あらすじ
16年の時を経て大ブレイクした、1991年度「このミステリーがすごい!」第1位作品。雅子はわたしのすべてだった。自分の一生を賭けた恋愛だった――。それを、教師と教え子という関係にのみ焦点をあて、スキャンダルに仕立て上げられて、わたしは学園と東京から追い払われた。退職後、郷里で塾講師をしていたわたしは、失踪した教え子を捜しに12年ぶりに東京へ足を踏み入れた。やがて自分を追放した学園がこの事件に関係しているという事実を知り……。事件とともに、あの悪夢のような過去を清算すべき時が来たのか――ミステリー史に残る大傑作。
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〇ザ・ハードボイルド。男前の主人公が十数年前の謎に挑む
地方の街で塾講師をやっている波多野は、教え子が失踪したと彼女の伯母から相談を受け、上京し、行方を調べていた。教え子の名は広瀬ゆかり。彼女のアパートの周辺を調べていると怪しいものもうろついており、失踪には何らかの事件性も考えられる。マンションの管理人や以前の同居人に話を聞いていると、どうやら角田という男が絡んでおり、あるサパークラブで会ったのだという。そのクラブに行くと、昔高校に勤めていた時に職を追った大森たちがいて、職を追われる原因となった教え子であった元妻・雅子のバーを紹介される。雅子は変わっていなかったが、会ったことに後悔もした。
翌日以降もゆかりを探しにあちこちへ電話したり訪問したりする。角田が学園につながっていることと学園で起こっている問題にも関係があると知った波多野は、昔起きてしまった事件も含め真実を探ろうとして・・・
学園内の対立や抗争、人間関係や利害関係が複雑に絡み合っていて、それを昔のことを思い出しながら解決に導こう、ゆかりを助けようとする波多野の姿が頼もしい。波多野は将来を嘱望された教師であったにも関わらず、なぜ学園を去らねばならなかったのか。ただのスキャンダルでは終わらないこの事件の深さには、驚かされる。波多野の回想シーンには感情がこもっていて、リアリティがある。波多野の結婚当時の葛藤や後悔がまざまざと感じられる。
東京を舞台にして、結局事件はどうなるのか、ゆかりと波多野の関係は、雅子との関係は。ワクワクとドキドキがページをめくる手を止めません。
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平成初期の作品。
とても心地よい、男クサイ、ハードボイルド小説でした。
なんと言っても、主人公が学校の先生というところが良い。喧嘩は弱く、でも女性にモテモテ・・・
当作は、そんな味のある主人公が、トラブルに巻き込まれた教え子を救う物語。
ハードボイルドであり、恋愛小説でもありました。
美味。
Posted by ブクログ
なんかバブル期のハードボイルドを読むほどに同じことばっかり言ってしまう気もするけど、、何故に普通のおっさんがこんなにタフなのか。いやもしかしたら30年くらい前は世紀末に向かって北斗の拳みたいな世界だったんだろうか。いやもしかしたら今どきの若いもんはゆとり教育によってもやしっ子になってしまったのかも。
そんなこんなで燃えるただの塾講師のおっさんがすごい行動力と推理力を駆使して縦横無尽に活躍するのを楽しむしかない。いやこれだけの能力を持ってかつクールに振る舞うからこそ女子たちにもモテモテなんであって、そこらのオッサンどもも見習って欲しい。
Posted by ブクログ
スキャンダルで辞めさせられた元教師が
塾の生徒が行方不明になり行方を追ううちに
過去のことやその時の人たちが生徒の行方不明に
絡んでいるらしく・・・
まぁ淡々と読みました
Posted by ブクログ
一度読んだことがあるのだが、何故か突然シミタツ節に触れたくなり、購入(105円でした、すみません)。
ストーリーはオーソドックス。かっこいいヒーローがでてくるわけでもない、美人のヒロインが出てくるわけでもない。ハリウッドばりのアクションシーンがあるわけでもない(あるけれど、主人公はズタボロにされている)。
それでも、あっという間に引き込まれ、読み終えてしまう。
ハードボイルドとは、汚い街をゆく、孤高の男の戦いを描いた男の小説である、というけれど(うろ覚えですが)、そのくだりでいうなら、まさしくこれはハードボイルドの王道。
地方で塾の講師をしていた主人公は、教え子の行方を探しに東京へくる。主人公は昔、東京の私立高校で教師をやっていたが、とある事件をきっかけに、田舎へひっこんだという経緯があると語られる。
教え子の行方を探るうちに、自分が東京を追われることになった事件を、思い出させる人間と再会する。その男は、教え子の失踪に絡んでいるのか。
主人公は教え子を探して、自分の過去へと戻っていく。
ストーリーはそんな風に、主人公である波多野の一人称で進んでいく。
もちろん、人探しとそれに絡む学校経営にまつわる暗い話など、ミステリーとしても面白く読める。
だが、志水辰夫の作品の一番の魅力は、なんといってもシミタツ節とまで称される、熱くほとばしるように語られる文章だ。そして恋愛小説とでもいえるような、上質な、大人の恋愛を、そのシミタツ節で読める幸せだ。
この物語も、いわゆるミステリーとしてのストーリー展開とは別に、波多野が東京を追われることとなった、過去の恋愛についてがもうひとつの大きな柱として描かれている。
教え子だった雅子との恋愛、結婚を、破廉恥事件として騒がれて、結果、彼らの結婚はダメになってしまう。
その相手であった雅子との再会。そして再びの交歓。
たった一瞬の再会の瞬間を、ここまで濃く描く。
さらに、再び雅子を抱きしめることになるシーンといったらもう。
これは多分、若い男女の恋愛では描けないものであろうし、ライターとして社会と人を見続けてきて、小説家デビューしたシミタツにしか書けない文章ではないかと、本気で思う。
静かな夜に、お気に入りのお酒片手に、ゆっくりと読んでみたい一品。けれどもきっと、読み始めたら「ゆっくり」などといっていられないほどのめりこむこと、間違いなし。
アダルトなあなたにどうぞ。
Posted by ブクログ
1991年度「このミステリーがすごい」1位。
主人公はさえないですが、冒険物として全体的には楽しめました。
解説では恋愛小説だ、夫婦小説だとも言ってますが、そうかな?微妙。
Posted by ブクログ
1991年度の「このミステリーがすごい」1位の作品。
mixiでこの作品の評価が低いのはなぜ?
でも確かにミステリーとして高い評価はあまり出せないかも。
私は志水さんの描く恋愛模様が好きなのだけど。
事件と恋愛(てか人間?)の描き方両方うまく書ける人ってあんまり
いないと思うんだけど。
彼はそんなタイプでしょう。
私は事件がどうなろうとどんな内幕があろうと
どうでもよかったけど、主人公と元妻がどうなるのかが
気になって仕方なかった。
Posted by ブクログ
「第一回このミス大賞」という帯に惹かれて買ってみた。初めて読む著者の本ということで始めは読みやすくなく苦戦。だが、全体的に広がる昼ドラなドロドロ世界に引き込まれていく。最後の方は主人公の足取りが一日でこれだけよく移動できるものだとこっちが疲れてしまうところもあったが、まぁまぁ面白かったといえる。人によって面白いか面白くないか分かれそうな作品。
Posted by ブクログ
昭和が終わったばかりの平成初期の男はタフで行動力に満ち溢れた生き物だなとつくづく思わされた。ハードボイルドな小説なので終始張り詰めた雰囲気な作風だが、唯一気持ちを落ち着けられるシーンは、波多野と雅子の会話のシーンや雅子の家でのシーンくらいだった。
読めば読むほどに、私立の学園の問題が浮き彫りになってくるところが恐ろしかった。一族で経営していたり、上層部を支配している教育機関というのは、家族ぐるみで手を組んで経営状況が一転するかしないかの際どいことをしているのだなと感じた。そういう闇みたいな部分が小説なのに妙にリアリティがあった。著者のつくる独特の文体とハードボイルドによるものなのだろうか、この小説の気味の悪さを感じさせる。
Posted by ブクログ
読めば読むほどどんどんややこしくなっていって、何だこれは韓国ドラマか?って感じの話の展開。
ちょいちょいでてくる雅子との話だけが唯一ほっとさせてくれる話題。
この主人公の気合いはどっから出てくるんだか。
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後輩からのプレゼント本、ありがとう!
この作家にちょっとした縁があり選んでくれたとのこと。
もっと時間を有効に使わねば!反省反省。
この手のジャンルは何と言うんだろう・・・ハードボイルド?ミステリー?アクション?恋愛?とにかく色々入ってます!
主人公の波多野和郎、普通の中年男なんだが、ブルース・ウィリスばりのダイ・ハード感ありあり、ボロボロになりながらも目的のために邁進して行く・・・このガッツは素晴らしい!
初めて読んだ作家だけど、楽しめました。
ガッツで行こう!
TVドラマ化、映画化もされているみたいなので機会あったら観てみよう!
Posted by ブクログ
シミタツ作品で一番エントリー数多いなぁ・・・。シミタツ読者としてはこれを読んでシミタツを解ったように思って欲しくはないのだが。
『このミス』1位の宣伝文句は単に購買意欲をそそっているだけで変な先入観をもたらしているだけ。非常に邪魔だ。
主人公に都合の良すぎる展開や身勝手すぎる登場人物たちという声が多く、それについては同意する。私の中でも本書はシミタツ作品10本の指に入っても上位ではない。もっと面白い作品があるのでこれに懲りず、もっと手を出して欲しい。
しかし文庫の表紙の絵は、不倫の香りがするなぁ・・・。
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教え子の失踪を元教師が探しに行き、それが自分の過去の事件と交差していた・・というお話。
なかなか主人公に感情移入できず。男が女性に対する勝手なロマンではないか?と思える箇所多々。
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お世話になっている学園理事長に薦められたので読んだ。プロットの上手さで持っていくが、「やられた」という感じはしない。ある意味王道の勧善懲悪である。
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ハードボイルド系のミステリ
単行本が平成2年の出版ということもあり,バブルの東京が背景にある。
このミス1位,北上次郎絶賛の本だが,普通の面白さであった。
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期待して読み始めたのですが。。ある程度予測したものと少し外されていくことが続き、読みにくい感をずっと持ったまま最後まで進んでしまいました。外すのが狙いだったのかもしれませんが、すっきりしない感じのままで残念!
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職場の青空文庫にあって、前情報無く何となく手に取った。主人公波多野が塾講師とは思えないハードボイルドな人探しをしつつ、昔の妻と邂逅を果たすという内容。ベテラン作家さんらしく、文章が独特で読んでて楽しかった。和製ハードボイルドがまた読みたくなった、原りょうの本でも読もうかなー。
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正直なところ、「これが傑作?」。駄作ではないかもしれないが、それほどの小説か?
映画化されるらしいですね。
ええ!9年前に読んでたの完全に忘れて2回目通読しても気づかなかったって、俺の記憶力どうなってんの?そっちが衝撃過ぎて感想どころではないが、前回の感想読む限りよほど印象に残らなかったのかも、と納得するしかない。
ちなみに今回の印象は傑作との評価にもそれなりに納得。時代は感じるが、それもやむを得ないと思うだけの時間が過ぎたこともある。
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初の志水辰夫さん。
12年前に追放され退職した教師で今は故郷で塾講師をしている主人公が、行方不明の教え子を探しに東京へ舞い戻る。探すうちに、教え子の失踪が事件を孕んでいることがわかり、同時に12年前の自分の過去と向き合うことになる。
印象的だったのは、女性のセリフ。言い回しというか。
美しく感じました。言い切りの仕方など。
今まで読んだ中で、こんな風に感じたことはないかもしれない。
ただ(自分にとっては)たびたびの暴力シーンに少々参りました。
最初から覚悟して読めばよかった。
日本冒険小説協会大賞受賞作なんだから(;'∀')
Posted by ブクログ
どこに焦点をあてて何を期待して読み進めればいいのかを最後まで見つけ出せなかった。あらすじ読んだ限りではもうすこし恋愛色の強いミステリなのかと思ってたけどそうでもないし、主人公が追放された大学のもめごとにどんどん関わって行って謎を追うみたいなストーリーなんだけど、こっちが謎を楽しむ間もなくひょいひょいと解決されてっちゃったのがイマイチ。
「人間のくずと父親は両立できる」というセリフがよかったな。
これを含む池辺の生き方が書かれていなかったら☆2だったと思う。
Posted by ブクログ
名門私立高校の教師を退職し、地元の塾講師をしている波多野先生が、行方不明になった元教え子の広瀬ゆかりを探すシーンから物語は始まる。
捜索の過程で次々と新事実が判明し、物語は複雑にかつとてつもない規模で広がっていく。
ストーリーはとても面白い。でも何だか物足りない・・・。
巻末の北上次郎さんの解説を見て納得した。
志水辰夫氏は、読者の感情移入を拒否する設定の作品が得意なのです。
Posted by ブクログ
これはミステリーと言うより恋愛・ハードボイルド小説?
自分の教え子を探しに上京、そこで学園絡みの事件に巻きこまれるんやけど全て登場人物が事件に関係している都合良過ぎる展開。また教え子探しに命懸けになるのもちょっと理解出来ない。残園。
Posted by ブクログ
なかなかよかった。
ある事件をきっかけに東京を追われた元教師が塾の教え子の失踪をきっかけに東京に戻ってくる。教え子の行方を探すうちに、過去の自分の事件との関連が明らかになってゆく。
ちょっと普通の教師にしては頑張り過ぎだけど、一気に読み終わり、楽しめた。
Posted by ブクログ
実家本棚から拝借。
1991年第1位のミステリーとの帯どおり、やや時代を感じる作品。
登場人物が次々と出てきてやや混乱しつつ、あっさり読み終わった。
主人公の恋愛模様の描写が印象的。