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旧制高校生の「私」は、一人で伊豆を旅していた。途中、旅芸人の一行を見かけ、美しい踊子から目が離せなくなる。大きな瞳を輝かせ、花のように笑う踊子。彼女と親しくなりたい。だが、「私」は声をかけられない……。そんなとき、偶然にも芸人たちから話しかけられ、「私」と踊子との忘れられない旅が始まった――。若き日の屈託と瑞瑞しい恋を描いた表題作。ほかに「温泉宿」「抒情歌」「禽獣」を収録。(解説・竹西寛子、重松清)※三島由紀夫による解説は収録しておりません。
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Posted by ブクログ
日本小説の珠玉の名作。 これほどまでに美しい小説があるだろうか? 一文一文を噛み締めるように読んだが、全ての文に「美」が宿っており、小説の真髄に触れた気分である。 旅芸人との関わりの中で、「孤児根性」を霧散させて残った「甘い快さ」を、私も読後に感じた。
綺麗な描写やハッとする表現に夢中になりながら読んだ 伊豆の踊子、抒情歌の小説的な美しさ、温泉宿、禽獣の時に生々しいリアルさ、どれをとっても良かった。
孤独に悩む若者の、数日間の伊豆への一人旅を描いた名作。清純無垢な踊子へ想いをつのらせ、主人公の「孤児根性」がほぐれるさまがとてもエモい。 切り取られる瞬間のすべてが美しい、究極の青春小説。
青春物語でもあり恋愛小説でもあった。高校2年生の自分にも当てはまる節があったり、主人公に共感できるような部分が多く見られる親しみやすいストーリーだった。自分にとってお気に入りの描写がたくさんあった。
抒情歌がとても美しかった… 西洋の香を感じたところ、好き。咲く花にあなたを感じるのも好き。主人公の女性がとんでもなく美人だと想像してしまう文章…
踊り子の幼いが故の純粋無垢ないじらしい様子と少し恥じらいも出る女性の面も踊り子の薫が非常に愛らしい。はじめは恋で見ていたが、兄の様に感じてきたのではないかと思った。
表題作だけ 本人の生立ち知ってると⭐︎5をつけざるを得ない 今だと偏愛に当たるのかもしれないけれど透き通った恋愛にしてしまう著者の素晴らしさ 1人温泉旅に行って新しい人と出逢いたくなるね
郷里が舞台にもかかわらず、恥ずかしながら通読したことがなかった。はじめ、色の小説かと思ったが、芸者一行との同道で主人公が社会と和合していく小説であった。 その和合も、具体的な描写を挙げるのは難しいが、どちらかといえば一方的・独善的に見える。栄吉をはじめとする一向の内面に含みを持たせつつもそれがなかな...続きを読むか見えず、悩めるエリートの精神的再起ばかりを捉えてしまうからかもしれない。 船に乗り合わせた少年の飯を食って学生マントに潜り込むのは、最早図々しいだろうと思い笑ってしまった。
「物乞い旅芸人村に入るべからず」の立札は、お前が肯定されたのは、有り難がってた世間一般の意味ではなかったんだよ、と台無しにするかのように言ってくる。 そのせいで、「私」が嬉しかった気持ちは無かったことになっちゃうのか? 違ってほしい。嬉しかったのは、世間一般から肯定されたからじゃなくて、自分が大...続きを読む切だと思った人が肯定してくれたからだ。 東京に帰った「私」が、それを胸に生きていってくれたら良いなと思う。 重松清さんによる解説の「肯定」という表現が泣けてしまったので、使いました。
踊り子の純粋な描写から心が洗われるような物語。主人公の揺れ動く心理描写、恋の切なさ、爽やかさが読後に残る名作
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伊豆の踊子(新潮文庫)
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