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Posted by ブクログ
〇ザ・ハードボイルド。男前の主人公が十数年前の謎に挑む
地方の街で塾講師をやっている波多野は、教え子が失踪したと彼女の伯母から相談を受け、上京し、行方を調べていた。教え子の名は広瀬ゆかり。彼女のアパートの周辺を調べていると怪しいものもうろついており、失踪には何らかの事件性も考えられる。マンションの管理人や以前の同居人に話を聞いていると、どうやら角田という男が絡んでおり、あるサパークラブで会ったのだという。そのクラブに行くと、昔高校に勤めていた時に職を追った大森たちがいて、職を追われる原因となった教え子であった元妻・雅子のバーを紹介される。雅子は変わっていなかったが、会ったことに後悔もした。
翌日以降もゆかりを探しにあちこちへ電話したり訪問したりする。角田が学園につながっていることと学園で起こっている問題にも関係があると知った波多野は、昔起きてしまった事件も含め真実を探ろうとして・・・
学園内の対立や抗争、人間関係や利害関係が複雑に絡み合っていて、それを昔のことを思い出しながら解決に導こう、ゆかりを助けようとする波多野の姿が頼もしい。波多野は将来を嘱望された教師であったにも関わらず、なぜ学園を去らねばならなかったのか。ただのスキャンダルでは終わらないこの事件の深さには、驚かされる。波多野の回想シーンには感情がこもっていて、リアリティがある。波多野の結婚当時の葛藤や後悔がまざまざと感じられる。
東京を舞台にして、結局事件はどうなるのか、ゆかりと波多野の関係は、雅子との関係は。ワクワクとドキドキがページをめくる手を止めません。
Posted by ブクログ
一度読んだことがあるのだが、何故か突然シミタツ節に触れたくなり、購入(105円でした、すみません)。
ストーリーはオーソドックス。かっこいいヒーローがでてくるわけでもない、美人のヒロインが出てくるわけでもない。ハリウッドばりのアクションシーンがあるわけでもない(あるけれど、主人公はズタボロにされている)。
それでも、あっという間に引き込まれ、読み終えてしまう。
ハードボイルドとは、汚い街をゆく、孤高の男の戦いを描いた男の小説である、というけれど(うろ覚えですが)、そのくだりでいうなら、まさしくこれはハードボイルドの王道。
地方で塾の講師をしていた主人公は、教え子の行方を探しに東京へくる。主人公は昔、東京の私立高校で教師をやっていたが、とある事件をきっかけに、田舎へひっこんだという経緯があると語られる。
教え子の行方を探るうちに、自分が東京を追われることになった事件を、思い出させる人間と再会する。その男は、教え子の失踪に絡んでいるのか。
主人公は教え子を探して、自分の過去へと戻っていく。
ストーリーはそんな風に、主人公である波多野の一人称で進んでいく。
もちろん、人探しとそれに絡む学校経営にまつわる暗い話など、ミステリーとしても面白く読める。
だが、志水辰夫の作品の一番の魅力は、なんといってもシミタツ節とまで称される、熱くほとばしるように語られる文章だ。そして恋愛小説とでもいえるような、上質な、大人の恋愛を、そのシミタツ節で読める幸せだ。
この物語も、いわゆるミステリーとしてのストーリー展開とは別に、波多野が東京を追われることとなった、過去の恋愛についてがもうひとつの大きな柱として描かれている。
教え子だった雅子との恋愛、結婚を、破廉恥事件として騒がれて、結果、彼らの結婚はダメになってしまう。
その相手であった雅子との再会。そして再びの交歓。
たった一瞬の再会の瞬間を、ここまで濃く描く。
さらに、再び雅子を抱きしめることになるシーンといったらもう。
これは多分、若い男女の恋愛では描けないものであろうし、ライターとして社会と人を見続けてきて、小説家デビューしたシミタツにしか書けない文章ではないかと、本気で思う。
静かな夜に、お気に入りのお酒片手に、ゆっくりと読んでみたい一品。けれどもきっと、読み始めたら「ゆっくり」などといっていられないほどのめりこむこと、間違いなし。
アダルトなあなたにどうぞ。
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