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Posted by ブクログ
なぜかは忘れたけれど「禽獣」を読みたくて買った。川端康成は大抵表題作より併録作の方が好み。
表題作「伊豆の踊り子」もあまりにも有名なのに初読。
「伊豆の踊り子」
淡い恋の青春小説とするにはあまりにもその心情は多層的で複雑だ。
恋情があり、自己憐憫があり、階級的な見下しがあり、拒絶への過敏さがあり、それでも思いがけず受容されたという感覚があり、自己陶酔、承認欲求、その全部を主人公自身が言語化できずに終わる、という感じでしょうか。未整理で過敏な自意識の若者が踊り子を鏡にして自分を見つめているという構造で、触れると壊れる砂糖細工のような繊細さです。その組み立ては芸術的で、組み上げられた細工品が音もなく崩れるようなラストが美しい。
「禽獣」
たまらなく良かった。
女を見つめ、犬を飼い、鳥を選び、死なせ、ある一羽だけを大切にする。その具体だけで、人間の愛、支配、選別、美意識、残酷さ、孤独まで描いてしまう。
動物の飼育やその死に対するぞんざいさ、菊戴を無条件に大切にする不合理さ、千花子への説明できない執着や自己嫌悪と虚無を通して、人間という矛盾した存在の不安定感を描き出している。
たったこれだけの文量でここまでできるものなのか。
川端康成は風景を書いてるよりこうした嫌なものを書いている方が冴えている気がします。
川端康成らしい、渇望しながらも傍観する視線を堪能できる短編。
Posted by ブクログ
川端康成とその表現力に魅了される1冊。
『伊豆の踊子』
平たく言うと身分の高い内気な学生坊ちゃんが一人旅の途中で旅芸人一行のうちの美しい踊子に惚れ、お近づきになりたい一心で追いかける話。川端康成本人の実体験が元になっているらしい。
内容のキモさは一旦置いておいて表現力に心底驚かされた。綺麗な女にドギマギするその緊張感がひしひしと伝わってくるうえ、主人公の額に流れる汗までもが目に浮かぶような文章だった。
「私は冷淡な風に女達を追い越してしまった。」
「(話しかけられると)私はほっとして(一行の)男と並んで歩き始めた。」
このたった二行で主人公の非モテ感が面白いほど伝わってくる。本当は旅芸人一行(というか踊子)と一緒に歩きたいんだけど声をかける勇気なんか無く、奇跡的にその連れに声をかけてもらって一緒に歩けるようになったっていう下り。女に対する執着心の強さとは裏腹に乏しい対人力のギャップが生々しく、いい描写だと思う。
個人的には内気で漢気の足りない性格の私が好きになれなかった。ロリコン疑惑も否めない。けどそんな現実味というか、人間味溢れる点も含めこの文章は素晴らしいのだと思う。
『温泉宿』
『抒情歌』
全体的に難しかった。読み慣れていない古い日本語に加え、宗教や神話といった様々な教養知識に苦戦した。可食部を沢山残してしまった感じがあるのでリベンジしたい。
「奇なるかな、火中に蓮華を生じ、愛欲の中に正覚を示す。」
『禽獣』
現代なら動物愛護団体が黙っちゃいない。独身中年男が鳥を死なせてしまった話から好きだった女への未練の話へと移り変わっていく。
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