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京都の呉服問屋の娘である千重子は、幼馴染の大学生、真一と平安神宮へ花見に出かける。夕暮れ時、彼女はある秘密を明かすが、真一は本気にしなかった。やがて夏の祇園祭の夜、千重子は自分とそっくりな娘と出会う。あなたは、いったい誰? 運命の歯車が回りはじめた……。京都の伝統ある行事や街並み、移ろう季節を背景に、日本人の魂の底に潜む原風景を流麗に描く。ノーベル文学賞対象作品。(解説・山本健吉、綿矢りさ)
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Posted by ブクログ
まだ10代の頃に読んだ古都。読書会の方に貸していただいて時を経て20年ぶりの再読。 20年経っても美しい話だった。 京都の祭りの賑やかさと反するように双子と彼女らを取り巻く青年たちの静かで熱い心情が描かれている。 捨てられた娘と、捨てられなかった故に山で両親を亡くしながらも強く生きた娘。 どちらの娘...続きを読むも遺伝子だろうか、それぞれに心根優しく芯のある美しい人だ。 苗子はきっと二度と戻らないのだろう。 美しくも寂しい最後だった。
川端康成の名前はもちろん知っていたけど、なんとなく難しそうだと勝手に思って読んだことが今までなかったが面白かった!異常な作品だと後書きに書いてあったけど他の本とは全然違う一冊なのかな。他のものもぜひ読んでみたいと思う。
定期的に京都が恋しくなった時に何度も読み返す名作。情景描写から人物描写まで、日本の美を凝縮した作品。
これぞ壺中天。 「読む京都」といった趣の作品。 優しく細やかに、そしてそれぞれに悩みながら生きる登場人物たちを縦糸に織り込んで、京都の行事や祭、名所名物を描いている。 いつか行った早朝の清水寺や桜の季節の南禅寺あたりを思い起こして、しみじみと読めた。 北山杉の界隈は行ったことがないけど、表現描写...続きを読むが美しい。 久々に癒やされる小説を読んだ気持ち。 本物の京都は、今やオーバーツーリズムで人に溢れすぎているから、もうこの小説のような風景は難しい。 そう思えば、壺のなかに封じられた昔の京都に出会える一作だと思える。
文学好きの友人に薦められた。 読み始めると止まらない。 すごく狭い空間で、限られた登場人物で、それでも気になる物語が進展していく。 味わいが深い。
【裏書】 京都の呉服問屋の娘である千重子は、幼馴染の大学生、真一と平安神宮へ花見に出かける。夕暮れ時、彼女はある秘密を明かすが、真一は本気にしなかった。やがて夏の祗園祭の夜、千重子は自分とそっくりな娘と出会う。あなたは、いったい誰?運命の歯車が回り始めた・・ 。京都の伝統ある行事や街並み、移ろう季節...続きを読むを背景に、日本人の魂の底に潜む原風景を流麗 に描く。ノーベル文学賞対象作品。
令和四年五月に新装発行となった名作。一卵性双生児と思われる、生き別れた姉妹の奇跡的な出会いと、生まれ育った環境の違いから生じるそのお互いの心境や生き方について京都を舞台として見事なまでに描いている作品。 祇園祭、葵祭、時代祭、北山杉、高雄の紅葉、鞍馬の竹伐り、南禅寺、京都植物園などなど他にも色々...続きを読むと京都の情景、風物を知ることができ、作品に深みを増すと同時に、この作品によって、さらに京都という都市自体が色彩を帯び、更なる歴史へと誘われる。 作品全体を通しては、登場人物の京言葉で、円やかで優美さに包まれており、これが睡眠剤を飲み、文章の狂いがあるという作品かと疑われるほどに明晰さすらも感じる。 また読みたい作品の一つである。 綿矢りさが解説を書いているも、文章の有り様や生きた時代があまりに異なるため、何処か軽さが浮き上がり気味と感じられた。
古都は主人公千重子の実家の庭のもみじの描写から始まるのだが、その描写が良い。まだ千重子に関する情報はほとんどないのだが、その古木は執拗に千重子を秤に描写される。 幹は千重子の腰回りよりも太い。古びてあらい膚は、青く苔むしており、千重子の初々しいからだとくらべられるものではない。幹は、千重子の腰ほ...続きを読むどのところで、少し右によじれ、千重子の頭より高いところで、右に大きく曲がっている。 何なんでしょう?もうこの段階で千重子に心奪われている。身長は標準よりちょっと小柄。色白で痩せ型、頭も小さい。僕が勝手に妄想した千重子像ですが皆さんはどうでしょう?もみじの古木との対比だけで勝手に若くてしなやかな女性を思い描いてしまう。 物語は四季の京都の情景や祭、お店や町家の描写に溢れ、その度に画像や位置を検索確認した。風情はないかもしれないが、便利だ。虫籠窓とか黒木鳥居、たる源の湯豆腐桶とか言われても全く判らない。ネットがない昔の人は大変だっただろう。 しかしさすが京都、左阿弥、大市、湯葉半、ほとんどのお店が健在だ。竹伐り会など祭事に至っては動画まで確認出来た。もちろん実際に京都に行きたくなる。半世紀以上前の作品ながら、今なお現役の京都ガイドブックだ。 物語ももちろん現代でも面白い。若者それぞれの決断をハラハラしながら読み進んだ。永遠の拗らせ童貞、川端康成翁の面目躍如だ。
原田マハの異邦人のお手本にした本ということで読んだ。たしかに、京都の季節の移ろいとともに物語が進んでいくこと、京都の自然や文化の美しさ、生き別れた姉妹、というところで共通する。 京ことばが今よりも強くて、親子、姉妹の愛情が美しくて、おとぎ話を読んでいるかのよう。色んな京都の自然の美しさの描写があった...続きを読むけど、北山の杉が一番見たいなと思った。
読み終わってから再度はじめから読み返すと尚良い。 綺麗な言葉やストーリーの数々が睡眠薬の裏にあったと思うと、信じられないし、その事実がこの作品をさらに儚くて美しくしていると感じた。 解説も後書きもすごく良かった。 京都に行きたくなる。
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