漂う不穏な空気はとても好きだったが、個人的に終わり方が好みではなかったかも。
性愛や生命に関する世の中の常識を疑いたい気持ちが伝わった。
Posted by ブクログ
ディストピア系を初めて読みました
うちにこの作品を説明出来る語彙力がないことを感じ
ました
殺人出産(表題作)
10人産んだら、1人殺しせる世界では、強い殺意は才能としてる感じや、日常会話で「殺したい人いるー?」が普通に出てくる
あと、セミのスナックと、蟻のサラダも今じゃありえないが、この世界では流行りの食べ物とされてたところとかも変だった
うちの異常は誰かの常識かもしれんと感じた
トリプル
3人はうちには想像がつかない、やはり2人でしょと思うのも先入観みたいなものかもしれない
うちは凝り固まった価値観しか持ってないかもしれない
清潔な結婚
一番現実味がある気がした
今でもこういう人いそうだけど、一昔前だと有り得んし、今ですらよく思わない人もいるかも?
余命
100年後ぐらいになれば、こうなっているでしょう
医療の発展が恐ろしく進むと、こんなこと起こるよねが書いてあった
なんてことだ
書き上げている世界や思想は読み物として完成度が高いのですが、生々しい痛みが苦手な人にお勧めできない本です。
私にはこれに耐える精神は持ち合わせていない。書物を読んで吐き気がするという体験は初めてです。
しかしながら、村田さんの書く力が読ませてしまうんですね。読んでいて、嫌な予感(私には合ってない)がしていたのに、読み始めると引き返せなくなり、ページを閉じることができず、結局最後まで読むことになりました。
私はティムバートンが好きですが、彼の作品の中にも具合が悪くなるのでもう二度と観れない映画があります。この本も、そんな気分になる小説でした。